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【脱中国元年】野心むき出しの中国を封じ込め ASEAN重視の本質 (3)/「安全保障のダイヤモンド」

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【脱中国元年】野心むき出しの中国を封じ込め ASEAN重視の本質★(3)
zakzak2013.02.21
 オバマ米大統領は2年前から「対中囲い込み政策」への転換を示唆し、まずはオーストラリアの首都キャンベラへ飛んで、ギラード首相とダーウィン基地を一緒に視察した。米海兵隊の駐留予定基地で、アジアへの安全保障の濃厚な関与を宣言したのである。
 同時に、クリントン国務長官(当時)がミャンマーへ飛び、経済制裁を止めて大々的なてこ入れを約束した。ミャンマーは歓迎し、中国は慌てる。ベトナムには米空母が寄港し、アジア各国は米国の本格的アジア復帰を歓迎した。
 というのも、東シナ海から南シナ海は海洋覇権を求める中国の海と化け、「海洋の法の支配」が存在しなくなるところだったからだ。ASEAN(東南アジア諸国連合)は米国の変貌を喜び、次に日本の変化に期待する。
 イラクから撤退完了した米国はアフガニスタンからも2014年をめどに撤収し、次はアジア関与戦略が本格化する。補完の役目を日本が担うのだが、「辺野古」「オスプレイ」など前民主党政権がつくりだした日米関係悪化の材料はいつしか消えつつある。
 安倍晋三政権発足直後、麻生太郎副総理兼財務相はミャンマーに飛び、累積5000億円借款を事実上帳消しにしたうえで、新たに500億円を供与して工業団地などの建設協力を約束した。ミャンマーを経済影響下に置いてきた中国としては不愉快な出来事である。
 岸田文雄外相はフィリピンなどを訪問したが、同国に巡視船の供与を約束した。フィリピンは中国に領海を侵犯され、スカボロー岩礁の帰属をめぐって軍事的対立を続けている。フィリピンはこうした文脈から「日本の防衛力拡大はアジアを安定させるので歓迎である」と、いの一番で支援声明を出した。
 安倍首相は訪米を前にベトナム、タイ、インドネシアを歴訪した。ベトナムには原子炉建設、新幹線建設への協力が確認された。インドネシアではユドヨノ大統領と会見し、「価値観外交」を前面に出し「言論自由という価値観」「自由な市場」、そして「海洋の法の支配」などの5原則をうたった。
 これは日本外交の基本方針が中国を牽制しているばかりか、中国の全体主義路線や国家資本主義経済、海洋における覇権追求と対峙することを意味する。日中は明確に利益を異にして対立する構造が外交的に確認されたことを意味するのではないのか。
 世の中がめまぐるしく変貌し、企業も置いてきぼりされる前に「チャイナ・プラス・ワン」(=中国の他にも拠点)を早急に模索し始めた。米倉弘昌会長率いる日本経団連の訪問団はベトナム、ミャンマーに続いて、先週はカンボジアを訪問した。
 変化の大音響が聞こえてきた。
 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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東シナ海、南シナ海を「北京の湖」にするな 2012-10-16 | 国際/中国/アジア 
 東シナ海、南シナ海を「北京の湖」にするな
 WEDGE Infinity 世界潮流を読む 岡崎研究所論評集 2012年10月15日(Mon)岡崎研究所
 米AEI上席研究員で前国連大使のジョン・ボルトンが、9月10日付WSJ紙掲載の論説で、東シナ海および南シナ海における中国の拡大企図は米国に本格的な対応を迫りつつあり、模様眺めに徹したり、上品にも国際法を援用したりしていればよかった時期は過ぎた、と主張しています。
 すなわち、東シナ海および南シナ海では、中国が強引に領有権を主張し、そのことがここ数年、外交的対決、さらには物理的な対決を断続的に引き起こしてきた。
 ところが、今のワシントンでは、これらの紛争はどこか遠い場所の出来事、1938年にチェンバレン英首相がチェコスロバキアを「あまり知らない遠くの国」と言ったのに近い、ほとんど瑣末なことのように受け止められている。そうした無気力な姿勢は、以下の3点に基づく戦略的アプローチに取って代わられねばならない。
