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菅首相 浜岡原発の運転全面停止を中部電力に要請 高さ15?の防波壁完成(13年度末)まで

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〈来栖の独白〉
 良い決断。英断。「決断は人気取り」と評する人もいるだろうけれど、それならそれでもいい。昨年の「諫早湾」(最下段に記事)以来の良い決断。菅さんだって、たまにはこういうことをしてもいい。
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浜岡原発:全面停止へ 東海地震備え、安全対策完成まで
 菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見し、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)について、現在定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機を含むすべての原子炉の運転停止を中部電力に要請したことを明らかにした。浜岡原発は東海地震の予想震源域に立地しており、地震により重大事故が発生する可能性がある。首相は「国民の安全と安心を考えた。浜岡原発で重大な事故が発生した場合に、日本社会全体に及ぶ甚大な影響を考慮した」と述べ、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、大地震に伴う重大事故発生を防ぐため停止要請したとの考えを示した。
 首相の指示を受け、海江田万里経済産業相は同日、中部電の水野明久社長に原子炉の停止を要請。水野社長は「迅速に検討する」とのコメントを発表した。これにより、浜岡原発は全面停止されることになる。
 首相は会見で、運転停止要請の具体的な理由について文部科学省の地震調査研究推進本部が「30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が発生する可能性は87%」と分析していることを紹介。「東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが必要だ。完成までの間、すべての原子炉の運転を停止すべきだと考えた」と説明した。中部電は浜岡原発の海側に高さ15メートルの防波壁を設置する工事に着手したが、完成は13年度末とされており、少なくとも完成まで運転は停止されるとみられる。
 中部電幹部は4、5号機の具体的な停止時期について「検討中」としているが、電力需要が高まる7月以前の停止となれば、供給力から最大電力量を引いた予備電力量が約80万キロワットに落ち込み、管内の電力需要が逼迫(ひっぱく)する恐れもある。首相は「電力需給バランスに大きな支障が生じないよう、政府としても最大限の対策を講じる」と説明。「電力不足のリスクは、地域住民をはじめとする全国民がより一層、省電力、省エネルギーの工夫をしていただくことで、必ず乗り越えていけると確信している」と協力を呼び掛けた。【田中成之、丸山進】
毎日新聞 2011年5月6日 19時03分(最終更新 5月6日 22時34分)
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浜岡原発:菅首相の緊急会見要旨
 首相として海江田万里経済産業相を通じ、浜岡原発のすべての原子炉の運転停止を中部電力に要請した。国民の安全と安心を考えた結果の判断だ。浜岡原発で重大な事故が発生した場合に、日本社会全体に及ぶ甚大な影響も考慮した。
 文部科学省地震調査研究推進本部の評価では、これから30年以内に浜岡原発の所在地域を震源とするマグニチュード(M)8程度の東海地震が発生する可能性は87%と、極めて切迫している。特別な状況を考慮すれば、東海地震に十分耐えられるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが必要だ。対策完成まで、定期検査中で停止中の3号機のみならずすべての原子炉を停止すべきだ。
 浜岡原発は活断層の上に立地する危険性が指摘されてきた。先の震災と(東京電力福島第1)原発事故に直面しさまざまな意見を聞き、海江田経産相とともに熟慮を重ねて決定した。
 中部電力管内の電力需給バランスに大きな支障が生じないよう、政府として最大限の対策を講じる。電力不足のリスクは地域住民をはじめ全国民が一層、省電力の工夫をすることで必ず乗り越えられる。国民のご理解とご協力をお願いする。
