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柳条湖事件・尖閣/日本という国はアメリカの安手の「玩具」 世界の流れからから取り残された「孤島」

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柳条湖事件・尖閣…中国各地で反日デモ
 【北京=加藤隆則、広州(広東省)=吉田健一】満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)の発生日にあたる18日、中国各地では早朝から日本政府の尖閣諸島国有化に抗議するデモが起きた。
 尖閣諸島は「戦争で奪われた」と主張し、尖閣問題を歴史問題と位置づけたい中国政府は、この日もデモを容認。「日本が歴史的事実を踏みにじっている」(中国外務省)とアピールする意図を明確にした。
 18日正午(日本時間午後1時)現在、北京や上海、広州、重慶、湖南省、河南省など60か所以上でデモが確認された。
 柳条湖事件から81年の記念式典が行われた瀋陽にある日本総領事館前には、約3000人が集まり、抗議行動を行った。デモ隊の投石などにより、領事館の窓ガラス10枚が割られた。
(2012年9月18日13時52分  読売新聞)
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尖閣諸島国有化で「反日」気運はまさに"開戦前夜"!? 日中国交正常化40周年を目前に極まる野田政権の「外交鈍感力」
現代ビジネス2012年09月17日(月)近藤 大介〈近藤 大介北京のランダム・ウォーカー〉
 9月14日午後、北京の日本大使館。公安や武装警察が取り巻き、ものものしい警備が続いていた。日本大使館がこれほどの緊張感に包まれるのは、久々のことだ。
 これに先立って日本大使館へ向かって乗ったタクシーでは、運転手がのべつ幕なしにがなり立てた。
 「日本人はもはや我が民族の敵だ! 一刻も早く人民解放軍が乗り込んで、釣魚島を奪取すべきだ!! 13億人民が対日開戦を支持している!!!」
 9月12日に、日本政府が20億5,000万円で尖閣諸島を購入したことで、中国の反発が一気に高まっている。
■オール霞が関で臨んだ天津の「ジャパンナイト」
 話は、その前日の9月11日夜に遡る。この日、北京の外港にあたる天津の日航ホテルで、「ジャパンナイト」と題するイベントが開かれた。主催したのは日本政府である。
 日本政府が主催するジャパンナイトは、世界中で年に2回しか開かれない。1月の「冬のダボス」のスイスと、9月の「夏のダボス」の中国だ。この年に2回のダボス会議において、2000人を超す世界のVIPが、それぞれスイスと中国に集結するということで、日本文化を世界にアピールしようと、首相官邸が音頭を取って催すイベントがジャパンナイトというわけだ。
 私も今回の天津のジャパンナイトに参加した。開場の18時半過ぎに会場に着くと、世界中のVIPたち500人ほどが集結し、ものすごい熱気である。入口正面では、「松竹梅」の樽酒から大吟醸の小瓶まで、日本中の高価な清酒が振る舞われている(焼酎も置かれていたが、外国人は一般に焼酎は好まない)。右手の寿司コーナーでは、一人たった3貫の握り寿司のために、50人以上が長蛇の列を作っているではないか。
 日航ホテルの日本食レストランから抜擢されたという3人の天津人の寿司職人は、計3時間にわたって、手が腫れ上がるほど寿司を握り続けた。また正面左手では、和服美人たちが茶道教室を開いて、日本茶を振る舞い、歓喜した外国人たちがしきりにフラッシュを焚いている。
 そして正面の壇上には、AKB48の二人のメンバーが上がり、大歓声を受けている。左手側面では、「空を越えて〜♪」という音楽と共に鉄腕アトムが放映されていたり、華やかなファッションの日本の女性誌が並べられている。右手側面では、日本の最新のグリーン&クリーン・テクノロジーが展示され、世界一清らかな純水が振る舞われたりしている。
 会場で主催者の一人に聞いた。
