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大飯原発の再稼働決定 これが法治国家なのか

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大飯原発の再稼働決定 福井知事が同意伝達
中国新聞 '12/6/16
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が16日、決まった。野田佳彦首相と関係閣僚が福井県の西川一誠にしかわ・いっせい知事と官邸で会談、西川知事は再稼働への同意を伝えた。昨年3月の東京電力福島第1原発事故後、国内の原発が再稼働するのは初めて。
 国内の原発50基は、北海道電力泊原発が定期検査入りした今年5月5日以降、全て停止している。野田首相は6月8日に開いた記者会見で「今、原発を止めてしまっては日本の社会は立ち行かない」と述べ、大飯原発の再稼働への地元の同意を促していた。
 関電は大飯原発の2基の運転再開に向けて作業を始める。政府は関電管内で求めている15%の節電目標(2010年夏比)の引き下げなど需給対策を見直す方針。ただ、2基のフル稼働には6週間程度かかり、7月2日からの節電期間に間に合わないため、火力発電所の故障などに備え、計画停電の準備は引き続き求める。
 政府は夏場の電力需要のピークに間に合わせるため、4月に原発の再稼働判断の新たな安全基準を決定。野田首相と関係閣僚が安全性を確認したとして、福井県とおおい町に同意を要請した。
 関西圏の自治体には再稼働に慎重な対応を求める声が強かったが、関西広域連合は5月30日に開いた会合で、容認する姿勢に転換した。
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原発再稼働 これが法治国家なのか
信濃毎日新聞 06月15日(金)
 関西電力大飯原発の再稼働が秒読みに入った。このままだと安全性をめぐる抜本対策は先送りしたままの暫定的な運転となる。
  野田佳彦首相は「国民の生活を守るため」と強調するが、福島第1原発事故をどこまで深く受け止めているのだろうか。
  野田政権に欠けているのは、ものごとの手順だ。事故の総括を行い、それを踏まえて論議を深め、新たな安全基準をつくる。こうした過程を欠いた再稼働では国民の信頼は得られない。
<福島の被害を原点に>
  昨年の原発事故は、チェルノブイリと同じ最悪の「レベル7」だった。人類史に記録されるべき大事故は、日本社会を根底から揺さぶりつづけている。
  野田政権が新しいエネルギー政策を打ち立てるに当たっては、事故がもたらした衝撃にまず目を向けなければならない。
  第一は、福島県が受けた傷の深さである。
  原発に近い自治体など11市町村が避難指示区域とされ、基本的に人が住めない状況にある。区域内の人口は8万6千人に上る。
  天災であれば直ちに復興に取り組むことができるが、原発事故は除染を徹底しなければならない。元通りの暮らしに戻るまで何年かかるか分からない地域もある。広範囲に及ぶ故郷喪失の影響は計り知れず、産業だけでなく人々の心にも暗い影を落としている。
  被災自治体の首長らが大飯原発の再稼働に疑問を呈するのは当然だろう。野田政権は、県民が被った傷の深さに思いをはせ、将来のエネルギー政策を検討しなければならないはずだ。
<根拠を欠いた手続き>
  首相は8日、大飯原発再稼働を決断した理由を国民に語りかけた。被災者の気持ちは「よく、よく理解できる」としながらも、「国政を預かる者として人々の暮らしを守るという責務を放棄するわけにはいかない」と述べている。
  人々の暮らしを台無しにしたのは、政府と東京電力である。それなのに「暮らしを守る責務」を強調するのはふに落ちない。
