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震災復興予算 被災地復興と関係ない海外の原発推進事業にまで流用

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震災復興予算 原発輸出調査にも流用
中日新聞 2012年10月29日 07時14分
 東日本大震災の復興予算の不適切使用問題で、二〇一一年度三次補正予算に盛り込まれた復興予算のうち五億円を、経済産業省がベトナムへの原発輸出に関する調査事業費として支出していたことが本紙の取材で分かった。被災地復興と関係ない海外の原発推進事業にまで流用されていたことで、復興予算の使途決定のずさんさがあらためて浮き彫りになった。 (中根政人、清水俊介、岩崎健太朗)
 経産省によると復興予算を使ったのは、日本政府の受注が一〇年十月の日越首脳会談で決まったベトナムのニントゥアン第二原発の建設に向け、現地で地震を引き起こす恐れのある断層の有無などを把握する調査。
 調査は日本政府が今年一月、敦賀原発(福井県敦賀市)などを運営している日本原子力発電に随意契約で委託した。
 調査は、経産省が上下水道や鉄道、リサイクル技術などのインフラ技術の海外輸出を促すため、民間企業に現地調査を委託する「インフラ・システム輸出促進調査等委託事業」の一環。
 同調査等委託事業費は一一年度当初予算では約六億円だったが、三次補正予算で「東日本大震災の復旧・復興につながる貿易投資の促進に必要」として、約八十五億円が追加計上された。同事業からは、ベトナムの原発以外に、世界各国のインフラの調査費などが計上されている。
 経産省資源エネルギー庁の原子力政策課は「インフラの海外輸出を進めることが、被災地の関係企業に経済効果をもたらす」と強調。原発輸出の調査費を復興予算から計上することで被災者の心情を逆なでするとの本紙の指摘については「真摯(しんし)に受け止める」と話した。
 政府は、日本の成長戦略としてインフラ設備の海外輸出に力を入れている。だが、原発輸出については「三〇年代に原発稼働ゼロを目指す」とした革新的エネルギー・環境戦略と矛盾するとして政府・与党内からも批判が出ている。
 ニントゥアン第二原発は二基で、電力九社と原発メーカーなどが出資する国策会社「国際原子力開発」(東京)が輸出事業を担当。二一年稼働を目指す。
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復興財源の流用 官僚の背信行為/復興増税にシロアリが群がり、復興に関係ない事業に使われている 2012-09-24 | 政治 
 社説:復興財源の流用 罪深い「官」の背信行為
 毎日新聞 2012年09月24日 02時32分
 「シロアリ」との批判に抗弁できるだろうか。東日本大震災の復興対策として計上された予算の多くが被災地以外に支出されていたことが表面化している。
 来年度予算の概算要求でも復興予算の約4分の1は被災地との直接の関係が不明な経費が占める。震災対策を隠れみのに中央官庁が分捕り合戦を演じているとすれば許し難い背信行為だ。過去の支出と来年度概算要求の徹底精査を求めたい。
 復興対策をめぐっては5年間で19兆円の大枠があるが、突破は確実視されている。政府は今年度予算までに原発事故に伴う除染費用や使われなかった経費を除き、約17兆円を計上している。
 ところが、被災地から遠く離れた全国の建設事業や企業の立地補助金などに相当の費用があてられていた。「全国防災」や地域経済再生などを名目とする支出が復興基本方針で認められていたためだ。
 復興財源は25年間にわたる復興増税などでまかなわれた。被災地外に支出された予算には必要なものもあるかもしれないが、少なくとも復興財源をあてることに国民の合意は全く得られていない。「復興予算」には中央官庁が所管する独立行政法人への支出もまぎれこんでいる。財政難の中で国民負担でやっと絞りだした財源に各省が群がり被災地支援を圧迫しているとすれば、罪深い。
 こんな状況は放置できない。NHKの特集番組は東京の国立競技場の補修費、反捕鯨団体対策など被災地外に回った復興予算は2兆円に達する可能性があると報道した。財務省は急ぎ精査し、内容次第では復興費用の枠外として算定すべきだ。
