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11年度 中国国防予算案、前年度比12・7%増の約7兆5千億円/尖閣諸島:中国空軍2機が接近 空自が緊急発進

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クローズアップ2011:中国国防費、12.7%増 習体制へ国威発揚
 11年度の中国国防予算案が4日、前年度実績比12・7%増の6011億元(約7兆5000億円)と発表された。昨年度は同7・5%増と22年ぶりに1ケタの伸びに抑制されたが、それは前年度(09年度)に建国60周年の軍事パレードで予算が膨れあがった反動。中国は巨額の資金を投じてステルス戦闘機などの新型兵器開発を急いでいるが、こうした予算は政府内の他部門で計上されており、全体の軍事費は公表された予算の約1・5倍(中国軍関係者)とみられる。国威発揚などの国内事情もからんでいるが、国防予算が急増し続けている上に透明性が欠如していることで、日米など周辺国は警戒感を強めている。
 ◇初の空母就役も
 「中国には13億人の人口と広い国土、長い海岸線がある。限られた軍事力は独立と主権、領土を守るためのものだ」。中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官は4日の会見で大国にふさわしい軍事力を持つ必要性を訴えた。
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、中国の軍事費は08年に米国に次ぐ世界2位に浮上。11年度予算案では、日本の防衛費の1・5倍以上だ。
 中国が軍の近代化を急ぐ背景には、7月の中国共産党90周年と来秋の共産党大会に向けた国威発揚に利用する思惑がにじむ。中国脅威論を警戒し新兵器開発を伝えなかった国内メディアも、1月に四川省成都で行われたステルス戦闘機「殲20」の試験飛行を写真付きで伝え、2月には「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」配備を報道した。
 海外報道を引用する形でだが、昨年12月には、大連で改修が進む旧ソ連製空母「ワリャーグ」が今年中に進水し、中国初の練習用空母として就役すると報じている。空母保有計画は、日米だけでなく、中国と南シナ海での領有権紛争を抱える東南アジア諸国にも警戒感が強いものだ。
 また、今回の国防予算増額には、来秋の共産党大会で任期を迎える胡錦濤国家主席(中央軍事委員会主席)が軍の近代化や将兵の待遇改善に果たした実績をアピールし、習近平国家副主席(軍事委副主席)へのスムーズな権力移行につなげる狙いもありそうだ。
 香港メディアによると、習氏はステルス戦闘機の試験飛行を現地視察した。さらに、軍幹部人事でも習氏に近いとされる劉源・軍事科学院政治委員が1月に補給を担う総後勤部政治委員に抜てきされた。劉氏は文化大革命で失脚した劉少奇・元国家主席の息子。習氏と同じ高級幹部子弟「太子党」の筆頭格だ。
 軍人事では、第2砲兵(戦略ミサイル部隊)の魏鳳和参謀長が軍全体の副総参謀長に昇格した。魏氏は弾道ミサイルの専門家として知られる。来秋の党大会で軍指導部入りし、弾道ミサイルのハイテク化を指揮するとの観測がある。
 中国軍では10年に1度の共産党指導部交代に伴う大規模な幹部人事が始まっており、習氏を支える幹部たちの実績作りも必要になっている。来秋の党大会を前後する数年は国威発揚や幹部抜てきのための「お手盛り予算」(外交筋)が続きそうだ。【北京・浦松丈二】
 ◇海・空軸 米、対中戦略を重視
 ゲーツ米国防長官は2月25日、陸軍士官学校で演説し、「米軍が将来直面する戦争シナリオは海軍力、空軍力を中心としたものとなるだろう」と明言した。これまで、最新鋭ステルス戦闘機F22の調達を打ち切るなど対テロ戦重視を鮮明にしてきた長官の演説は、米国の国防政策の軸足がテロ対策から再び国家対国家の戦争に回帰していくことを宣言したものだった。
 シンクタンク・ヘリテージ財団のディーン・チェン研究員は「地上戦が時代遅れになり、海空戦力に焦点を当てるということは、すなわち中国重視にシフトしているということだ」と語る。
 米国は中国軍近代化について「透明性が足りない」と批判してきたが、最近は「(中国軍の)多くの能力は明確に米国を狙ったものと思われる」(マレン統合参謀本部議長)などと、米中対立を予感させる踏み込んだ発言が多い。背景には、中国の空母開発などは西太平洋における米軍の行動を妨害するのが目的と分析していることがある。
 国防総省は、これらに対抗するため、海軍と空軍が統合作戦を展開するジョイント・エア・シー・バトル構想の研究を進めている。「特定の国家を想定したものではない」と説明しているが、研究者の多くは「内実は対中戦略」と解釈する。
 中国の軍備強化は、日本にも大きな懸念材料だ。前原誠司外相は4日の定例会見で「極めて高い伸び率の軍事費だ。いったい何のために使うのか」と不信感をあらわにした。2日には中国軍機2機が尖閣諸島の北50〜60キロまで近づき、航空自衛隊がF15戦闘機を緊急発進(スクランブル)させた。岩崎茂航空幕僚長は「今まで以上に南へ出てきた」と警戒感を示す。
