野田首相、合意へ前のめり=「丸のみ」批判拡大−民主
時事通信2012/06/13-21:43
消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の修正をめぐり、野田佳彦首相は13日、自民党の社会保障制度改革基本法案を修正した上、共同提案を検討するよう民主党執行部に指示した。協議期限の15日が迫る中、自民党に譲歩して合意を急ぎたい首相だが、民主党内には自民案の「丸のみ」に反発する声が強まっている。首相の指示を受け共同提案で合意しても、民主党内の紛糾は避けられない情勢だ。
「民主党の考え方を盛り込んだ上で修正し、共同提出できるようにしてほしい」。首相は13日昼の政府・民主三役会議で、自民党の対案について、こう指示した。同日夕には、前原誠司政調会長を首相官邸に呼び、「われわれの考え方をしっかりと打ち返し、より良いものにする努力をしてほしい」と念を押した。
自民、公明両党は13日午前の幹部協議で、修正協議を15日で打ち切る方針を確認。8日に始まった修正協議では、最低保障年金の扱いなど社会保障分野で平行線の応酬が続き、「スピード感がない」(自民党実務者)状況を受け、首相も業を煮やしたようだ。
一方、民主党内には「金看板」の社会保障政策を棚上げし、自民党案を丸のみすることに対する批判が、消費増税反対派だけでなく、中間派にも広がってきた。ある中間派議員は「(将来の社会保障政策の)先送りでまとめようとしている。そこまで民主党の魂を売り渡してしまっていいのか」と強調。小沢一郎元代表は13日夜、都内のパーティーで「肝心要の年金制度も捨て去られようとしているのが今日の状態だ」と野田政権の姿勢を批判した。
13日の民主党税制調査会総会には、約150人が出席。自民党は法案修正で、景気条項に盛り込んだ「名目3%、実質2%」の経済成長率目標の削除を求めているが、出席者からは「削除は認められない」との意見も続出した。修正合意を党に持ち帰っても、すんなり了承は得られない状況だ。(2012/06/13-21:43)
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「一体」崩れ 増税突出 3党修正協議 社会保障 政府、譲歩続き
中日新聞 【 核 心 】 2012/06/13
消費税率の引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革。関連法案が審議入りしてから一カ月たって始まった民主、自民、公明三党の修正協議は、消費税増税の合意が進み、社会保障や子育て分野は政府案総崩れの状況だ。「社会保障と一体でない」との当初の懸念が現実のものとなり、増税だけがむき出しの全体像がみえてきた。(政治部・生島章弘、関口克己)
■大転換
幼稚園と保育所を一体化した「総合こども園」の創設が十二日、見送られる方向となった。民主党マニフェストで「すべての子どもたちに教育のチャンスをつくります」とうたった理念を具体化した目玉政策だ。
小宮山洋子厚生労働相は同日の記者会見で「法形式や仕組みは譲り合って、修正協議がまとまるようにしたい」と述べた。政府が提出した法案に固執せず、自公政権時代に始まった「認定こども園」の拡充で対応することを念頭に置いた発言だ。
小宮山氏はこれまで内閣府が所管する総合こども園の創設で「質の良い教育・保育を行い文部科学省と厚生労働省の縦割りを子どもの視点でなくす」としてきた。「縦割り」が残る認定こども園の枠組みを利用して質の高い保育を目指すとすれば、従来の説明から大転換することになる。
■好都合
社会保障政策についても、マニフェストの主要政策だった最低保障年金制度の創設と後期高齢者医療制度の廃止が、自民党が提案する「社会保障制度改革国民会議」の議論に委ねられる見通しになった。典型的な先送りだ。
この二点については、野党に負けて譲歩しただけではない。最低保障年金の実現には、新たに最大7%の消費税増税が必要との試算があり、政権幹部には実現性を疑問視する向きもある。後期高齢者医療制度の廃止も、都道府県知事らが難色を示している。野党からの「棚上げ」提案は民主党執行部には、かえって都合がよかったともいえる。
■着地点
一方、消費税増税を含む税制関連では合意点が目立つ。
自民党は修正協議が始まる前の七日、二〇一四年四月に8%、二〇一五年十月に10%にそれぞれ消費税率を引き上げるとする政府案を容認。公明党は行革の徹底などを掲げて態度を保留しているが、与党と野党第一党が手を握り、増税は現実味が増した。
消費税増税の低所得者対策として、8%への増税時に税金を給付する「簡素な給付措置」については、公明党が十二日に容認、三党の足並みがそろった。税率が10%に上がった時については、民主党が現金を給付したりする「給付付き税額控除」を主張、生活必需品は税率を低くする軽減税率の導入を求める自公両党を溝があるが、これについても細かな制度設計は先送りすることで合意する機運が高まっている。
少なくとも民、自両党は消費税増税では完全に足並みをそろえている。
三党の修正協議実務者は十一日、社会保障で合意しなければ税制分野では結論を出さない方針を確認。十二日は税制分野の三党協議の開催を見送った。税だけ合意して批判を受けるのを避けるためだが、社会保障分野の実務者の「税制の方は、最初から着地点が決まっているから」というつぶやきが、増税論が突出している現状をみごとに表している。
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◆「民主・自民・公明3党修正協議という『消費税増税』八百長相撲の行方を読む」高橋洋一 2012-06-12 | 政治(経済/社会保障/TPP)
◆いつ解散?4想定〜毎年、会期末には与野党が激突して荒れた展開になるが〜 一体改革法案 カギ 2012-06-10 | 政治
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