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「やっぱり原発はいらないじゃないか」と、原子力なしにこの夏を乗り切られるのが政府は怖いのです

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民主プロジェクトチームが結論「原発ゼロでも乗り切れる」
NEWS FILE  PRESIDENT 2012年6月4日号
 「政府は原子力なしにこの夏を乗り切られるのが怖いのです。もし原発なしに乗り切れたら“やっぱり原発はいらないじゃないか”という脱原発の世論が高まる。そうならないように、政府は何が何でも夏前に原発を稼働させたい。政府と産業界が夏の電力不足を盛んに煽るのはそのためですよ」(民主党中堅代議士)
 5月6日、日本国内の原発54基が全停止した。野田政権は福井県の関西電力、大飯原発3、4号機の再稼働を試みたが、滋賀県、大阪府など周辺自治体の反発を受け難航。政府与党の民主党内からも異論が噴出し、原発はすべて停止した。
 それでも政府、電力会社、一部新聞は「原発が停止して夏を迎えると大規模な停電になる恐れがある」「電力不足を嫌って企業が国外へ脱出、産業が空洞化する」などと危機を訴えている。
 この夏、電力は本当に不足するのだろうか。エネルギー問題に詳しい民主党原発事故収束対策プロジェクトチーム(PT)の荒井聰座長はこう話す。
 「我々は昨年から党内でこの問題を何度も議論してきたが、結論としては“乗り切れる”と見ています。電力不足が予想されるのは高校野球中継のある8月半ばの3、4日程度と見られ、時間も1日中ではなく午前10時から午後2時までの4時間程度。夏の間、ずっと電力が不足するのではない。この程度なら計画停電をせず、エアコンを扇風機に変えるなど、国民に節電を呼びかければ何とか対応できると思っています」
 内閣府・国家戦略室のエネルギー・環境会議が昨年7月29日にまとめた電力需給見込みによると、今年8月の電力会社九社の電力供給力は最大で1億6297万キロワット。これに対し、猛暑だった一昨年の電力需要は1億7954万キロワット。そこで、もし今夏が一昨年並みの猛暑なら、8月は1656万キロワット(9.2%)の電力不足になる、と同会議は試算した。
 「一昨年の夏といえば、まだ東日本大震災が起こる前です。つまり政府は大震災前と同様、国民が電力を無駄遣いすると想定して9.2%も不足するぞと脅しているのです。大震災を経て電力に関する国民の意識は大きく変わり、首都圏では計画停電も経験済み。国民は政府が考えるほど愚かではない。ピークから逆算して電力不足を強調するのは原発を再稼働したいからだ」(前出・民主党中堅代議士)
 エネルギー・環境会議では、一昨年夏に基づく試算とは別に、昨夏のピーク時を基にした試算も出している。これは今夏が昨夏並みの暑さで、昨夏同様の電力の使用制限を行ったと仮定して試算したもの。こちらの試算だと9社で逆に636万キロワット(3.9%)の電力が余る計算だ。つまり節電もせず、電気を使いまくった場合は不足するが、昨年並みの使用制限を行えば電力は余るのだ。
■電力会社の言い分を鵜呑みにするエネ庁
 当然のことながら、今夏の場合、政府の方針次第では電力の無駄遣いはさらに抑えられるだろうし、稼働してなかった火力発電所などをフル動員すれば電力不足を避けられる可能性が高くなる。
 昨年11月1日には、同会議は電力不足対策のためにエネルギー需給安定行動計画を決定した。それによると、電力使用を減らすため、需要のピーク時の電気料金を上げたり、工場を二交代制にするなどの方法で980万キロワットの節電が可能になることが確認され、電力供給量も火力発電などによって642万キロワットの供給増が可能であることが判明した。
 「これらの需給ギャップ解消対策により、たとえ一昨年のような電力需要があった場合でも、電力の不足分は最大で34万キロワットまで圧縮できることがわかりました」(荒井氏)
 繰り返しになるが、内閣府は電力を無駄遣いした一昨年の需要実績を基準に「足りない」としており、基準の設定じたいに問題があることは言うまでもない。
 「34万キロワットは一昨年の最大電力需要1億7954万キロワットのわずか0.2%。この程度で、国が滅びるかのような物言いは異常です。電力不足が起こるとすれば関西電力管内だけでしょうが、そのときは市民に節電への協力を呼び掛けたうえで、他電力から電力を融通してもらうなどの対策を取れば足りるはず」(荒井氏)
 PTの川内博史事務局長もこう話す。
 「兵庫県姫路市に、来年稼働予定の火力発電所があり、近く試運転する。これを予定より早く本格稼働させて発電させればいいと資源エネルギー庁に提言したら、同庁は試運転のことを知らなかった。同庁は電力会社の言い分を鵜呑みにして見通しを立て“足りない”という。電力の供給源は、探せばまだまだあります」


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