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オスプレイ岩国陸揚げ7月23日/日本及び日本人が真に自立するための要件 『新・堕落論』石原慎太郎

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石原慎太郎著『新・堕落論』新潮選書2011/7/20発行

    

p29〜
 さらにその結果、あの戦争を起こした日本だけを一方的に悪人とした、いわゆる東京裁判史観が、戦後において日本の近代史、現代史を考える基準にされてしまったのです。
 東京裁判でも外国人を含めて一部の弁護人が、あの戦争の中でアメリカが行った戦争における非道、つまり戦争の在り方を既定したジュネーブ条約違反を列挙してみせたが(〜p29)相手にはされなかった。
p30〜
 ジュネーブ条約では戦闘によって意識的に非戦闘員を殺してはならぬとありますが、アメリカの原爆投下は一瞬にして20万人を超す日本人を殺戮してしまった。
 その他の例としても(中略)制空権を失っていた首都東京に、アメリカの空軍司令官のルメイは、それまで高射砲の届かぬ亜成層圏を飛んでいたB29を超低空の2、3百?を飛ばせ、焼夷弾による絨毯爆撃をさせ一晩で十万人を超す都民を殺戮してしまった。
 これは相手側の記録にもあるが、その計画に一部のスタッフはこれはあきらかにジュネーブ条約違反だと反対したが、ルメイは「日本は薄汚い国だから、焼いて綺麗にするのだ」と公言しことを行ってしまったのです。その相手に日本は戦後、航空自衛隊の創立に功あったとして勲章を贈ったのだから馬鹿みたいに人のいい話だ。
 日本及び日本人が真に自立するために絶対に必要な精神的要件とは、連合軍が勝利者(〜p30)として一方的に行った東京裁判の歴史観を払拭することです。
p31〜
 そのための格好のよすががあります。敗戦後日本を統治君臨したマッカーサー元帥は、帰国後アメリカ議会で、日本が引き金を引いた太平洋戦争は、歴史的に、あくまで自衛の戦争だったということがわかった、と証言しているのです。その訳は、その頃になって、日本を開戦に追い込んだ悪名高いハル・ノートは国務長官だったコーデル・ハルが書いたものではなく、実は彼のスタッフだったホワイトという男がものしたということがわかり、さらにマッカーシー上院議員による赤狩りの中でホワイトがなんとコミンテルンの隠れたメンバーだったことが露見しホワイトは自殺に追い込まれた。
 モスクワの密命を受けたスパイが、ソヴィエトの南進の野心を遂げさせるために日本を戦争に追い込み、実際にソヴィエトは敗戦のどさくさに南下して日本の北方領土をかすめとってしまったのです。
 ハル・ノートとは、日本が近代化以来行った戦争、日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦での勝利の結果獲得した海外領土と種々権益を一切放棄して返さぬ限り、アメリカ、イギリス、フランスの国々は一切の物資の供給を停止するという過酷なものでした。戦争に反対し続けていた昭和天皇もそれを見て、ここまでいわれるのなら覚悟せざるを(〜p31)得まいと決心をされたのです。
p32〜
 アメリカ議会における、かつて占領時代の統治者マッカーサー元帥の重要な証言は、東京裁判を行わしめた当事者としての画期的な認識を示したものなのに、なぜか日本の政府、特に文部省はその重要な史実を教科書に載せることは禁止してきました。これは敗者の卑屈とか弱腰などというよりもまさに売国的な指導でしかありはしない。
 日本は売られた喧嘩をやむなく買ったのに、有色人種ゆえに野放図な侵略者として位置づけられ、それを一方的に断定した東京裁判のトラウマから未だに抜けきれずにいるのです。自らのことながら、情けないというより哀れといわざるを得ない。
p47〜
 しかし我々が敗戦から65年という長きにわたって享受してきた平和は、他国が願い追求努力して獲得してきた平和とはあくまで異質なものでしかありません。それは敗戦の後、この国の歴史にとって未曽有の他者として到来したアメリカという為政者が、あのニューヨークタイムズの漫画に描かれていたように、彼等にとっては異形異端な有色人種の造形した日本という、危険な軍事力を備えた怪物の解体作業の代償としてあてがったいびつな平和でしかありません。
 ドイツは敗戦後連合軍の統治下、国是として2つのことを決めました。1つは新生再建のための国家規範となる憲法はドイツ人自身が決める。2つは戦後のどいつにおける教育はドイツ人自身が決めて行う、と。我々に人がやったことはドイツと正反対のものでしかなかった。