 第一に、米国は、東シナ海と南シナ海における中国の拡張政策は、米国の国益に反するとはっきり断じなければならない。国際法に関する甘い響きの決まり文句は、これらの海域に迫り来る北京の覇権を防いではくれない。重要なのは力と決意だ。
 第二に、米国は海軍を急ぎ再建しなければならない。それなくしては、いくら戦略的思考を変えても無意味だ。中国はこの数世紀来初めて大海軍を築き始めており、米国を西太平洋から追い出そうと、積極的にA2/AD(接近阻止/領域拒否)戦術と兵器システムを追求している。米国が海軍の能力を増強するか、あるいは、基本的に他の海域は放棄するかしない限り、中国近海の情勢は負の方向に進んでしまう。そうなれば、最終的にどうなるかは明らかだ。
 第三に、米国は、領有権を主張する、中国以外の諸国間の関係を調整するために、外交努力を――大方は水面下で――払わなければならない。東シナ海では中国の主たる競争相手は日本だが、南シナ海では中国はベトナム、フィリピン、その他のASEAN諸国と角を突き合わせている。これらの海域は地理的にも政治的にもそれぞれ別のものだが、中国にとっては2つとも同じ戦略的構図の一部であり、従って、米国もそうしたものとして捉えなければならない。
 中国は、ベトナムとフィリピンを争わせ、日本の孤立化と台湾の無力化を図り、あるいは競争相手国の間に不協和音を生じさせるなどして、これらの国同士の関係を破綻させることを目指している。もちろん、これらの国の対立する主張を調整しようとする実際的な外交戦略が、望ましい結果を必ずもたらしてくれるわけではないが、国際法に関する観念的スローガンを繰り返すよりははるかにましだ。
 米国の対中政策は包括的かつ機敏で粘り強いものでなければならないが、その中で不変であるべきなのは、中国周辺の国際水域を「北京湖」にしてはならない、ということだ、と論じています。

                   *        *        *
 日本人が尖閣に関して抱く危機意識は、ワシントンで、ましてや欧州では、さしたる共感を呼んでいません。そして、尖閣問題が単に日中ナショナリズムの対立、ないし歴史問題に由来するかに捉えられ、南シナ海の紛争と切り離して論じられる傾向にあります。
 そうした中で、ボルトンの所説に、初めて溜飲の下がるものを認めることができます。第一に、ボルトンは、東シナ海と南シナ海を“the East and South China Seas”と表現し、両者を一体と見たうえ、双方において中国が示す拡大意欲に違いを認めません。第二に、「中国の端的な巨大さ、存在感が、辺りを払う状況を防がねばならない」と明確に言い切っています。
 日本を含む近隣諸国は、まさしく中国の圧倒的存在感に脅威を認めているのです。ここをワシントンの知識層は実感をもって受けとめることができず、自分たちにほとんど関係のない遠い場所での瑣末ないざこざとしか受けとめられない、というボルトンの指摘には、なるほど、やはりそんなものかと思わされます。
 そのような態度は捨てるべきで、次の大統領が誰であれ、とらねばならない策のカギとなるのは、力と覚悟である、というボルトンの論は、極めて明快かつ適切です。中国に通じる言語は力、そして力を支える気骨だけだということをよく見抜いています。
 ボルトンは、「中国周辺の国際海域を、北京の湖にしてはならない」という一線を、米国は今後の原則とすべしと、論説を締めくくっていますが、当然、日本もこの認識に立って対中戦略を構築しなければなりません。この、ボルトンの歯切れのよい議論は、ワシントンの知識層だけでなく、日本としても心して傾聴すべきものと言えるでしょう。
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中国 増長する威圧経済外交〜南シナ海紛争/「永遠の摩擦」覚悟を〜東シナ海の尖閣諸島 古森義久 2012-08-11 | 国際/中国/アジア
 ワシントン・古森義久 中国、増長する威圧経済外交
 産経ニュース2012.8.11 07:47[緯度経度]
