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アジアの安全保障における台湾の役割

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世界潮流を読む 岡崎研究所論評集
アジアの安全保障における台湾の役割
WEDGE Infinity 2013年04月17日(Wed)
 The Diplomat誌の3月7日付論説で、台北在住ジャーナリストのコールが、中国の攻撃的姿勢と、クリントン国務長官のアジア・ピヴォットの影響下に、台湾は、防衛問題についての地域との関与を粛々と進めている、と述べています。
  すなわち、台湾は、最近の中国の攻撃的態度への懸念が高まるにしたがって、地域の発展しつつある安全保障構造の中で、可能性ある構成要素としての役割を、粛々と切り拓いている。
  台湾の状況の微妙な変化は、約2年前に起こった。これは、米国が、中国に対抗するために、アジアへの「戦略的シフト」あるいは「回帰」を宣言したのと、ほぼ時期を同じくする。中国が外交的、軍事的強硬さを増し、東シナ海および南シナ海問題で隣国を脅かすにつれて、アジア太平洋各国の政府は、中国のいわゆる平和的台頭という仮定について、再検討し始めている。その結果、豪州のダーウィンへの米海兵隊の駐留や、シンガポールへの米海軍の沿海域戦闘艦4隻のローテーション配備など、多くの決定がなされたが、同時に、地域の国々は、台湾の地域における役割、そして、台湾と安全保障問題でいかに協力できるかということに目を向け始めた。
  密接な両岸関係の水面下で、台湾軍が、中国の敵対的態度の継続に対して、攻撃的ミサイルを大量生産する計画、射程約650キロの対地攻撃巡航ミサイル「雄風IIE」の配備、射程1500キロの地対地ミサイルの開発計画などをもって対応しているのは、驚くべきことではない。
  おそらく、さらに重要なことは、対中防衛のための台湾の防衛装備が、地域との協力に、より資するようになってきたことである。
  台湾の不安定な地位と、馬の対中関係改善の決意を考えれば、台北が北京を遠ざけないよう注意を払ってきたことは理解できることであり、台湾は、目立たないように、そして多くの場合、非公式に周辺地域に関与してきた。
 先月、匿名の条件で、台湾駐在の外国高官が筆者に、近年見られなかったような頻度で、諜報機関の長を含む、安全保障関係の閣僚級の台湾当局者が、地域の国々に招かれ、カウンターパートとの対話を持っている、と言った。
  台北駐在の日本当局者は、台北と東京の間の安全保障問題についてのコミュニケーションは、尖閣問題があるにもかかわらず、依然として健全であると、筆者に語った。
 3月に発表された、在台湾シンガポール軍兵士と台湾軍による共同火器演習も、地域の他の国々と同様、シンガポールも、台湾とより緊密に行動することに乗り気になってきたことを示しているのかもしれない。
  北京は、その行動が地域の他の国々を脅かしてはいないと見られている時に、台湾を最もうまく孤立させることができた。中国の過去2年間の敵対的態度は、直接的には、中国が台湾問題の中立化に成功した結果かもしれないが、それは、台湾に、地域においてより重要な地位を与えるという、逆効果をもたらしている、と述べています。
    * * *
  筆者のコールは、カナダの諜報機関で働いていた経歴を持つ、台湾在住の人物で、台湾の安全保障問題について多くの論説を発表していますが、その内容は従来とも、客観的、現実的です。
  この論説で解説している、台湾を取り巻く情勢の微妙な変化も、おそらくは、正確な描写であろうと思われます。
  台湾の軍の本来の任務は、大陸光復の方針を捨てて以来、中国からの侵攻に対する防衛です。馬英九政権が発足して、将来の両岸統一を仄めかすようになって以来、そのモチベーションに蔭が生じたことはあるかもしれませんが、その本来の任務は変わりようもありません。
 また、長い民進党政権時代と世代の交代によって、軍の中堅幹部の台湾化も進んでいるので、その基本的軍事戦略には変わりは無いのでしょう。
  そして、中国の周辺諸国に対する強硬姿勢が続けば、台湾の軍事力強化と周辺諸国との秘かな協力関係の強化は、馬英九政権の下でも進めざるを得ないでしょう。
  したがって、馬英九政権では、目立たないようにしているかもしれなませんが、その防衛体制は、国内、国外両方を含めて、可能な限りは着々と進んでいると想像できます。
