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消費増税へ3党合意 談合の末/「一体」改革 消費増税も棚上げせよ

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消費増税へ3党合意 一体改革談合の末
東京新聞2012年6月16日 07時15分
 民主、自民、公明三党による社会保障と税の一体改革の修正協議は十五日深夜、決着した。三党の実務者が確認書に署名した。関連法案が成立すれば、消費税率は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%に二段階で引き上げられ、民、自、公の増税容認三党による消費税増税が現実のものとなった。低所得の高齢者への年金加算案は撤回して、代わりに月額五千円を基準に給付金を支給し、消費税率を8%に引き上げるまでに法制化することで合意した。
 三党は週明けにも党内手続きを終え、幹事長・政調会長クラスが会談して最終合意を目指す。野田佳彦首相が明言していた国会会期末の二十一日までに政府の関連七法案と、自民党の対案の修正案を衆院で採決したい考えだ。
 社会保障分野では、基礎年金の国庫負担を50%に維持する財源として「交付国債」を発行するとの規定を関連法案から削除することで合意した。
 パート労働者の厚生年金への加入拡大は自民党の要求で、対象者を政府案の月給七万八千円以上から八万八千円以上に引き上げ、拡大対象を四十五万人から三十万人弱に縮小した。
 税制分野では、消費税率引き上げに伴う低所得者対策のうち、8%引き上げ時の現金給付については、公明党の主張を受け入れ、給付の法制化を引き上げの条件とすることで合意した。
 民主党が消費税率引き上げ法案に盛り込んだ経済成長率「名目3%・実質2%」を努力目標とする景気条項は残し、実施は「その時の政権が判断する」と確認した。
 自民党が反対していた10%引き上げ時に減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」については、自公両党が求めている生活必需品などを対象とした軽減税率の検討と両論併記にした。
 民主、公明両党で調整が難航していた最低保障年金の導入や後期高齢者医療制度の廃止など、民主党が掲げる主要政策の扱いでは、「あらかじめ内容等について三党間で合意に向けて協議する」と、あいまいな表現で決着した。
 民主党の主要政策をめぐっては、民主、自民両党が既に「社会保障制度改革国民会議」で議論し、事実上、棚上げすることで合意していたが、公明党はそれだけでは納得せず、主要政策の関連法案の国会提出の時期を削除して閣議決定をやり直すよう求めていた。
 自民党は十五日夜の総務会で修正内容を了承。公明党も対応を執行部に一任した。民主党では小沢一郎元代表のグループが反対しているため、民主党内の了承手続きが次の焦点となる。
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「一体」改革 消費増税も棚上げせよ
中日新聞 社説 2012年6月16日
 民自両党が「一体改革」法案の修正に大筋合意した。社会保障の抜本改革を棚上げするなど一体改革には程遠いにもかかわらず、消費税は上げるという。この際、増税も棚上げすべきではないのか。
  政党政治に新たな汚点を加えることになりはしないか。
  消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」関連法案の修正協議で、民主、自民両党が大筋合意に達した。今国会で成立すれば消費税は5%から二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%へと引き上げられる。
  実際の増税前に次の衆院選が必ず行われ、その是非を問う機会があるとはいえ、法律が成立してしまえば阻止するのは至難の業だ。
  民主党は〇九年衆院選で消費税増税はしないと約束し、一〇年参院選は増税を掲げて惨敗した。有権者が拒否した政策をなぜ強行するのか。次の衆院選で、有権者は何を信じて投票すればいいのか。
  野田佳彦首相は、本格的な少子高齢化社会を迎え、持続可能な社会保障制度を構築するための消費税増税だ、と言う。だから、社会保障と税の改革は「一体」だと。
  ところが年金の最低保障機能や高齢者医療制度の見直しなど、消費税増税と一体であるはずの社会保障の抜本改革は棚上げされ、有識者らによる「国民会議」で一年以内に結論を出すことになった。