 我々は、他人が彼等の目的遂行のために造成しあてがった国家の新しい規範としての(〜p47)憲法と引き換えに、自らの手で造成に努めることなしに、いや、努めることを禁じられた囲われ者へのお手当としての平和を拝受してきたのでしかありません。
p48〜
 平和は自ら払うさまざまな代償によって初めて獲得されるもので、何もかもあなたまかせという姿勢は真の平和の獲得には繋がり得ない。(以下略)
p49〜
 戦後から今日までつづいた平和の中で顕在したものや、江藤淳の指摘したアメリカの手によって『閉ざされた言語空間』のように隠匿されたものを含めて、今日まで毎年つづいてアメリカからつきつけられている「年次改革要望書」なるものの実態を見れば、この国がアメリカに隷属しつづけてきた、つまりアメリカの「妾」にも似た存在だったことは疑いありません。その間我々は囲われ者として、当然のこととしていかなる自主をも喪失しつづけていたのです。
 未だにつづいてアメリカから突きつけられる「年次改革要望書」なるものは、かつて自民党が金丸信支配の元で小沢一郎が幹事長を務めていた時代に始まりました。
p51〜
 あれ以来連綿とつづいているアメリカからの日本に対する改革要望書なるものの現今の実態はつまびらかにしないが、ならばそれに対して日本からその相手にどのような改革要望が今出されているのだろうか。国際経済機関に属している先進国で、こうした主従関係にも似た関わりをアメリカと構えている国が他にある訳がない。
 トインビーはその著書『歴史の研究』の中で歴史の原理について明快に述べています。「いかなる大国も必ず衰微するし、滅亡もする。その要因はさまざまあるが、それに気づくことですみやかに対処すれば、多くの要因は克服され得る。しかしもっとも厄介な、滅亡に繋がりかねぬ衰微の要因は、自らに関わる重要な事項について自らが決定できぬようになることだ」と。
 これはそのまま今日の日本の姿に当てはまります。果たして日本は日本自身の重要な事柄についてアメリカの意向を伺わずに、あくまで自らの判断でことを決めてきたことがあったのだろうか。これは国家の堕落に他ならない。そんな国家の中で、国民もまた堕落したのです。(〜p51)
p66〜
  「核の傘」という幻
 アメリカによる日本統治は実に巧みに、実に効果的に運ばれてきたものだとつくづく思います。
 その象徴的な証左は広島の原爆死没者慰霊碑に記された「過ちは繰返しませぬから」という自虐的な文言です。これでは主語は我々日本人ということになる。過ちを犯したのは、彼らアメリカ人ではないか。(略)
 人類にとっての原爆の悲劇性について実は1番肝に銘じていたのは、原爆の被害者たちの他には、原爆を造った当人のオッペンハイマーだったと思います。(〜p66)
p67〜
 彼の伝説を読めば彼が逡巡しながらものした原爆の絶大な効果に彼自身が強い衝撃を受け、人間としての良心から原爆につづいての水爆製造に携わることを拒否し、非米活動委員会で非国民として糾弾されたことでもわかります。(略)
 慰霊碑に記されている「過ちは繰返しませぬから」という自虐的言葉の呪縛は、日本が持てる技術力によって核兵器を製造保有することをタブーにしてしまいました。
 世界で初めての原爆投下で、瞬時にして20万余の非戦闘員を殺してしまったのはアメリカ人であって他の誰でもありはしない。あの強力な破壊兵器の使用について、それを過ちとして反省すべきはアメリカ人であって、その相手の殺された日本人であるはずがない。記念碑の文言の主語があきらかに違っています。
p71〜
 私がコロラド州のコロラドスプリングズの、頭上で相手の水爆が爆発しても警備システムの機能が損なわれないためにと、アメリカ中で1番硬質な岩で出来ているシャイアンマウンテンをくりぬいて、上下、前後左右、幅1メールもあろう巨大な鋼鉄のコイルで作られた螺旋の幅数メートルのスプリングで支えられ、つまりくりぬかれた山中の虚空に宙吊りにされた、容積は当時日本に出来たばかりのマンモスビル、霞が関ビル(〜p71)ほどのNORAD本部を訪れた時、丁度アジアからの新聞記者団が訪問中だったが、議員の私と彼らは別待遇で、私は司令官にじきじきの案内でかなりの奥部までを視察出来ました。
p72〜
 その結果私が得た認識は、現地における彼等の説明の通りだと、彼等が日本で口にしている、アメリカに依る核戦略での日本への抑止力なるものは機能的に存在はしないということだった。
 私がそういったらNORADの司令官は、
「当たり前ではないか、第一、アメリカの核戦略展開はあくまでアメリカ自身のためのものであって、それ証かすようにこの警備本部の名前を見てみろ。ノース・アメリカとは、アメリカ本土とアメリカに隣接している東部カナダの1部であって、日本が我々の警備体制の管轄内に入る訳がない。日本は我々の国からは遠すぎ、ソヴィエトからは近すぎる。