  福島の被害はひとまず置き、大飯原発を動かして関西圏の暮らしを守る―。首相は、こう言っているに等しい。これが「責務」なのか、首をかしげざるを得ない。
  事故の第二の衝撃は、政府の原子力行政と危機管理能力に対する信頼が根もとから崩れさったことである。
  首相が原発を再稼働させるというのであれば、信頼の土台を再構築しなければならない。
  なぜ事故が起きたのか、政府はなぜ住民を十分に守ることができなかったのか、丁寧に検証する。それを踏まえ、再発防止に向けた抜本対策を講じ、新たなエネルギー政策を国民参加のもとでつくっていくことである。
  現実はどうか。事故の検証は、民間、東電、国会、政府による事故調査委員会が、それぞれ取り組んできた。民間と東電の事故調は報告をまとめているが、残りはこれからである。
  一方で政府は、(1)大飯原発再稼働(2)原子力の安全規制をめぐる新たな仕組みづくり(3)中長期のエネルギー政策の策定―の作業に取り組んでいる。
  このうち最も急いだのが、(1)大飯原発再稼働である。ストレステストの1次評価や政府が急きょ示した安全基準をクリアし、関西圏の理解や立地自治体の合意も得た―と政府は説明するだろう。
  だが、地震のときに必要な免震重要棟やフィルター付きベント装置の設置などは済んでいない。政府は関西電力に工程表を提出させ、その審査でよしとしている。
  そもそも、(2)の新たな安全規制の仕組みづくりは、民主、自民、公明の3党が基本合意した段階である。再稼働までの政府の手続きが、事故を踏まえた新たな法的根拠を欠いていることは明らかだ。
<国民的議論とは何か>
  首相は「政府の安全判断の基準は暫定的なものであり、新たな体制が発足した時点で安全規制を見直していく」と述べている。首相自身が、とりあえずの見切り発車であることを認めたといえる。
  大事故が起きたというのに、政府の判断で原発を動かすというのは信じ難い。これで法治国家といえるのだろうか。
  (3)の中長期のエネルギー政策の決め方にも注意が要る。
  首相は「国民的な議論を行いながら、8月をめどに国民が安心できるエネルギーの構成、ベストミックスというものを打ち出していきたい」と述べている。
  首相の言う「国民的議論」は欠かせないプロセスだが、どんな形で国民の声を聞くつもりなのだろうか。(2)の安全規制のように、3党協議で進めるようなことになれば、国民的議論どころか国会軽視と言わざるを得ない。
  「脱原発」とか「脱原発依存」といった言葉が先行している。中身を煮つめるには、国民参加の場が必要だ。首相には有権者に信を問う覚悟で臨んでもらいたい。
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◆ 【大飯原発】国民を煙に巻きつつ進められる再稼働
サーチナ【社会ニュース】 2012/04/16(月) 11:22
  政府として原発の再稼働を判断する4者会議(首相、官房長官、経産相、原発事故担当相)が13日の夜に開かれ、「大飯原発3、4号機の安全性と必要性が確認できた」と言うことで、再稼働を認める方針が固まった(東京新聞、2012年4月14日付)。翌14日には、大飯原発の立地県である福井県を枝野経産相が訪問。同県知事ら関係者と会談し、再稼働を要請した。
  こうした政府の動きを、地方の新聞各紙が痛烈に批判している。まず、北海道新聞は4月14日付の社説「大飯原発 再稼働要請は早すぎる」で、「再稼働の可否を判断する安全基準が即席で作られ、関電から早々と提出された安全対策の実施計画が了承された」ことへの危機感を訴える。「決定の根拠も過程も不明確な見切り発車」で「地元の同意を求めるのは無理がある」のは当然であろう。
