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羽毛田宮内庁長官 稼いだカネは10億円/政治家として一番やってはいけないことは、天皇制をいじること

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フザケルナ 羽毛田宮内庁長官 稼いだカネは10億円
2012年5月25日(金)10時0分配信 日刊ゲンダイ
 宮内庁トップに7年も君臨した羽毛田信吾長官(70)が、6月1日付で退任することが分かった。羽毛田氏といえば、09年12月、小沢一郎・民主党幹事長(当時)が、天皇と習近平・中国国家副主席の会見を押し込んだことに「政治利用だ!」と大騒ぎした人物。「辞表を出してから言うべき」と言われ、「辞めるつもりはない」と居直ったのは記憶に新しい。
 その羽毛田氏が突然、7年2カ月という中途半端な任期で退任する。「70歳という年齢を区切りとしたのだろう」という見方もあるが、宮内庁の報道室は「発表していない案件なので話せない」「長官に定年はない」と言うからよく分からない。
 で、永田町ではこんな臆測も流れている。
「小沢復権と関係しているのではないか。小沢氏が座敷牢に閉じこめられているうちは大手を振っていられたが、無罪となり、党員資格停止処分も解除された。完全復権するのは時間の問題だから、その前に逃げ切りを図るつもりなのではないか」(政界関係者)
 実際、羽毛田氏はまんまと“勝ち逃げ”しそうだ。京大法を卒業後、65年に厚生省入省。01年に厚生次官を退官後、宮内庁次長を4年務め、05年に宮内庁長官に就いた。これまでに得た生涯賃金はなんと、10億円に上るという。ジャーナリストの若林亜紀氏が言う。
「事務次官は年収2300万円で、退職金は9000万円。退官までに、おおむね5億円を受け取ります。続けて就任した宮内庁次長は年収1800万円なので、4年間で7200万円。宮内庁長官になると、公務員特別職で副大臣級の高給です。俸給月額144万1000円プラス地域手当で、年収は2800万円にもなる。7年間で2億円を得た計算です。通算11年の宮内庁勤めの退職金を計算したところ、2億円。これらを合計すると、生涯賃金はざっと10億円という数字になります」
 埼玉県にある羽毛田邸は、敷地230平方メートルの大豪邸だ。退任後は左うちわの余生が約束されているが、その後も「渡り」を続けて、ベラボーな報酬をもらい続ける可能性だってある。不況で四苦八苦の民間とはエラい違いだ。
 許し難いことに、宮内庁には“第2の羽毛田”“第3の羽毛田”も控えている。次の長官は元国交次官の風岡典之次長(65)だし、次長の後任は、元内閣府次官の山本信一郎氏(61)だ。
「宮内庁長官は前任が自治省元次官、その前は元警視総監、その前は厚生省出身の元環境庁次官と、旧内務省系の官庁トップの天下り先となっています。まず次長となり、それから長官に昇格するのが慣例。戦前の内務省は、官庁の中の官庁といわれたエリート官庁で、旧内務省系の官僚は今でもそれを誇っている。しかし、宮内庁長官を彼らの天下り指定席にするなど論外で、皇室に対する知見や思いがある人を就けないと、皇室の未来も日本の未来もありません」(若林亜紀氏=前出)
 天皇の威光を隠れミノに、キャリア官僚が天下り天国でやりたい放題。こんなデタラメを許してはダメだ。
(日刊ゲンダイ2012年5月22日掲載)
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「日本の政治家として一番やってはいけないことは何ですか」「そりゃ、天皇制をいじることだ」 〈悪党?〉 2011-10-01 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 『悪党 小沢一郎に仕えて』石川知宏 元小沢一郎秘書・衆議院議員著(朝日新聞出版)
 p189〜
 この章は他と比べて少し難しいところもあると思うが、マックス・ウェーバーの言葉をゆっくり味わいながら小沢一郎を思い浮かべてもらいたい。
