小沢氏、「脱原発」推進で一致 ドイツ環境相と会談
東京新聞2012年10月17日 22時01分
【ベルリン共同】新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表は17日午後(日本時間同日夜)、ドイツのアルトマイアー環境相とベルリンで会談し、脱原発を進めるべきだとの認識で一致した。
小沢氏は「『生活』は期限を切って10年後の脱原発を主張している」と強調。これに対しアルトマイアー氏は「福島の事故後『このままでは駄目だ』と、ドイツ国民の8割とすべての政党が脱原発を支持した」と国内の状況を説明した。
ドイツは東京電力福島第1原発事故を受け2022年までの「脱原発」を決定している。
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「日本は率先して脱原発を」=小沢氏、独環境相と会談
2012年10月17日22:12 JST
【ベルリン時事】ドイツ訪問中の新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表は17日、ベルリンでアルトマイヤー環境相と会談し、2022年までの脱原発を決めている同国の取り組みをめぐり、意見交換した。小沢氏は会談後、記者団に「ドイツの意気込みに驚いた」と語り、「原発事故の当事国の日本は率先して脱原発に取り組むべきだ」と強調した。
小沢氏によると、環境相は競争力を維持できるように配慮しながら再生可能エネルギーへの転換を進めているとし、産業界も脱原発に賛成していると説明した。
[時事通信社]
関連: 独の物理学者 日本の脱原発は「いまがチャンス」
dot. (更新 2012/10/16 16:00)
福島原発事故を受けて、ドイツは2022年までに国内17基の原発すべてを閉鎖することに決めた。ジャーナリストの邨野継雄氏は、ドイツの古都フライブルク市の環境保全局長であり、核技術を専門とする物理学者でもあるディーター・ヴェルナー博士に、3.11以降の福島第一原発の有り様をどのように見つめていたのか尋ねた。
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震災と原発事故から6週間もたつと、さすがにニュース番組がこれらの話題を扱う頻度は少なくなっていった。しかし博士の心の中には、「あっという間に数万人の人々が故郷を失ってしまった」という事実が重くしこりのように残り続けた。博士は、学会や自治体交流で7回の訪日経験があり、なおさら他人事には思えなかったという。
一方で、1986年にチェルノブイリ事故を受けて特別市議会が決議したフライブルクの“脱原発宣言”は正しかったと、再認識したともいう。
「市が掲げてきたスローガンと政策を再確認して『ああ、これでいいんだ』と思ったんですね。連邦レベルでの法整備も、売電価格の見直しも、経済的な再試算も、国がやらざるを得なくなったと思いました」
ヴェルナー博士の思惑通り、フライブルク市があるバーデン・ヴュルテンベルク州議選で「緑の党」を中心とした野党が勝利。さらに連邦議会が脱原発を宣言するのは、その3カ月後、2011年6月30日のことだった。
博士は「慎重に申し上げたいのだが」と前置きして、言った。
「私たちは40年かけて脱原発に至ったんです。日本とフランスがいまだに原発推進を国是としていることが、私にはまったく理解できません。倫理的にアクセプト(受容)できないものに持続性があると主張するのは間違いです。先進工業国であるならば、技術的、経済的に、世界のために何をなすべきかを考えなければなりません。日本にとっては、いまがチャンスなのではないでしょうか」
※週刊朝日 2012年10月26日号
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「日本で起こるなら独でも」の思いが脱原発を推進
dot. (更新 2012/10/ 5 07:00)
福島原発事故から1年半、日本は脱原発の道筋を見いだせないでいる。かたやドイツでは、事故からわずか3カ月あまりの昨年6月末、2022年までに国内17基の原発をすべて閉鎖する方針を決めた。この違いは何なのか。そのヒントを求めて、「黒い森」と共生するバーデン・ヴュルテンベルク州の人々の脱原発への道のりを、ジャーナリストの邨野継雄氏が辿った。
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2011年3月27日にドイツで行われた州議会選挙で環境政党である「90年連合・緑の党(緑の党)」が躍進し、与野党が逆転した。アンゲラ・メルケル連邦首相が属する連立与党などの得票率を大きく上回ったのだ。メルケル首相が「敗因は福島原発」と語ったように、この“緑の風”を加速させたのは、ドイツから1万キロ離れた日本で起きた福島第一原子力発電所の「レベル7」の過酷事故だった。
緑の党の党員でバーデン・ヴュルテンベルク州議会議員ヴォルフガング・ラウフェルダー(41)は、州議会でエネルギー改革・原子力発電担当の部会に所属している。結党当初から脱原発を掲げてきた緑の党の党員として、日頃から原発推進派と頻繁に接触する立場にあり、原発事故にはことさら敏感だった。
「福島事故のレベルが日を追うごとに上がっていくのを見ていて確信したのは、原発は危険だと言い続けてきた我々の主張は正しいということでした。トーデン(東京電力)の発表は疑わしく、日本政府が開示する情報も信頼できない。チェルノブイリのときと、情報の出方がよく似ていました。事故のコントロールができそうもなく、尋常な状態ではないことは明らかに見てとれました」
ラウフェルダーは、「さらに重大なポイントは、この事故が日本で起きたことだ」と続けた。「チェルノブイリ事故では、ソ連(当時)の技術的な不安定さが批判の的になりました。けれども日本は、ドイツと並んで世界的に技術力が評価されている国です。日独ともに、安全基準の厳しさは、世界に類を見ません。その日本が事故を起こすのなら、ドイツでも起き得ることだと、誰もが思ったんです」
事実、ドイツのメディアの多くでは〈あの日本で事故が起きた〉という論調が際立ち、いかに技術大国であろうと、技術に完全はないという認識を示した。
※週刊朝日 2012年10月12日号
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独「緑の党」支持者 「電力不足なんて政治的な嘘」
dot. (更新 2012/10/ 5 07:00)
福島原発事故からわずか3カ月あまりの昨年6月末、ドイツでは2022年までに国内17基の原発をすべて閉鎖する方針を決めた。一方、日本はいまだに脱原発への道筋を見いだしてはいない。この違いは何なのか。ジャーナリストの邨野継雄氏は脱原発を掲げる「緑の党」支持者の学生に話を聞いた。
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ドイツのシュツットガルト市南部にある州立ホーエンハイム大学のキャンパスに足を運んだ。生物学科に在籍しているシーモン・マンダー(25)とは大学の事務室で会った。マンダーの両親はシュツットガルト近郊でワイン生産と果樹園を営む“森の民”だという。
「フクシマの事故はショッキングな出来事だったけど、あまり驚いてはいない。だって、原発は危険なものだというのは、分かりきったことだし、事故は今後も起こり得ると思う。日本にとっては大変に不幸なことだったけど、ドイツには幸いしたんだよね。だって、選挙結果はわずか3%の差だったんだもの。フクシマがなければ野党の勝利はなかったし、脱原発の宣言にも至らなかったと思うんだ」
マンダーは遠慮のない口調で続けた。「脱原発は絶対に正しい判断だ。ドイツは未来に向かって一歩踏み出したんだね。利潤は電力会社に残り、危険のリスクだけ市民に押しつけられるなんて、そもそも変な話さ。原発がなければ電力が不足するなんてのは、電力ロビー側による政治的な嘘なんだ。超党派で脱原発が決議されたのは、すべての政党が、いま脱原発に踏み切らなければ、社会との摩擦が増すだけだと分かったからだと思うよ」。
※週刊朝日 2012年10月12日号
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