 中国が経済パワーを他国に対し安全保障や政治の目的に威嚇的に使う「威圧経済外交」への警告が、米国側から発せられるようになった。今後の国際関係でも新たな震源となりそうな中国のこの戦略はすでに日本をも経済のムチの標的にしたという。
 米側の識者がこの中国の「威圧経済外交」の最新かつ最大の実例として指摘するのは、先月の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で議長国カンボジアが中国からの圧力で同会議の共同声明を葬ってしまったケースである。
 ワシントンの大手研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」の上級研究員で中国の戦略や外交の専門家ボニー・グレーサー氏が「中国の威圧的な経済外交=懸念すべき新傾向」と題する最新論文で警告を発した。同氏は1990年代以来、歴代政権で国防総省や国務省の対中政策の顧問を務めたベテランの女性研究者である。
 同論文は中国がこの10年、総額100億ドル以上、昨年度だけでも米国の援助の10倍を超える額の経済援助をカンボジアに与え、今回のASEAN外相会議の舞台となったプノンペンの「平和宮殿」の建設資金をも提供したことを記し、「中国はカンボジアのこの対中経済依存を利用して、ASEAN外相会議では共同声明に南シナ海に触れる記述を一切、含めないようにすることを強く要請し、カンボジアはそれを実行した。その結果、同会議は発足以来45年間、初の共同声明なしとなった」と総括していた。
 同論文は中国の威圧経済外交の対象としてさらにフィリピンを挙げる。フィリピンは今年4月、南シナ海の中沙諸島スカボロー礁の領有権をめぐり中国と対立。両国が同礁海域に艦艇を送りこんだが、フィリピン政府が6月にすべての艦艇を同海域から引き揚げたのと対照的に、中国は数隻を残した。その背景には中国政府がフィリピンからのバナナ、マンゴーなどの果物の輸入の検疫措置を異常に厳しくし、中国人観光客のフィリピン訪問を禁止したことでフィリピン側の経済が大きな打撃を受け、財界が自国政府に領有権問題での中国への譲歩を訴える経緯があったという。
 グレーサー氏の論文は同様の事例として2010年9月の中国政府の対日レアアース(希土類)輸出停止をも指摘した。尖閣諸島海域への中国船侵入に端を発した日中衝突で中国側は経済手段を使って、日本側の政策を変えさせるという政治目的を図ったというのだ。
 同論文がさらに強調したのは、中国がノーベル平和賞をめぐってノルウェーに露骨な経済圧力をかけたことだった。同年10月、中国はノーベル賞委員会がノルウェー政府とは別個であるにもかかわらず、同政府に同平和賞を中国の民主活動家の劉暁波氏に与えないことを求め続けた。その要求がいれられないとみた中国はノルウェー産サケの自国への輸入を新規制の発動で大幅に削減した。その結果、翌年のノルウェーの対中サケ輸出は60%も減ってしまったという。
 こういう事例はみな中国政府が政治や安保面で他国の政策を自国の主張に沿って変えることを求めるために、経済手段を威嚇的に使うという威圧経済外交を明確にしている。中国は貿易でも援助でも投資でも、経済面でのグローバルな活動を急速に広めている。その種の活動を本来、経済とはまったく無関係の領有権や政治的な紛争での相手国攻撃の手段として平然と使うというわけだ。となると、中国との経済取引はいつも慎重に、ということとなる。
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【尖閣】 習近平氏、米に「主権問題に介入しないよう」要求 / 中国の謀略戦(法律、世論、心理の三戦) 2012-09-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉   
産経ニュース
 【主張】2012.9.21 03:09
 中国の次期最高指導者となる習近平国家副主席がパネッタ米国防長官との会談で、日本政府の沖縄県・尖閣諸島国有化を「茶番」と批判した。米国に対しても「言動を慎み、主権問題に介入しないよう希望する」と高圧的要求を行った。