「官吏にとっては、自分の上級官庁が…自分には間違っていると思われる命令に固執する場合、それを、命令者の責任において誠実かつ正確に…執行できることが名誉である。(中略)官吏として倫理的にきわめて優れた人間は、政治家に向かない人間、とくに政治的な意味で無責任な人間であり、(中略)こうした人間が・・・指導的な地位にいていつまでも跡を絶たないという状態、これが『官僚政治』と呼ばれているものである」
 普天間に当てはめると、政治的指導者が責任を持って「移設」と言えば、官僚は自己否定してまでもそれに従わないといけない。つまり、官僚は政治をするべきではないし、巻き込まれてはならない。これをウェーバーは明記しているが、小沢一郎も同じ考え方を持っている。
 1969年、27歳の小沢一郎は初陣の選挙公報にこう書いた。
「このままでは日本の行く末は暗澹たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」
 2009年12月、中国の習近平・国家副主席が来日した際、天皇陛下との会見が実現した。だが、外国要人との会見は「1か月前までに申し入れる」とする慣例に反していた。宮内庁の羽毛田信吾長官はそれに「天皇の政治利用にあたる」と物言いをつけた。
 小沢一郎は記者会見でこう反論した。
「内閣の1部局の1役人が、内閣の方針にどうだこうだ言うなら、辞表を提出した後に言うべきだ」
 ニュースでは「天皇の政治利用」が論点となったが、小沢の意図は少し違った。
 羽毛田氏は厚生労働省から「派遣」された官僚である。官僚は政治家の決定に従わなければならない。それは解釈によって、あるいは政策によって変わらない。政治家の本領(エレメント)である。羽毛田発言に対して小沢がこだわった点は、そこだった。
 この問題で、右翼や右翼寄りの評論家たちから「小沢は天皇制を軽んじている」とバッシングが始まったわけだが、私はこんなエピソードを覚えている。
 新進党時代のある夜、小沢は東祥三さんと六本木に向かっていた。六本木は小沢があまり立ち寄らないエリアだが、東さんと飲む時はそこが多かった。東さんは公明党から新進党に合流し、離党後も自由党に入って小沢と行動を共にしてきた人物だ。
 私が運転するセルシオが六本木1丁目の坂に差し掛かると、東さんは言った。
「小沢先生」
「なんだ」
「日本の政治家として一番やってはいけないことはなんだと思いますか」
「そりゃ、天皇制をいじることだ」
 天皇は国家の権威を持っている。日本では権力は政治的指導者にある。アメリカでは大統領が権威と権力を兼ねる。たとえば政治指導者がスキャンダルをおこしたとしよう。アメリカは権威も権力も傷がつくだろう。しかし、日本の場合は権威には及ばない。それが日本国を維持させている政体である。であるからには、天皇制にまつわる問題はなにがなんでも原理原則を崩してはならない。だから、小沢一郎は羽毛田氏の「異例発言」を許さない、というわけだ。
「天皇制をいじろうとする人間は日本の政治をおかしくする」
「はい」
「弓削道鏡だ。知ってるか?」
 私も小沢からこう聞かされたことがある。道鏡は日本版「ラスプーチン」だ。太政大臣と法王を兼務するまでにのし上がった僧侶が女帝をそそのかして自らが天皇になろうとした。「道鏡に皇位継承すべし」とするご神託のウラを取るために皇室から派遣された和気清麻呂は正反対の内容のご神託を取り付ける。歴史の授業で道鏡や和気清麻呂の名前は暗記したはずだが、小沢の話を聞いて初めて現代政治に落とし込んで理解できた。羽毛田発言が浮上した時、私は道鏡を思い出した。
 そもそも小沢一郎であれ、官僚であれ、天皇の行動に触れたとたんに政治性は帯びる。「中立性・公平性」を誰が決めるかが問題になる。羽毛田発言には「中立性・公平性を政治家に判断されては困る」という官僚の集合的無意識がにじみ出ていた。
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『小沢革命政権で日本を救え』 対談:副島隆彦×佐藤優』日本文芸社刊
今の宮内庁の官僚は「天皇機関説」論者に匹敵する