 「今回は、寿司コーナーを農水省が、日本酒コーナーを財務省が、そしてメインイベントのAKB48の二人のメンバーの招聘は外務省が行うなど、いわばオール霞が関で臨みました。日航ホテルを会場に選んだのは、生もの(寿司のネタ)を取り扱うのは厳禁と、ウエスティンを始め他の一流ホテルに軒並み断られたからです。
 また、『就労ビザがない』という理由で、天津市当局からAKBのメンバーによる歌も禁止されたため、壇上の"おしゃべり"だけに切り替えました。彼女たちは、今度上海でデビューする予定です。いろいろと制約を受けはしましたが、これほど盛り上がるとは、やはり行ってよかったと思いました」
■”パンドラの箱”を開けてしまった野田首相
 このイベントには、中国からも多数のVIPが参加した。その中の一人で、いま中国で最も著名な経済学者の李稲葵・清華大学教授は、純米大吟醸のグラスを傾け、頬を赤らめながら、私にこう語った。
 「日本政府がこのような草の根イベントを開くのは、大変大事なことです。中日間の貿易は年間3,000億ドルを超えますが、さらに発展の余地を残しています。中国人はまだまだ日本というものを知らないので、こうした地道な努力の積み重ねこそが、両国関係のさらなる発展を促すのです」
 ジャパンナイトは夜9時半でお開きになったが、終了時間になっても名残惜しくて会場を出ない人々が数多くいた。野田政権は緊縮財政を謳っているが、その中で行ったこの盛大なジャパンナイトのイベントは、大成功だったと言える。
 ところが、である。野田首相は翌12日、ついに「日中開戦」にも至りかねない"パンドラの箱"を開けてしまった。冒頭述べた日本政府による尖閣諸島購入である。これによって、多額の予算をかけたジャパンナイトの効果も、一瞬で吹っ飛んでしまった。
 ジャパンナイトどころか、今月は日中国交正常化40周年の記念の月だというのに、慶祝ムードは完全に吹っ飛んでしまった。一般の中国人は、「対日宣戦布告」を声高に叫び始める始末である。野田政権の「外交鈍感力」のツケが、ここへ来て回ってきたと言える。
 今月は、数多くの日中交流イベントが予定されていたが、バタバタと中止を余儀なくなれている。中国→日本で言えば、有名歌手の孫楠の日本コンサート、有名作家の余秋雨の京都訪問などが取りやめとなった。10月1日の国慶節(建国記念日)の大型連休前後で中国康輝旅行グループが企画していた「5万人の訪日ツアー」も中止となった。
 日本→中国で言えば、福島復興の「目玉」と日本側が期待していた福島−上海直行便の開設が中断された。9月12日に佐藤雄平福島県知事が、上海東方航空集団の劉紹勇総経理と、上海で大々的な署名式典を予定していたが、中国側がドタキャンした。9月25日に予定されていた「谷村新司中国公演」も中止を余儀なくされた。その他、大小多数の交流イベントがお流れとなった。
■過去40年で最高潮に盛り上がる「反日」の気運
 北京の日本大使館関係者が明かす。
 「9月27日には、人民大会堂で、胡錦濤主席も出席して大々的な40周年記念式典が予定されていますが、この分では中止される可能性が高いと思います。かつて小泉政権時代に、日中関係は『政冷経熱』と言われましたが、いまやあの当時を遥かに凌ぐ危機です。このままでは『政冷経冷』となり、日本経済に大打撃を与える危険があります」
 実際、中国全土では、過去40年で最高潮に「反日」が盛り上がっている。自己所有のホンダ車に、「勿忘国恥」(国辱を忘れるなかれ)と書いたステッカーを貼って、車を燃やした青年が英雄視されている。また、三秦市には「釣魚島酒店」(尖閣諸島ホテル)という名の「愛国ホテル」がオープンし、大盛況となっている。
 野田政権が尖閣諸島を購入した現在、日中間の綱引きで言えば、タマは中国側にある。中国は今後、どんな対抗手段に出てくる可能性があるのか。
 上海復旦大学の瀋逸教授は、中国メディアで次のような「三歩戦略」を提起した。それは第一に、中国国内での日本製品ボイコット、第二に、尖閣諸島域内での海洋巡視船などによるプレッシャー、そして第三に、国際社会に中国の主張を伝播拡散していくことである(2008年のチベット危機の時は、英語で中国の立場を国際社会にアピールして効果があったという)。
 また、中国で最も有名な日本の専門家である劉江永・清華大学教授は、さらに物騒な意見を開陳した。