 主権国家の行動を愚弄する非礼な発言であるだけでなく、尖閣問題で日米同盟分断を狙った要求と受け止めざるを得ない。野田佳彦政権は強く抗議すべきだ。同時に尖閣奪取を狙った中国の攻勢の長期化を覚悟した上で、日米の結束を強化し、有効な対抗措置を進めるべきだ。
 訪中前に日本を訪ねたパネッタ氏は、日本防衛義務を定めた日米安全保障条約の「尖閣適用」を改めて確約し、在沖縄米海兵隊の新型輸送機オスプレイの運用開始に向けた協議も進めた。
 習氏の発言は、日米同盟のこうした動きを阻止し、米国の手も縛ろうとする意図が明白だ。満州事変を持ち出して日本の軍国主義を批判するなど、「反日」の姿勢も習氏は鮮明にした。
 今回、中国側は一連の反日デモに加え、中国公船による領海侵入の常態化、経済通商面での圧力、「尖閣領有」を主張する海図の国連提出など、強硬かつ計画的な措置を次々と打っている。中国側の大陸棚延伸案も国連大陸棚限界委員会に持ち込むという。
 習氏発言と併せて、人民解放軍の政治戦略法律戦、世論戦、心理戦を駆使して一気に尖閣奪取に出てきた可能性もある。
 問題は、日本政府の対抗措置が後手に回りがちなことだ。野田首相は19日、中国の反応が「想定を超えている」と述べた。危機管理に問題があることを事実上認めた発言ともいえ、極めて遺憾だ。
 玄葉光一郎外相も「日本の対外発信を強化しなければ」と語ったが、中身がはっきり見えない。日本が尖閣で「領土問題は存在しない」との立場をとってきたことが足かせになっていないか。
 オスプレイは、米海兵隊の装備・展開能力を飛躍的に高め、とりわけ尖閣周辺の緊急事態にも有効だ。中国に対する抑止力強化にもつながる。野田政権はその早期運用開始に全面協力するとともに、尖閣に関する日本の立場と主張を米国に繰り返し伝えるべきだ。
 尖閣の防衛手順を緊密に調整することも欠かせない。日米は長期戦に備えなければならない。
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中国の一貫した謀略戦(長期間かけた法律、世論、心理の三戦)に曝されている日本 尖閣諸島 2012-07-30 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
 日本を絶体絶命の危機に陥れつつある中国 長期間かけた法律、世論、心理の三戦を実施中
 樋口譲次 JBpress 2012.07.24(火)
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東南アジア諸国 日本政府の「国防軍」に期待 中国進出に危機感/安倍首相「安全保障のダイヤモンド」  2013-01-30 | 国際/中国/アジア 
 東南アジア諸国、「国防軍」に期待 中国進出に危機感
 産経新聞2013.1.30 09:42
 安倍晋三首相がインドネシアのユドヨノ大統領に「国防軍」保持を表明した背景には、アジア太平洋地域における安全保障環境の劇的な変化がある。中国の海洋進出の抑止力である米軍が予算削減を余儀なくされる中、同盟関係にある日本の役割強化に期待感が強まっており、首相は将来の課題である憲法改正に触れることで海洋安全保障への長期的な関与を約束した。
 インドネシアが面する南シナ海では、南沙諸島をめぐり中国、フィリピン、ベトナムなど6カ国・地域が領有権を争い、中国は昨年、南沙など3諸島を管轄する「三沙市」を一方的に設立するなど「力」による実効支配を強める。日本も沖縄県・尖閣諸島で、中国による領海侵入、領空侵犯にさらされている。
 首相が親日大国、インドネシアで「国防軍」保持を表明したのは、中国によって「力の均衡」が崩されることへの危機感からだ。自衛隊を国際基準に合致した「国防軍」とする決意を示さなければ、首相が中国を念頭に呼びかける「海洋の法の支配」は裏付けを欠くことになりかねない。
 日本政府は当初、「国防軍」保持の表明が、先の大戦の記憶から反発を招くのではないかと懸念した。だが、大統領は「全く賛成だ。何の問題もない」と首相の背中を押した。現実の脅威は中国であり、日米同盟の強化は国益にかなうと判断したとみられる。
