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国土保全は安全保障の基本/外国資本による日本の土地取得の実態

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国土保全は安全保障の基本 濱口和久「本気の安保論」
2012年3月29日 16:18
日本政策研究センター研究員 濱口和久
<マスコミ報道で明るみに>
  平成19年(2007)に、長崎県対馬市にある海上自衛隊施設の隣接地が韓国資本に買収されていたことが新聞紙上で報道された頃から、外国資本による日本の土地取得の実態が少しずつ明らかになってきた。
 防衛省によると、沖縄県・米空軍嘉手納基地内の軍用地の1部が、すでに外資による投機目的で売買されている可能性があるという。沖縄の米軍用地は3分の1が民有地で、地権者は約3万9,000人いるが、このうち外国人の地権者は231人(平成21年度末)が確認されているという。
 北海道では、倶知安町の陸上自衛隊駐屯地から3キロメートル圏内の林地のうち、外資所有の林地が3件109ヘクタールあることが明らかになった。合わせて道内の自衛隊施設や警察署の3キロ以内に、所有者が把握できない林地が54件、合計で579ヘクタールあることが明らかとなっている(『産経新聞』平成24年1月27日付)。
 とくに米軍用地や自衛隊施設の隣接地のほとんどが、中国資本に所有されていると言われており、日本の安全保障上も深刻な問題である。その他にも外国資本を含む外国人、とくに中国資本による日本国内の森林、リゾート地、商業地などの買い占めが行なわれている。
<日本の水資源が危ない>
  外資が平成18年(2006)から平成22年(2010)に取得した日本の森林は、国土交通省と林野庁の確認分で1道4県の計約620ヘクタールにのぼる。森林は地下に水を蓄える貴重な水源を持っている。また地下水をくみ上げる権利は土地の所有者にある。
  中国では水不足が深刻な社会問題となっており、森林の多くが、水資源を狙った中国資本による買収という見方が強い。
 このような状態に危機感を持った北海道議会は今年3月23日、外国資本などから水資源を守るため、土地取引の事前届け出を義務付ける「水資源保全条例」を可決した。同月26日には埼玉県議会でも、首都圏に水道水を供給する荒川などの水源地を将来的な買収から未然に防ぐ目的で、「水源地域保全条例」が可決された。
<世界の国々は外資による土地取得を規制>
  中国では土地の所有権は原則として国家に帰属しているため、外国人が不動産を取得することはできない。韓国には外国人土地法があり、安全保障上の重要な施設の近くなどは、土地所有を許可制としている。
  ミャンマー、フィリピン、インドネシア、タイなどの東南アジア諸国も外国人の土地所有は原則禁止されている。
 米国は外国投資国家安全保障法によって、土地の所有を含め安全保障に関わる国家にとって重要な土地に関しては外資規制の対象としている。また、米国は自国の安全保障を脅かすと判断された場合には、大統領に土地取得を無効にできる権限が与えられている。ロシアは国境隣接地や港湾用地の外国人による所有を禁止している。
 外国人による土地取得を法律で規制していない国々でも、国家が厳格な使用制限を設けているケースがほとんどである。
  日本では外資を含めた外国人の土地購入に関しては、大正14年(1925)制定の外国人土地法があり、安全保障上重要な土地の取得制限を定めているが、戦後、規制対象を指定した政令が廃止され、この法律自体が形骸化している。
<中国への優遇は危険>
  平成23年(2011)12月には、新潟市中心部(新潟県庁から徒歩数分)の民有地約1万5,000平方メートルの民有地が、中国領事館建設用地として中国政府と売買契約された。この広さは東京ドームのグランド部分よりも広い面積である。
  中国国内では、外国政府による土地取得が認められていないために、日本大使館・総領事館7施設はすべて賃貸となっている。これに対し、日本国内の中国大使館・総領事館7施設は、名古屋、新潟両市を除いてすべて中国政府が土地を所有している。
  日本国内の米国大使館や英国大使館は賃貸契約なのに、なぜ、日本政府は中国政府にだけ土地取得を許すのか、甚だ疑問である。
 外国政府、それも中国のように明らかに対日戦略(政治・軍事的意図)上から土地取得を行なうような国に、広大な土地を売却することは、日本の国土を奪われたのと同然である。このままの状態を放置すれば、気付いた時には日本の国土の主要な地域(場所)が、外国人(とくに中国人)の所有になり兼ねない。
<日本政府は国土保全のための法整備を急げ>
  日本も諸外国並みに外国人に対しては、借地権の限定や、土地の取得数、面積、場所の制限を早急に設ける必要がある。
  とくに日本の安全保障を脅かすと判断された場合、売却ができないようにする。すでに売却された土地でも、日本政府が安全保障上の問題があると判断した場合には、強制的に再度買い取ることができる法律を早急に制定するべきである。(了)
<プロフィール>
 濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
  昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、現在、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ
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