尊厳死 医師責任問わず 超党派議連が法案
中日新聞2012年3月7日 朝刊
超党派の国会議員でつくる尊厳死法制化を考える議員連盟(増子輝彦会長)は、終末期患者が延命治療を望まない場合、人工呼吸器装着など延命措置を医師がしなくても、法的責任を免責される法案をまとめた。近く総会で決定し、三月中にも議員立法で国会に提出する。
議連は民主、自民、公明など与野党の国会議員約百十人で構成。二○○五年に発足し、尊厳死について議論してきた。法案をまとめるのは初めて。ただ、命の軽視につながるとして議連以外には反対の議員も少なくないため、成立は見通せない状況だ。
法案は、適切に治療しても患者が回復する可能性がなく、死期が間近と判定された状態を「終末期」と定義。二人以上の医師が終末期と判定し、患者が人工呼吸器の装着、栄養補給などの延命措置を拒む意思を書面などで示している場合、医師が延命措置をしなくても、刑事、民事、行政上の法的責任を問われないと明記した。
本人の意思が分からず、家族が延命措置を望まないケースは「法律の適用外」(議連幹部)とした。
終末期医療をめぐっては、○六年に富山県射水市民病院で人工呼吸器を外された末期がんなどの患者七人の死亡が発覚。厚生労働省は医師の独断を避けるため○七年に初の指針を策定。しかし、延命措置の中止の手続きを定めただけで、延命措置をしなくてもよい基準は明確にしなかった。
現場からは国の責任で明確な基準を示さない限り、尊厳死を望んでいる患者に対しても責任を追及される可能性があるため延命措置を続けるしかない、との指摘が出ている。
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尊厳死 医師責任問わず/月内にも法案提出
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