  さらに、問題はその先にある。「しかも、急ごしらえの安全基準は、大飯以外の原発の再稼働にも適用される」のである。「中長期的な安全対策は、電力会社が実施計画をまとめるだけで可」とするような甘い基準の、どこが「安全基準」などと言えるのだろうか。また、枝野さんが繰り返す「電力不足」にしても、「原発の安全性と電力需給の逼迫は、同列に論じるべき問題ではない」と斬り込んでいる。
  次は西日本新聞。4月15日付の社説「大飯原発再稼働 初めに結論ありき」で、情報公開の不十分さを指摘する。「福島第1原発の爆発事故のときがそうだ。事態の深刻さが増すにつれて、政府、東電の口は重くなった。正しい情報をできるだけ早く。それが最も求められるときに情報が途切れた」。
  同事故が起きてから原発は止まり続け、来月には稼働する原発が「一瞬ゼロに」(枝野経産相)なる予定だ。止めた原発を再稼働させないのはなぜか。それは、あの事故が何であったのかを完全に検証し、事故が起きた場合の対策を完璧に講じることができなければ、ふたたび広域にわたる放射能の飛散という前代未聞の事態が発生することを危惧せざるをえないからである。
  つまり、止めた原発を次に再稼働させるときには、国民にその危惧を抱かせないような説得力のある情報が必要なのである。にもかかわらず、「最も求められる」情報である上記の4者会議で、「どんな話し合いが行われているか」が分からない。同社説では、情報の「詳細を公開した方がいいはずだ」とした上で、そんな政府の対応を「曇りガラスを通して見るようで、会合の中身はぼやけてしか見えない」と批判している。
  秋田魁も同じく4月15日付の社説「大飯原発再稼働『妥当判断』拙速すぎる」で、「最近の政府は、再稼働に躍起となっているのが見え見えだった」と述べる。そして、「3日の初会合から13日までに6回の関係閣僚会合が開かれ、新安全基準の決定、関電からの安全対策工程表提出、再稼働妥当の判断と慌ただしく続いた」ことが、「再稼働を前提としたものとしか受け取れず、泥縄の印象が拭えない」とする。
  さらに、「原発事故による放射性物質拡散の影響は計り知れないことを私たちは学んだ。福島第1原発事故の検証は終わっておらず、原子力規制庁も発足していない中で、なし崩し的に原発を再稼働させようという姿勢では国民の理解は到底得られない」と言うが、まったくその通りだと筆者も思う。
  原発の再稼働をめぐる現状は、まさに国民が「煙に巻かれた」状態と表現するのにふさわしい。もちろん、国民を煙に巻いているのは政府である。とはいえ、いまの国民は、「安全です」と言って煙に巻いていれば、原発の設置に合意していたころの国民とは違う。免疫力も知恵もつけている。そして、そのことは政府も分かっていると思う。その上で政府が安易な再稼働への道を進んであるのだから、私たち国民もなめられたものである。
  ただひとつ、気になることがある。それは、原発に関連する職場で働いている人たちのことである。原発が再稼働せず、このまま停止、もしくは廃炉ということになれば、その人たちが一気に仕事を失う。この点については、後日、改めて考えてみようと思う。基本的には、原発に関連する職場で働く人が失職したら、「安全です」と言い続けて設置を進めた当事者である政府が、責任を持ってその人たちの仕事を保証すべきだと思っている。
(谷川茂)(情報提供:夕刊ガジェット通信)
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国民不在の原発再稼働を進める「チーム仙谷」
夕刊ガジェット通信
2012.04.12 10:15
 いやな話である。ずるいというか、姑息というか。国民の意思とは全く関係ないところで、与党の有力者と官僚、そして財界とが原発の再稼働を推進しているというのだ。

   
    
