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オスプレイ岩国陸揚げ2012年7月23日/マスコミにつくられた「オスプレイ恐怖症」

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オスプレイ岩国陸揚げ 市長「不信感と憤り」
中日新聞2012年7月23日 08時54分
 米軍岩国基地に陸揚げされたオスプレイ=23日午前8時11分、山口県岩国市で共同通信社ヘリから
 米政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備を計画する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機を載せた民間輸送船「グリーンリッジ」は23日早朝、配備前の一時駐機のため米軍岩国基地(山口県岩国市)に到着、陸揚げが始まった。
 福田良彦岩国市長は記者団に「安全性が確認されるまで入港すべきでないと要請してきた。国に届かず不信感と憤りを覚える」と強調。二井関成山口県知事と近く上京し、森本敏防衛相らに抗議する考えを示した。
 日米両政府は安全性を確保した上で本格運用する考えで、10月の運用開始方針を変えていない。
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マスコミにつくられた「オスプレイ恐怖症」、日本防衛のために本当に必要な議論を
北村 淳 JBpress 2012.07.20(金)
 米国海兵隊普天間基地に配備されている老朽化したヘリコプターを新型の輸送機「オスプレイ」に交代させる段階になって、配備先の沖縄をはじめとして日本各地訓練飛行ルート予定地自治体で“オスプレイ恐怖症”が頭をもたげている。
 オスプレイ恐怖症は日本のマスコミや一部の専門家などが、開発段階での悪評をほじくり返して、その後の進展状況を伝えることなしに大げさに取り上げたことによって生じた現象と言える。
 さらに、そのようなネガティブキャンペーンに輪をかけて、日本政府・防衛省が「オスプレイの安全性を確認するまでは日本国内では飛行させない」といった方針を表明したことが、「オスプレイという奇妙な軍用機は恐ろしく危険性が高いようだ」といったイメージを蔓延させるのを助長してしまっている。
 しかし、オスプレイの安全性はすでに日本以外の国際社会では受け入れられている。オスプレイ沖縄配備をめぐる真の問題点は、オスプレイの「安全性」ではなく、日本防衛にとっての「オスプレイの、すなわち在沖海兵隊の必要性」なのである。
■「みにくいアヒルの子」だったオスプレイ
 そもそもオスプレイは「V-22」という輸送機の愛称であり、1981年に開発が認可されてから数度の挫折を経て四半世紀の苦闘の結果、2007年6月に公式に配備された。現在はアメリカ海兵隊とアメリカ特殊作戦軍(空軍の特殊作戦部隊が実際の運用を担当している)が各種作戦で使用している。
 ちなみに、海兵隊バージョンは「MV-22B」、特殊作戦軍(空軍)バージョンは「CV-22」というバリエーションで、若干仕様が異なっている。日本に配備されるオスプレイは「MV-22B」である。
 「CV-22オスプレイ」の計画誕生から開発経過そして実戦に投入されるまでの経緯を『The Dream Machine: The Untold History of the Notorious V-22 Osprey』(AolDefense, 08/09/2011)という書物にまとめた米国の国防・外交ベテランジャーナリスト、リチャード・ウィットル氏は、特異な航空機オスプレイをアンデルセンの童話「みにくいアヒルの子」に喩えている。
彼の指摘の要旨は次のようなものである。
 ヘリコプターと固定翼機を合体させたような奇妙な構造の航空機「オスプレイ」は“極めて危険”であり“大金を食らう”とんでもない航空機であるというレッテルが張られ、おまけに、政治家や企業、それに軍人まで巻き込んだスキャンダラスな噂話が巷でささやかれるに至った。
 「とんでもない航空機だ」とこづかれ続けてきた“みにくいアヒルの子”オスプレイだが、やがて2007年から実際に海兵隊や空軍特殊作戦軍によって運用が開始されると、“みにくいアヒルの子”は“美しい白鳥”であったことが判明したのだった。
■性能は従来のヘリコプターをはるかに上回る
 オスプレイは、ヘリコプターの利点と固定翼機の利点を合わせた世界で初めての実用「ティルトローター機」である。これまで実用化されていなかった“夢の航空機”を手にしたい、というアメリカ海兵隊の強い願望を実現させようと開発がスタートした。
 “夢”はそう簡単に実現しないもので、オスプレイは開発段階で技術的、政治的な挫折を経験した。例えば、試作機開発段階の事故により1991年には3カ月間、1992年から1993年にかけては11カ月間飛行停止措置となり、初期型機生産段階の2001年12月から2002年5月にかけても墜落事故原因解明とシステム改良のために飛行停止措置が取られた。
 このため、1991年から2002年にかけての10年間にわたって、オスプレイには「死の罠」あるいは「未亡人製造機」とのレッテルが張られてしまい、“オスプレイ危険性神話”が浸透するに至った。