 我々は重要な海軍基地のあるハワイをも敢えて見殺しにするだろう。ハワイが攻撃を受ければこれは歴然とした攻撃と見なせるし、もし彼等がハワイを飛び越して来たら、彼等を迎撃して撃ち落とすのはハワイからカリフォルニアの間の海というきわどい作業になるはずだ」
「ということは、この基地を基点とするアメリカの核戦略は日本に対する警備力も抑止力も全く持たぬということか」
 念を押して質したら、
「その通りだ。政治家たちが何を言っているかは知らないが、我々にはそんな力はないし、つもりもない。この時代にそれが心配なら、何で日本は自前の核を持って相手を牽制しないのだ」
 と言い返され私は言葉がありませんでした。
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オスプレイ岩国陸揚げ 市長「不信感と憤り」
中日新聞2012年7月23日 08時54分

   

米軍岩国基地に陸揚げされたオスプレイ=23日午前8時11分、山口県岩国市で共同通信社ヘリから
 米政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備を計画する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機を載せた民間輸送船「グリーンリッジ」は23日早朝、配備前の一時駐機のため米軍岩国基地(山口県岩国市)に到着、陸揚げが始まった。
 福田良彦岩国市長は記者団に「安全性が確認されるまで入港すべきでないと要請してきた。国に届かず不信感と憤りを覚える」と強調。二井関成山口県知事と近く上京し、森本敏防衛相らに抗議する考えを示した。
 日米両政府は安全性を確保した上で本格運用する考えで、10月の運用開始方針を変えていない。
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〈来栖の独白 2012/7/23 Mon.〉
 石原慎太郎著『新・堕落論』から、本エントリでは対米に関する部分を抜粋転写した。
 オスプレイ受け入れについて沖縄、岩国のみならず日本中がひっくり返ったような騒ぎだ。本朝、岩国への陸揚げがなされた。
 安保条約・核密約・基地移転問題も然りだが、火の粉を消そうとするだけでは何の解決にもならぬ。この国(日本)は、六十余年の長きにわたって間違ってきた。自虐思想(アメリカの巧みなマインドコントロール)に囚われ、敗戦後一度たりとも自分で自国を守ろうとしなかった。どこの国だって、命がけで国を守る、領土・国土を守ろうとする。なのにこの国は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し」戦争放棄といった耳触りの良い絵非現実を宣言してしまった。諸国民に尊敬されるなどと思ったら大間違いだ。自国を真剣に守ろうとしている諸国民は、あきれ果てているに違いない。
 もはや遅いが、しかし、独立国となるために今からでも憲法を創設すべきだ。占領国に依ってあてがわれた、占領国に都合の好い憲法に何の疑義も抱かず「護憲」などという人たち。ならば、本日のオスプレイ導入にも、文句を言わなければよい。オスプレイ導入も、憲法の謳う米隷属のもたらす果実ではないか。歓迎すればよい、御主人アメリカ様のなさることだ。
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国防のためにすべきことを行わない国家には、領土も領海も存在しないに等しい 『新・堕落論』石原慎太郎 2012-07-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
p74〜
 沖縄返還に関して、有事の際の核の持ち込みを認める密約が明らかになり、それが国民への配信のごとく騒がれましたが、当たり前のことではないか。日本に戦略基地を構え、安保に依って日本を守る約束を(一応)しているアメリカが有事の際でも日本人の奇矯な核に関するアレルギー、というよりも非核のセンチメントに気兼ねして有力な兵器の持ち込みをしないなら大層危ない話だし、敵に乗じられることにもなる。
 若泉敬はその著『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』の中で持ち込みの密約についての苦衷を述べていますが、そんなことより、実は彼も当時の佐藤総理も、アメリカの核の抑止力なるものがはなはだ当てにはならぬということを知っていたということです。しかしなお、この際沖縄は取り戻すべきものとしてとりあえず取り戻そうということだったのでしょう。
