小沢代表の無罪確定 指定弁護士、上告を断念 陸山会事件
中日〈東京〉新聞 2012年11月19日 夕刊
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴され、一、二審とも無罪になった「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)について、検察官役の指定弁護士三人は十九日、最高裁への上告を断念した。検察審査会の起訴議決を受けた強制起訴から一年十カ月。今月二十六日の上告期限を待たずに小沢代表の無罪が確定した。
指定弁護士三人が十九日午前、東京都内で協議した後、東京高裁に上訴権の放棄を申し立てた。
手続き終了後、指定弁護士二人が記者会見し「二審判決に憲法違反や判例違反がなかったか検討したが、見当たらなかった。上告しないと決めた以上、いたずらに被告人の立場を長引かせるべきでないと思い、上訴権を放棄した」と語った。
今月十二日の二審・東京高裁判決は、一審判決と同様、「違法性の認識がなかった可能性があり、元秘書との共謀は認められない」と判断。収支報告書の作成に携わった元秘書の故意の一部を否定するなど、小沢代表の無罪を一審より明確にする内容だった。
二〇〇九年に強制起訴制度ができて以降、これまで六つの事件で八人が強制起訴された。小沢代表の事件を含めて二つの事件で一審判決が出たが、いずれも無罪。無罪確定は今回が初めて。
■「安どと残念と」指定弁護士
指定弁護士の上告断念により、衆院選を前に小沢代表の無罪が確定し、政界を揺るがした異例の裁判は終結した。会見した指定弁護士は「ほっとしたという気持ちと、主張が認められず残念という気持ちがある」と複雑な心境を語った。
この日午前、指定弁護士三人の協議は、三十分足らずで終了。
上訴権放棄の申立書を提出後、記者会見した主任格の大室俊三弁護士は「自分たちなりにはよくやったが、民意に応えられたかどうか、外部の評価を待ちたい」と淡々と話した。
衆院が解散し、週が明けてすぐの決断に、報道陣からは「政治的配慮があったのか」と質問が飛んだ。大室弁護士は「配慮していない。大物政治家か、名もなき市民かによって、法の運用を変えるのは妥当ではない。今日決めたのは、私たちの日程」と強調した。
控訴審で大室弁護士らは、現在は小沢代表と距離を置く元秘書の供述調書などを新証拠として申請したが、東京高裁はすべて却下した。
指定弁護士としての捜査や立証について、大室弁護士は「無罪確定は私たちの力量の問題か、制度の問題か、それ以外にもあるかを検証したい」と悔しさをにじませた。
◇
検察官役の指定弁護士が上告を断念したことを受け、小沢一郎代表の弁護団は十九日、「上告を放棄したことは妥当で、早期にしたことは評価する。ただ、一審で確定させてもよかったのではないかという思いがぬぐえない。この事件では、検察審査会に検察官の不当な誘導があったことについて責任は厳しく問われるべきだ」とのコメントを発表した。
<陸山会事件> 陸山会が2004年10月に東京都世田谷区の土地を取得したにもかかわらず、小沢代表から借り入れた土地購入費4億円を04年分の政治資金収支報告書に記載しなかったなどとして、東京地検特捜部は10年2月、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で石川知裕衆院議員ら元秘書3人を起訴。小沢代表は嫌疑不十分で不起訴とした。東京第5検察審査会が小沢代表に対し、2度にわたり起訴議決としたことで、検察官役の指定弁護士が11年1月に強制起訴。東京地裁は今年4月、無罪を言い渡した。東京高裁は今月、指定弁護士の控訴を棄却し、無罪の判断を示した。元秘書3人は一審で有罪判決を受け、二審の審理が続いている。
=========================================
〈来栖の独白 2012/11/19 Mon.〉
本件がなかったら、小沢一郎氏は総理となり、この国は、まともな国になっていた。検察当局を始めとして、メディア、政治家・・・小沢氏の手足を縛ることで自利を得たすべての人々は、心から「謝罪」し、償わねばならない。これは犯罪であり、故意犯なのだから。著しく国益が損なわれた。しかし、小沢さんは言う。衆愚は衆愚から、と。