佐藤 だから2009年12月の羽毛田長官の不当な会見に対しても、どこに自分の視座を置くかによって、全然異なる事件に見えるはずです。天皇を政治利用しているのは小沢幹事長か、羽毛田長官のどちらかといえば、これは明らかに羽毛田宮内庁長官の側だったのです。ところがそのように見えない人たちが少なからずいる。
副島 そうですね。あの習近平国家副主席を天皇と会見させよと要請したのは誰だったのか。このことをはっきりさせなければならない。中国人を無理やり天皇に会見させたとして、右翼たちが騒ぎました。小沢一郎の世田谷の家の周辺に押しかけ、警備の機動隊と騒乱を起こしました。それほどまでに中国寄りの小沢に対する蔑視が激しかった。事実、小沢一郎は140人の民主党新人議員たちを引き連れて中国を訪問して帰ってきたばかりでした。
 小沢一郎幹事長は記者会見で、「そんな(1ヵ月)ルールなんて官僚が勝手につくったルールである」とはっきり言っていました。
 つまりこの「天皇に会いたければ1ヵ月前までに宮内庁に申請を出せ」というのは法律ではないということです。(国民の)代表である国会で決議された法律ではない。官僚が勝手につくったルールである。そんなルールに内閣官房長官までが従わなければならないと、羽毛田は当然のこととして言い放ったのです。
 事実はどうやら、まず、羽毛田長官のほうが平野博文官房長官に対して、天皇会見の要請を拒絶した。そのあと、再び、今度はアメリカ国務省が日本外務省に「習近平を天皇に会わせろ」と要求してきた。それを外務省は鳩山首相に直接連絡したところ、平野官房長官が再度羽毛田に「なんとかならないか」とお願いした。それでも羽毛田が首を縦に振らなかった。
 そうしたら、なんと今度はヘンリー・キッシンジャー(ニクソン政権およびフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官)を通して、子分の中曾根康弘・元首相に直接電話が行き、「習近平を天皇に会わせろ」となった。
 そこで中曾根は平野官房長官に電話して「習近平を天皇に会わせろ」と圧力をかけた。困った平野官房長官が再再度、羽毛田に会見を要請したら羽毛田が怒りだして、それで12日の宮内庁長官としての暴走会見をしました。
 そうしたら小沢一郎が怒りだして、「内閣の1部局にすぎない宮内庁が内閣の指図にあれこれ反対するのは、許されないことだ。もう一度反対するのなら辞表を持ってすべきだ」という趣旨のことを言ったのです。佐藤さんの言う「羽毛田長官に、天皇をお守りする尊皇のまことの心はありや」と同じ態度です。
 さらに皆が驚いたのは、小沢一郎が「私が中国要人を天皇に会見させよと言ったことはない。自分はこの件に関係していない」と発言したことです。だから、本当は、圧力をかけたのは中曾根元首相だったのです。
 それなのに、右翼やマスゴミや親米保守言論人(代表、中西輝政(なかにし てるまさ)京都大学教授)たちは、事実関係も調べずに、猪突猛進で、「小沢憎し」の一念で大騒ぎをしました。
 小沢一郎が、天皇の生活日程に何か干渉したり、失礼なことをしたことは一切ない。ただ「天皇は喜んでお会いになるでしょう」と言っただけです。
 キッシンジャーこそは、世界基準では中国寄りの政治家であり、日本のことなど本当はちっとも大事にしていない人です。
 中曾根が圧力をかけた張本人だったのです。この情報はワシントンからの報道ですぐに露見しました。記者たちが、この件を中曾根に問い詰めたら、「ノーコメント」と答えた記事が証拠として残っています。
■特例会見は「ルールの枠内」中曾根元首相
 中曾根康弘元首相は(12月)24日、都内の事務所で記者団と懇談し、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見を実現させた政府の対応について「慎重に処理してきたと思う。あの程度の時間的ズレは(30日ルールの)原則の枠内のことなので、認めていい」と述べた。
 自らが首相官邸サイドに会見の実現を要請した点については「ノーコメント」とした。 (産経新聞 2009年12月25日付)