 来年度予算案もすぐ手を打たなければならない。復興特別会計分として約4兆5000億円が概算要求の対象となったが被災地を対象とする復興庁所管分は2兆8000億円で「全国防災」「その他」の項目に分類された各府省所管分が約1兆1200億円を占める。4分の1が復興と直接の関係が不明というのでは常軌を逸している。
 とりわけ、復興特会から仕分けが必要なのは概算要求で1兆円近くにふくらむ被災地以外の防災対策費だ。今後、全国の防災にどの程度のコストをかけるかは国策にかかわる。少なくとも復興財源の流用という形で対処すべきではあるまい。
 さまざまな支出が問題視され予算全体が色眼鏡でみられ、今後の追加支出にブレーキがかかり、復興そのものに支障を来すような事態は避けねばならない。復興特別会計については安易に各省の個別要求を認めず、復興庁所管の予算に一元化する原則を早急に確立すべきだ。
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余録:シロアリが国庫を食い荒らす話が…
毎日新聞 2012年09月21日 00時14分
 シロアリが国庫を食い荒らす話が中国の清代の書物にある。康熙帝の時代、塩に課す税金を収めた蔵から数千金が消失した。びっくりした役人が捜索すると壁の下に粉末の山がある。掘り出していくと升何杯分ものシロアリが出てきたという▲その大量の粉末を炉にくべると金の塊に戻ったが、なぜか元の金額には達しない。同じ書には河北省の役人が箱に入れた銀をシロアリに食べられるという話もある。もしかして税金にシロアリは昔からつきものだったのか▲さて先日の小紙夕刊(東京)の特集ワイドは「震災復興予算にシロアリが群がり、復興に関係ない事業に使われている」という被災地選出議員の怒りを伝えていた。復興予算で行われる霞が関の耐震工事や自衛隊の武器整備、核融合研究や芸術家の海外公演のことだ▲それに先立つ9日夜のNHKスペシャルは、沖縄の国道工事、東京の国立競技場の補修費、テロやシー・シェパード対策などに復興予算が使われていることを報じ、被災地をあきれさせた。いうまでもなく5年間で19兆円の復興予算の半分以上は増税でまかなわれる▲一方で中小企業や商店の再生への支援もままならず、1年前と変わらぬ光景が広がる地域の多い被災地である。国民が25年に及ぶ復興増税を受け入れたのは、むろん被災地の人の顔を思い浮かべてのことだ。東京にある税務署を耐震化しようと思ってのことではない▲政権交代前は天下り法人を「シロアリ」にたとえ、その退治を訴えた野田佳彦首相だった。今や落ちるところまで落ちた「政治主導」だが、少しは被災地住民のために意地をみせてはどうだろう。
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特集ワイド:被災地には後回し!?復興予算にシロアリの群れ 「官僚、いけいけドンドン」武器や核融合研究まで
毎日新聞 2012年09月13日 東京夕刊
 東日本大震災の被災地復興が進まない。多額の復興予算がつぎ込まれているはずなのに、なぜ? 支援を待ちわびる被災地からは「予算にシロアリがたかっている。復興に関係ない事業に使われている」との実に厳しい批判が聞こえてくる。【瀬尾忠義】
 12年度、復興費などを管理する復興特別会計(復興特会)では、復興増税や復興債の発行などで3兆7754億円の予算が確保された。13年度予算は今が策定作業の真っ最中。各省が7日に提出した概算要求では、復興特会は4兆4794億円。12年度当初予算比で18・6%増に上る。
 だが「港の復興は進んでいないし、津波に襲われたJR仙石線の野蒜(のびる)駅は3・11から放置されたまま。復活を目指す中小企業への支援も進まない。復興特会にシロアリの集団が群がって、被災地以外に予算が使われているからだ」。
 怒りをあらわにするのは、宮城2区選出の斎藤恭紀衆院議員(新党きづな)だ。「国民は原発に苦しめられているのに、なんで復興予算が高速増殖原型炉『もんじゅ』(福井県敦賀市)に回るのか」
 斎藤氏が「怪しい予算」と指摘するのは、文部科学省が所管する独立行政法人・日本原子力研究開発機構の運営費や設備費などに計上された計約107億円。同機構は「もんじゅ」を運営している。