 (停止は)基本的に要請だ。指示や命令は現在の法制度では決まっていない。(中部電力に)十分に理解いただけるように説得していきたい。
毎日新聞 2011年5月6日 20時39分(最終更新 5月6日 20時40分)
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浜岡原発:津波対策「不十分」と指摘 30年以内にM8級
 浜岡原発は、東海地震の想定震源域の真上に立地している。東海地震はマグニチュード(M)8級の巨大地震で、今後30年以内に87%の確率で起きると推定されており、唯一予知体制が敷かれ、地震対策が集中的に進められてきた。
 中部電力は3、4号機について、国が06年9月に原発の新耐震指針を出す前の05年10月、耐震補強工事を始めた。想定する地震の加速度も従来の600ガルから800ガルに引き上げ、補強工事で1000ガルの揺れにも耐えられると説明した。しかし、新潟県中越沖地震(M6.8)の際に東京電力柏崎刈羽原発直下の岩盤で、同原発の想定を大きく上回る1000ガル近くの揺れが観測された。
 一方、津波については、過去に浜岡原発の敷地に最も大きな影響を及ぼしたと考えられる1854年の安政東海地震の痕跡高などから、敷地付近の津波高は満潮でも最大6メートル程度と判断した上で、対策を進めていた。中部電力によると、浜岡原発の敷地の高さは、想定していた津波高以上の6〜8メートル。さらに、敷地前面に高さ10〜15メートルの砂丘が存在している上、原子炉建屋の出入り口は防水構造にしており、「津波に対する安全性は十分確保している」としていた。
 しかし、東日本大震災の津波で福島第1原発は非常用発電機が同時故障し、原子炉冷却機能が失われて水素爆発が起きるなど深刻な事態になった。事故を受け、中部電力は浜岡原発に高さ15メートルの防波壁を作る方針を示したが、同原発の運転差し止めを求めて係争中の原告側は「せめて防波壁が完成するまで運転を止めるべきだ」として6月にも運転差し止めの仮処分申請を行う方針だった。
 また、中部電は4月28日に発表した12年3月期の業績予想で、10年11月から定期検査中の3号機を7月に運転再開すると表明した。中部電は福島第1原発事故を受け、高さ15メートルの防波壁の設置や非常用電源の確保などに約300億円をかける緊急対策をまとめている。一方、川勝平太・静岡県知事は「津波対策が不十分。7月の再稼働は客観的にみて難しい」と話していた。
毎日新聞 2011年5月6日 21時08分(最終更新 5月6日 21時13分)
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英断に敬意=「地元経済にも適切対応を」−川勝静岡知事
 菅直人首相が6日、中部電力に対し浜岡原発(静岡県御前崎市)の全原子炉の停止を要請したことについて、静岡県の川勝平太知事は「安全性確保に対する地元の要望を最優先した菅総理と海江田(万里・経済産業)大臣のご英断に敬意を表します」とするコメントを発表した。その上で「地元経済に対する影響についても、適切に対応していただかなければなりません」と国に配慮を求めた。
 また、小林佐登志県危機管理監は記者団に「国がどういう考えに基づいてこういう判断をしたのかや、今後、浜岡原発をどうしていくのかについて国の考え方を聞きたい」と述べ、週明けにも原子力安全・保安院に対し、説明を求める考えを示した。原子炉の稼働停止に伴う交付金や税の減収など、地元自治体財政への影響については「国が決めたことで生ずる結果には、当然国が対応してもらわなければならない」と強調した。(時事通信2011/05/06-21:58)
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浜岡原発:全面停止へ 戸惑う地元自治体「あまりに唐突」
 中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の原子炉を全て停止するよう菅直人首相が6日、中部電力に要請したことについて、地元住民や自治体、関係者の間には戸惑いと歓迎が交錯した。「唐突で人気取り」「交付金に依存する自治体財政はどうなる」と疑問視する向きがある一方、危険性を訴えてきた市民団体などからは「当然の判断だ」とする声が上がった。
 ◇静岡・御前崎
 浜岡原発を市内に抱える静岡県御前崎市の建設業、植田政志さん(55)は友人から原発停止要請のニュースを聞いた。「あまりにも唐突で戸惑った。(菅首相が)人気取りのためにやったのではないか」と感じたという。「福島第1原発の事故で安全神話が崩れたということなのだろうが、止めるというなら地元にきちんとわかりやすく説明をすべきではないか。これまで原発と共存共栄でやってきたので、税収ダウンなどの影響が心配だ」と話した。
