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稼働30年超の原発17基 廃炉積立金 14基不足

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稼働30年超の原発17基 廃炉積立金 14基不足
2012年6月29日 中日新聞 朝刊
 運転開始から三十年を過ぎた全国十七基の原発のうち十四基が、四十年の運転期間(寿命)中に、廃炉に必要な費用を積み立てられないことが分かった。経済産業省資源エネルギー庁の資料を基に、本紙が試算して判明した。廃炉が必要になった時点でも、総額六百五十九億円が不足する深刻な状況だった。 (桐山純平、山口哲人)
 原発を廃炉にするには、長い年月と三百億〜八百億円と巨額の費用がかかるため、電力会社は毎年、費用を積み立てることが義務づけられている。電気事業法は四十年間で積み立てが完了することを想定しているものの、明確には期限が切られていない。
 エネ庁の資料で示された積み立てるべき金額、これまでの積立額などを基に、本紙は運転開始から四十年に達した場合の不足額を試算した。
 日本原電敦賀1号機(福井県)や関西電力美浜1号機(福井県)は既に運転期間が四十年を超えているのに、積立額はそれぞれ三十九億、九十三億円が不足している。七月に四十年を迎える美浜2号機も六十六億円が不足している。
 逆に積み立てが完了するのは、四国電力の伊方1、2号機(愛媛県)と九州電力玄海2号機(佐賀県)の三基のみ。ほかの十一基は十億〜八十八億円が積み立て不足となるとの結果になった。
 廃炉費用に必要な積立額は、原発稼働率76%で四十年間運転したとしてはじきだす。ただし、トラブルなどで稼働率が76%に到達しない年があると、単年度の電力会社の積立金は少なくなり、四十年間で必要な額には満たない仕組みになっているという。
 エネ庁幹部は「稼働率が低かった原発は積立金が足りない傾向にあるが、算定式に従って計算するとこうなるのは当然」と、制度に問題はないとの見解を示した。
 しかし、積立制度はもともとは積立期間が二十七年に設定されていたが、二〇〇〇年に電力会社の負担を減らす目的で四十年に延長された経過がある。
 負担を減らしたのに肝心の積立金が足りない状況に、慶応大の金子勝教授(経済学)は「原発を廃炉にした瞬間に積み立て不足を全額解消する必要が出てくるので、そうならないよう電力会社は四十年を超えても老朽原発を動かそうとしている」とルールの厳格な運用を求めている。
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中日春秋
 2012年6月29日
 ライオンが、洞穴の中で病気で寝込んだふりをして、見舞いに来る動物を次々平らげてしまう…。そんな話がイソップにあるが、猛獣などいなくても、洞穴には少し人を恐怖させるところがある▼思えば、原発というシステムは洞穴に似る。稼働させればさせるだけ放射性廃棄物、つまり原発ゴミはたまっていくが、その処分先はどこにもないからだ。つまり洞穴と同じで進む先に出口がない。洞穴の怖さも暗さより、そこにあるかもしれない▼各電力会社の株主総会の模様を伝えた記事によれば、どの社でも、脱原発を求める株主提案がたくさん出されたものの、ことごとく否決されたという。会社側は「原発は必要」だとあらためて訴えたようだ▼だが、たまり続ける危険極まりないゴミは一体どうするのか。原発維持を主張する“ムラ”からも、この問いへの明快な答えはついぞ聞いたことがない。仮に事故のリスクを脇に置いても、その一点だけで、将来まで原発を動かし続ける選択肢はあり得ない▼ライオンよりずっと怖いものの潜む洞穴ではなおさらだが、出口がないとなれば、人は普通どうするか。引き返すはずだ。既に一昨年、世界の発電容量で再生可能エネルギーが原発を超え、差は広がると予想されている▼さすれば、こう言っても構うまい。原発に未来はない。あるのは、原発のない未来だけである。


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