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もはやこれまで野田首相/伊吹文明元財務相、勝栄二郎次官の意を受けて首相以上に法案採決に前向き

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「消費増税」に「原発再稼働」って残念ながら、何も変えられない人 もはやこれまで野田首相交代へ
現代ビジネス2012年06月12日(火)週刊現代
「原発事故の反省はないのか」「焦って増税をする必要があるのか」。そんな国民の声は野田首相には届かない。「壊す」と公約したシステムの保護者に堕ちた人物に、もはや期待することは1ミリもない。
■3代続けて6月に?
 「非常にまずい状況になってきた。このままだと野田首相は、破れかぶれで衆院解散を打つか、内閣総辞職をしなくてはならなくなる。早ければ6月中旬にもタイムリミットが来る。結局、首相がこれまであらゆる決断を先延ばしにしてきた結果がこれです」
 そう語るのは、野田佳彦首相に近い民主党閣僚経験者である。
 民主党政権にとって、「6月」は鬼門だ。
 鳩山由紀夫元首相、菅直人前首相も、それぞれリーダーシップと指導力に疑問符が付けられ、6月の通常国会会期末を前にして政権がダッチロール状態に陥り失脚した。
 そして野田佳彦首相もまた、「消費増税」と「原発再稼働」の強行により、政権の命運はもはや風前の灯になっている。
 首相は5月30日の会見で、こう言い放った。
「単に夏の電力確保のためだけではなく、エネルギー安全保障、電気料金値上げによる国民負担増の抑制など、日本の経済・社会全体の安全と発展のため、原子力発電は引き続き重要であります」
「そのため、安全が確保された原発は再起動させる必要があると思います」
 大阪市の橋下徹市長ら、関西自治体の首長らが原発の安全性に疑いを投げかけているというのに、首相は関西電力・大飯原発(福井県)の再稼働に踏み切るという。
 専門家による安全確認がなされたわけではない。誰も安全の保証をできない中での再稼働。責任を取ると首相は言うが、事故が起きたら、どんな責任が取れるというのか。
 世論調査でも国民の過半数は、「脱原発」を支持している。だが野田首相は、結局は経産省・電力会社をはじめとする原子力ムラの圧力に負けた。
 これが、民主党が掲げてきた「政治主導」の結末だ。官僚支配を打ち砕くと豪語しながら、大震災でも無反省な既得権者たちに、結局は屈してしまう。鳩山・菅という前任者同様、残念ながら野田首相は、「何も変えられない人」だった。
 しかも、そのやり口は前任者たち以上に陰険だ。再稼働に際し、政府は「夏の電力が足りない!」と、御用マスコミを使って散々煽り立てた。政府が国民を脅迫するというあり得ない手段で地元の自治体を切り崩し、唐突に再稼働の発表を行う。ここまで姑息な首相は、史上稀に見ると言って過言ではないだろう。
 その上、その突然の発表が行われたのは、小沢一郎民主党元代表との会談、そして「消費増税」の宣言という、永田町の一大イベントが終了した直後だった。
 「小沢氏との会談と増税への決意表明、そして原発の再稼働。これらを同時にこなすことで、報道の分断・分散を狙ったと言われても仕方がありません。
 個別に問題を報じられたら政権がもたなくなる可能性がありましたが、重大ニュースの連発で、翌日の報道は官邸の思惑通り、バラけて漠としたものになりましたから」(前出・民主党閣僚経験者)
 消費増税関連法案の議論は、首相が「不退転の決意」「政治生命を懸けて」などと言いつつ、昨年からまったく方向が定まらず、迷走してきた。
 その原因は、原発再稼働と同じく、「今は増税の時期ではない」という世論の声を野田首相が頑なに聞こうとしなかったからだ。5%の消費増税による税収増は、13兆円とされる。だが、増税などにこだわらず、この1年を震災からの復興と景気の下支えに専念していれば、税収は自然にそれ以上増えたのではないのか。
 「足りないから国民から搾り取る」