=========================================
◆ 小沢一郎が語った「原発/衆愚の中からは衆愚しか/マスコミは日本人の悪いところの典型」 〈悪党?〉2011-09-19
p226〜
石川 ロシアは北方領土、中国は尖閣諸島に目をつけています。歴史からいうと第1次世界大戦後に列強が中国に入り込んでいったように、いま日本が周辺諸国から攻め込まれようとしています。これだけ好き放題にやられてしまっているのは、やはりリーダーの責任でしょうか。
小沢 リーダーのせいではあるけれど、それ以前に日本人自身の問題だな。よく言うように、国民のレベル以上のリーダーは出ねえんだよ。衆愚の中からは衆愚しか生まれない。だから国民のレベルアップをしないとリーダーも育たない。その意味でどうしたらいいのか。そういうことをもう少し日本人は自分で考えなきゃいけないな。
石川 はい。
小沢 いまの震災を例にすると、マスコミを含めてバカみたいに、やれ挙国一致だ、やれいま政権を変えるのはどうだ、ってアホみたいな議論をしている。これは日本人的な議論だ。欧米では違うんだよ。危機だからこそ強力な政権とリーダーを作らなければならないっちゅうのが彼らの考え方だよ。日本人はみんな丸く丸くなろうとする。丸くなって、談合ばかりしていたって解決しねえんだよ。原発事故にしても誰も責任をとらない。誰が責任者なのか、誰が決めているのか。わけがわからない。そこをマスコミが一緒になってもっと仲よくなれって。何を考えているんだよ。
石川 まあ、そうですね。
小沢 マスコミは日本人の悪いところの典型なんだ。国家の危機を経験してきた欧米人は、危機のときだからこそ強いリーダーを選ぶ。第2次大戦前のイギリスはチェンバレンという首相がいて、ヒトラーと妥協して「チェンバレンの平和」と言われたんだな。それが結局はヒトラーの勢力を増大させてしまった。そのときにイギリス人は最も批判の多かったチャーチルを首相に選んで、チェンバレンを降ろした。危機だからこそ変えた。危機じゃなかったらチャーチルは総理にならなかった。発想が違うんだよ、ゆでガエルみたいな日本人とな。
(中略)
p229〜
石川 産経新聞には私も先生もたたかれてきましたが、小沢一郎が総理にふさわしい人1位になっていました。国民の期待が高まれば、先生はそれに応える思いがあるのでしょうか。
小沢 おう、そういや、この言葉が好きで机に取っておいたんだ。「人事を尽くして天命に遊ぶ」。「天命を待つ」「天命に従う」が普通の言葉なんだよ。これは自分で自分に期待感がこもるだろ。自分のいいように天命が回ってくりゃいい、と。それじゃ、本当のアレじゃない。「天命に遊ぶ」ってのは、確か戦前の左翼が言ったんだよ。だからあまり言うなと忠告する人もいるけど、オレは最高に気に入っているんだ。期待するでも何でもない。待つんじゃねえんだよ。
石川 では、チャーチルのように70代でも総理に・・・。
小沢 そんなスケベ根性を起しちゃダメだっつってんだよ。人事を尽くすことが大事。それぞれが自分の立場、職責で全力を尽くせば世の中はよくなるんだよ。見え透いた根性を起すからみんなおかしくなるんだよ。
石川 なるほど。私も政治家として肝に銘じます。
小沢 お前も、まだまだだな。いまの民主党の欠陥は、俗に言う「雑巾がけ」、基礎的な鍛錬、基礎的な勉強もしないで偉くなっちゃったヤツばっかなんだよ。だから危機が起きるとどうしたらいいかわからなくなるんだよ。基礎的な修行を積み、経験を積み、知識を積み、そしてこういう時はこう、ああいう時はこうと、自分の価値判断基準、政策判断の基準っつうのが自然と作られてくる。それがピョンと偉くなっちまったもんだから。
石川 福田康夫政権で大連立騒動の時に私は先生に反対しに深沢まで行きましたけど、あの時は「先生は何でそんなことするんだ」という考えでした。
小沢 そうだったかな。
石川 でも、先生の言うとおりに「やっぱり大連立にしておけばよかった」と書く報道機関が最近になって多くなった気がします。