 「日本製品ボイコットは前世紀前半に日本が中国を侵略していた時代の古典的手法であって、これだけ世界中の新製品が中国市場に溢れている現在は、有効な手段とは言えない。それよりもわが国の軍事能力を増強することの方が大事だ」
 さらに、中国の著名な外交戦略家で中国海事仲裁員でもある万猛・北京外大法学院長は13日、私に空恐ろしい予言をした。
 「もはや日本はルビコン川を渡ってしまった。今後、釣魚島を巡って中日が戦争となる確率は、3割くらいあると思う。着々と開戦準備を始める人民解放軍と、それを支持する国民を、政府が抑えられなければ、即開戦となるだろう」
 まさに日中開戦前夜---こうなってくると、最も大事なのは、西太平洋地域の海域を仕切っているアメリカの立場である。この春の中国とフィリピンの「黄岩島」を巡る一触即発の危機の際には、梁光烈国防大臣が一週間にわたって訪米し、アメリカを説き伏せて、強硬なフィリピンを沈静化させた。
 今回は、パネッタ米国防長官が9月16日に訪日し、17日に野田首相、玄葉外相、森本防衛相の3首脳と会談する予定だ。パネッタ国防長官はその後、北京入りする。
■魔法の杖を持っているのは日本ではない
 そんな中、中国共産党機関紙『人民日報』傘下の国際情報紙『環球時報』(9月14日付)は、次のような興味深い社説を掲載した。少し長くなるが、その要旨をお伝えしよう。
 < 米下院の外交委員会は12日に公聴会を開き、多くの発言者が中国の南シナ海や西太平洋での行動を、「隣国を欺くものだ」と非難した。日本人にはさぞ心地よく聞こえたに違いないが、アメリカが他国の国益のために戦争に加担すると思ったら大間違いだ。アメリカ人が「釣魚島の防衛は日米軍事同盟の適用範囲内だ」と言ったことで欣喜雀躍しているが、中国は少しも動じることはない。
 釣魚島の問題は、中日間にとっては大事だが、実は中米関係の中の一局面に過ぎない。いまや中米間において"小日本"の問題は、ますます矮小化してきており、中米関係の大局という観点から見れば、日本という因子は決して決定的な要因とはならない。
 アメリカは確かに、日本という"駒"を使って中国を混乱させようとしている。だが中国は、釣魚島問題の背後にアメリカがいることくらい、折り込み済みだ。
 日本という国は、言ってみればアメリカのオモチャのようなものだ。しかも安手のオモチャであって、その価値は、もう一つのオモチャであるフィリピンと同等だ。その日本とフィリピンが手を組んで中国に対抗しようとしているが、いまや中国の国力は、この2ヵ国を遥かに凌駕している。
 アメリカから見れば、この両国は中国を牽制するための「二つの駒」であって、アメリカの核心的利益からは程遠い。つまり他にもっと核心的な利益があれば容易に交換可能なものなのだ。例えばアメリカと中国が決定的な対立を起こせば、アメリカも多大な損害をこうむることになる。アメリカはそのことを熟知しているからこそ、中国の地雷に火をつける導火線をいくつも持っているにもかかわらず、そのどのボタンも決して押そうとしない。
 だからアメリカが、本気で日本やフィリピンに加担することはない。この2国はアメリカにとってバービー人形の姉と妹のようなもので、どちらも単にあやす相手に過ぎないのだ。
 確かにアメリカは、日本というバービー人形を買った。だが中米が同じテーブルに着けば、このバービー人形は中米で一緒に遊ぶオモチャとなる。つまり中米両国で冷静に、このバービー人形がブルドッグとならないよう対処すればよいのだ。
 中日間の争いは、長期的に見れば中国が勝利するのは自明の理だ。日本の戦略は、この中日間の問題を中米間の問題に拡散させ、アメリカを味方に引き込もうということだ。だが魔法の杖を持っているのは、日本ではなくて、アメリカと中国なのだ。世界における日本の戦略的地位は、日増しに矮小化している。そのうちこの日本というバービー人形は、ロシアにも玩ばれることになるのではないか。
 もしも本当に中米が激突するとなると、日本は両大国に挟まれた「西太平洋の火薬庫」となるだろう。そうなったら、真っ先に混乱するのは日本自身だ。