 2012年4月11日付の東京新聞は、トップで「『チーム仙谷』再稼働主導」という記事を掲載した。現在、再稼働するか注目されている関西電力の大飯原発。再稼働の可否を最終的に決めるのは、4者協議(野田佳彦首相と藤村修官房長官、枝野幸男経産相、細野豪志原発事故担当相の3閣僚)である。しかし、その裏で民主党の政調会長代行である仙谷由人さんが動き、原発の再稼働を進めていることが記事で報告されている。
 仙谷さんは、上記の枝野さんと細野さんに古川元久国家戦略担当相、そして齋藤勁官房副長官を加えた5人で「チーム仙谷」なるグループを作り、原発の再稼働について議論している。そして、仙谷さん自身は、「政府の新成長戦略の旗振り役」であることから、「電力不足は経済成長の阻害要因になる」と考え、「早い再稼働を前提」に議論を進めているというのである。
 消費税増税問題で忙しい首相や官房長官は、「チーム仙谷」での協議を「追認」するようなかたちになっている。さらに、「チーム仙谷」による「一連の議論」は、「党内でも、知る人は少数にとどまる」というから驚きだ。経団連ら財界は、「安定した電力供給がなければ、生産拠点の海外移転が加速する」と「政府に圧力をかけ続け」、「監督省庁として原発をゼロにしたくない」経産省は、そうした財界の動きを「歓迎している」。
 再稼働しないと「東電は安定経営ができず、さらに税金投入が必要になる」という理由で、財務省も事務次官が首相に「再稼働を働きかけている」。つまり、「オール財界、オール霞ヶ関が、もともと再稼働をめざす政権を後ろから押している」というのが、現在の原発をめぐる構図となっているわけである。
 ホントかデマかも考えず、感情的に反原発を訴えるのは、どうかと思う。だが、福島第1原発の事故が起きてからは、原発に関する情報が身近になり、客観的かつ冷静に原発のことを考える国民も増えている。その傾向は、34万筆の署名を集めた「原発都民投票」などにもあらわれている。そうした原発に対する国民の関心をよそに、財界と霞ヶ関をバックボーンにして、「党内でも、知る人は少数にとどまる」ようなかたちで、与党の一部の人たちが原発の再稼働を決めようとしていることを、読者はどう思われるだろうか。
 最終的に再稼働の可否を決める4者協議は「形だけ」のもので、実質的には再稼働を主導する「チーム仙谷」の協議が政府の方針を決めつつある。国民の声はおろか、民主党の議員の声も届かないような意志決定システムにより、原発の再稼働を決めさせていいのか。記事を読むと、それを阻止する仕組みはないように思える。このままずるずる再稼働が決まった場合、私たちにできる抵抗は、総選挙における投票活動くらいのものなのか。
 一時は国民の圧倒的な支持を得ていた民主党だが、原発問題に注目していると、堕落していく様子が浮き彫りになる。かといって、そもそも原発を林立させた張本人である自民党に、いまだ不信感を抱いたままの人も多い。河野太郎さんのような良心的な議員を除いては。このように、総選挙になったらなったで、私たちは選択肢のない状況と向き合わなければならなくなるのである。
 それにしても、民主党がこれほどひどくなるとは思っていなかった……。
(谷川 茂)
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大飯原発再稼働を「チーム仙谷」は決めた/北朝鮮のミサイル発射に国民の注意を向けさせ、その隙に 2012-04-13 | 地震/原発/政治
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再稼働5人組「チーム仙谷」枝野・細野・古川元久・斎藤勁/霞が関(財務省 勝栄二郎)・財界(米倉)同調 2012-04-11 | 地震/原発/政治

                     

 再稼働「5人組」仙谷氏ら
 中日新聞 朝刊2面 2012年4月11日Wed.