  与野党が協力して社会保障改革に取り組むのは是とするが、それならば改革案がまとまって必要な財源額が確定するまで、増税決定も見送るのが筋ではないか。
  社会保障の全体像が見えないまま消費税増税に踏み切るのなら、最初から増税だけが狙いだったと批判されても仕方があるまい。
  財政への危機感は首相と共有する。今の社会保障が持続可能とも思わない。国民も同じだろう。社会保障も税も抜本改革が必要だ。
  それを進めるには国民の理解と同意が欠かせないが、野田内閣の努力は十分といえるだろうか。〇九年衆院選マニフェストに「書いてある」政府や国会の無駄排除に取り組まずに、「書いていない」消費税増税を強行することには、国民が納得しないだろう。
  民主党内に消費税増税に反対する動きがある。良識ある国会議員としては当然だ。首相はそうした議員を切り捨て、消費税増税のために自民党と組むというのか。
  「書いてあることは命懸けで実行する、書いてないことはやらない」。こう公言していたのは首相自身である。
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子育て支援 孫子の未来が開けない
中日新聞 社説 2012年6月16日
 「一体」ではなく「後退」改革ではないか。社会保障改革は軒並み見送られた。特に改革の最重要政策に挙げた子育て支援は何も進みそうにない。これでは子どもや若者たちの未来が開けない。
  「社会で子育てを支える」との理念を民主党政権は掲げていたはずだが、どこへいったのか。
  税との一体改革で、政府が全面的に撤回してしまった社会保障改革が子育て支援の新制度だ。
  戦後社会の構造変化で家庭と地域のつながりが弱まり、子育て家庭は孤立しがちだ。収入も伸びない。家庭の負担が格段に増している。
  子育ての主体は家庭だが、社会が一緒に育てる時代に来ている。社会が支え始めた介護と同じだ。
  社会の活力を高めるには女性の活用がカギだ。働きながら子育てしたい人には、保育所などが必要だし、子育てと両立できる柔軟な職場環境も求められている。
  パートで短時間だけ預けたい人、土日に働かざるを得ない人もいる。障害児や病児の受け入れも望まれている。専業主婦も孤立していたら子育ての相談をしたいし、外出するのに一時預けたい。子どもを預かる施設がきめ細かい対応のできる制度の整備が要る。
  幼稚園と保育所の一体化を柱とする新制度はすべての子どもたちに保育と教育を提供し、子育てを支えようとするものだ。
  厚生労働省や文部科学省など省庁間でバラバラの関連予算をまとめて明確化し、政府を挙げてその体制を整えることも狙う。
  新制度は待機児童をすぐに解消できない。自治体の責務の範囲や民間参入で保育の質をどう保つのかなど課題はあるが、自民、公明両党が反対すると改革案をあっさり引っ込めた。簡単に理念を放棄していいのか。
  子ども手当(現・児童手当)もすべての子どもを対象としていたが、自公を説得できず所得制限を設けた。逆に年少扶養控除は廃止され増税だけが残った。
  収入のある家庭には、所得税などで負担してもらう考え方もあるはずだ。一体改革とは税も合わせた社会保障の給付と負担のバランスを考えることではないのか。
  低収入で結婚ができない若者に多い非正規雇用の規制も、自公に譲歩し後退した。
  昨年の人口の自然減が初めて二十万人を超えた。人口減は進んでいる。次世代支援にこそ野田政権は政治生命を懸けてもらいたい。
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「民主・自民・公明3党修正協議という『消費税増税』八百長相撲の行方を読む」高橋洋一 2012-06-12 | 政治(経済/社会保障/TPP) 
 社会保障は「1勝1敗1分け」、では「景気条項」「歳入庁創設」「軽減税率」は?民主・自民・公明3党修正協議という「消費税増税」八百長相撲の行方を読む
現代ビジネス ニュースの深層 2012年06月11日(月)高橋 洋一
 社会保障と税の一体改革は、とうとう国会外で民主、自民、公明の政党間協議になった。社会保障分野を先行して協議し、税制分野は6月11日から協議に入る予定で、15日の合意を目指すとしている。おそらく今週はその滑った転んだというニュースで連日話題になるだろう。はたして協議はどのように決着するのだろうか。