 先年、当時の自民党政調会長を務めていた中川昭一議員が、日本もそろそろ核の保有についての議論をかまえてもいいのではないかと発言しただけで、当時のアメリカ政府のナンバー2的存在だったライス国務長官が急遽飛んできて、アメリカは必ず核兵器によって日本を守るからそうした発言を控えてくれと抑制したものでした。中川氏の発言の余韻はそれきり消えてしまったが、まさかそういわれて誰しもがまたぞろアメリカのいい分を信じ直した訳でもありますまい。
 中川の発言はさまざま討論の余地はあろうが、しかしその前に我々は国家の命運に関わる重要な問題を、こと核問題に限らず自分自身のこととして考え討論するという、国家、国民としての当然の習いを忘れてしまったのです。現実に我々が我事として考え討論すべき問題を決めるのはまず実質的統治者であるアメリカであって、我々ではありえない。ことの結論を決めるのは、決め得るのは、我々ではなしに日本を囲い者として収奪しているアメリカという旦那でしかない。こんな危ない、馬鹿な話があるものか。
p76〜
 日本の核保有に関して、私と、もう一人複雑な思いを抱えていた若泉敬にとって極めて印象的な思い出があります。ある機会に私はかつて強い影響を受けた、サルトルと並んで戦後のフランスにおける実存主義の旗手の一人だった哲学者のレイモン・アロンとの知己を得て以来彼が来日する度会って会話を楽しみましたが、ある時親友の若泉を伴って会食したことがあります。
 その時話題が世界の核に及んだらアロンが、
「日本は何故自ら核兵器をもとうとしないのだ。世界で核を保有する権利が最もあるのは、世界で唯一の被爆国の日本以外にありはしないのに」と詰問してき、何か言い訳をしようとした若泉を遮って、
「日本にはドゴールのような指導者はいないのか。我々は我々の危機に及んでの、友人と称する他国の善意を信じることはあり得ない。君ら一体何を根拠に他国の善意なるものを信じようとするのか」
 といわれ返す言葉がありませんでした。
p77〜
 若泉にとってその時の会話はよほど肺腑をえぐるものだったらしく、彼はその後すぐに生まれた次男に核という名前をつけましたが。
 現代この時点で核戦略に関する議論は新しい技術体系を踏まえてさまざまあり得よう。核兵器による攻撃は弾道ミサイルで運ぶ以外に、潜水艦からの発射や巡航ミサイル、あるいは今日では宇宙船搭載による等。しかし日本という狭小な国家は、今日の水爆ならばただの2発で全滅してしまいます。そんな国が、例えばまず1発の水爆で半ば消滅しかけているのに、それを救うべく他の一体誰が自らの危険を冒して乗り出してくるだろうか。
 特に中国が「軍民統合、平戦結合、以民養軍、軍品優先」なる16文字政策によって1989年から2006年にかけての17年間に軍事予算をなんと8倍に増やし、核に関しても十分な抑止力を超えた装備を備えた今、彼らのいうように「中国の国防は純粋に自衛のためのもの」と信じる者はどこにもいません。今限りで中国がいずれかの国に対して直接武力による侵犯を行う意図はうかがえぬにしても、日本との間にある尖閣諸島周辺の資源開発問題や、あるいは領土権そのものに関しての紛糾の際に、その軍事力はさまざまな交渉の際の恫喝の有効な手立てとなってくるのです。
p79〜
 しかしその間中国の潜水艦は沖縄の島々の間の海峡を無断で通過するという侵犯を敢えて行い、日本側はそれに抗議するだけにとどまる不祥事がつづき、日本側は、本来なら警告の爆雷投下ぐらいはすべきだろうに放置してきました。これがもし日本の潜水艦が中国なり北朝鮮、いや韓国の領海にしても無断で押し入ったなら当然撃沈されるされるでしょう。それが「国防」というものだ。国防のためにすべきことを行わない国家にとっては、領土も領海も存在しないに等しい。
 この尖閣問題はさらに今後過熱化され、日本、アメリカ、中国三者の関わりを占う鍵となるに違いない。要はアメリカは本気で日米安保を発動してまで協力して尖閣を守るかどうか。守るまい、守れはしまい。
p81〜
 尖閣諸島への中国の侵犯に見られる露骨な覇権主義が、チベットやモンゴルと同様、まぎれもなく、この国に及ぼうとしているのに最低限必要な措置としての自衛隊の現地駐留も行わずに、ただアメリカ高官の「尖閣は守ってやる」という言葉だけを信じて無為のままにいるこんな国に、実は日米安保条約は適応されえないということは、安保条約の第5条を読めばわかることなのに。後述するが、アメリカが日米安保にのっとって日本を守る義務は、日本の行政権が及ぶ所に軍事紛争が起こった時に限られているのです。
