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高速鉄道の知財 川重の技術に中国がどれだけ独自性や新規性を加味したかがポイント

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高速鉄道の知財めぐり日中の論争過熱
2011/7/11 17:12 きょうのWSJ日本版より
 日中の鉄道車両メーカー間での論争が過熱している。中国の国有企業が高速鉄道の技術を盗み、海外への販売を狙っているのではないかという議論だ。
 中国の高速鉄道中国は先月末に、特許を国外で21件出願したと発表した。これは海外で鉄道車両を販売するうえで、重要なステップとなる。これに対して、川崎重工業などの大手日本メーカーは、日本が開発した技術に関して特許を取得しようとした場合、提訴を行うと警告した。この論争は政治にも飛び火し、松本剛明外務相は先週の中国側との会談で、状況を「注視している」と述べたと共同通信が報じた。
 中国はこの警告に対して憤然と反論した。
 中国鉄道省の報道官は、国営の新華社通信に対して、中国の高速鉄道システムは2020年には1万6000キロまで延びる計画だが、それは日本の新幹線よりも優れていると話した。中国の高速鉄道のネットワークの中でも最も期待されている、北京−上海間の路線が7月1日に開通したが、この発言はその1週間後に行われた。
 「北京−上海高速鉄道と日本の新幹線は比較にならない。中国の高速鉄道で使われた技術の多くは、日本の新幹線よりはるかに優れている」
 日本と中国の鉄道車両の合弁事業は、何年も前に始まった。川崎重工は、国有の中国南車などの中国企業に技術を移転した企業の一つだが、やがて中国企業から競争を挑まれることとなった。
 中国側は、中国の技術は川崎重工などの技術とは異なると主張している。スピードはより速いし、車輪と線路の摩擦も軽減されているという。中国南車の副ゼネラルマネジャー、マ・ユンシャン氏は言う。「我々の技術は海外に由来しているかもしれないが、だからといって、その技術が海外の所有であるということにはならない」
 論争が過熱するなか、中国は海外への技術輸出の機会をより積極的に探っている。中国国内の高速鉄道市場はここ数年盛況だったが、勢いは鈍化し始めているようだ。高速鉄道の料金は大半の中国人にとって高すぎ、人々が不満に思うのに平行して、鉄道省の債務は増加している。鉄道相はここ数か月、高速鉄道に関しては新たなプロジェクトに着手する前に、建設中のものに集中すると言い続けている。
 日本企業が言葉通りに行動し、やがて中国の車両メーカーを知的財産権の侵害で訴えるのか否かは明らかではない。事実の解明は困難であろうし、裁判には長い年月と多額の費用がかかることだろう。注目されるのは、海外のさまざまな企業の経営陣がこの争いをどうみるかである。その多くがいまだに中国に関する昔からのジレンマについて考え続けている。市場へのアクセスか、知的財産権の保護か。
記者: Brian Spegele
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パクリ特許取得阻止に断固対抗 中国版新幹線、試される知財戦略
2011.6.30 23:47 産経ニュース
 川崎重工業などが技術供与した新幹線の「特許」を主張する中国に対し、日本の鉄道関係者は、強い不快感と警戒感を示している。中国と同様に、日本も新幹線をベースとした高速鉄道の輸出を成長戦略の重要な柱と位置付けており、ライバル関係にある。指をくわえて見ているわけにはいかない。供与した技術の転用などが判明すれば、特許無効を求め、断固対処する構えだ。
 川重は、2004年から中国の鉄道高速化プロジェクトに参加し、05年に国有メーカー「中国南車」と車両設計の合弁会社を立ち上げ、技術を供与した。
 関係筋によると、中国側は特許について、「提供されたのは最高時速200キロの車両で、380キロの走行を可能にしたのは中国の技術」と主張。これに対し、日本の関係者は、「契約に基づき、安全性を確保するため、営業速度275キロの条件つきで技術を供与した」と反論する。
 川重は特許申請について「内容を見て対応を検討する」(幹部)と言葉を濁す。新幹線輸出の旗振り役の国土交通省の幹部も「どこまで日本の技術が入っているかわからない。事態を見守るしかない」と話す。だが、関係者の多くは、「転用」とみている。
 川重は米国などで新幹線の製造技術に関わる特許は出願していない。中国に特許を握られると、価格競争では太刀打ちできないだけに、市場参入で不利になりかねない。
 まず対抗手段として取り得る策は、各国の特許庁への働きかけだ。出願された技術について「自社の技術と同じ」と情報提供することで、特許取得を阻止できる。仮にどこかの国で特許が登録された場合、川重側は再び特許登録の無効を求めた審判を申し立てたり、各国の裁判所に特許の登録取り消しを求め提訴することも可能だ。
 特許紛争に詳しいシティユーワ法律事務所の尾崎英男弁護士は「川重の技術に中国がどれだけ独自性や新規性を加味したかがポイント。それが認められなければ特許は登録されない」と話す。知的財産をどう守るのか。日本の国家戦略が試されている。(渡部一実)


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