 しかし、海兵隊員・研究開発陣・ビジネス関係者らは、それぞれの“夢”(戦術的革新・技術的新機軸・経済的利益)を叶えるため粘り強い努力を重ね、徐々に“オスプレイ危険性神話”を払拭するに至り、2007年からは海兵隊と特殊作戦軍(空軍部隊)での運用が開始された。
 (ただし、依然としてオスプレイ開発を敵視していた「タイムズ」誌は、2007年に国防記者マーク・トンプソン氏の論説「V-22オスプレイ:空飛ぶ恥」を掲載して批判を続けた。運用開始から5年が経つ現在も、実際にオスプレイを運用している海兵隊オスプレイ飛行隊で、オスプレイに命を託している将兵が最も嫌っている人物はマーク・トンプソン氏である)
 戦闘地域で実際に使用してみると、オスプレイの速度、航続距離、高度、それに敵弾や故障に対する生存性などは、従来のヘリコプターを比べ物にならないほど凌駕していた。そのおかげで戦闘支援任務や救援活動などに優れた威力を発揮した。
 海兵隊や空軍特殊作戦軍にとっては、すでに老朽化してきたヘリコプター(「CH-46」「CH-53」)の後継機種として、各種作戦の成功と隊員将兵の命を託す夢の航空機が誕生したのである。
■“オスプレイ危険性神話”は過去のもの
 2007年6月にオスプレイの運用が開始されてから、5年ほど経過したが、その間イラクやアフガニスタンの戦闘地域での各種戦闘支援活動や特殊作戦、それにリビアやアメリカ国内での捜索救助活動など様々な任務を成功させた。2012年初頭には、海兵隊は97機のMV-22Bを、空軍は17機のCV-22を運用し、さらなる増強が図られている。
 ただし、実戦での運用が開始されてからの5年の間に合計3回オスプレイは墜落している。2010年4月にはアフガニスタンで灯火管制(敵に発見されないように全ての照明装置を点灯しない状態を保つ)をしながら暗視ゴーグルによって着陸中の空軍特殊作戦飛行隊のCV-22が墜落し、搭乗していた20名のうち4名が死亡した。
 2012年4月には、モロッコで、モロッコ軍と共同で併用戦訓練中の第24海兵遠征隊のMV-22Bが、海兵隊員を地上に降下させた直後に墜落し、搭乗員22名のうち4名が死亡した。
 2012年6月にはフロリダで特殊作戦軍訓練中の空軍CV-22が墜落した。幸いにも死者は出なかった。
 これらの墜落事故に対して、もちろん米国国内でも“オスプレイ危険性神話”を蒸し返して機械的欠陥あるいは構造的欠陥の危惧を呈する論調も皆無というわけではない。だが、1回目の墜落原因は、公式には「メカニカルトラブルが直接原因ではない」ということになっている。実際に、海兵隊も空軍も国防総省も事故発生後にオスプレイの飛行停止措置は講じていない。
 2回目と3回目の墜落事故原因に関する公式調査結果は、いまだ(7月14日現在)明らかになっていない。しかし、日本での“オスプレイ恐怖症”に鑑みて、この夏日本に配備されるMV-22Bオスプレイに関しては、3回目の事故原因が解明されるまでは飛行しない、という方針を打ち出しているものの、日本以外の世界各地に配備されている海兵隊と空軍のオスプレイに関しては飛行停止措置は取られていない。
 7月9日から15日まで開催されたイギリスのファーンボロウ航空ショーでは、海兵隊の「MV22B」が展示飛行を行い、国際マーケットにオスプレイの売り込みをかけている。
 ちなみに、昨年の航空ショーでは、アラブ首長国連邦がオスプレイに関心を示し、米国以外の国で初めてのオスプレイ販売・取得に向けての交渉が進められている模様である。そして、イスラエル空軍も購入を希望しているとのことである。
 さらに、現在進められているアメリカ大統領専用ヘリコプター(海兵隊第1ヘリコプター飛行隊が運用する)を新型機に交代させる機種選定プログラム(VXX)において、シコロスキー社+ロッキード・マーチン社の「VH-92」型ヘリコプターやアグスタ社+ウェストランド社の「AW101」型ヘリコプターと並んでベル社+ボーイング社の「V-22オスプレイ」が候補として名乗りを上げている。
 それとは別に、2013年からは海兵隊第1ヘリコプター飛行隊に12機のオスプレイが配備され、ホワイトハウス関係の要員や資機材の移動に使用されることになっている。
 要するに、ごく限られた“反オスプレイ派”の人々(例えばwww.g2mil.com)を除く国際社会では“オスプレイ危険性神話”は、すでに過去のものとなってしまったと言えよう。
■「安全性」をどのように定義するのか
 ところが日本では「死の罠」あるいは「未亡人製造機」といった過去の亡霊が復活し“オスプレイ恐怖症”が誕生した。
 この“神話”を振りかざしたオスプレイ配備反対派は「オスプレイの安全性が確実に明らかになるまで絶対に沖縄への配備は認めない」、さらには「安全性が確保されずに配備が強行された場合には普天間はじめ沖縄の海兵隊基地の閉鎖を要求する」といった強行姿勢を打ち出している。
 これに対して日本政府は「米国政府にオスプレイの安全性を保証させる」といったような対応をしている。
 ここで、問題なのは、「何をもって、オスプレイは安全であると見なすのか?」という“安全性の定義”である。