 同市内で原発から約2キロに住む農業の男性(50)は「突然の発表だったので周囲はこれから混乱するのではないか」と驚いた様子。「原発があることで御前崎が潤っている面があるが、福島の原発事故で地元の農業が壊滅的被害を受けているという報道も見ていたので、原発に怖さを感じていたことも事実。メロンをハウス栽培しているので東京電力管内のように電力不足になって計画停電などが実施されると困る。大変複雑だ」と話した。
 石原茂雄・御前崎市長は「話が唐突過ぎて言葉が出ない。海江田万里経済産業相と5日に会って話したばかりだ。地元の意見をよく聞いて3号機の運転再開を判断すると言っていたのに4、5号機も止めるなんて」と戸惑う。その上で「原発交付金に依存する自治体財政はどうなるのか、困惑を通り越してあっけに取られるばかりだ。菅首相は選挙目当てでこんな思い付きを言うのかと勘ぐってしまう。国策に従って原発を受け入れてきた自治体はどうなるのか。中部電力はどうするのか聞きたい」と怒りをあらわにした。
 一方、静岡県の川勝平太知事はコメントを発表し「福島第1原発の事故を受け、安全性確保に対する地元の要望を最優先した英断に敬意を表する」と歓迎した。ただし、「国におかれては地元経済に対する影響についても適切に対応していただかねばならない」と注文も付けた。
 ◇差し止め訴訟弁護団長
 差し止め訴訟の原告弁護団長、河合弘之弁護士(67)は「歴史的な大英断だ」と評価した。「福島原発事故が発生して、対応しきれない恐怖を味わったことが決断につながったのではないか。福島を制圧できていない今、仮に浜岡原発でも事故が発生したら、東京は挟み撃ちになる。その恐ろしさを想定したのではないか」と分析した。
 「菅首相は会見で、中長期的に対策が立てられるまでの間の停止と話していたが、その点はばかげている。どんな状況でも浜岡を廃炉にしなければいけない」と強調した。
 原告団は福島第1原発の事故を受け、5月下旬に浜岡原発の運転停止を求める仮処分を静岡地裁に申し立てる予定だった。河合弁護士は「私たちが裁判を通じて訴え続けてきたことが社会に伝わって政府の決断につながった」と胸を張った。
 ◇「厳しい電力事情になる」 中部電力
 名古屋市東区の中部電力本社には6日夜、大勢の報道陣が詰めかけた。広報担当者は「浜岡原発が停止すると、厳しい電力事情になるのは間違いない」と厳しい表情で話した。
 同社広報によると、6日午後6時半ごろ、海江田万里経済産業相が水野明久社長に電話し、停止要請について「運転中の浜岡原発4、5号機も東海地震の震源域にあり、地震が発生する可能性が高い。防波壁が完成するまでは停止するようにお願いしたい」と説明したという。防波壁完成は13年末ごろで、約2年かかる見通しだ。
 この電話の後、原子力安全・保安院の担当者が保安院に同社の岡部一彦東京支社長を呼び出し、停止要請について詳細に書いた要請書を手渡したという。【三木幸治、高木香奈】
 ◇市民団体
 浜岡原発停止を求めて約15年間活動を続けてきた市民団体「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の運営委員で、運転差し止め訴訟原告団の一人でもある長野栄一さん(90)は「菅首相はよく言ってくれた。止まるのはありがたい」と喜んだ。
 一方で「停止要請の原因が福島原発の事故かと思うと、福島県民に同情を禁じ得ない」と語る。「日本国内のすべての原発が停止するよう活動したい。国が脱原発へと政策転換してくれたら」と話した。
 同ネットワーク事務局長の鈴木卓馬さん(71)も「菅首相を素直に評価したい。ただ、東海地震がどれほどの規模になるか想像できないのに、完全な防災対策をとることは不可能。私たちは廃炉にするよう強く求めていきたい」と話した。
 ◇静岡県袋井市長
 市の一部が浜岡原発から20キロ圏内にある静岡県袋井市の原田英之市長は談話で「首相は、会見に先立って地元の意見を聞くという、地域主権の原則に反しているのではないか」と不快感を示した。そのうえで「(浜岡原発が)東海地震への備えが万全でないことは理解しているが、仮に原発を止めたときの代替エネルギーの問題をセットで考えなければならず、(要請に)異議がある」と指摘した。
 ◇掛川市長
 浜岡原発の10キロ圏内にかかる掛川市の松井三郎市長は「国の原子力安全・保安院から午後7時50分すぎ、連絡をもらった。浜岡原発についてマグニチュード9クラスの地震にも耐えられる安全対策を求めてきた立場としては、今回の政府の判断は妥当だろう」と述べ、菅首相の判断を一定程度、評価した。
 一方で、松井市長は「地元自治体に事前の連絡がなく、首相がいきなり記者会見で発表するなんて、いかにも唐突で遺憾だ」と、不満を示した。