 つまりあそこでいくら保安庁の船に中国の漁船と称してはいるが、あの衝突の(略)アメリカはそれを軍事衝突とはみないでしょう。ましてその後ろにいるのが中国としたら、アメリカの今後の利害得失を踏まえて本気のコミットメントは控えるに決まっている。
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藤原正彦著『日本人の誇り』 2011-08-15 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
 『日本人の誇り』藤原正彦著(文春新書)

    

p58〜
 「明治・大正・昭和戦前は、帝国主義、軍国主義、植民地主義をひた走り、アジア各国を侵略した恥ずべき国。江戸時代は士農工商の身分制度、男尊女卑、自由も平等も民主主義もなく、庶民が虐げられていた恥ずかしい国。その前はもっと恥ずかしい国、その前はもっともっと・・・」
 占領後、アメリカは米軍による日本国憲法制定を手始めに、言論統制、「罪意識扶植計画」等により、日本をアメリカに都合の好い属国に造り替えてゆく。
p63〜
 GHQすなわちアメリカはまず新憲法を作り上げました。GHQ民生局が集まり1週間の突貫工事で作ったのです。憲法の専門家はいませんでした。まず前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書きました。アメリカは他国の憲法を自分達が勝手に作るというハーグ条約違反、そしてそれ以上に恐るべき不遜、をひた隠しにしましたが、この文章を見ただけで英語からの翻訳であることは明らかです。「決意した」などという言葉が我が国の条文の末尾に来ることはまずありえないし、「われら」などという言葉が混入することもないからです。いかにも日本国民の自発的意志により作られたかのように見せるため、姑息な姑息な偽装を施したのですが、文体を見れば誰の文章かは明らかです。そのうえ、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と美しく飾ってみても、残念なことに「国益のみを愛する諸国民の権謀術数と卑劣に警戒して」が、現実なのです。
 ともあれこの前文により、日本国の生存は他国に委ねられたのです。
 第9条の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」は前文の具体的内容です。自国を自分で守らないのですから、どこかの国に安全保障を依頼する以外に国家が生き延びる術はありません。そして安全保障を依頼できる国としてアメリカ以外にないことは自明でした。すなわち、日本はこの前文と第9条の作られたこの時点でアメリカの属国となることがほぼ決定されたのです。この憲法が存在する限り真の独立国家ではありません。中国に「アメリカの妾国」と馬鹿にされても仕方ないのです。(〜p64)
p120〜
 私は大虐殺の決定的証拠が1つでも出てくる日までは、大虐殺は原爆投下を正当化したいというアメリカの絶望的動機が創作し、利益のためなら何でも主張するという中国の慣習が存続させている、悪質かつ卑劣な作り話であり、実際は通常の攻略と掃討作戦が行われただけと信ずることにしています。さらに事を複雑にしているのは日本国内に、大虐殺を唱え続けることこそが良心と平和希求の証し、という妄想にとらわれた不思議な勢力があることです。「南京大虐殺」は歴史的事実ではなく政治的事実ということです。事実であるという決定的証拠が1つでも出るはるか前に、「カチンの森」が事件発生50年後のソ連崩壊時に告白されたごとく、「南京大虐殺」の真実が、アメリカの情報公開で明るみに出るか、中国の一党独裁崩壊後に告白されるのではないかと考えています。
 ただし、アメリカは時が来れば何でも情報公開する公平でオープンな国のように見えますが、肝心のものは公開しません。真珠湾攻撃前1週間の暗号解読資料とかケネディ大統領暗殺犯などについては、今もすべてを出そうとしません。南京事件が原爆投下と関係しているとしたら容易には出さないでしょう。
 南京の話が長くなったのは、これが未だに日本人を委縮させているからです。中国に対して言うべきことも言えないでいる理由だからです。尖閣諸島が中国のものと言っても、自分から体当たりしてきて謝罪と賠償を高らかに唱えても、怒鳴りつけることもできず、下を向いたまま「領土問題は存在しません」とつぶやくだけの国となっているからです。