 おそらく、ティルトローター機の専門家など存在しない日本政府自身ではオスプレイの安全性を定義することはできないため、日本政府としては「米国側が安全だと保証しているから安全である」と主張するしかないのであろう。
 一方、反対派は「絶対に墜落しない」ことこそが、あるいは大幅に譲歩しても「墜落する確率が限りなく低い」ことが「安全である」ということなのだ、と主張するであろう。
 しかし、このような航空機の墜落可能性の確率的数字をめぐっての安全性の議論は、結局は主観の問題となり客観的な決着などは、そもそも無理な相談と言えよう。いくら米国政府がオスプレイの安全性に太鼓判を押しても、また“オスプレイ危険性神話”は過去のものであるという事例を紹介しても、オスプレイ配備あるいは上空の飛行に反対の人々の主観から“オスプレイ恐怖症”を取り除くことは至難の業と言わねばなるまい。
■「必要性」でオスプレイ配備の是非を語るべし
 例えば「オスプレイが墜落するのは100万回の飛行あたり1回程度の確率である」といっても、その1回が日本で絶対に起こり得ないという確証がない限り、オスプレイ反対派の人にとってはこの確率は何の意味も持たない。
 逆に「エアバスA330は400万回の飛行で1回程度墜落する確率である」といってもA330を利用するオスプレイ反対派の人たちにとって「オスプレイより4倍安全性が高い」という確率の数字はほとんど意味を持っていない。ただ自分たちが必要なルートを飛んでいる旅客機がたまたまA330であるから乗っているに過ぎないのである。
 必要なルートを「150万回に1回程度墜落する確率」のボーイング747しか飛んでいなくとも“必要である”ならばその飛行機に乗るのである。要するに「危険性の問題」ではなく「必要性の問題」なのである。
 つまり、オスプレイ配備反対派の人々は“オスプレイ配備の必要性”を認めていないのであり、“オスプレイの安全性”を攻撃材料にしているだけであり、これらの人々にとっては安全性の科学的説明などさしたる問題ではない。
 さらに、“オスプレイ配備の必要性”を認めない人々にとっては、オスプレイを必要としているアメリカ海兵隊が沖縄に駐留する必要性をも認めていないから、「必要性のない海兵隊が、必要性のないオスプレイを無理やり配備しようとしている」という二重の“負担意識”によって“オスプレイ恐怖症”に陥ってしまっている。
■日本国防当局の責務とは
 したがって、“オスプレイ恐怖症”を治療するには、以下のような“オスプレイ配備の必要性”を論理的に説明する必要がある。
(1)海兵隊的軍事組織が中核となる併用戦能力が日本防衛には欠かせない。
 (2)日本には自前の併用戦能力が存在しない以上、アメリカ海兵隊の日本駐留は必要である。
 (3)在日アメリカ海兵隊が沖縄を本拠地にするのは日本防衛にとって極めて有効である。
 (4)アメリカ海兵隊にとってヘリコプターやオスプレイをはじめとする航空機は必要不可欠である。
 (5)在沖縄海兵隊にとって現在保有しているヘリコプターをオスプレイに更新していくことは日本防衛も含めた戦略・作戦上必要不可欠である。
 ところが、日本政府は“オスプレイの安全性”で反対派の人々を説得しようと動き出している。極めて拙劣な戦略と言わねばなるまい。
 オスプレイの安全性も必要性も、結局は人々の主観の問題ではある。しかし、おそらくは絶対に墜落可能性がゼロにはならないであろう航空機の安全性を論点に据えていたのでは、絶対に解決は不可能である。
 “必要性”を論点に据えるということは、上述したように、日本防衛にとっての“必要性”という客観的に解決可能な場での議論を展開することができることになる。
 日本政府・防衛当局は、要人をアメリカに派遣して“安全性確認のための努力”というアリバイ作りをするよりは、上述したような日本国防の必要性に関して沖縄住民をはじめ国民に対して理解しやすい説明を懇切丁寧に、ただしスピーディーに実施する必要がある。
<筆者プロフィール>
北村 淳 Jun Kitamura
 戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は戦争&平和社会学・海軍戦略論。米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める。現在サン・ディエゴ在住。著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)等がある。
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国防のためにすべきことを行わない国家には、領土も領海も存在しないに等しい 『新・堕落論』石原慎太郎 2012-07-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
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田母神俊雄著『田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる』(産経新聞出版)


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