 首相が米軍のプレゼンスに資する集団的自衛権の行使に触れたことも、大統領に歓迎されたようだ。12月に北朝鮮の長距離弾道ミサイルの一部がフィリピン東方沖に初めて落下し、北朝鮮が共通の脅威となったことも好意的な反応につながったとみられている。
 首相は就任直後に発表した論文で、豪州、米ハワイ、インド、日本を結ぶ「安全保障のダイヤモンド」を形成する戦略構想を明かした。その中心に位置し、太平洋とインド洋をつなぐ海上交通路(シーレーン)の要衝、インドネシアで国防軍に触れたことで、首相は持論の「戦略的な外交の展開」を具体化したといえる。(加納宏幸、峯匡孝)
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安倍首相、東南ア歴訪時に国防軍保持を説明 ユドヨノ大統領賛意
産経新聞2013.1.30 07:00
 安倍晋三首相が今月の東南アジア歴訪でインドネシアのユドヨノ大統領と会談した際、任期中に集団的自衛権の行使を可能にするとともに、憲法改正で「国防軍」の保持を目指す考えを伝えていたことが29日、分かった。首相は中国の台頭を念頭に、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させる狙いを説明し、大統領は期待を示したという。
 政府筋によると、首相は18日にジャカルタで大統領と会談した席上、「憲法を改正し、国防軍を保持することはアジアの平和と安定につながる」との考えを伝えた。大統領に異論はなく、「完全に合理的な考えだ。防衛力を持った日本は地域の安定にプラスになる」と賛意を表明した。
 ただ、国防軍の保持には、戦力不保持を定めた憲法の改正が必要になる。衆院で与党は憲法改正に必要な3分の2以上の議席を確保しているが、参院では野党が多数を占めており、夏の参院選後まで具体的な動きは取れない状況にある。
 一方で、国防費削減による米軍のプレゼンスの低下をにらみ、アジア太平洋地域では中国が海洋進出を活発化させている。中国の動きを封じ込めることが日本と東南アジアの共通課題で、首相の発言には、事前に国際社会の理解を得る狙いがあったとみられる。
 首相は東南アジア歴訪で、ベトナムのグエン・タン・ズン、タイのインラック両首相にも集団的自衛権行使を容認する考えを伝えたが、両首脳からも異論は出なかった。
                   ◇
【用語解説】国防軍
 自民党が昨年4月にまとめた憲法改正草案で、首相を最高指揮官とする「国防軍」の保持を明記した。現憲法には自衛隊の記述がないが、改正草案は自衛隊を明確に「軍」と位置付け、名称を「国防軍」に改める。改正草案は自民党の衆院選政権公約にも盛り込まれた。
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デルロサリオ外相「日本には憲法を改正してでも軍備強化を進めてほしい」/セキュリティー・ダイヤモンド 2013-01-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 日本の改憲、アジア肯定 ワシントン・古森義久
 産経新聞2013.1.26 08:05[緯度経度]
 米国のメディアが安倍晋三首相の今回の東南アジア訪問で最も注目したのは、語られることのなかった演説だったようだ。訪問先のインドネシアの首都ジャカルタで18日、安倍首相は「開かれた、海の恵み−日本外交の新たな5原則」と題する主要政策演説をする予定だった。
 だが首相はアルジェリアでの人質事件が急展開したために予定を変えて帰国することになり、演説は中止となった。演説の内容はそれでも首相官邸サイトなどで公表された。
 その内容に米国大手紙のウォールストリート・ジャーナルが注視して、詳しく報道した。22日付のその記事は「安倍首相の失われた政策演説での安倍ドクトリンでは米国が中心」という見出しで、同首相の新しい外交政策の要点を伝えていた。
 同演説案はまず「日本の国益」として「海の安全」と「日米同盟」とを掲げ、インドネシアなど東南アジア諸国との連帯の重要性を強調していた。そのうえで5原則として「思想や言論の自由」「海洋での法と規則の尊重」「自由な交易と投資」「日本と東南アジアとの文化交流」「同じく若い世代の人的交流」をあげていた。