 野田首相がそう固執した結果、日本国民は等しく不景気に苦しむ中、さらなる大出血を強いられようとしている。
■進退窮まった
 だが、もうここまで。自ら?どじょう?を宣言し、泥に隠れて世論無視・国民いじめの秘策ばかりを練ってきた引きこもり首相の政治は、まもなく終わりを告げることになる。
 「5月30日の小沢氏との会談が物別れに終わったことで、野田首相は消費増税を達成するためには自民党と組むしか道がなくなりました。会談について、首相側近は『自民党向けのアリバイ会談』と話していた。自民党が求める小沢切りに向け、段取りを踏んだということです。側近は『これ以上、小沢に引きずられると、自民党が交渉に応じてくれなくなる』と焦っていましたが、よりによって自民党と組もうという時点で政権は終わりです」(全国紙政治部デスク)
 すべては首相の自業自得だ。財務省に洗脳された野田首相は、消費増税に「政治生命を懸ける」とまで言い切ってしまったため、「法案が成立するか否か」が自身の進退を決める条件になってしまっている。
 その結果、6月21日の国会会期末を目前に、首相は完全に進むも退くもままならなくなった。
 「このまま消費増税関連法案を採決に回すと、小沢グループや自民党の反対で否決され政治生命を失うため、仕方なく野田首相は採決を先延ばしにしてきました。
 ですが、これ以上先延ばしにすると、頼みの自民党が首相との協力関係に見切りを付け、特例公債法案すら通さない、という手段に出る可能性が出てきた。特例公債法案が通らなければ、赤字国債が発行できず、つまり予算を執行できなくなってしまいます」(全国紙政治部記者)
 まさに最悪のシナリオ。故に首相は、いくら批判されても自民党に?抱きつく?しか手がないわけだ。
 「自民党の谷垣禎一総裁にしてみれば、民主党を追い詰めて解散総選挙に踏み切らせたい。したがって首相は自民党に抱きつけば、民主党大敗を承知の上で解散総選挙を約束せざるを得ない。選挙になればボロ負け→退陣が確実ですが、見返りに消費増税関連法案を成立させることで、『増税を成し遂げた首相』として歴史に名を残すことだけはできる」(別の全国紙記者)
 いわゆる「話し合い解散」シナリオがこれである。この場合、6月上旬にも野田首相と谷垣総裁の会談が行われ、首相が「解散総選挙」を密約するとみられる。
 「民主党内では、小沢グループを中心に解散・増税反対派が反乱を起こしますが、首相は自民党や公明党と協力して法案を成立させ、7月に解散、8月に総選挙という流れになる」(同前)
■300議席→100議席以下
 ところが、そのシナリオすら、上手くコトが運ぶかどうか分からない。政治ジャーナリストの山田恵資氏はこう語る。
 「自民党内には、話し合い解散に懐疑的な声が多い。しかも、最近になって農水省絡みの中国大使館員のスパイ事件(人民解放軍総参謀部出身の1等書記官が民主党議員らに接触していた)が表面化したことで、もともと野田政権に対し強硬だった参院自民党が、さらに対決色を強めています。
 しかも、もし野田首相が解散の密約をすれば、樽床伸二幹事長代行ら、党内の解散反対派の議員から猛反発を受けるのも目に見えている。?話し合い解散?と言っても、障害が多く困難な状況です」
 自民党抱きつきに失敗すれば、当然、消費増税法案は成立せず、その場合も結局、野田首相は解散→惨敗か、総辞職を選ばざるを得なくなる。
「出口なし」とはまさにこのことだが、そこで、野田首相に助け舟を出したのが、民主党の輿石東幹事長。名づけて「だらだら先延ばし」作戦である。
 「野田・小沢会談が微妙なまま終わった背景には、解散総選挙をしたくない輿石幹事長の意向があります。輿石氏は、9月の民主党代表選まで何事もなく過ぎることをひたすら願っている。もしも解散総選挙になれば、幹事長として陣頭に立たねばなりませんが、大敗するのが目に見えている。そんな汚名を被るのは嫌だから、すべてを先延ばしにして、事なかれ路線に徹しているのです」(民主党選対関係者)
 今年初めに民主党が密かに衆院選挙区の情勢調査を行ったところ、なんと「300議席が100議席台前半になる」という衝撃的な結果が出たという。