 こうした政党間協議はだいたい決着がつく。決着がつかないものは協議しないというのが政治の原則だ。今週いっぱいがデットラインということだが、来週18〜19日にメキシコのロスカボスで開催されるG20首脳会議は悩ましい日程にみえるだろう。
 ただし、15日までの3党合意や21日までに採決というが、これらは財務官僚の得意なスケジュール戦法で、デッドラインを設定して相手を追い込んでいくというものだ。政治的には通年国会すべきとかいいながら、会期を大幅延長すれば、こうしたスケジュール設定も無意味になる(国会会期を政治的な駆け引きに使うのは先進国では日本ぐらいなものだ)。総理がG20に欠席するかも、とか、マスコミにリークし危機感を煽るのはしばしば官僚たちが行う常套手段だ。
 なお、今週12日(火)、13日(水)の公聴会が終わると、いつでも採決可能になるのだが、国会外で3党が政党間協議を行い、その結果法案自体が変更される可能性が高いのに、今出されている法案を前提として公聴会を行うのはどういう神経だろうか。
■社会保障と税の一体改革の「ルーツ」
 官僚のスケジュール戦法は別としても、どういった協議になるのだろうか。そのためには、税と社会保障の過去の経緯を知らなければいけない。
 もともと社会保障と税の一体改革は、消費税増税をもくろむ財務省が消費税を社会保障目的税として社会保障の衣をかぶせて増税を仕掛けていくものだった。このルーツは、小渕政権時代の1999年に予算総則において書き込まれた消費税を社会保障に使うという便宜的な方策がそもそもの始まりだ。
 ただ、社会保障改革としてさしたる中身はなく、社会保障は消費税増税のための方便になっていた。つまり、社会保障を薄皮にして中身は消費税餡子たっぷりの薄皮饅頭というわけだ。
 その自民党の案を与謝野氏が民主党に持ち込んだのだ。しかし、民主党としてはそのまま自民党のパクリではまずいので、社会保障として、(1)最低保障年金、(2)後期高齢者医療制度の廃止、(3)総合こども園を加えた。
 もっとも今国会で具体的な法案が提出されているのは、このうちでは、(3)総合こども園だけだ。自民党としては、消費税増税部分は本質的に同じであるので、是非ともこの(1)〜(3)を民主党から撤回させたい。ただし、自民党もすぐに結論が出ないことを知っているので、社会保障は議論の場を作って長期的に検討するという逃げ道も作っている。
 このため、(1)最低保障年金は先送りになるだろう。(2)後期高齢者医療制度の廃止については、民主党は事実上容認であるが、マニフェスト破たんといわれるのをおそれている。後期高齢者医療制度も問題ありといわれながら、もう5年も制度運営が行われてきているので、容認もやむを得ないだろう。(3)総合こども園は、そもそも幼稚園と保育園の一体化であり、まあ民主党への配慮から方向としては与野党で合意すると思う。
 要するに、民主は、(1)最低保障年金で引き分け、(2)後期高齢者医療制度の廃止で負け、(3)総合こども園で勝ちということで、1勝1敗1分けでまずまずの成績だろう。
 民主が今国会で提出している社会保障関連法案は、(3)総合こども園のほかに、年金制度の微調整や官民被用者年金の一元化である。これらは基本的には民自公で合意するだろう。自民も民主が国会に提案していない話を協議の場に出してくるのだから、はじめから落としところのわかっている八百長相撲ととられても仕方ない。
■軽減税率は要注意
 こうして社会保障分野の基本合意ができると、残りは消費税である。ここでも、民自公は引き上げに賛成であるので、基本は揺るがないが、民主党の党内議論で良識的な増税消極派の人々が盛り込んだ(4)景気条項(名目3%、実質2%)や(5)歳入庁創設(国税庁を日本年金機構などと統合)が争点になる。
 自民党がこれを持ち出したのは国民のためという観点ではない。これらの論点を民主党執行部に突き付ければ、民主党が分裂するかもしれないという党利党略である。それだけでない。何が何でも増税したい、国税庁は国税権力維持のために手放せなという財務省の組織原理も自民が民主に迫る上で作用している。
 (4)景気条項や(5)歳入庁創設がどうなるか、現時点ではよくわからない。(4)景気条項については自民内でも評価する声もある。もし自民が(4)景気条項を落とせと言うなら、代わりに日銀法改正という手もある。日銀法改正は自民内で公約になっているので、民主からこれを持ち出せば、自民は理屈上断れないはずだ。ただし、民主執行部は日銀法改正に反対なので、こうした絶妙な切り返しができないだろう。