 文科省の研究開発戦略官付の担当者は「除染などの研究開発などに約65億円、青森県と茨城県に核融合に関する国際的な研究開発拠点を構築するために42億円を使います。地元大学などと連携して核融合に必要な基礎的な研究を行い、成果を蓄積すれば被災地の復興、発展の原動力になる」と説明する。除染の研究はともかく、核融合の研究開発拠点がどう復興に役立つのか。斎藤氏は「国民は納得しない」と怒るが、文科省は13年度予算でも引き続き復興特会で48億円を要求している。
 外務省所管の独立行政法人・国際交流基金の運営費1億1900万円もよく分からない。被災地の芸術家らによる海外公演などを行う予算で、同省文化交流・海外広報課は「被災地は元気だと海外に発信するとともに、放射能の不安を払拭(ふっしょく)したい。何回も実施して復興の努力を伝えていきたい」と説明する。
 斎藤氏は「復興予算は東日本地域の復興や被災者の生活改善のためにこそ使ってほしい。それ以外の事業が必要なら、各省庁が一般会計で予算要求すればいい」と指摘する。
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 A4判で約190ページにわたる復興特会明細書に目を凝らしてみると、民主党政権が「事業仕分け」でやり玉に挙げた独立行政法人の予算があった。財務省所管の酒類総合研究所(広島県)に、放射性物質が製品に移行するかどうかの研究などに使うとして5700万円の運営費を計上。野田佳彦首相は、党幹事長代理だった09年の総選挙の時、「(税金に群がる天下り法人という)シロアリを退治する」と発言していたが……。
 疑問はまだある。国土交通省の官庁営繕費には、12年度の復興特会で37億円の計上があった。うち14億円は、東京・霞が関の合同庁舎4号館の耐震改修費用に使われるという。13年度予算でも、4号館耐震のため17億5000万円が要求されている。耐震関連工事では、ほかにも厚生労働省所管の独立法人が運営する群馬県内の施設に12年度、5億6000万円が計上された。
 なぜこんなことが可能なのか。それは「震災を教訓として、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための施策」には予算が認められるからだ。「全国防災」と呼ばれ、被災地以外の道路整備や公共施設耐震工事などに使われる。12年度に4827億円が計上され、13年度予算は9412億円とほぼ倍増の要求となった。
 総務省によると、震災で甚大な被害を受け、本庁舎の建て替えが必要なのは13市町あり、ひとつも着工には至っていない。それなのに復興予算で、霞が関では着々と耐震工事を進めているわけだ。
 「善意にたかるシロアリですよ。ジャブジャブな予算で、官僚はいけいけドンドンになっている」。宮城6区選出の小野寺五典衆院議員(自民党)もそう批判する。「復興予算で武器や弾薬をそろえたり、外交や耐震化工事を行ったり。国民が知ったら『被災者を支援するために増税に応じたのに、何だ!』と怒りますよ」
 批判された防衛省には、12年度の復興特会で、武器車両等整備費669億円、航空機整備費99億円の予算が付いた。同省は「津波で被災した弾薬、ヘリコプターの復旧などに使う。復興特会の予算ではおかしいという批判がありますが、認識の差です」と話す。
 小野寺氏はこう語る。「被災地から住民が流出すれば被災地復興に投じる予算は減る。政府や財務省は復興を遅らせることで住民を減らし、予算を余らせることを考えているのでは」。だけど、財務相は宮城県石巻市を選挙区とする安住淳氏(民主党)。被災地の現状を理解しているとは思うが「消費増税で大変だったのだろう」と小野寺氏。
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 政府は11年度からの5年間で20兆円近い予算を投じる方針だが、13年度予算の要求分を加えると既に約23兆円に達する。「震災復興 欺瞞(ぎまん)の構図」などの著書がある早稲田大政治経済学術院の原田泰教授が疑問を投げ掛ける。「私の試算では復興費は6兆円。自然エネルギーを取り入れたエコタウン造りなども聞こえはいいが、大型公共事業に他ならない。無駄な事業を行わなければ復興増税は必要ない。それよりも被災者の力を信じて直接支援すべきだ。深刻な被災者は50万人として、1人に1000万円を配っても5兆円で済む」と提案する。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は「復興計画を見直して、必要ない事業は中止し、余った予算は復興債返済などに充てるべきだ」と話す。
