関連:[小沢一郎「人物破壊」/検察と大メディアがヒタ隠す暗黒裁判の重大疑惑 32〈前篇〉 『週刊ポスト』4月20日号]
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検察審査会
東京地検特捜部は何度も小沢氏を証拠不十分で不起訴にするものの、市民団体が「小沢起訴」を申し立てた東京第五検察審議会が二度の起訴相当議決を出し、小沢氏は強制起訴された。しかし、審査会の手続きにも疑惑が持たれている。
疑惑〈19〉 申立人の「市民団体」は1人の元新聞記者
新聞・テレビは検察審議会に異議を申し立てたのは「市民団体」と報じてきたが、実は、たった1人の元新聞記者である(本誌10年10月22日号)。「真実を求める会」という極めて政治色の強い市民団体の中心メンバーである元新聞記者が申立人だった。
疑惑〈20〉 審査員抽選は行われず恣意的に選ばれた
東京第5検察審査会で、1度目の起訴相当を議決した審査員の平均年齢は34・3歳と公表された。審査員は有権者から「くじ」で選ばれることになっているが、有権者の平均年齢は約52歳である。70歳以上は審査員を断れる制度があるから、70歳未満の都民だけを母数として、平均年齢が34・3歳以下になる確率を本誌が統計の専門家に依頼して試算したところ、たったの0・89%だった。くじが行われていないという疑念が持たれる数字である。
疑惑〈21〉 2回目の抽選も行われなかった
2回目の審査会メンバーの平均年齢も30・9歳と全国平均と比べるとはるかに若い。平均年齢がこれ以下になる確率を試算すると0・075%という、まず偶然には起き得ない確立であることが判明した。
さらにこんなに若い審査員が2度続けて選ばれる確率を求めるとなんと0・00067%。つまり、「100万回くじを実施すれば7回起きる」という”奇跡”の結果だ。
疑惑〈22〉 審査員の選定が違反で起訴議決は無効
森裕子参議院議員の調査で、検察審査会は2回目の起訴相当議決を出した日、審査員の一人が早退して臨時の補充員と入れ替わっていたことがわかった。
9月14日は起訴議決しただけで議決書が作成されたのは10月4日。ところが早退して議決に参加しなかった審査員が作成日には主席していた。検察審査会法第25条によれば、正規の審査員が出席したときには臨時の補充員は選出できないことになっているので、仮に最高裁の報告どおり「議決した11人と議決書に署名した11人が同一」とすれば、審査員の選定は同条に違反し、起訴議決は無効。また、議決者と議決書の署名人が異なっていたとしても、議決書は無効になる。
疑惑〈23〉 1回目と2回目の議決で議決理由が違う
検審の1度目の議決理由と犯罪事実は、04年に取得した土地と支出金を05年の収支報告書に虚偽記載したという「期ずれ」に関するものだけだった。
しかし、2度目の議決では、議決理由に新たに〈土地代金4億円の出所について、被疑者の当初の説明は著しく不合理なものであって、到底信用することができない〉と、資金の出所に疑惑があるとされたうえ、犯罪事実にも1回目にはなかった銀行借り入れの不記載が追加された。
検察審査会が強制起訴するには、「同じ容疑で2回の起訴相当」の判断が必要とされ、1回目と2回目の起訴相当の理由が違う以上、強制起訴の法的な正当性にも疑問が残る。
疑惑〈24〉 小沢不利の証拠だけ提出された
検察は一連の事件で70社近くのゼネコンを捜査したが、「ゼネコン側が小沢氏への資金提供を否定したメモ(捜査資料)がある」(前田元検事の証言)という。裏献金や天の声がなかったという証拠だが、検察はこういった小沢氏側に有利な証拠を審査会に送っていなかった。
4億円の出所について怪しいと思われる根拠を並べたものや小沢氏の弁解の不合理な点を列記した捜査報告書、共謀共同正犯に問える可能性を整理した捜査報告書だけを送っていたことが、指定弁護士から小沢弁護団に提出された資料で明らかになった。
疑惑〈25〉 補助弁護士による誘導があった
一般から選ばれる検察審査会の委員による審査を、公平に法律面から助言する役目の補助審査員(弁護士)が、暴力団の抗争時などに適用される凶器準備集合罪の概念を審査員にアドバイスした疑惑がある。ヤクザの子分が親分の護衛のために拳銃を所持していれば、親分から直接の(拳銃所持)指示がなくても同罪の共謀共同正犯に問えるとの判例が小沢事件にも当てはまると助言し、小沢氏から秘書に虚偽記載への直接指示がなくても共謀は成立すると説いて”法律の素人”である審査員を起訴相当へと誘導したことを、「審査会関係者」が読売新聞(10年10月6日付)に語っている。
疑惑〈26〉 捏造報告書が起訴の根拠
後述するが、石川氏が「『選挙民を裏切ることになる』と検事に言われ、(小沢被告の関与を認める)供述を維持した」とされる捜査報告書は捏造であったことが判明している。しかし、この資料が検審に送付され、2度目の起訴相当議決の根拠とされた。
検審の強制起訴が正しい手続きだったかは大きな疑問があり、小沢弁護団は「控訴棄却が妥当」として、裁判そのものが成立しないと主張している。
秘書捜査、裁判
小沢氏が裁判で問われているのは秘書との共謀共同正犯が成り立つかどうかで、前提となるのは秘書らの捜査、裁判だった。しかし、この司法手続きが違法捜査に満ちていることが明らかになっている。