 それから半年近くが経ち、野田政権はますます支持率を落としている。選挙ではヘタをすれば100議席も維持できず、民主党は党自体が崩壊する。
 輿石氏にしてみれば、自分の幹事長任期中にそんなことが起きたら、政治家人生の有終の美を飾るという夢が雲散霧消し、すべてが台無しだ。したがって、野田・小沢会談後に、輿石氏の口からは、?いかに二人が和気藹々と話したか?というエピソードばかりが飛び出した。
 「二人ともずっとニコニコしていたよ。『今選挙をやれば負けますよ』ということは、二人とも分かっている。富山の蛍イカの沖漬けを渡したら、総理は『父の出身地まで覚えていただいて!』と感激していた。『党がどうなるか、今後を心配する声が多い』という話をしたら、小沢さんも『そういう声が多いな』と言っていたよ」
 実際には、「増税と財政再建は、今やらないと時間がない」と迫る野田首相に対し、小沢氏は「増税法案に賛成かどうかと問われれば、賛成とは言えない。その前にやるべきことがある」と突っぱねたため、物別れに終わった・・・・・・というのは周知の通り。
 それでも輿石氏は、「今日はどこの新聞も?決裂?なんて書けねえだろ」と繰り返し、ひたすら友好ムードを強調している。
 「首相本人と、仙谷由人党政調会長代行ら民主党の現執行部は、小沢氏を一刻も早く切りたい。それで小沢一派が反乱するというなら、『解散に打って出ても決別する』と、首相は周囲に決意表明しています。
 しかし輿石氏が『小沢も切らせず、増税法案の採決もさせず、解散もさせず』という戦術を取っているので、大っぴらに決裂もできない。結局、このままズルズルとまた結論を先延ばしにするつもりでしょう」(民主党中堅代議士)
 実際、増税に強硬に反対している小沢グループも、ホンネでは「総選挙になったら若手議員の大半が落選する。小沢氏にも、党を飛び出して決戦するような余裕も資金ももはやない」(小沢グループ幹部)ため、この場合結局は「決められない政治」が、だらだらと続くことになる。
■政界再編へ
 だが、そうやって結論の先送りをしても、最終的に9月の民主党代表選、そして自民党の総裁選までに野田首相の命運は尽きるとの見方が強まっている。
 「最終的に野田首相は、消費増税法案を成立させるため、自民党の要求をすべて?丸呑み?せざるを得ない」(民主党ベテラン議員)
 小沢氏との会談後、野田首相周辺はいち早く、内閣改造を示唆した。野党から問責決議を受けた田中直紀防衛相、前田武志国交相ら、一部の閣僚を交代させるというが、これは自民党のご機嫌取りだ。場合によっては、強硬路線に反対する輿石幹事長も切り捨て、消費増税法案の会期内採決を図るという。
 民主党幹部がこう語る。
 「野田首相は消費税しか考えていないからそうなるが、これで野田政権は終わり。自民党の目的は、やれば政権崩壊の可能性が高い消費増税を野田政権にやらせてしまうことにある。伊吹文明元財務相などは、財務省の勝栄二郎次官の意を受けて、ある意味首相以上に法案採決に前向きです。
 法案成立後、首相は自民党との連立まで視野に入れ、その後の政局を乗り切る腹積もりですが、世論がそんなことを許すわけがなく、首相は増税を花道に、辞職か解散かを迫られる。いずれにしても、9月の民主党代表選に、再び野田首相が出る選択肢はあり得ない」
 自民党との?野合?による増税が明らかになれば、世論は沸騰する。そうなれば、脚光を浴びるのは大阪維新の会・橋下徹市長だ。
 「橋下氏にとっては、中央政界の談合政治は、持論である『国政のシステムをぶっ壊す』の格好のターゲットになります。民主党も自民党も次の選挙では間違いなく惨敗で、政権交代と政界再編が起きるのはほぼ確実。野田政権が生き残る道は、この通り、ほとんど閉ざされたのです」(同幹部)
 残念ながら野田首相は、1年足らずの任期中に、何も変えることができなかった。消費増税への道筋だけはつけようと必死に足掻いてはいるものの、それは国民との約束ではなく、単なる裏切り行為だ。