 関西電力大飯(おおい)原発の再稼働問題で、野田佳彦首相と関係三閣僚が頻繁に会合を開き、議論している。だが、再稼働問題は実質的には仙谷由人党政調会長代行が中心となる通称「五人組」が、水面下で議論を仕切っている。そして首相らの四者の協議は、それを追認するような形だ。まさに政府・与党、さらに財界、霞が関が一体となって「再稼働ありき」を進めようとしている構図が浮かび上がる。(城島建治、関口克己)
 野田首相、藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相。この四人の協議が再稼働を決める。
 だが四者協議の議論を先導し、事実上政権内をまとめる枠組みが、昨年秋、非公式に出来上がっている。
 四者協議のメンバーでもある枝野、細野の両氏と、仙谷氏、古川元久国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官の五人組。リーダー格は仙谷氏で「チーム仙谷」とも呼ばれている。
 仙谷氏は国家戦略担当相、官房長官、党代表代行などの要職を歴任。枝野氏、古川氏も一員の前原誠司政調会長を支持するグループを束ねている。昨年八月の党代表選では決選投票で野田氏支持に回り、首相誕生の立役者となった。その政策力と政治的腕力には野田首相も一目置く。
 仙谷氏は菅政権で官房長官、副長官としてエネルギー政策を担当し、官邸を去った後も仕切り役を続ける。野党時代から電力会社とのつながりがあり、霞が関や党内ににらみが利く仙谷氏が頼られ続けている格好だ。
 野田首相と藤村氏は昨年末以来、消費税増税問題に忙殺されてきた。そのこともあり再稼働問題は長い間、五人に任されてきた。
 五人の議論は人目につきにくいホテルなどが選ばれる。東京電力をどう再建するか。電力会社の地域独占体制をどう破るか。そして再稼働問題。政府の新成長戦略の旗振り役を担ってきた仙谷氏は、電力不足は経済成長の阻害要因になると考えている。早い再稼働を前提に議論を進めてきた。そして、一連の議論は党内でも、知る人は少数にとどまる。
■仙谷氏ら、4者協議お膳立て
 五人が出す方向性を正式に認める形の四者協議も再稼働を前提として生まれた。
 昨年七月。九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の再稼働が政治日程に上っていた時だ。
 当時の菅直人首相は閣内に根回しなく「新たなルールを作って、国民が納得できる判断が出るよう指示する」と表明。再稼働を考えていた他の閣僚と衝突した。当時の菅氏は、脱原発を進めて延命を図る野心もあり、衆院解散も頭をよぎっていた。
 この時は当時官房長官だった枝野氏が、再稼働の決定は、首相だけでなく官房長官、経産相、原発相を含めた四人で決定することを提案。菅首相にのませた。つまり四者協議は脱原発に走る菅氏を止めるためにできた。再稼働のツールだった。
 四者の協議は四月三日の初会合後、九日までに計四回、慌ただしく回数をこなしているが、各回の所要時間は平均約一時間。首相が枝野氏に求めた新しい安全基準も、関西電力に求めた安全対策の工程表も、指示を待っていたかのように次の会合までに提出されるなど、出来レースを思わせる展開が続いている。
■霞が関・財界同調
 経団連の米倉弘昌会長ら財界首脳は「安定した電力供給がなければ、生産拠点の海外移転が加速する」などと、政府に圧力をかけ続けている。
 そんな経済界の動きを、経産省は歓迎している。監督官庁として稼働する原発をゼロにしたくない。五月五日、北海道電力泊原発3号機が停止するまでに大飯原発が再稼働しなければ全国で五十四基ある原発は一基も動かなくなり「原発なしでも大丈夫」という機運が高まる。
 その事態を避けたいという利害では財界と一致する。
 経産省だけでなく財務省も後押ししている面がある。総合特別事業計画で、政府は今夏に一兆円規模の公的資金を投入する方針だが、再稼働しなければ、東電は安定経営ができず、さらに税金投入が必要になると想定しているからだ。財務省の勝栄二郎事務次官も野田首相に直接、再稼働を働きかけている。
 オール財界、オール霞が関が、もともと再稼働をめざす政権を後ろから押している。
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大飯原発 100?圏 広がる「地元」 大阪府市/滋賀県/京都府/三重県/〜足元の福井県 2012-04-13 | 地震/原発/政治 
 大飯原発 広がる「地元」  100?圏同意 関西の首長支持 
中日新聞《 特 報 》2012/4/12Thu.