小沢 いい加減だからな。マスコミが時代遅れなんだよ。マスコミがダメだから日本がおかしくなっている。もっと合理的に論理的に、先見性を持ったオピニオンリーダーじゃなくちゃダメなんだよ、マスコミは。逆だもん。官僚と一緒になって足引っ張っているだけだから。意見を封殺する。
石川 大連立は、やはり民主党に経験を積ませないといけないと思ったからでしょうか。
小沢 うん。それが大きいね。それと政権交代への近道でもあった。わからねえんだからしょうがねえ。だからちゃんと相談したんだから、役員会で。1人でやっていて、誰も文句言わなかった。菅なんか何も言わなかったよ。
石川 そうでした。
小沢 これが権力の差よ。オレが総理だったら、あの時、誰も文句言わないよ。当時は野党の党代表だったから、みんな後になってワーワー言いだして。
石川 はい。
小沢 その程度だ・・・みんな。はあー(大きくため息)。
石川 歴史が動こうとしているときにお時間いただいてありがとうございました。あしたも裁判です。
小沢 そうか。
(2011年5月31日、チュリス赤坂内の小沢一郎事務所にて) *リンクは来栖
==========================
◆ 渡邉恒雄著『反ポピュリズム論』新潮新書2012年7月20日発行
p83〜
小沢さんは、福田さんの返事を不承不承受け入れて、当面の組閣はできるだけ小幅にとどめ、実質的に安倍「継承内閣」とするよう求めた。そのうえで、こう伝えてきた。
「今は参院選で勝った直後だ。だから今なら党内も私の思うようになるが、時間が経てば経つほど私の指導力はなくなっていく」
この伝言を聞いたとき、小沢という人はさすが政治達者な人だと思ったものだ。残念ながら、小沢さんが危惧したとおりになってしまった。このとき福田さんが決断していれば、大連立は実現していたに違いない。
p88〜
税と社会保障の一体改革のこと以上に残念でならないのは、民主党が政権に就く前に行政経験を積んで統治能力を磨く機会が、永遠に失われてしまったことだった。
小沢さんは構想挫折後の記者会見(2007年11月4日)で、大連立をめざした理由についてこう語った。
「民主党はいまださまざまな力量が不足しており、国民からも『自民党はだめだが、民主党も本当に政権担当能力があるのか』という疑問を提起され続け、次期衆院選勝利は厳しい情勢にある。国民の疑念を払拭するためにも、あえて政権運営の一翼を担い、政策を実行し、政権運営の実績を示すことが、民主党政権を実現する近道だと判断した」
この小沢さんの率直な発言に対し当時、民主党の多くの議員が「侮辱だ」と激しく反対した。しかし、鳩山・菅ニ代の民主党政権の混乱ぶりを経験した今日、小沢さんがどれほど正しいことを言っていたかがわかる。
=========================================
◆ 【小沢裁判とは何だったのか】検察官たちの謀略戦 / 裁判がなければ首相になっていた / 政治家の金銭感覚 2012-11-14 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
=================================
◆ 『小沢一郎 語り尽くす』TPP/消費税/裁判/マスコミ/原発/普天間/尖閣/官僚/後を託すような政治家は 2011-11-20 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎 すべてを語る TPP、消費税、政治とカネ、原発… 聞き手;鳥越俊太郎(サンデー毎日2011/11/27号)
=====================================
◆小沢一郎氏 初公判 全発言/ 『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆「小沢裁判」は小沢を抹殺するために行われている政治裁判/ 「国家権力」という化け物と、我々は戦っている2011-12-24
↧
小沢一郎氏 裁判 無罪が確定 /衆愚の中からは衆愚しか
↧