 中国の軍事動向に詳しい茅原郁生・拓殖大名誉教授は「日本の周辺海域で中国との摩擦がいつ起きてもおかしくない。危機対処や安全保障のあり方を考え直す時期だ」と話す。だが、日米とも財政難で防衛予算への削減圧力は強い。ある自衛隊幹部は「米国を核とした連合国、友好国の合従連衡で中国に対抗していくしかない」と指摘する。【ワシントン古本陽荘、政治部・坂口裕彦】毎日新聞2011年3月5日 東京朝刊
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中国の国防費 日米は脅威増大に備えよ
産経ニュース2011.3.6 03:01
 中国国防費の伸び率が再び2けたに戻った。
 中国の全国人民代表大会(全人代)の李肇星報道官が公表した2011年度の国防費は、前年度実績比12・7%増の6011億元(約7兆5千億円)に上り、過去22年間で1けた増にとどまったのは昨年度だけだ。
 その突出した軍備増強ぶりは、力ずくの海洋権益拡大と併せて地域と世界の懸念を高めており、米軍も7年ぶりの運用指針改定で対中シフトの強化に踏み切った。尖閣諸島問題を抱える日本は、日米同盟を強化・充実して脅威の増大に備えるとともに、国際社会とも連携して中国に透明性拡大を強く求めていくべきだ。
 中国は1989年度以来、国防費の2けた増を続け、2007年度に日本を抜いた。08年以後は米国に次ぐ世界2位だ。円換算で11年度は初めて7兆円を超え、日本の11年度予算案の防衛関係費(4兆7700億円)との差は3兆円に迫りつつある。異様なペースで増強する狙いはいったい何か。
 問題は総額だけではない。昨年の尖閣諸島沖の漁船衝突事件が示すように、中国は南シナ海や東シナ海で強引な海洋進出を進め、総額2兆円近いとされる空母建造計画を本格化させている。
 1月には初の国産ステルス戦闘機「殲20」の試験飛行も行った。米空母の接近阻止が目的とみられる対艦弾道ミサイル(ASBM)の開発や宇宙、サイバー空間の攻撃能力も増強している。
 これらの研究開発費は政府公表の国防費に含まれず、実際の支出額は「公表額の2〜3倍」(米国防総省)との見方がある。
 にもかかわらず、その戦略的意図や目的を明確に説明しようとせず、それが近隣の疑念を募らせていることを中国指導部は強く認識すべきだ。全人代の李報道官は「中国の軍事力はいかなる国の脅威にもならない」と強調したが、口先だけでは信頼されない。
 日本も昨年版の防衛白書で中国の行動を「地域・国際社会の懸念事項」とし、脅威認識を前面に出したが、備えは大丈夫か。
 5日には中国の漁業監視船が尖閣諸島沖の日本の接続水域に入った。昨秋以来7回目である。
 海洋覇権を狙う動きとして、日米がとりわけ警戒と監視を強める必要がある。菅直人政権は日本の領土と主権を守る確固たる姿勢を行動で示してもらいたい。
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尖閣諸島:中国空軍2機が接近 空自が緊急発進
 防衛省統合幕僚監部は2日、中国海軍の情報収集機など2機が尖閣諸島の北50〜60キロまで接近したため、領空侵犯の恐れがあるとして、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたと発表した。
 領空侵犯はしなかったが、防衛省は「中国軍機が尖閣諸島にここまで近づくのは初めて」としている。
 防衛省によると、中国海軍のY8情報収集機とY8哨戒機は2日昼すぎ、東シナ海上空を南下、日中中間線を越え、尖閣諸島に接近したところで西に向けて方向転換した。空自南西航空混成団は、対領空侵犯措置としてF15戦闘機をスクランブルさせた。
毎日新聞 2011年3月2日 23時25分(最終更新 3月3日 0時54分)
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中国の漁業監視船、再び尖閣へ 中国は国内法で尖閣諸島や西沙・南沙島を中国領土だと主張2011-01-28 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
 田母神俊雄著『田母神国軍』
p29〜
▲尖閣諸島が中国に乗っ取られる 中国の謀略は始まっている
 尖閣諸島をめぐっての中国の動きは活発化しています。
 2004年3月、中国人の活動家7人が魚釣島に上陸し、沖縄県警が逮捕。
 2008年12月には中国の海洋調査船2隻が、約9時間にわたって領海侵犯。
 2010年4月、中国海軍の艦艇10隻が沖縄本島と宮古島の間の公海を南下し、中国艦の艦載ヘリが監視中の海上自衛隊の護衛艦に、2度も異常接近。
 そして2010年9月7日、尖閣諸島の久場島から北北西約12キロメートルの日本領海内で、監視中だった海上保安庁の巡視船が、違法操業をしていた中国のトロール漁船に衝突されるという事件が起きました。
p30〜
 中国は1992年にこっそりと制定した「領海法」という国内法で、尖閣諸島や西沙・南沙諸島を中国領土だと主張しており、中国国内に「尖閣諸島は中国の領土」という共通の認識をもたせることにはすでに成功したと言えます。
▲最初は中国政府の工作だとわからない