 (5)歳入庁創設は、給付付税額控除か軽減税率かという形でバトルになっている。前者を選ぶと歳入庁につながるので、財務省は本音は軽減税率だ。しかし、財務省としても、軽減税率の問題点(個別物品ごとに租税特別措置があるようなもので、線引きの難しさや官僚利権の山になる)は知っているので、建前は軽減税率反対だが、巧妙に世論を誘導して軽減税率に落としていくだろう。
 たとえば、軽減税率は問題あるが消費者にわかりやすいなどといいだしたら、要注意だ。軽減税率は金持ちにも適用になるので、弱者対策としては給付付税額控除のほうが優れている。ちなみに、新聞業界は、欧州に調査団を派遣して税制改正要求として軽減税率を積極的に推している。
 いずれにしても、(4)景気条項や(5)歳入庁創設は、消費税増税という大前提の下の話だ。大きなストーリーでは決着がついている。いうなれば、ガチンコでないプロレスの試合のようなもので、時間がくればフィニッシング・ホールドになる。
 ただし、最後の最後でハプニングの起こる可能性もある。自民は谷垣総裁に一任した後で協議しているが、民主は協議後に再び党員の了解をとるのだ。ここで、協議内容に不満がある人には一縷の望みがある。
 このまま、民自公が合意すれば、衆院では民主290、自民119、公明29計430名という、圧倒的多数で3分の2を楽々クリアし、後は60日国会を延長すれば、参院で否決されても審議されなくても衆院で再議決可能だ。
 もし、民自で消費税増税に不満がある人が110名いれば、無様な3分の2を下回ることも可能であるが、そこまで覚悟のできている人がどれくらいいるのだろうか。
 世論調査でも消費税増税反対が半数以上になっている。野田総理は「決める政治」というが、民意に反して「決める」のはおかしい。野田総理の正統性は民主内の代表選に勝利したというだけで、民意を得たものでない。
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“総合こども園” 必ずしもこだわらず
NHK NEWS WEB 6月12日 11時42分
 小宮山厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し、社会保障と税の一体改革の関連法案を巡る民主、自民、公明の3党の修正協議に関連して、待機児童対策など政府案の理念が確保されるのであれば、法案に盛り込んだ「総合こども園」の創設には必ずしもこだわらない考えを示しました。
 社会保障と税の一体改革のうち子育て支援策について、政府は、待機児童を解消するため、幼稚園と保育所の機能を一体化させた施設「総合こども園」を創設することなどを法案に盛り込んでいますが、自民・公明両党は、待機児童の解消につながらないとして、現在ある「認定こども園」を増やすなど、現行制度を基に改善を図るべきだとしています。
 これについて小宮山厚生労働大臣は、「『総合こども園』の創設で盛り込みたかったのは、就学前の必要なすべての子どもに質のよい学校教育、保育をするということや、待機児童にしっかり対応することなど3つの大きな柱で、理念は一切曲げていない」と述べました。
 そのうえで小宮山大臣は、「子育て支援をしっかりやり、財源を確保しようという方向性は各党で一致している。法律の形式や仕組みについては譲り合って、修正協議がまとまり、今の国会で法案が成立するよう全力を挙げていきたい」と述べ、待機児童対策など、政府案の理念が確保されるのであれば、「総合こども園」の創設には必ずしもこだわらないという考えを示しました。
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「総選挙〜そうなったら、国民は消費税のでたらめと原発再稼働のでたらめに鉄鎚を下すだろう」高橋洋一 2012-06-06 | 政治
 目くらましの内閣改造は一時しのぎ。9月の新首相誕生で解散総選挙か?ならば「増税」「原発再稼働」を争点にマニフェスト違反の民主党に鉄槌を
現代ビジネス「ニュースの深層」2012年06月04日(月)高橋洋一
野田・小沢再会談は予想どおり物別れで終わった。これで本コラムで再三にわたり指摘してきたように、民主・自民の増税大連立の方向が決定的になった。
 今回の再会談は、野田総理にとってそれなりに収穫はあった。野田総理は、内閣改造と自民党との協議について了解をもらったからだ。内閣改造は総理の専権事項なので了解というのはおかしな話であるが、総理から内々の人事話があったのかもしれない。誰でも事前に人事話を聞いて悪い気がしないはずだ。輿石幹事長を更迭するという話もあったが、結局は党人事をいじらずに、内閣改造だけとなった。