 20年以上にわたり毎年10%以上も軍事費を増加させるという中国の異常な軍備拡大に抗議するどころか、すでに6兆円を超すともいわれる巨額のODAを与え、さらに援助し続けるのも、自らの対中防衛力を高める努力もしないでハラハラしているだけなのも、中国の不当な為替操作を非難しないのも、「南京で大虐殺をしましたよね」の声が耳にこだまするからです。中国の対日外交における最大の切り札になっているのです。(〜p121)
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自分の国は自分で守る決意/境外を保護するのは法律、正義、自由ではない。国際法も国力の強弱に依存2011-01-12 
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【欠陥憲法 新しい国づくりへ】(5)平和主義条項 柔軟な改正、世界の潮流 2012-05-07 | 政治 
 【欠陥憲法 新しい国づくりへ】
(5)平和主義条項 柔軟な改正、世界の潮流
産経ニュース2012.5.3 08:05
 「現時点でわが国の関与のあり方について検討が始まったわけではないが、今後、慎重な検討を要する」
 アサド政権による反体制派弾圧が続くシリアへの停戦監視団の派遣について藤村修官房長官は4月26日の記者会見で慎重な考えを示し、見送りを示唆した。
 シリアでは停戦監視団の先遣隊が訪問すると戦火が収まるが、引き揚げると、シリア政府軍が市民に攻撃を加え、暴力行為を働くなどの「いたちごっこ」のような状況が続いている。
 国連によるとシリアでは昨年から市民ら9千人超が命を落とした。国連はシリアに国連平和維持活動(PKO)として停戦監視団の本隊を派遣し、日本にもその要員派遣を求めた。
 だが、日本は消極的だ。憲法との絡みで「紛争当事者間の停戦合意」など国連平和維持活動の参加5原則を満たす必要があるからだ。元航空自衛隊幹部で軍事評論家の佐藤守氏は「そもそも平和維持活動の参加に『現地の安全が必要』というのはおかしな話。平和を勝ち取るという発想が9条にはないためで、隊員は浮かばれない」と嘆く。
                 ×   ×
 「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
 現行憲法には数多くの“神話”が存在する。前文もそのひとつで「平和を愛する諸国民」とは外国の諸国民を指す。多くの国民が「国家」「軍」について必要悪と考え、耳にしただけで忌避するステレオタイプの思考が染みついている。
 しかし、日本周辺の安全保障情勢は険しさが増す一方だ。北朝鮮はミサイル発射を強行し、核開発をちらつかせる。中国は海軍力を増強させながら、日本固有の領土である尖閣諸島に触手を伸ばそうとしている。
 軍事力を敬遠するだけで、平和な世の中が保てるのか。自らの安全と生存、主権や独立を守る備えが、こうした諸国民の「公正と信義に信頼」することだとする憲法前文と現実との乖離(かいり)は誰の目にも明らかになりつつある。

 

                 

 世論調査で憲法改正の反対理由の上位に「現行憲法は世界に誇る平和憲法だから」と挙げられることが多い。「日本国憲法は世界で唯一の平和主義の憲法」という“神話”も存在するからだ。だが、世界各国を見ると、平和主義は日本固有の規定ではない。憲法9条の「武力による威嚇または武力の行使」などの文言は1945年6月に制定された国際連合憲章の影響とされ、憲章制定後の各国憲法では、平和主義条項を盛り込むのがむしろ一般的だ。
 「平和」を国家目標にした国もあれば「常備軍の原則的不保持」を掲げる国もある。「侵略戦争または攻撃的戦争の否認」「国際協調(平和共存)」「内政不干渉」「中立政策の推進」「国連憲章の尊重・順守」「紛争の平和的解決」とさまざまで駒沢大学の西修名誉教授によると、何らかの形で平和主義条項を盛り込む国は157カ国に及ぶ。日本国憲法のみが平和主義条項を持つという認識は誤りで、平和主義を憲法に規定しつつも「平和主義=非武装」と考えている国家は皆無ということだ。
 「現行憲法は世界的に新しい」という認識も広くある。しかし、世界192の独立国で成典憲法を持つ178カ国のうち、日本国憲法は古い方から数えて14番目。しかも日本より古い13憲法はその全てが憲法改正を図っている。「新しい部類どころか、きわめて古い憲法」(西教授)で、憲法が現実に合わなくなると、柔軟に改正に踏み切る。これが世界では一般的な考えのようだ。=おわり
 ・この企画は社会部・安藤慶太、政治部・榊原智、峯匡孝、外信部・田中靖人、雑誌正論編集部・小島新一が担当しました。
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