疑惑〈27〉 前代未聞の逮捕劇
西松事件で大久保秘書が逮捕されたのは09年3月。事前の傍聴聴取や呼び出しもない突然の逮捕だった。政治資金規正法違反事件で任意の聴取が一切行われず、逮捕されたケースはほとんどない。
石川氏のケースも異例だ。それまで特捜部の任意の事情聴取に応じており、逃亡や証拠隠滅の恐れはなかったにもかかわらず、国会が開会する直前の10年1月15日、いきなり逮捕された。理由は国会会期中は議員には不逮捕特権があり、議員の逮捕には検察が逮捕許諾請求を行い、所属する院で可決される必要があるからだ。選挙で選ばれた議員を不当な司法の弾圧から守るための手続きだが、検察は大メディアに「石川氏の精神状態が不安定で自殺の恐れがあった」とさかんにリーク情報を流した。
疑惑〈28〉 石川氏の女性秘書を監禁、恫喝
秘書裁判には、石川被告の女性秘書が証人として出廷した。そこで特捜検事の違法な取り調べの実態が語られた。
押収した証拠品の返却を口実に女性秘書を検察庁に呼び出すと、「あなたを被疑者として取り調べる」と検事が突然宣告した。女性秘書を取調室に閉じ込めた後、「逮捕することもできる」「自分から罪を認めて話せ」と迫り、事情が飲み込めない女性秘書はパニックに陥った。保育園に預けた子どもを「迎えに行かせて欲しい」と何度も懇願したが、「人生そんなに甘くない」と、検事は鼻で笑うのみ。追い詰められた女性秘書が過呼吸を起こし、ようやく開放されたのは10時間後のことだった。違法な捜査であることはいうまでもない。
疑惑〈29〉 前田元検事が明かした「小沢潰しのシナリオ捜査」
昨年12月の小沢裁判の第10回公判に、厚労省官僚・村木厚子さんの事件で証拠のフロッピーディスクを改竄して冤罪事件を起こした前田元検事が証人として出廷した。
検察による一連の小沢捜査に関して「特捜部の上司は『特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられないと特捜の負けだ』と話していた」と証言した。また、「石川氏を取り調べた副部長が『あいつ、(5000万円を)受け取ってないんじゃないか』と話していた」「ゼネコン側が裏献金を強く否定しても想定には合わないので、証拠として調書に残さなかった」と検察の見込み捜査の内幕を赤裸々に明かした。
疑惑〈30〉 田代検事が作成した石川氏の捏造報告書
検察審査会の1回目の起訴相当議決を受けて、10年5月17日、東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が石川議員を再聴取した。
その捜査報告書には「『選挙民を裏切ることになる』と検事に言われ、(小沢被告の関与を認める)供述を維持した」と記されていたが、石川議員が隠し録音した記録には、このやり取りはなかった。小沢裁判の公判で、田代検事は「記憶が混同した」と釈明したが、明らかな捏造である。この報告書が検審に送付され、起訴議決の根拠になったことは前述の通りだ。
疑惑〈31〉 検察が記者クラブに情報リークで世論誘導
〈石川知裕参院議員が東京地検特捜部の調べに、(中略)小沢氏に報告し、了承を得ていたと供述していることが、関係者の話で分かった〉(10年1月20日付読売)
この記事が象徴的だが、石川氏が話してもいない捏造された供述が検察以外から漏れることは有り得ず、明らかに検察の捜査の見立てに沿った情報リークを受けて書かれた記事である。その他にも押収された手帳の中身など、外部が知りえない情報が大メディアから大量に流され、「小沢=悪」の世論が形成されていった。
守秘義務に反した検察官が公務員法違反であることは明らかだが、それを検証もなく書く司法記者クラブの問題は重大である。
疑惑〈32〉 推認に推認を重ねた判決
昨年9月に下された小沢氏の元秘書3人に対する判決は全員執行猶予付きの禁固刑だった。
その判決文には、「会計責任者だから知っていたはず」「強い関心を持っていたはず」「推認される」「〜と見るのが自然」といった言葉が数多く使われ、裁判官が推認に推認を重ねて犯罪を認定した前代未聞の論理だった。
裁判は「法と証拠」に基づいて進められるべきもので、秘書裁判のように物証のほとんどないケースではその原則がより徹底されなければならない。憲法31条の推定無罪の原則が蔑ろにされ、「疑わしいから有罪」という司法が罷り通るなら、もはや暗黒裁判というしかない。
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関連:小沢氏裁判 公判(弊ブログindex)/最終弁論・最終陳述(第16回公判)〜小沢氏全発言(初公判) 2012-03-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆小沢一郎氏 裁判 16回公判 2012.3.19 最終弁論 詳報 2012-03-23 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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◆小沢一郎氏裁判 第15回公判(論告・求刑) 禁錮3年求刑 2012-03-09