 演説案は日本とインドネシアの「交流」の実例として日本の看護師試験に受かったインドネシアの若い女性が東日本大震災の被災地で活躍したケースや、ジャカルタの劇団が「桜よ−大好きな日本へ」という日本語の歌を激励に合唱したケースをも伝えていた。
 この演説全体を報道したウォールストリート・ジャーナルの記事は「日本が米国との同盟を最重視しながら東南アジア諸国との連帯も強化し、アジアの海が軍事力ではなく国際規範により管理されることを強く訴えたのは、中国の好戦的な海洋戦略への懸念の反映である」と総括していた。
 安倍首相がジャカルタでこうした演説を計画したことは明らかに日本とインドネシアの年来の友好や信頼を示すとも指摘するのだった。
 両国のこうした緊密な関係を証するかのように、安倍首相がこの「失われた演説」の予定と同じ日にインドネシアのユドヨノ大統領と会談した際、日本が憲法を改正し、国軍の創設を可能にし、集団的自衛権も解禁するという方針を伝えたという報道が日本の各新聞で22日に流された。ユドヨノ大統領はそれに対しなんの反対も示さなかったという。
 そこで想起されるのはフィリピンのデルロサリオ外相の言明である。同外相は昨年12月、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに応じて「日本には憲法を改正してでも軍備強化を進めてほしい」と述べたのだった。
 この言明は米国側の識者たちの強い関心をも引きつけた。マイケル・グリーン元国家安全保障会議アジア上級部長は「日本がアジア全体への軍事的脅威になるという中国の主張を他のアジア諸国は信じない。東南アジア諸国はむしろ日本の軍事力増強を望んでいる。中国の軍拡へのバランスをとるという願いからだ」と述べ、「戦時中は日本の軍事行動で最も大きな被害を受けたフィリピンからこうした希望が述べられる点に注目すべきだ」とも強調するのだった。
 安倍首相の東南アジア訪問は日本の防衛面の動向へのこうしたアジアの反応を照らし出し、日米同盟の重要性の訴えを伝えた点だけでも、効果があったのではなかろうか。
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安倍晋三首相が提唱した「セキュリティー・ダイヤモンド」安全保障 「インド◇日本◇ハワイ◇豪州」連携 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉

        

「安保ダイヤモンド」形成着々 中国包囲網へ豪重視鮮明
産経新聞 1月14日(月)7時55分配信
 岸田文雄外相がオーストラリアのカー外相との会談で、米国を含めた安全保障分野の協力を加速させる方針で合意したのは、海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)する狙いがある。民主党政権下では豪州側の“片思い”が続いていたが、政権交代を機に「戦略的パートナー」として豪州重視を打ち出した形だ。
 安倍晋三首相は就任直後に発表した論文で、豪州、米ハワイ、インド、日本を結ぶ「安全保障のダイヤモンド」を形成する戦略構想を明かしている。
 この中で中国については、海上交通路(シーレーン)が通る南シナ海を「北京の湖」として影響力を増していると警戒を示し、インド洋と西太平洋の海洋安全保障を目的とした日米豪印の協力強化を訴えた。
 首相は第1次政権時代もアジア地域などで自由や民主主義、法の支配の定着を目指す「自由と繁栄の弧」構想を掲げた。
 日豪両国は平成19年の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を受け、物品役務相互提供協定(ACSA)や安全保障に関する情報保護協定に署名するなど着実に安保協力を進展させてきた。
 しかし、首脳・閣僚間の交流では豪州の一方的な熱意が目立っている。民主党政権時代の3年余りの間、豪州の首相や閣僚が来日したのは延べ22回だったのに対し、日本側はわずか7回。外務省幹部は「日本がどれだけ豪州のラブコールに応えられているのかという反省はある」と語る。