毎日新聞 2011年5月6日 21時23分(最終更新 5月6日 21時59分)
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浜岡原発:中部経済、夏に懸念 関西電力に支援要請
 浜岡原発の全原子炉停止が避けられない情勢になったことを受けて、中部電力が電力を供給する愛知、静岡、三重、岐阜、長野の5県では需要がピークを迎える夏場の電力供給に懸念が高まってきた。東海地域にはトヨタ自動車、ホンダ、スズキなど大手自動車メーカーなど製造業の工場が集積している。仮に電力の使用が制限される事態になれば、東日本大震災で打撃を受けた生産の復旧への影響は避けられない。
 中部電が策定した11年度の供給計画によると、同社の供給力は約3000万キロワットで、ピーク時の最大電力量を約2560万キロワットと想定している。供給力から最大電力量を引いた予備電力は439万キロワットだ。
 浜岡原発の供給電力量は、現在定期検査中の3号機(出力110万キロワット)と4、5号機の合計で360万キロワットのため、浜岡原発を全面停止した場合の予備電力量は約80万キロワットに落ち込み、予備電力率は約3%程度に低下することになる。
 中部電幹部は「極めて低い水準で、計画停電などの協力をお願いする可能性もある。東電に融通している電力供給にも影響が出る恐れがある」とする。海江田万里経済産業相は6日、関西電力に対して中部電に電力を融通するよう支援要請したことを明らかにしたが、夏場に電力が不足する東電管内から関西電力管内に生産を移管する予定の企業も多く、関西電力もどれほど余裕があるか不明だ。
 浜岡原発では10年12月に駿河湾沖地震などの影響で三つの原子炉全てが停止した時期がある。しかし、この時は電力需要の少ない冬場だったため、火力発電所の運転再開などで補うことができた。管内の電力需要の約7割は産業用で、仮に猛暑などで家庭の使用電力量が増加すれば、使用制限など生産活動に影響が出る可能性もある。【工藤昭久】
毎日新聞 2011年5月6日 21時12分(最終更新 5月6日 21時43分)
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一番心配なのは巨大海底断層の上に立つ浜岡原発 / 直下型東海地震、その時期が近づいている2011-04-01 | 地震/原発
東海地震予想震源地の真上に建つ「最も危険」とされる浜岡原発 中部電力は地盤は硬いと言うが2011-04-08 | 地震/原発
40人の原子力専門家が明かす「フクシマの真実」/これでも原発のリスク、許容しますか2011-05-06 | 地震/原発
原発の「ごみ」行き場なく/「核半島」六ヶ所村再処理工場/東通原発/大間原発/核燃料 中間貯蔵施設2011-04-28 | 地震/原発
「原発に近い地域の子供たちをいかにして放射性物質から守るか」小出裕章京都大学原子炉実験所助教2011-04-23 | 地震/原発
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諫早湾干拓、「歴史的に反省あってもいい」
産経ニュース2010.12.15 20:27
 諫早湾干拓訴訟
 −−諫早湾の開門訴訟で、首相の上告見送りの表明を受け、(古川康)佐賀県知事が評価する一方で、長崎県の中村法道知事が「地元に前もって一切話がない」と強く批判している。地元の対応が分かれているなか、難しい判断を迫られたと思うが、どのように理解を求めていくつもりか。今後、開門に対する補償を検討する考えはあるか
 「まあ私あの、1997(平成9)年の『ギロチン』以来、現地に何度も足を運び、いろいろな皆さんから状況を聞いていましたし、また、構造もたぶん国会議員の中でもよく知っている中の一人だと思っています。そういう意味で、今回の高裁判決に対して上告はしないという判断をしました。まあ今日、午前中にも皆さんの前でそのことは伝えました。と同時に、現在営農している人に悪影響がないように、きちんとするよう指示もいたしました」
 −−諫早湾干拓は当時、大型公共工事として問題になったが、無駄な大型公共工事に対して反対していくという姿勢が、今回の上告しないという首相の決定の要因になっているか
 「この諫早干拓事業というのは、いろいろな意味で象徴的な事業です。農林(水産)省にとっては確か最後の国営干拓事業じゃなかったでしょうか。そういう意味で当時からいろいろ議論があった中で今日まで、まあ事実上の工事は終わっているわけですね。そういう中で色々な私は歴史的には反省があってもいいんじゃないかと、こう思っています」


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