中国にらみ米空母2隻が初統合演習 インド洋アンダマン海
産経ニュース2012.10.12 20:24
【ニューデリー=岩田智雄】米第7艦隊は12日、海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点とする空母「ジョージ・ワシントン」と米本土が母港の「ジョン・C・ステニス」の空母打撃群(空母部隊)をインド洋北東部アンダマン海に展開し、統合軍事演習を行った。インド洋で影響力を強める中国や混乱が続く中東情勢をにらんだ動きといえそうだ。
米海軍は、空母2隻がアンダマン海で統合軍事演習をするのは恐らく初めてとしており、「相互運用性の向上に加え、人道支援から戦闘任務に至るあらゆる軍事行動への準備に不可欠だ」と強調した。演習では、飛行訓練や海上、対潜水艦訓練を行った。
中東に戦力展開するために米西海岸を出港したステニスは、マラッカ海峡を通過してジョージ・ワシントンと合流した。
中国は、スリランカやパキスタンなどインド洋周辺国で港湾建設に協力し、艦船を展開する拠点の開拓を進めており、米印両国を警戒させている。米海軍は西太平洋上に同空母2隻などを数週間前から展開し、警戒監視に当たっていた。
一方、中国メディアによると、中国海軍の空母「遼寧」が遼寧省の大連港から12日、初出港した。
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◆『帝国の終焉』(「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ)日高義樹著
2012年2月13日第1版第1刷発行 PHP研究所
第1章 アメリカのアジア極東戦略が破綻した
p12〜
第1部 原子力空母「ジョージ・ワシントン」が横須賀からいなくなる
2008年秋、アメリカの原子力空母「ジョージ・ワシントン」が第7艦隊の主力艦艇として母港横須賀にやってくることになった。
p13〜
「ジョージ・ワシントン」はニミッツ型原子力空母の1隻として1991年に建造された。アメリカの原子力艦艇は普通50年で引退するが、半分の25年目に原子燃料棒を新しいものに取り替えなくてはならない。2016年が「ジョージ・ワシントン」にとってその25年目になるが、2011年につくられたアメリカ国防費の5年計画によると、2016年の予算には「ジョージ・ワシントン」の燃料棒を入れ替える費用が含まれていない。
「燃料棒を入れ替えなければ、当然のことながらエネルギー源がなくなり、動かなくなってしまう。退役して、これまでの古い空母と同じように、埠頭に係留されることになる」
アメリカ海軍当局はこう発表しているが、3年前にアメリカの新しいアジア戦略の中核として横須賀を母港とすることになった「ジョージ・ワシントン」は、予算削減のため艦暦半分で退役させられてしまうのである。
p15〜
アメリカ海軍当局によると、海軍で最も古い空母「エンタープライズ」が、予定を3年ほど早めて2012年には退役することになっている。2015年の実戦配備をめざして建造中の「ジェラルド・フォード」は工事が遅れ気味だといわれる「エンタープライズ」と「ジョージ・ワシントン」が退役すれば、空母は8隻になってしまう。数の上では横須賀に常時、空母を配備しておくことが不可能になる。
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◆ 初の空母「遼寧」の期待打ち消す中国 2012-10-02 | 国際/中国/アジア
【日々是世界 国際情勢分析】「初の空母」の期待打ち消す中国
産経ニュース2012.10.2 07:51
内外の関心を集めてきた中国初の空母が9月25日、「遼寧」と命名され正式に就役した。胡錦濤国家主席、温家宝首相ら国家と軍の指導者が出席して開かれた就役式典の模様は盛大に報じられ、メディアは特集を組んで就役を祝った。だが、ネット上で沖縄県・尖閣諸島をめぐり空母の投入を求める声が出るや一転、過剰な期待を打ち消す論調が官製メディアに現れている。
「中国の空母の任務は重く、道は遠い」
27日付の人民解放軍の機関紙、解放軍報は1面にこう題する論評を掲載。「万里の長城が一日で建てられたのでないのと同様、空母が向かう未来もすぐ達成できるものではない」と空母を実戦で使用できるようになるまでには長期間を要すると指摘した。タカ派の主張で知られる中国軍事科学学会常務理事の羅援少将は26日付の環球時報(電子版)で、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)の主権を守るためにわが国初の空母を用いるのは『牛刀をもって鶏を割く』だ」と述べ、尖閣海域への空母投入に難色を示した。羅氏は、空母に「釣魚島」と命名するよう主張し、空母の「威嚇効果」を強調していた人物だ。同紙は共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙で、同じく対外強硬路線が特徴。その同紙も27日付の社説で、「中国は世界にいざこざを引き起こすために空母を用いることはない」とした。
尖閣問題をめぐり「わが国の領土を一寸たりとも奪おうと思うな」(13日付)と日本を牽制(けんせい)し、空母就役を受け「強大な海軍の建設は、領土領海主権と海洋権益を守るために必然の選択」(26日付)と強調していた解放軍報などの論調の変化の背景を、中国国外のメディアはとうに見抜いている。豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(27日付、電子版)は「中国、艦載機なしで初の空母を公表」と報じ、ロイター通信は8月28日、「中国の空母は名前だけ」との分析記事を配信した。いずれも艦載機と想定される殲15(J15)の開発の遅れや、実際に空母での離着艦訓練が行われていないことを指摘し、最低限の戦闘能力を得るまで数年はかかると見通すものだ。9月26日付の国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは、就役公表は「10年に1度の指導者交代が始まる共産党大会を前に、国の一体性を強化する努力の一部のようだ」と断じている。
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◆ 中国、米国参戦なら1、2週間で壊滅 尖閣侵攻想定/日本列島周辺が世界でいま最も危険である 2012-10-01 || 国際/中国/アジア
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◆ 中国初の空母「遼寧」 米軍事専門家は“無用の長物”との辛辣な評価 2012-09-30 | 国際/中国/アジア
◆ 中国初の空母「ワリヤーグ」が訓練用にしか使えない理由 2011-08-31 | 国際/中国/アジア
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