 豪州は昨年4月に米軍のローテーション展開を受け入れており、中国を念頭に置いた米国との関係強化に乗り出している。日本に対しても協力拡大を要請している。日豪当局者間の協議では、豪州側が日本に集団的自衛権の行使容認をたびたび求めているという。
 安倍政権は「豪印両国との関係をより高い段階にしたい」(外務省幹部)として、会談を機に安保協力をさらに拡大させる方針だ。政府内には「公海上で日豪いずれかの船舶が攻撃を受けた際に、双方が守る“疑似同盟”を将来的には考えるべきだ」(政府関係者)との声も出ている。(杉本康士)
最終更新:1月14日(月)8時55分
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「ダイヤ形」安保 輝くか インド◇日本◇ハワイ◇豪州 連携
中日〈東京〉新聞 2013/01/17Thu. 特報
海洋進出「封じ込め」狙い
 ダイヤモンド安保構想−。耳慣れない言葉だが、安倍晋三首相が昨年末、提唱した外交安保のアイデア。日本、インド、豪州、米ハワイ州の連携を強め、ダイヤモンドの形の枠組みをつくる。狙いは海洋進出に野心的な中国に対するけん制であり、「封じ込め」戦術。ダイヤモンド安保の可能性と問題を考えた。(上田千秋・林啓太)
 ■中国けん制へ首相提唱
 「インド洋から西太平洋にかけて共有する海を守るため豪州、インド、日本、ハワイ州が『ダイヤモンド』を形成する」。「ダイヤモンド安全保障構想」は安倍首相が十二月二十七日、国際NPO「プロジェクト・シンジケート」に寄稿した論文で提唱した。
 ダイヤモンドは、日本など四カ国・州を線で結ぶと浮かび上がるひし形を指す。四角い海域での「航海の自由」を、日米印豪の四カ国が連携して守る戦略という。
 「プロジェクト・シンジケート」のウェブサイトには「安倍晋三首相」の名前が入っているが、実際には首相就任前に書いたものとみられ、そのためか、やや踏み込んだ表現が目立つ。
 論文にはこの海域に軍事面で進出を図る中国に対する首相の強い警戒感が込められている。中国は南シナ海の南沙諸島の領有権をめぐりフィリピンやベトナムなどと対立を深めているが、安倍首相は南シナ海が「『北京の湖』になるようにみえる」とかなり刺激的な表現を使っている。加えて首相は「日本が東シナ海で中国に屈してはならない」と強調。日中の尖閣諸島の領有権問題で日本の立場の正当性を訴えている。
 ■価値観外交
 安倍首相は以前から「自由、民主主義、基本的人権といった価値観を共有する国との関係を深める」と、「価値観外交」を主張している。今回のダイヤモンド安保構想も、こうした価値観外交に基づくもので、立命館大学の宮家邦彦客員教授(外交・安全保障)は「日本は米国、インド、豪州と民主主義の価値観を共有している。中国に尻込みしない民主主義国家をつなぎ、太平洋での自己主張が強まった中国に対し、現状の海洋秩序を守らせようとしている」と指摘。中国への牽制が最大の狙いだろうと解説する。
 東京財団の渡部恒雄上席研究員は「民主主義の価値観を共有しない、と言われることは中国からすればいやなこと」と指摘。その上で「首相は、ダイヤモンド構想の方針を示して中国に圧力を加え、自由主義国が海洋秩序を維持する枠組みに加わらざるを得なくさせる作戦だろう。そうすると、中国は尖閣諸島をめぐる行動も制限されるようになる」
 前の安倍政権ではこれと同じように「自由と繁栄の弧」があったが、ダイヤモンド安保構想はこれとはどう異なるのか。宮家氏は「戦略の切り口が海か、陸かの違いだ」と説明する。「自由と繁栄の弧が唱えられた当時は、日本がテロ対策をめぐり、イラクやアフガニスタンを支援し、ユーラシア大陸の東西を結ぶ価値観外交に重点が置かれていた。今は中国の海洋進出が大きな問題で、海を意識した構想を立てなければならなくなった」
 双日総合研究所(東京)の吉崎達彦副所長は「海洋国家である日本の価値感に裏打ちされたものの見方。セキュリティー・ダイヤモンドという言葉も斬新だし、コンセプトで闘うとの発想は今までの日本にはなかった。首相の発言としてはやや軽い印象があるが、政治家・安倍晋三個人の発言なら非常に面白い」と構想を評価した。
 佐藤優・元外務省主任分析官は「ロシアは静観するだろう。しかし、(中国を牽制する意味で)腹の底では歓迎するはずだ」との見通しを示した。
高まる緊張 逆効果?