 復興特会の使途について平野達男復興担当相に7日、閣議後の記者会見で質問した。復興相は「私の立場では、予算は被災地優先でと言っていく。(各省庁が要求した)全国防災は厳選してやっていただきたいと財務省に伝えていく」と答えた。
 国会が閉会し、永田町の関心事は与野党の党首選や総選挙。国会のチェックが利かず官僚は自由に予算を差配できそう。小野寺氏は提案する。「今や復興特会の事業仕分けが必要なんです」
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所得税、個人住民税からの「復興増税」⇒被災地とは関係のない原子力ムラや公共工事などに流用 2012-09-20 | 政治
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「復興予算」42億円を日本原子力研究開発機構(原子力機構)の核融合エネルギー研究費に流用 2012-09-18 | 政治 

          

復興予算 原子力ムラに もんじゅ運営独法 核融合研究、42億円流用
中日新聞2012年9月16日 朝刊
 政府の二〇一二年度予算の復興特別会計のうち、高速増殖原型炉「もんじゅ」などを運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の核融合エネルギー研究費に四十二億円が計上されていたことが分かった。文部科学省は一三年度予算の復興特別会計でも、四十八億円の研究費を概算要求している。東日本大震災の被災地復興のため、国民に新たな負担を求めた復興予算が復興とは直接関係のない「原子力ムラ」の事業に使われた。(中根政人)
 原子力機構に対し、一二年度予算の復興特別会計からは百億円超が支出された。このうち、東京電力福島第一原発事故の収束や除染に関する技術開発費などを除く四十二億円は、日本や欧州連合(EU)、米国、中国など七カ国・地域が核融合エネルギーの実用化を目指して共同で進める国際熱核融合実験炉(ITER)の研究事業に充てられた。ITERは、日本国内では、青森県六ケ所村と茨城県那珂市に研究拠点がある。
 復興とは無関係との指摘について、原子力機構は「被災地の研究拠点を通じて、復興を支える技術革新を促進できる」と強弁。文科省も「被災地の産業振興だけでなく、日本全体の復興につながる」と説明している。
 京都大原子炉実験所・小出裕章助教は「被災地の復興を最優先に考えるならば、むしろ原子力機構の不要不急な研究事業を削減して財源を確保する取り組みが不可欠だ。核融合エネルギーは、実用化のめどが立っておらず一般会計も含めて研究予算を付けること自体が無駄遣いだ」と批判している。
 政府は、東日本大震災の復興財源について、所得税や住民税の増税などで一一年度から五年間で計十九兆円を確保した。だが、津波で甚大な被害を受けた沿岸部の被災地へ十分に回っていないことや、被災地以外の公共事業などに使われていることに疑問の声が上がっており平野達男復興相は実態調査を財務省に要請している。
 原子力機構は原発推進の経済産業省や文科省の幹部らが天下りしOBが再就職した企業・団体と多額の取引を行っていることなどに批判が集まっている。
■省庁が分捕り合戦
 災害復興予算の問題に詳しい宮入興一・愛知大名誉教授(財政学)の話
 東日本大震災の復興予算は、被災地の復興に加えて「活力ある日本の再生」が編成の目的とされた。そのことで、復興を口実にした各府省の事業予算の分捕り合戦が起こり、復興とは無関係な事業にお金が回る事態に陥っている。
 原子力機構が研究費を復興特別会計から計上したのもその一例で、被災地のためではなく、予算をより多く確保したいという姿勢の表れでしかない。
<国際熱核融合実験炉(ITER)>
 太陽で起きている核融合と同様の状態を人工的につくり出し、発電に使えるかどうかを実験する装置。実験炉の建設地をめぐっては、日本と欧州連合(EU)が誘致合戦を展開したが、2005年にフランス国内への建設が決定した。実験炉の運転開始は20年を予定している。
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