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◆小沢一郎氏裁判 第14回公判/大善文男裁判長 調書を却下/石川議員聴取に係る田代政弘検事の報告書 2012-02-17
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◆小沢一郎氏裁判 13回公判 《後》/(25)裁判官の質問〜(29)裁判長、弁護士の質問 2012-01-12
◆小沢一郎氏裁判 13回公判 《中》/(17)供述の変遷〜(24)調書の内容 2012-01-11
◆小沢一郎氏裁判 13回公判 《前》/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていた/(12)〜(16) 2012-01-11 ・・(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量からの続き・・
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◆小沢一郎氏裁判 12回公判 〈NHK 全〉 /(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量 2012-01-10
・小沢一郎氏裁判 第12回公判《後》「元赤坂タワーズで石川さんに渡した4億円は、どんな金」「個人の金です」 2012-01-11
・小沢一郎氏裁判 第12回公判《前》/「4億円はどういうことで?」「両親からの相続・印税・議員報酬」
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◆小沢一郎氏裁判 第11回公判 「虚偽記入にはあたらない」弥永真生筑波大教授(商事法)の証人尋問 2011-12-21
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◆小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」 2011-12-17
◆小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」 2011-12-16
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◆小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉/証人 石川知裕議員女性秘書が語った深夜に及ぶ違法な取調べの実態 2011-12-16
◆小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事 2011-12-15
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◆小沢一郎氏裁判 第8回公判〈後〉/証人 池田光智元秘書『認めなければ取り調べが厳しくなる』と云われ 2011-12-15
◆小沢一郎氏裁判 第8回公判〈前〉証人 池田光智元秘書「抵抗しない方が悪くならないのではと思い、サイン」 2011-12-15
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◆小沢一郎氏裁判 第7回公判/池田光智元私設秘書 捜査段階の供述調書「検察官に押し切られ署名」 2011-12-10
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◆小沢一郎氏裁判 第6回公判/大久保隆規証人「ずっと前田検事と過ごしており、マインドコントロールの中に」 2011-12-01
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◆小沢一郎氏裁判 第5回公判/「報告書作成に関与せず」 元第1秘書・大久保被告が証人出廷/「政治資金規正法を皆さん勘違い」=安田弁護士 2011-11-30
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◆小沢一郎氏裁判 第4回公判 石川知裕証人「調書作らないと帰してもらえない。判断の甘さ、自分の弱さ」 2011-11-01
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◆小沢一郎氏裁判 第3回公判石川知裕証人/ 検察・裁判所の発想・手法=ロッキード事件と同根・同質 2011-10-31
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◆小沢一郎氏裁判 第2回公判 石川知裕議員の「隠し録音」再生 2011-10-19
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◆小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06
小沢元代表 初公判の全発言「指定弁護士の主張に対し、私の主張を申し上げます . . . 本文を読む