 日本はそれでも、アメリカが日米同盟を翳して釣魚島問題で助けてくれると思っているのだろう。その一点だけを見ても、日本は国際秩序のゲームのルールを分かって参加するプレーヤーの資格がないと言える >
 一触即発の日本と中国、そして介在するアメリカ---。田中角栄首相と周恩来首相が、「将来の末永い友好のために」と宣言して茅台酒のグラスを重ねた日中国交正常化から40周年にあたる記念日は、9月29日に迫っている。
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『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』日高義樹著《ハドソン研究所首席研究員》
2012年07月25日1刷発行 PHP研究所
 

          

p1〜
まえがき  
 日本の人々が、半世紀以上にわたって広島と長崎で毎年、「二度と原爆の過ちは犯しません」と、祈りを捧げている間に世界では、核兵器を持つ国が増えつづけている。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に加えて、イスラエル、パキスタン、インドの3ヵ国がすでに核兵器を持ち、北朝鮮とイランが核兵器保有国家の仲間入りをしようとしている。
 日本周辺の国々では核兵器だけでなく、原子力発電所も大幅に増設されようとしている。中国は原子力発電所を100近く建設する計画をすでに作り上げた。韓国、台湾、ベトナムも原子力発電所を増設しようとしているが、「核兵器をつくることも考えている」とアメリカの専門家は見ている。
 このように核をめぐる世界情勢が大きく変わっているなかで日本だけは、平和憲法を維持し核兵器を持たないと決め、民主党政権は原子力発電もやめようとしている。
 核兵器を含めて武力を持たず平和主義を標榜する日本の姿勢は、第2次大戦後、アメリカの強大な力のもとでアジアが安定していた時代には、世界の国々から認められてきた。だがアメリカがこれまでの絶対的な力を失い、中国をはじめ各国が核兵器を保有し、独自の軍事力をもちはじめるや、日本だけが大きな流れのなかに取り残された孤島になっている。
 ハドソン研究所で日本の平和憲法9条が話題になったときに、ワシントン代表だったトーマス・デュースターバーグ博士が「日本の平和憲法はどういう規定になっているか」と私に尋ねた。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
 私がこう憲法9条を読み上げると、全員が顔を見合わせて黙ってしまった。一息おいてデュースターバーグ博士が、こういった。
「おやおや、それでは日本は国家ではないということだ」
p22〜
 核分裂は、フランスやイギリス、ドイツ、アメリカ、ソビエトでは普通に得られる情報になっていたため、そこから原子爆弾の製造という構想が出てくるのは当然だった。日本では、核分裂や放射能についての関心はあったものの、爆弾をつくる計画には至らなかった。したがってルーズベルト大統領が日本に対して原子爆弾を使ったとしても、報復爆撃を受ける懸念はなかった。
 1930年代の日本は、満州で戦いを続ける一方で、1941年12月8日、真珠湾を攻撃して乾坤一擲の勝負をアメリカに挑んだが、このころアメリカでルーズベルト大統領をはじめ専門家たちが原爆をつくるために全力を挙げていることには、考えも及ばなかった。日本が現在に至るも世界の動向には疎く、日本の外で起きていることに注意しないまま、自分勝手な行動を取ることが多いが、こうした国民性は第2次大戦以前から変わっていない。
p228〜
 キッシンジャー博士ですら、アメリカのやり方で幸福になりたくはないと考えている人が世界に大勢いることに気がついていない。(略)
 北朝鮮は世にも貧しい暮らしをしながら、核兵器を持ち、強力な軍事力を維持している。これは「アメリカの世界」に対する挑戦にほかならない。アメリカの核の抑止力による世界体制がほころびはじめたのである。
p240〜
 北朝鮮のクルージングミサイルは、沖縄や横須賀の基地だけでなく、アメリカの軍艦を攻撃する能力を十分に持っている。海兵隊を乗せて乗せて上陸作戦を行おうとするアメリカ第7艦隊の輸送部隊が沈められてしまうことになる。