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、野田政権と関西の首長たちの対立が際立ってきた。大阪府市が提示した「再稼働の八条件」の他の首長も同調。国民的人気の高い橋下徹大阪市長の動向には中央政界も無視はできない。同意が必要な「地元」の範囲は政治的には拡大しつつある。(秦淳哉・中山洋子)
再稼動 政府との対立鮮明
■大阪「8条件」
 「効力はない。選挙で国民がどっちを取るか判断してもらう材料だ」。橋下大阪市長は、大阪府市統合本部が了承した大飯原発再稼働の八条件について、こう言ってのけた。「独立性の高い原子力規制庁の設立」などの条件は法的拘束力はないが、次期衆院選に向けた「政治的メッセージ」だというのだ。
 八条件を記した文書には刺激的な言葉が列挙されている。
 前文で「『原子力ムラ』と呼ばれる、推進と規制の一体体制から生じた安全軽視の文化と社会構造の一掃」と明記。「原発事故『A級戦犯』ともいえる原子力安全・保安院や原子力安全委員会」、「この国の原発事故への緊急事対応は、まったくの無為・無策・無能」。使用済み核燃料については「消費税増税のときは将来世代にツケを回さないといいながら原発はそれ以上のツケを回している」と野田政権の姿勢を批判している。
 八条件は、いずれも大阪府市の特別顧問で、元経済産業省官僚の古賀茂明氏とNPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長の二人が中心となってまとめた。飯田氏は「再稼働のプロセスがいかにナンセンスか浮かび上がらせる」と強調する。
 八条件には「百?圏内の住民の同意を得て、府県と安全協定を締結する」という項目も含まれる。政府にとっては極めて高いハードルで、事実上、早期の再稼働は不可能になる。
 藤村修官房長官は、橋下氏の発言に対し、「支離滅裂なところがある」と切って捨ててみせたが、内心は穏やかではない。
 もともと橋下氏率いる地域政党「大阪維新の会」は、大阪都構想実現を図るため、地方自治法改正を主要政党に働き掛けてきた。大阪都実現が聞き入れらない場合、次期衆院選で三百人の候補者を擁立する意向を示している。
 各種世論調査で国民的人気が高い橋下氏。次期衆院選でも台風の目になろうとしている。
 ここで、橋下氏を無視して敵に回せば、政権は大きなダメージを受けることにもなりかねない。政権にとっては、対立が鮮明になるのは避けたいのが本音だ。
 橋下氏と歩調を合わせる大阪府の松井一郎知事は「安全性を担保する設備が完成する前に、工程表というペーパーだけで再稼働を承認するのは問題だ」と政権の手続きに強い疑問を呈した。
「本当に電気が足りないのか。情報開示なしに再稼働したら民主党政権はもたない」。再稼働に関する橋下氏の野田政権批判は激烈だ。橋下氏にとって、「脱原発」の姿勢を示すことは、民主党や自民党との「違い」を国民にアピールできるという計算も見え隠れする。
橋下氏 民自打倒の好機に
■衆院選の争点
 大阪発の「八条件」には、関西を中心に同調する自治体が広がっている。
 滋賀県の嘉田由紀子知事は十一日の記者会見で「大阪は核燃料サイクルの問題まで含めて(条件を)出している。中長期的にはあの通り」と評価した。
 滋賀県は大飯原発の百?圏に全域が入る。独自に放射性物質拡散シミュレーションも試算。関西の水源である琵琶湖も含め、三十?を超える地域でも屋内退避が必要なレベルの汚染が予測されており、県内の危機感は強い。今後、滋賀県独自で、福井の原発の安全性を協議する専門委員会も設置するという。
 三十?圏内に六万八千人が住む京都府の山田啓二知事は「政府は急ぎ過ぎている」と拙速な再稼働の動きを批判してきた。十一日には大飯原発の再稼働を判断するための専門家会議を開催。政府が示した新安全基準について検証を始めた。
 県北部が百?圏にかかる三重県の鈴木英敬知事も「百?圏内の自治体と協定を結ぶというのは、同調できる」と話した。
 再稼働に前のめりな政府の姿勢に、批判的なのは関西の自治体だけではない。とりわけ、藤村官房長官の「再稼働には必ずしも地元同意が必要ではない」とした発言への反発は大きく、新潟県の泉田裕彦知事は六日の会見で、定期点検中の東京電力柏崎刈羽原発について「新潟では必ず地元の同意を取ってもらう」と念を押した。
 一方で、沈黙を守っているのが、大飯原発の足元の西川一誠福井県知事。政府が示した新安全基準への評価も含め、コメントを避けている。
