民主PT同調 藤村氏は「口撃」一転 大阪府市の「8条件」
東京新聞2012年4月12日 朝刊
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の阻止に向け、大阪府市統合本部が打ち出した再稼働八条件に、政府が頭を抱えている。当初は、橋下徹大阪市長の単独プレーと冷ややかに見る向きもあったが、民主党の原発事故収束対策プロジェクトチーム(原発PT)もこれに同調するような提言をまとめたことで、政府も無視できなくなってきた。(関口克己)
大阪府市統合本部の八条件は、大飯原発を念頭に原発から百キロ圏内の地方自治体と安全協定を結ぶよう求めるなど、事故が起きた際の周辺住民の安全確保に力点を置いた内容だ。
一方、民主党の原発PTが十日にまとめた再稼働に関する五条件は、関電が大飯原発では二〇一五年に先送りした原子炉の格納容器の圧力を抜くベント(排気)時に放射性物質を除去するフィルターの設置を求めるなど、原子炉の安全確保をより重視している。
再稼働の条件を示した二つの提言が期せずして一致した項目が原子力規制庁の設置だ。政府は環境省の外局として今月一日に発足させようと法案を提出したが、いまだに審議すら始まらず、発足のめどはたっていない。政府は発足を待たずに、大飯原発の再稼働を見切り発車させようとしているが、これにそろって待ったをかけた。
政府は当初、大阪の八条件と原発PTの提言の影響力をそごうと躍起だった。藤村修官房長官=同(下)=は十日の記者会見で、大阪の八条件に関する橋下氏の発言について「支離滅裂なところもある」と批判した。
すると、橋下氏はツイッターで「むしろ国の方針が錯綜(さくそう)している」と反論。十一日には、大飯原発再稼働に関する野田佳彦首相と関係三閣僚の協議について「安全性を何となく認めたような雰囲気だ。太平洋戦争に突入していった流れに似ている」と政府への批判を強めた。
政府とすれば、関電の筆頭株主である大阪市との対立を深めれば大飯再稼働の障害になりかねず、民主党の原発PTからの反発が強まることも懸念。藤村氏は十一日の会見では、大阪の八条件について「正式な提言があれば拝見し、貴重な提言と受け止めたい」と、前日とは別人のような口ぶりで述べた。
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◆大飯原発/「福島」と同じ大混乱を招く恐れ/いざ事故が起きたときの肝心の対策がほとんど改善されていない 2012-04-12 | 地震/原発/政治
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◆政府、早期再稼働を優先「地元の同意不要」/大飯 ベント対策など、再稼働是非の暫定基準に含めない方針 2012-04-05 | 地震/原発
原発安全基準を決定=大飯再稼働に適用、判断は週明け以降
2012年4月6日20:36 JST
野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日夕、原発再稼働の関係閣僚会合を首相官邸で開催し、運転再開を判断するための安全基準を最終決定した。新たな基準は関西電力大飯原発(福井県おおい町)の3、4号機に適用する。枝野経産相は会合後、首相官邸で記者会見し、同原発の再稼働について「判断は週明け以降に行う」と語った。
枝野経産相はまた、関電に対し、安全対策の実施計画の提出や事業への取り組み姿勢の報告を求める考えを表明。全電源喪失の防止策などで、地元を説得できるだけの安全性が確保されているかを確認する。
[時事通信社]
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原発再稼働、地元同意義務ない 藤村官房長官
2012年4月5日 15時17分
藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、定期検査により停止中の原発の再稼働に関し、地元の同意は必ずしも前提条件にならないとの認識を示した。「法律などの枠組みで同意が義務付けられているわけではない」と述べた。これまで原発の再稼働には地元の同意が必要としてきた姿勢を軌道修正した形で、原発の地元や周辺自治体などの反発は必至だ。
政府は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けた手続きを進めているが、周辺自治体が反対・慎重な立場を崩していないためとみられる。法律上の「同意」は不要との立場を強調し、再稼働実現への地ならしを図る狙いがあるようだ。(共同)
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ベント対策など除外 大飯 早期再稼働を優先
中日新聞 2012年4月5日 朝刊1面
政府は四日、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、格納容器の圧力を下げるベント(排気)時に放射性物質を取り除くフィルターの設置など時間がかかる対策は、再稼働の是非を判断する暫定基準に含めない方針を固めた。非常用電源車の配備や建屋内の浸水対策などが進んでいることを強調し、フィルターなどは中期的に取り組むことを説明することで、理解を求めていく。
暫定基準は、大飯原発がある福井県やおおい町が要望しており、野田佳彦首相が三日の関係三閣僚との会合で策定を指示。藤村修官房長官は四日の記者会見で、基準の策定について「一日二日、相当鉢巻きを巻いてやる」と話し、経済産業省原子力安全・保安院が検討を進めている。
保安院は、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、全電源喪失や冷却設備の機能喪失にならないよう三十項目からなる報告書をまとめている。基準はこれがベースになる。
再稼働の条件となる安全評価(ストレステスト)の一次評価が進む大飯原発や四国電力伊方3号機は比較的新しい上に、福島第一原発に比べると格納容器が大きく、圧力が高まりにくいため安全性は高いとされる。非常用電源車の配備や、炉心への代替注水機能の確保などの対策も既に終わっている。ただ、ベントフィルターの設置や緊急時に大量の作業員が寝泊まりできる免震施設の建設など時間がかかる対策も残っている。これらをすべて満たすには「少なくとも三、四年はかかる」(保安院幹部)という。
フィルター設置なども暫定基準に含めてしまうと、再稼働の時期が大幅に遅れることになる。このため、政府は三十項目のうち多くの安全対策が進んでいることを確認し、残る対策も計画が進んでいることをアピールしていく考え。
ただ、原子力安全委員会が「一次評価だけでは不十分」と疑問を投げかけ、免震施設の重要性を強く訴えている。こうした中、骨抜きとも受け取れる基準で政府が再稼働を認めようとすれば、地元を含め広く反発が出る可能性もある。
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◆大飯原発 机上の安全 再稼働のために政府と関電が示し合わせ “泥縄”基準/政治主導をはき違えた「拙速」 2012-04-10 | 地震/原発/政治
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大飯原発の再稼働阻止に向け、大阪府市「再稼働八条件」/政府は見切り発車させようとしているが
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