 では、日本の領土である尖閣諸島が、実際に中国に占領されてしまうきっかけにはどのようなものがあるか。「漁船」衝突事件とは、別のやり口を考えてみます。
 中国は、まずは漁船などを使って、中国人を島に上陸させることから始めると考えるのが妥当です。
 もちろんそのとき、中国政府は一応、自国民の違法行為に対して、「遺憾である」という立場を取るはずです。公式に「遺憾」とは言わないまでも、「上陸はするなと押さえていたけれど、彼らが勝手に上陸してしまった」というような言い訳をするでしょう。
 本当は中国政府が仕掛けているとしても、そんなことはおくびにも出しません。
 中国という国は、何をするにしても、最初は誰がやったかわからないような形で仕掛けてきます。(略)
 無断で日本領土である島に上陸されたのですから、日本は当然、上陸した中国人を強制的に排除しようとします。2004年のケースでも、沖縄県警が入管難民法違反の現行犯で上陸した中国人活動家7人を逮捕しています。
 ここで忘れてはならないことは、漁船で中国人が上陸するというのは、すでに大きな乗っ取り戦略の1つだということです。
 おそらく、上陸行動自体も段階的に行われるでしょう。まずは、漁船で島に近づいてきますが、海保の巡視船に注意されて、ひとまずあきらめて帰ります。
 しかし、また少し時間をあけて、様子を見ながらもう1度近づいてくる。それを3、4回繰り返して、5回目ぐらいになるといよいよ上陸してくる。
 上陸が始まってからも、中国は段階的に進めてくるでしょう。
p32〜
 日本側は最初、警察当局が入管難民法違反の容疑で上陸した中国人たちを逮捕します。あるいは、最初は中国人のほうが無条件で撤退するかもしれません。しかし、2度目の上陸では、確実に逮捕者が出ます。
 そして3度目の上陸では、より多くの中国人がやって来て、逮捕者も増えます。
 それを何度か繰り返す中で、中国は漁民の中に兵士を紛れ込ませてくると考えられます。
 すると、強制的に排除しようとする警察と、中国人たちとの間で小競り合いが起きるようになります。この小競り合いも何度か繰り返されるでしょう。
 小競り合いが3日、あるいは1週間近くも続くようになってくると、中国が国を挙げて「中国人を保護しなければいけない」と乗り出してくるはずです。
▲危機に自衛隊が出動できない
 では、このような事態に、日本政府と自衛隊に何ができるか見てみましょう。
 2010年9月に防衛省がまとめた平成22年度防衛白書の「武装工作員などへの対処の基本的な考え方」という項目の中では、武装した工作員が日本国内で不法行為に及んだときに、第一義的に対処するのは警察機関だという考え方を示しています。
 そして、警察機関が武装工作員への対応をとっているとき、自衛隊の任務は「状況の把握」であり、「自衛隊施設の警備強化」であり、「警察官の輸送」であるとしています。自衛隊員が警察を支援するわけです。
 これが、とても馬鹿げたことであるのは子供でもわかると思います。諸外国とはまったく反対の構図で、何もしないと言っているのと同じです。
 中国人が漁船で上陸してきた初期の段階なら、まだ、警察当局や海保庁で対応できるかもしれません。しかし、その人数が増え、中には兵士も混ざり、さらには最終的に「自国民を守る」という御旗の元に中国の軍艦がやってくるまでには、そう時間はかかりません。
 「日本の領土に上陸しても、とくに武力行使されるわけでもないし、悪くて警察に捕まる程度か」という認識を中国に持たせれば、彼らは軽い気持ちで軍艦を出します。
 問題は、中国人が漁船で上陸した初期の段階で、なぜ、自衛隊が出動できないのかということです。
p34〜
 この段階で、日本政府が武力攻撃事態対処法に基づいて、防衛出動ができるかといえば、おそらくできません。つまり、自衛隊は動けない。日中関係を悪くしたくないと考える人たちから、「防衛出動を発令すると、中国を刺激してよろしくない」といういつものセリフが出て、そうこうしているうちにうやむやに終わってしまうのがオチです。
 おそらく、中国の正規軍が侵攻してくるという事態にでもならない限り、日本政府は武力攻撃事態として認定しないでしょう。
 では、諸外国ではこのような事態にどう対処しているのか。
 そもそも諸外国では、まず防衛出動が発令されることはありません。防衛出動というものは、ただ軍に対して命令を与えるだけのものですが、他国ではエリアの担当司令官に、その対応が任されています。
 例えば、あるエリアが他国から攻撃を受けた場合、当然、そのエリアの防衛を担当している司令官が対応することになります。有事の際には、司令官の判断で対応するというのが、普通の国のあり方です。事は突発的に起るものですから、もたもたしていたのでは時すでに遅し、ということになります。
 日本でも国内の事件の場合は、警察の判断によって警察が対応しますが、本来、防衛に関してもそれと同じで、警察のかわりに軍が柔軟に対応するべきです。
p35〜
 防衛出動が発令されるという異常な体制をとっているのは、日本だけです。日本の場合は、これが発令されなければ、自衛隊は動けないということです。
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