 大阪府市統合本部は、六月の株主総会で関西電力に「脱原発」を提案することも決めた。速やかに全原発を廃止することや、国などからの天下り禁止、発電又送配電部門の売却などを求める。
 定款を変更するには、株主総会で三分の二以上の賛同が必要。大阪市は株式の約8・9%を持つ筆頭株主。同じ関西電力管内の京都、神戸両市の保有株式を含めれば約12・5%に上る。
 橋下氏らは両市と共同で提案したい考えだが、三分の二を超えるには、両市だけではなく多くの個人株主らの協力を得ることも必要で、成立までは見通せていない。
 NPO法人原子力資料情報室の西尾漠共同代表は、近隣自治体などの動きについて「再稼働に前のめりになっている政府のブレーキになり、判断が注目されている福井県にも影響するだろう」と指摘する。「福島第一原発事故の実態を踏まえると、大阪が示した八条件には極めて真っ当な内容だ。現実的には原発から百?圏内の全住民の同意を得るのは難しいが、それぐらいでないと運転再開に納得できる住民はいない」
 政治評論家の森田実氏は「関西の大多数の住民は、安全対策を厳しくしないうちの再稼働に反対している。橋下市長にとって、大飯原発の再稼働に反対する以外の選択肢はない」とみる。次期衆院選では、消費税増税と原発の是非が、二大争点になると指摘。「橋下市長にとっては増税と再稼働に賛成する民主と自民の二大政党を倒し、政局を握る好機。民主党政権の危機感の薄さは驚くほどだ」と説明し、予測した。
 「関西で、福井の原発再稼働に賛成する候補は、間違いなく落ちる。民主、自民両党の候補全滅も有り得る」
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政府、早期再稼働を優先「地元の同意不要」/大飯 ベント対策など、再稼働是非の暫定基準に含めない方針 2012-04-05 | 地震/原発 
 原発安全基準を決定=大飯再稼働に適用、判断は週明け以降
2012年4月6日20:36 JST
 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日夕、原発再稼働の関係閣僚会合を首相官邸で開催し、運転再開を判断するための安全基準を最終決定した。新たな基準は関西電力大飯原発(福井県おおい町)の3、4号機に適用する。枝野経産相は会合後、首相官邸で記者会見し、同原発の再稼働について「判断は週明け以降に行う」と語った。
 枝野経産相はまた、関電に対し、安全対策の実施計画の提出や事業への取り組み姿勢の報告を求める考えを表明。全電源喪失の防止策などで、地元を説得できるだけの安全性が確保されているかを確認する。 
[時事通信社]
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原発再稼働、地元同意義務ない 藤村官房長官
2012年4月5日 15時17分
 藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、定期検査により停止中の原発の再稼働に関し、地元の同意は必ずしも前提条件にならないとの認識を示した。「法律などの枠組みで同意が義務付けられているわけではない」と述べた。これまで原発の再稼働には地元の同意が必要としてきた姿勢を軌道修正した形で、原発の地元や周辺自治体などの反発は必至だ。
 政府は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けた手続きを進めているが、周辺自治体が反対・慎重な立場を崩していないためとみられる。法律上の「同意」は不要との立場を強調し、再稼働実現への地ならしを図る狙いがあるようだ。(共同)
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ベント対策など除外 大飯 早期再稼働を優先
中日新聞 2012年4月5日 朝刊1面
 政府は四日、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、格納容器の圧力を下げるベント(排気)時に放射性物質を取り除くフィルターの設置など時間がかかる対策は、再稼働の是非を判断する暫定基準に含めない方針を固めた。非常用電源車の配備や建屋内の浸水対策などが進んでいることを強調し、フィルターなどは中期的に取り組むことを説明することで、理解を求めていく。