 中国と北朝鮮がミサイル戦力を強化したことによって、朝鮮半島と台湾をめぐるアメリカの戦略は大きく変わらざるを得なくなっている。アジア太平洋の他の地域についても同様である。中国が尖閣諸島を占領した場合、あるいは攻撃してきた場合、日本はアメリカ軍が応援してくれると期待している。日米安保条約がある以上、アメリカが日本を助けるのは当たり前だとほとんどの日本人が考えている。 (p241〜)しかもアメリカは、決定的な抑止力である核兵器を持っている。限定された戦いにアメリカが介入すれば、勝つのは当たり前だと日本人は考えてきた。だが日本人は、この考え方が通用しなくなっていることを理解しなければならない。
 朝鮮半島や台湾と同じように、尖閣諸島でも、あるいは南シナ海の島々でも、アメリカ軍は簡単に中国と戦うことができない。北朝鮮と戦うこともできない。アメリカの軍事力がアジア極東を覆い、日本の安全保障の問題はすべてアメリカが日本のために処理してくれる時代は終わってしまった。
 アメリカ軍は世界のあちらこちらで、自国の利害に関わる問題に手を焼いている。自らの犠牲を顧みず、日本のために北朝鮮や中国と戦うことは出来ない。日本は自分の力で自分の利益を守らなくてはならない。
 尖閣諸島の問題が起きたときに、アメリカが日本の利益を守ろうとすれば、アメリカ本土を狙う長距離攻撃能力を手にした中国と話し合いをつけなければアメリカ自身の国益を守ることができなくなるのである。簡単に言えば、日本に供与されてきたアメリカの「核の傘」がなくなりつうあるのだ。
 台湾はすでに、この状況を理解している。自らの利益を守るため、アメリカの力を借りる代わりに、ミサイルを開発して三峡ダムや北京を攻撃する能力を持ちつつある。
p242〜
 韓国はすでにアメリカから中距離ミサイルの購入を始め、最新鋭の戦闘機F15Eを買い入れた。F15Eは日本の航空自衛隊が持つF15Jよりも優れた電子兵器を装備していることで知られている。
 2012年3月に出版した拙著『帝国の終焉』でも述べたことであるが、アメリカの核抑止力がなくなり、アメリカが核の力で日本を助ける体制は、急速に消えつつある。アメリカの「核の傘」がなくなることは、戦後の半世紀にわたる日本の基本的な立場がなくなることを意味している。
p263〜
あとがきに代えて--日本は何をすべきか
 アメリカは核兵器で日本帝国を滅ぼし、そのあと日本を助けたが、いまやアメリカ帝国自身が衰退しつつある。歴史と世界は常に変わる。日本では、昨日の敵は今日の友と言うが、その逆もありうる。いま日本の人々が行うべきは、国を自分の力で守るという、当たり前のことである。そのためには、まず日本周辺の中国や北朝鮮をはじめとする非人道的な国家や、日本に恨みを持つ韓国などを含めて、常に日本という国家が狙われていることを自覚し、日本を守る力を持たなければならない。 (略)
p264〜
 軍事同盟というのは、対等な力を持った国同士が協力して脅威に当たらねばならない。これまでの日米関係を見ると、アメリカは原爆で日本を破壊したあと、善意の協力者、悪く言えば善意の支配者として存在してきた。具体的に言えば、日本の円高や外交政策は紛れもなくアメリカの力によって動かされている。日本の政治力のなさが、円高という危機を日本にもたらしている。その背後にあるのは、同盟国とは言いながら、アメリカが軍事的に日本を支配しているという事実である。
 いまこの本のまとめとして私が言いたいのは、日本は敵性国家だけでなく、同盟国に対しても同じような兵器体系を持たねばならないということである。アメリカの衛星システムやミサイル体制を攻撃できる能力を持って、初めてアメリカと対等な軍事同盟を結ぶことができる。もっとも、これには複雑な問題が絡み合ってくるが、国をまもるということは、同盟国に保護されることではない。自らの力と努力で身を守ることなのである。そのために、日本が被った原爆という歴史上類のない惨事について、あらためて考えてみる必要がある。
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