副島 日本の旧来保守の人たちの「中国嫌い、小沢嫌い」は病膏肓に達していますから手に負えません。今でも居直って、私のこの事実解明を無視するでしょう。 
 民主党の幹部である山岡賢次・国会対策委員長が「官房長官と宮内庁長官が内的に話したことを勝手に公表するということは異例なことである」と、クギを刺しました。
 羽毛田長官は、自分が大きな世界政治の中に投げ込まれていることも自覚せずに、「玉体(天皇の体)を取っている自分が偉い」ととんでもない思い違いをしている男です。この男はなんと小泉純一郎・元首相が取り立てた男で、元は厚生労働省の事務次官だったそうです。
佐藤 (部分略)この羽毛田信吾という官僚は、自分が言っていることが極めて政治的な発言であるということを理解していなかった。日本と中国との関係においても、政治的であるばかりか、「大きな国も小さな国も、全部フラットに扱う」と言った。それはアメリカとサダム・フセインのイラクを一緒に扱うということになるわけです。それは、逆に極めて政治的な立場です。
 現実の政治というのは、力で働いています。それにもかかわらず、全部を平等に扱うのが原則だと言ったのです。それでは、小さなところに特に梃入れするという立場になってしまいます。また天皇の健康状態について、平場で云々することは、尊皇の情のかけらもない証拠です。だから、彼らは「天皇機関説」論者なのです。
 そのことの是非は別において、「なんでも自分たちで構築して、使っていくことができる」、それによって官僚統制を広げていこうという、これは官僚という階級の、あるいは官僚という人種の無自覚な欲望です。
副島 (略)
*今、正しい人間と間違っている人間の逆転現象が起こっている
佐藤 このことを裏返して見ると、副島さんが日頃追及していることとつながっていくと思います。官僚階級の側がけっこう追いつめられてきているのではないでしょうか。
副島 そうです。自分たちが勝つと思って、よかれと思って、やったのです。
佐藤 政治資金問題では検察側が勝つと思ってやってきた。この「1ヵ月ルール」の問題で、羽毛田長官も勝ったと思ってやったわけです。ところが彼らはこれで、小沢一郎は自分たちに逆襲できず、青菜に塩みたいな感じで、しゅーんとしてしまうと思ったと思います。ところが小沢さんはデモクラシーの根本のところがよくわかっていますから、これを国家体制の根本に関することだということで、牙を剥いて反撃しました。それで検察も今度は震えているわけです。だらしがないと思います。
副島 そのとおり。日本国内ではメディア(マスゴミ)の力で小沢一郎がすっかり悪者になっています。平清盛や足利尊氏が天皇家、朝廷に対して横暴を働いたみたいな枠組みになっています。それをこれからひっくり返していかなければいけないと思います。
佐藤 これはマスメディアの劣化です。今、本当に正しい人間と間違っている人間が逆になるという、むちゃくちゃな話が横行しています。
副島 今の憲法体制上、天皇は「内閣の助言と承認に基づいて、国事行為を行う」(日本国憲法第三条)わけです。それに対して、宮内庁長官が自分が玉体を取っているという発想自体が、違法であり、憲法違反です。自分たちが実質的には天皇の代理権や、国家の代理意思を持っていると思い込むことです。「天皇の代わりに自分たちが判断する、天皇には判断させない」---きっとそこまで考えているのでしょうね。
佐藤 だからこれは、太平洋戦争中の陸軍の「統帥権の独立」みたいな話です。
副島 天皇の統帥権への政府からの干渉を指して、「統帥権の干犯」と彼ら軍事官僚たちが言ったわけです。官僚は「理論の筋道」を捻じ曲げるのが得意です。天皇本人のご意思はどうなるのかというと、そこはもう語らないことにするわけです。それで国家が暴走して中国侵略を行い、世界を敵に回して無謀な戦いを行い、みじめな敗戦をしました。
佐藤 天皇陛下ご自身が本心を語れないことを理由にして、しかも天皇陛下の健康問題まで出したわけです。しかもこの羽毛田長官という人は、2001年3月に起った「松尾克俊・外務省要人外国訪問支援室長の機密費流用事件」で、警察から参考人として事情聴取を受けている人物です。この事件は、機密費を扱っていた外務官僚の松尾氏が、競走馬やマンション購入など、「機密費」の横領容疑を起こし、逮捕された疑獄事件です。
