【突破する日本】教育再生は経済再生と一体であり国家戦略の視点から行うべきだ★(4)
zakzak2013.02.01
内外の一部勢力が安倍晋三内閣を警戒するのは、行き当たりばったりであったり、非現実的な構想を唱えていた過去数代の政権と違って、そこに国家戦略があるからだ。
経済では、所信表明演説でも述べた「大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という『3本の矢』」を矢継ぎ早に撃ち、予算執行しない現段階でも効果を上げている。
外交でも、価値観を共にする諸国との連携を深め、それを安全保障にもつなげるとして「セキュリティー・ダイヤモンド」構想を打ち出している。
教育も国家戦略と位置づけている。安倍首相は政権発足から間を置かず、官邸に経済財政諮問会議、産業競争力会議、教育再生実行会議の3つの有識者の入った会議を設置した。経済再生と教育再生の会議を早い段階で設置したのは偶然ではない。首相が経済再生と教育再生を一体のものと考えているからだ。
教育再生は、いじめや体罰というミクロの課題にだけ対応するものではない。
今からちょうど30年前の1983年、米連邦政府の特命委員会は1つの報告書を時のレーガン大統領に提出した。「危機に立つ国家」と題された報告書は「今、わが国は危機にある」と書き出し、米国はこれまでさまざまな領域で世界の国々を凌駕していたが、今はそうではなくなっていると述べている。
米国の基幹産業である自動車や鉄鋼の分野で日本やドイツに追い抜かれた時代だ。
そして、その原因は複数あるが、最たるものとして「それは教育である」と言い切り、過去数十年の「凡庸な教育」に原因を求めている。米国を日本と言い換えれば、今日のわが国の姿をほうふつさせる内容だ。
報告書は経済を含む国力衰退の主たる原因の1つを教育に求め、教育を立て直すことによって国力のV字回復を図ろうとしたのだ。
事実、米国はその後、教育のあり方を改めることで国力を回復していった。安倍首相の念頭にはこのことが置かれている。また、同時期の英国で大胆な教育改革を行い、「英国病」を治して国力を回復したサッチャー政権の事跡も念頭にある。教育再生は経済再生と一体のものであり、経済再生を支えるものであるゆえんだ。
教育再生は教育界の論理を超えて、日本が再び活力ある国家になるためにはどうすべきかという国家戦略の視点から行われるはずだ。私も委員として尽力したい。(高崎経済大学教授・八木秀次)
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【突破する日本】教育再生は経済再生と一体であり国家戦略の視点から行うべきだ(4)
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