 安倍政権はこの構想に沿って動き出している印象がある。ダイヤモンドの枠に入る東南アジアを重視する姿勢を鮮明にしている。
 今月に入って麻生太郎財務相がミャンマーを訪問。岸田文雄外相はフィリピン、シンガポール、ブルネイ、豪州を歴訪。安倍首相も十六〜十九日、ベトナム、タイ、インドネシアの三カ国を回る。
 「日本も世論戦でカウンターパンチを出せるんだと、中国に意識させることができる」(吉崎氏)との好意的な見方もある一方、実際にダイヤモンドを形成するには、問題が山積しているのも事実だ。
 ■豪印に温度差
 岸田外相と会談した豪州のカー外相は十三日、「日豪関係は中国を封じ込めるものではない。日本との関係緊密化は豪中、日中の関係強化と共存できる」と述べて日本の出方をけん制。「日豪はともに米国と同盟国。戦略認識を共有し、協力関係をいっそう推進していきたい」と語った岸田外相とは微妙な温度差を感じさせた。
 ダイヤモンドを結ぶ、もう一つの国、インドが同調するかどうかも疑わしい。外交評論家の孫崎亨氏は「インドの中国との貿易量は日本の何倍にも当たり、国の重要度は中国の方がはるかに上。現実的に考えれば、できるとは思えない」とみる。
 岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明センター長補佐も「『日印の関係が、日米関係を超えるわけがない』というのがインドの一般的な考え方。インドからすれば、日米を基軸としたものよりも東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係や自由を中心とした別の枠組みを考えていくだろう」との見方を示す。さらに「日米同盟の強化や対中政策のためにインドを犠牲にしようとしているのでは、と考えている識者もいる」と指摘する。
 ■口実与える?
 ダイヤモンド構想が中国を強く刺激し、尖閣問題などをめぐる緊張を高める危険があるとの見方もある。
 慶応大学の渡辺靖教授(文化外交)は構想自体は「悪くないアイデア」という一方、「日中関係は今、非常に危険な領域に入っている。構想は、『中国にとって脅威になる。拡張路線を進めなければならない』との口実を与えかねず、逆効果になる可能性がある」と指摘する。
 渡辺氏はこうした構想と並行して、中国政府の中枢にパイプをつくるなど地道な努力の積み重ねによって、関係改善を図るべきだとの考えだ。「いざという時に落としどころを見つけるのは政治家同士のコミュニケーションなのに、それができていない」と説く。
 孫崎氏も、ダイヤモンド構想の裏には米国の戦略がちらつくと否定的な考えを強調。「日米は価値が共通だとか、中国と連携できるわけがないと主張するが、それは米国の軍産複合体が使うロジック。米国は自国のカネを使わずに、日本などに負担させたいだけのことだ」と述べた。 *リンクは来栖
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Asia’s Democratic Security Diamond by Shinzo Abe- Project Syndicate http://po.st/e9XtMg
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