 輿石幹事長の会見にあったが、野田総理は「この会期内に採決しないと成立しないから、そういう方向で行く」という話があり、「それは私も同じだ。」といっている。会期内採決にめどがたったことも、野田総理には大きな前進だろう。
 野田総理は社会保障と税の一体改革というが、その実体は社会保障を薄皮とし、中身は消費税増税たっぷりの薄皮饅頭だ。これは菅政権で与謝野氏を取り込んでから既定路線だ。与謝野氏は消費税増税だけをやりたかったので、社会保障は二の次だった。民主党の社会保障改革を徹底的に批判していたので、民主党の社会保障はこれでズタズタになった。薄皮を取り除けば消費税増税だけなので、賛成の野田民主と谷垣自民、反対の小沢氏という構図だと、小沢斬りで野田民主と谷垣自民が手を組むしかなくなる。
 問題は解散であった。谷垣自民としては、ただ消費税増税だけだと、増税大連立・野合といわれる。そこで解散総選挙を言わざるを得なかった。解散権は総理の専権事項だ。民主党でどのような議論があっても、野田総理一人を説得すれば行使できる。
 ところが、一票の格差で今は違憲状態と最高裁にいわれている。総理の解散権は縛られないというものの、さすがにこのまま解散総選挙を行うのはリスクがある。解散総選挙のためには少なくとも選挙制度改正を行う必要がある。解散総選挙を嫌う民主党はノラリクラリとしていた。
 ここで自民党がぶち壊すといえば違う展開になっただろうが、自民党内長老グループは解散を回避しあわよくば民主・自民の大連立で閣僚ポストでも欲しいという人が多い。その結果、今国会の解散は遠のく一方だが、消費税増税法案は着々と時計が進み、6月上中旬の公聴会以降いつでも採決されても不思議でない状態だ。
 谷垣自民党総裁も解散は強くいえなくなってきている。もうタイミングを失っているし、下手に言い出せば自民党内の谷垣おろしが勃発しかねないからだ。
 消費税増税で解散なしというのは、国民にとっては悪夢のような話だが、財務省にとっては好ましいシナリオだ。財務省は、今の野田・谷垣のゴールデンコンビの時しか増税はできないと考えている。そのために増税にマスコミを籠絡して必死だ。一方、解散総選挙については、ひょっとして増税に反対する第三極がでてきて、増税廃止法案を出して増税をひっくり返すのを怖れている。
 今総選挙であれば、4割の増税賛成票を民主・自民が奪い合って、残り6割の増税反対票を第3極がとるかもしれないからだ。ということは、民主と自民にとっても、第三極の勢いが落ちるまで総選挙を先送りしたくなるわけだ。
 増税は民主党のマニフェスト違反にもかかわらず、解散なしで国民は文句をいえない。増税のために民主党へ政権交代したわけでない。こんな約束違反を許したら、次の選挙ではマニフェストなぞ見向きもされなくなって、政治不信になるだろう。
■野田内閣総辞職ならマスコミは喜んで飛びつくだけ
 マスコミは消費税増税・解散なしでも、何かネタを探すので、総辞職(野田総理のクビ)あたりのネタに喜んで飛びつく。目先ネタに目がくらみ、マニフェスト違反にもかかわらず解散なしを追求できないだろう。
 次の選挙になってもマニフェストは堂々と破るものという感じになるのではないか。それほど今回の消費税増税は罪作りなものだ。
 大飯原発の再稼働をめぐっては、関西広域連合の知事たちが、立場一転して事実上の容認したことで、野田総理は、関係3閣僚との会合を開いて、再稼働を最終判断するだろう。これもひどいものだ。
 政府・民主党・関電は、極めて卑怯な方法で、関西の首長らを「事実上容認」に追い込んだ。「15%足りないが、いいのか」「このままでは大停電が起こる」「停電が起これば病院への電力も止まり、急病人が死亡しかねない」と恫喝とも受け止められるキャンペーンを展開していたという話だ。ピークロード・プライシングも出してくるのが遅すぎる。1年も前からわかっていたのにである。住民を人質に、実質的におどしをかけていたとしたら、これほどひどい話はない。
■9月に解散はあるのか
 国民はどうしたらいいのだろうか。民主党某幹部は、消費税と原発を次期総選挙の争点にならないように、今のうちから決着済みにしたいという。しかし。それは大間違いだ。
消費税では、凍結法案や税率再引き下げ法案を掲げることはできる。原発も暫定基準なので、本格基準まで再停止するという政策の選択肢がある。