 いずれにせよ、官僚が意図的もしくは無意識のうちに「天皇を管理下に置く」という発想をしている問題を徹底的に追及しなければいけません。「官僚とは何か」、「国家は誰のものか?」ということを追及しなければいけません。
 「国家は最終的に国民のもの」だと、みんな言います。が、どういうプロセスで国民の意思が国家に体現されるのかについてきちんと考えなくてはならない。
 「官僚になるための国家試験は日本国民なら誰だって受けることができる。だから国民のものである。そうすると国民意思の代表は官僚である」、このようなインチキ議論にごまかされてはいけないということです。官僚は国家支配の道具であって国民の意思に制約されずに動く本性があります。これをどうやって押さえるかが政治家の仕事です。
*官僚が暴走して実質的に権力を握ることが、官僚制の最大の弊害
副島 これは「本人・エージェント理論ですね。エージェントとは、普通は悪い意味でスパイのような意味も含みます。
 よい言葉で訳せば「代理人」です。誰が誰のエージェントであるか、代理人は本人の意思に背いた行動をとってはいけないのです。
 国民の代理人(代表ともいう)は、政治家がつくる政権(政党)です。大臣たちの使用人が官僚(高級公務員)です。
 ところが官僚は、「自分たちが国家の代理人」だと思い込んで勝手な動きをする。この代理人が暴走して実質的に権力を握るというのが、官僚制の一番悪い面ですね。
佐藤 そのとおりです。依頼人から通知書を受け取った弁護士が暴走して、依頼人(通知人)の意思と違うことを行っているということと、まったく一緒です。
 こういう難しい場面での、「知の力」というか、教養の力、学問の力が必要になってきます。学問の力がないと、昨年末の「羽毛田発言問題」では、小沢一郎のほうがおかしくみえるのです。
 学問の力があると、習近平国家副主席に対し、日本側がどのような対処をすべきかの問題だったということがわかります。国家副主席をそこまで厚遇する必要があるのかどうか、確かに一つ議論としては残ります。
 結論から言えば、今の日中の力関係を見たら、私は習近平という人物は重要だと思います。だから、内閣のあの判断は間違っていなかったと思います。
 そこをブラックボックスに入れるとしても、この羽毛田長官の言動は、次元が食い違うところでのおかしな行動でした。
副島 習近平国家副主席は、2年後には国家主席、および共産党総書記になるのですから、お披露目でした。国際社会におけるお披露目だったのです。
 日本はドイツに次いで重要な国だと中国は考えたのです。それ故、国家元首が会わなければならなかった。
 中国の次の国家元首になる人物のお披露目だったと考えるべきです。中国側はそれを暗に仄めかせていたのです。まず習近平国家副主席はヨーロッパに行き、メルケル独首相に会いました。
佐藤 確かにそういう挨拶のために日本に来たわけです。挨拶に来る人間が、「挨拶したい」と言うのですから、挨拶を受けるのは当たり前ではないでしょうか。
 これが宮中晩餐会を開けと要求したのでしたら話が違います。晩餐会を開くには、準備や通知など、何ヵ月も時間が必要です。
 だからあのとき、中国側が要請したことはそれほど乱暴な話ではなかったのです。
 つまり手続きを踏んでいないのは、どちらか。また、言ってよいことと悪いことの線を破ったのはどちらかということです。
 考えようによっては、あのとき2・26事件のような事態が、血が流れない形で本当に起きたのかもしれません。つまり、羽毛田長官は、高齢ではあっても、発想は青年将校的なのです。
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毎日新聞 2011年9月26日 10時28分(最終更新 9月26日 10時29分)

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