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「親中発言」(鳩山由紀夫元首相・山口那津男公明党代表・村山富市・加藤紘一氏)に、逆手のしたたかさを

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東洋学園大学教授・櫻田淳 「親中発言」逆手のしたたかさを
産経新聞2013.1.31 03:24[正論]
 安倍晋三首相は、主に対中関係の「危機」に招かれて再び登場した宰相でもある。安倍首相が、日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国に囲まれた地域の保全を趣旨として、就任直後に自ら披露した、「アジアの民主主義的な安全保障ダイヤモンド」の構想を含めて、彼の政策方針から、昨今の中国の増長を抑えようという意図を読み取るのは、平凡の極みであろう。
 ≪「友愛教」教祖の言説今後も≫
 しかし、対中関係をはじめ広く対外関係に絡む政府方針に違背する発言が、このところ目立っている。例えば、鳩山由紀夫元首相は訪中した折、自らが総理在任時には踏襲したであろう政府方針とは裏腹に、「尖閣諸島は係争の地である」という認識を示した。
 山口那津男公明党代表は首相の親書を携えて訪中する直前、尖閣諸島に絡む摩擦への対応を先送りする「尖閣棚上げ」論に理解を示したと報じられた。村山富市、加藤紘一の両氏も訪中した。
 鳩山発言に際して留意すべきは次の一点である。鳩山氏は、国家に対する「責任」よりも、自らの「信条」を優先させた行動をとっている時点で、もはや政治家ではない。彼は、「友愛教」の教祖といった具合であろう。とはいえ、彼は今後、同じような発言を色々なところで続けるであろう。
 ならば、中国政府が鳩山発言を「自らの意に沿う言説」として利用しようとしているのと同じ意味合いで、彼が披露するような「異端の言説」の扱い方を考えるしたたかさこそ有益で必要であろう。
 ≪日本には言論の自由、と宣伝を≫
 鳩山発言は、民主主義体制下における「言論の自由」の多様さを伝える意味では、一応の意義を持ち得るものかもしれない。「政府方針と違う見解を表明する自由がある国。それが日本である」。鳩山発言の当否に一切の論評を加えずにこのように宣伝してみれば、どのようになるであろうか。
 「『尖閣諸島は結局、日本領だ』と唱える人々が、中国国内にいたら、どのような圧迫や迫害を受けるか」。中国紙「南方週末」が弾圧された一件に併せて、こう世界各国に訴えてみれば、どのように受けとめられるか。「言論の自由」の多様さが担保される日本にこそ、諸国の共感は集まるはずである。
 こうした対応を進める際の大前提は、鳩山氏の今後の発言には、一切の「影響力」や「権威」を認めないということである。彼が何を語ろうとも、それは、日本国内における多様な言説の一つであっても、政治上は何の「責任」や「権限」の裏付けを持たない一私人としての発言でしかない。鳩山発言やそれに類する言説は、対中戦略上、そのように説明されるほかはない。
 また、山口代表が理解を示したと伝えられた「尖閣棚上げ」論を評価する際には、次に挙げる一つの「歴史の教訓」を思い起こすべきであろう。
 1930年代、ネヴィル・チェンバレンは、アドルフ・ヒトラーに対する「宥和(ゆうわ)政策」を展開した。現在では、この「宥和政策」は、「ヒトラーを叩(たた)くべきときに叩かなかった」というウィンストン・チャーチルの評とともに、軟弱な愚策として語られている。しかし、チェンバレンは、その「宥和政策」の一方で、対空レーダー網の整備やスピットファイア戦闘機の開発を進めた。チャーチルは、チェンバレンの「宥和」を酷評したけれども、実際には、彼の「遺産」の上に乗って、「バトル・オブ・ブリテン」を戦ったのである。 ≪「棚上げ」の間は防衛着々と≫
 故に、日本政府の政策判断としての「尖閣棚上げ」が意味を持つのは、チェンバレンの故事に倣えば、その「棚上げ」の間に、尖閣諸島を含む南西諸島の「防衛態勢」を徹底して固めるという政策対応が取れるかどうかということ次第である。
 中国政府は、山口代表を迎えた王家瑞・党中央対外連絡部長の発言に示されているように、「尖閣棚上げ」による落着を期待しているかもしれない。ただし、たとえ「尖閣棚上げ」による当座の落着が図られたとしても、日本国民が中国に抱いた幻滅、警戒、不信の感情は、もはや容易に覆すことはできないであろう。
 中国政府は、日中関係の改善には、「日本の一方的な努力」だけが必要とされるかのように語っているけれども、そうした態度は、日本国民の対中「共感」を確実に剥落させていく。中国政府は「具体的な行動で示せ」と唱えるけれども、その「具体的な行動」は、中国政府にも問われている。日本の「親中派」と呼ばれる人々は果たして、このことを中国に対して倦(う)まずに説いているのか。
 こう考えていけば、日中関係には、近時の北京市内を覆っている「不快な空気」に似たものが漂い続けるのであろう。対中関係を切り回そうと思えば、この「不快な空気」が一挙に晴れるという幻想を持たず、それに耐える姿勢に徹するしかないのではないか。(さくらだ じゅん)
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公明党・山口那津男代表の「尖閣 棚上げ論」は国益に反する 2013-01-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
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『国賊』鳩山由紀夫氏の不適切発言 元首相である以上、看過できない 2013-01-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
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