 暫定基準は、大飯原発がある福井県やおおい町が要望しており、野田佳彦首相が三日の関係三閣僚との会合で策定を指示。藤村修官房長官は四日の記者会見で、基準の策定について「一日二日、相当鉢巻きを巻いてやる」と話し、経済産業省原子力安全・保安院が検討を進めている。
 保安院は、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、全電源喪失や冷却設備の機能喪失にならないよう三十項目からなる報告書をまとめている。基準はこれがベースになる。
 再稼働の条件となる安全評価(ストレステスト)の一次評価が進む大飯原発や四国電力伊方3号機は比較的新しい上に、福島第一原発に比べると格納容器が大きく、圧力が高まりにくいため安全性は高いとされる。非常用電源車の配備や、炉心への代替注水機能の確保などの対策も既に終わっている。ただ、ベントフィルターの設置や緊急時に大量の作業員が寝泊まりできる免震施設の建設など時間がかかる対策も残っている。これらをすべて満たすには「少なくとも三、四年はかかる」(保安院幹部)という。
 フィルター設置なども暫定基準に含めてしまうと、再稼働の時期が大幅に遅れることになる。このため、政府は三十項目のうち多くの安全対策が進んでいることを確認し、残る対策も計画が進んでいることをアピールしていく考え。
 ただ、原子力安全委員会が「一次評価だけでは不十分」と疑問を投げかけ、免震施設の重要性を強く訴えている。こうした中、骨抜きとも受け取れる基準で政府が再稼働を認めようとすれば、地元を含め広く反発が出る可能性もある。
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大飯原発/「福島」と同じ大混乱を招く恐れ/いざ事故が起きたときの肝心の対策がほとんど改善されていない 2012-04-12 | 地震/原発/政治 

               

 大飯 遅れる防災 OFC改善未定 ヨウ素剤確保も
 東京新聞2012年4月12日 朝刊
 政府は原発の再稼働に向け突き進むが、関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)をめぐっては、いざ事故が起きたときの対策拠点の見直しや被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を住民にどう配るかなど、肝心の対策がほとんど改善されていないことが本紙の取材で分かった。こんな状況で再稼働させ、事故が起きれば、東京電力福島第一原発事故時と同じような大混乱を招く恐れがある。
 まず問題なのは、住民の避難など対応策を決めるオフサイトセンター(OFC)をどうするかが決まっていない点だ。
 福島の事故ではOFCが原発から五キロと近すぎ、放射性物質への防護も不十分で使い物にならなかった。大飯原発のOFCは原発から八キロで、敷地の高さは海抜わずか二メートル。仮に原発が津波に耐えても、OFCが水没する可能性が高い。
 ここが使えなかった場合は、関電高浜原発(福井県高浜町)のOFCを使うことになっているが、こちらも海抜四メートルにある。
 福井県の担当者は「両方のOFCがだめになっても、まだ敦賀、美浜両原発の二つのOFCが県内にはある。万一のときはそのどちらかを使うことも考えられる」とする。
 確かにこれら二つは海抜十数メートルにあり、津波には耐えられるかもしれないが、県内四つのOFCとも放射性物質を除去するフィルターはなく、非常用電源も十五時間しか使えない。外部電源が失われれば、ただのコンクリートの箱と化す。
 県の担当者は、国のOFCの見直し方針が定まっていないことを理由にしているが、これらの弱点は福島事故から一年以上過ぎてもまったく改善されていなかった。
 一方、事故の影響は当初の想定より大幅に広かったことを受け、重点的に防災対策を実施する区域が、従来の八〜十キロ圏から三十キロ圏にまで拡大されることが固まっている。
 しかし、内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄や配布計画の作成は進んでいない。
 福井県は原発がある市町以外にもヨウ素剤を確保することを決めたものの、肝心の追加分のヨウ素剤は確保されていない。二万二千人分は確保されているが、区域拡大に伴って対象人数も膨れあがるため、二十二万八千人分が不足している。
 大飯原発の三十キロ圏には滋賀県や京都府が新たに入るが、ヨウ素剤はまだ確保されていない。
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