ひょっとしたら大阪維新の会やみんなの党などの第三極はそうした政策の対立軸をだすだろう。9月の民主代表選のあとに、今うわされている新しい代表(小沢氏にも適当な距離感といわれている)でご祝儀支持率が上がったら、総選挙という話もでている。そうなったら、国民は消費税のでたらめと原発再稼働のでたらめに鉄鎚を下すだろう。
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軽減税率に落とし穴/何を軽減の対象にするかの線引き=業界を所管する官僚の裁量権拡大につながる 2012-05-24 | 政治(経済/社会保障/TPP)
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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「軽減税率」に騙されるな 「小沢無罪」は野田政権にとって痛い話であるが〜勝栄二郎事務次官の・・・ 2012-05-14 | 政治(経済/社会保障/TPP) 
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<軽減税率適用狙い>メジャー紙の消費税増税プロパガンダと「野田・小沢」会談で小沢氏排除の理由 2012-05-31 | メディア
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【社説】中日新聞
 野田・小沢会談 増税の免罪符にするな
 
2012年5月31日
 野田佳彦首相と小沢一郎民主党元代表との会談は、消費税増税をめぐり平行線に終わった。首相はこれを機に、増税に向かって突き進むつもりなのか。会談を増税の免罪符にされたら、かなわない。
 輿石東幹事長を交えた会談は約一時間半に及んだ。野田、小沢両氏がこれほどじっくり相対するのは、まれな機会ではないか。
 首相は、今の国会(延長がなければ会期は六月二十一日まで)での成立に「政治生命を懸ける」と言明した消費税増税について「財政状況や少子高齢化の問題を考えれば、待ったなしだ」と協力を要請した。
 これに対し、小沢氏は「国民に大きな税負担を求める前に政権としてやるべきことがある。消費税増税に今、賛成とはいかない」と行政・社会保障改革、デフレ対策を先行させるべきだと反論した。
 予想された展開だった。財政状況に対する危機感はわれわれも首相と共有するが、小沢氏の発言を正論と考えるのが妥当だろう。
 二〇〇九年衆院選で国民が民主党に政権を託したのは、中央集権から地域主権、官僚主導から政治主導へと行政の仕組みを変え、行政の無駄を徹底的になくして財源を捻出するというマニフェストを信頼したからにほかならない。
 にもかかわらず、行政改革は中途半端に終わり、マニフェストに一行もない消費税増税を民主党政権の手で強行したのでは、国民をだましたとの批判は免れない。
 首相は今後の対応について、記者団に「今回の会談を反すうしながら考えていきたい」と語った。
 小沢氏の指摘を受け、首相が消費税増税を一時棚上げし、行政の無駄排除に本気で取り組んだり、社会保障制度の抜本改革に乗り出すのなら、会談にも意義がある。
 しかし、協力を求めたが平行線に終わったことを免罪符に、消費税増税に向けた動きを加速させるのなら納得いかない。会談は単なるアリバイづくりでしかない。
 同じく消費税10%への増税を掲げてきた自民党の谷垣禎一総裁は首相に対し、小沢氏を切り捨てるのなら、増税法案に賛成する意向を重ねて示している。
 百人を超えるとみられる小沢氏支持グループが反対しても、自民党などの賛成で増税法案は成立するという誘い水だ。
 小沢氏を切って増税のために自民党と組むのか。政権交代の大義に従うのか。首相には大きな岐路だろうが、国民の負託の意味を熟考した決断をすべきである。
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◆度改革はかくて骨抜きにされた われらは敵だらけの中でいかに戦ったか/古賀茂明vs高橋洋一2011-07-22 | 政治]
かくて民主党政権は官僚の手に落ちた このままでは安易な増税路線に突き進む/古賀茂明vs高橋洋一(後篇) 2011-07-29 | 政治
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霞が関の大魔王 勝栄二郎危険極まりなし/内閣に「大増税」へと舵を切らせている 高橋洋一×長谷川幸洋 2011-10-05 | 政治


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