 日本を変えると豪語して登場した民主党政権は、3年経っても国の仕組みを改善するどころか、原発再稼働、大増税の強行と、反動的な改悪ばかりでロクなことをしなかった。変える気がない、変わる気がない人々に、これ以上政治を任せたら、この国は沈没していくばかりである。
 「週刊現代」2012年6月16日号より
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いつ解散?4想定〜毎年、会期末には与野党が激突して荒れた展開になるが〜 一体改革法案 カギ 2012-06-10 | 政治 
 中日新聞 【核心】 2012/06/10
 国会が二十一日、会期末を迎える。毎年、会期末には与野党が激突して荒れた展開になるが、今年は民主、自民、公明三党による消費税率引き上げ法案を含む社会保障と税の一体改革関連法案の修正協議が同時進行中で、ハプニング的に衆院解散・総選挙となる可能性もささやかれる。そこで、来夏の衆院任期切れまで見通しながら解散のタイミングをシミュレーションした。(政治部・清水俊介)
一体改革法案 カギ
■6月■ 否決で「破れかぶれ」
 直近で解散があるとすれば会期末、修正協議がまとまらなかった時だ。
 合意がないまま衆院解決に持ち込まれると、野党、さらに民主党の小沢一郎元代表らも反対して否決となる可能性がある。「政治生命を懸ける」と明言してきた法案が否決されれば、野田佳彦首相が伝家の宝刀を抜くことも十分考えれる。
 一方、与党が採決を先送りしようとすると、自民党はじめ野党は内閣不信任案提出する方針。ここで元代表を支持するグループが造反して賛成に回れば可決することもあり得る。この場合、法案否決と同じ展開となることも予想される。
 どちらもケースも、民主党は分裂選挙になる。「破れかぶれ解散」と呼ばれるだろう。
 二〇〇五年、小泉純一郎首相は郵政民営化法案の参院での否決を受け衆院を解散した。この時も「破れかぶれ」と言われたが、首相の覚悟が国民の支持を集め、自民党は圧勝した。
■夏■ 合意後に「話し合い」
 谷垣禎一総裁ら自民党執行部は修正合意の条件として、衆院解散を確約するよう迫っている。首相が要求をのんだ場合「話し合い解散」が実現する。
 と言っても、すぐに解散するわけではない。法案が参院で可決・成立し、他の重要法案も処理した後になるため、国会会期延長を経て、夏の選挙となりそうだ。
 話し合いで解散時期を決めるのは簡単ではない。過去、「話し合い解散」は一九五八年の一度しかない。
■秋■ 代表選「ご祝儀」狙い
 修正協議が進んでも、進まなくても、九月には民主党代表選がある。
 新首相が誕生した場合、過去の例をみれば政権の支持はいったん上がる。野田首相が再選されても、新たに組閣、党役員人事を行うことで多少持ち直すだろう。「ご祝儀相場」が解散論を後押しするのは確実だ。そのタイミングは、民主党にとっては積極的に勝負に打って出る数少ないポイントとなる。
 〇三年秋、自民党総裁選で再選された小泉純一郎首相は、まだ四十代だった安倍晋三氏を幹事長に大抜擢。内閣支持率は総裁選前と比べて20ポイント高い七割近くになった。小泉首相は解散に打って出たが、選挙前より議席を減らし、期待したほどの「ご祝儀」はなかった。
■来年■
 解散されず、ずるずる先送りされることもある。〇八年、首相に就任した麻生太郎氏が「ご祝儀相場」解散を模索しながら、結局任期満了近くまで来てしまったことがあった。
 先送りされる場合でも、与野党の合意に基づいて計画的に先送りなることもあり得る。修正協議で合意した時に「解散は任期満了近くまで行わない」と約束するというパターンだ。
 消費税増税を決めた直後の選挙は避けたいという思いは民主、自民双方に根強い。それならば、話し合い解散を目指す谷垣氏とは逆の発想で「話し合い先送り」を主張する声も高まりそうだ。このシナリオは自民党の森喜朗元首相らが唱えている。
 任期満了近くまで先送りすると、来年七月に予定される参院と同日選となる。それがどの党に有利になるかという損得勘定も重要なポイントとなる。
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