  馬英九第一期政権時代の統一重視の雰囲気が、クリントンによる米のアジア回帰の御蔭で、また微妙に変わって来たことは想像に難くありません。台湾防衛についてのアメリカの役割は、それが全部と言って良いくらい大きく、アメリカが頼りになるとなれば、台湾の姿勢も大きく変わることになります。
  他方、その進展は一方的かつ不可逆的であるとも限りません。オバマ、バイデン、ドニロン、ケリーの政権が対中宥和策に転じる可能性はまだ排除できません。ただ、それも、長期的に見れば、オバマ政権第一期の最初の一年間のように、一時のジェスチャーだけに終わる可能性もあります。
  台湾を取り巻く国際情勢は今後とも変転するでしょうが、台湾の軍は、論説も指摘しているような台湾防衛戦略を貫けば良く、それが、日本の国益にもかなうことです。
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『最終目標は天皇の処刑』 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌 ペマ・ギャルポ著 飛鳥新社 2012年1月27日 初版第1刷発行
p15〜
台湾からの義援金
 東日本大震災における一連の流れで、私にはもう1つ気になったことがあります。(略)
 例えば、台湾で集まった義援金は震災後1カ月足らずで、日本円にして140億円を超えました。
p16〜
 しかもその大半は一般市民からのものです。アメリカの赤十字による寄付が100億円ですから、人口がアメリカの約10分の1に過ぎない台湾で140億円も集まったということは、いかに彼等が心配してくれているかの表れでしょう。その後もその額は増え続け、台湾総統府の発表によると、2011年5月1日時点で約163億円、最終的には200億円に迫る金額で、海外への義援金としては過去最高だそうです。
 ところが、この事実を報道したのは一部のメディアに過ぎませんでした。しかも、ほんの小さく事実を伝えただけの、いわゆる“ベタ記事”扱いです。その一方で、中国から15人の救援隊が派遣された時は、「民族の感情を越えた人道主義」といった美談仕立てにして、大手メディアが大々的に報じています。一方、インドからは中国の3倍にあたる47名がやって来て、過酷な大罪環境の中、瓦礫の山の中からの遺体収容など一番つらい仕事を受け持ちました。インドだけではありません。(略)にもかかわらず、ニュースになるのは圧倒的に中国のことばかり。ちなみに中国からの義援金は10億円に満たない額です。金額や人数の多寡を、あまりとやかく言うつもりはありませんが、それにしても台湾が10数倍の金額を寄付してくれた事実を、ほぼ無視するというのは、あまりにも不自然ではありませんか。
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震災式典 台湾の指名献花は当然/昨年は中国へ遠慮し、台湾を指名献花からはずすという恥ずべき行為 2013-03-07 | 国際/中国/アジア 
 震災式典 台湾の指名献花は当然だ
 産経新聞2013.3.7 03:14[主張]
 11日に行われる政府主催の東日本大震災2周年追悼式典で、国名を読み上げる指名献花の列に台湾代表を加えることが決まった。
 昨年の式典では、当時の野田佳彦政権が台湾を指名献花からはずし、日本人として恥ずかしかった。中国への過度の配慮がにじんでいた。台湾をきちんと処遇する安倍晋三政権の是正措置を評価したい。
 台湾は2年前の震災発生直後、馬英九総統が先頭に立って日本への義援金を募った。各国の中で群を抜く250億円にのぼった。
 そうした台湾の人々の善意を無視するかのように、日本側が式典で台湾の代表を冷遇したのは、国家としての品格が問われる失態だった。2度目の追悼式典は日本が1年遅れで感謝の思いを示す場だと心得なければならない。
 加藤勝信官房副長官は、6日の記者会見で、台湾代表の献花の際、各国と同様に紹介のアナウンスをする考えを明らかにした。当然の配慮だ。
 日台間には懸案もある。台湾は中国との間で経済協力枠組み協定(ECFA)を結ぶなど関係を深めてきた。尖閣諸島についても中国同様に領有権を主張している。昨年9月には多数の台湾漁船が尖閣近くの日本領海に侵入し、並走する台湾巡視船と海上保安庁巡視船がにらみあう事態も起きた。
 だが、台湾は民主主義を基盤にする国であり、一党独裁の中国とは違う。安全保障面でも日米同盟を支持する立場である。
 台湾外交部(外務省)は最近の声明で、尖閣について「中国大陸との合作(連携)は困難」と明言した。馬総統が昨年8月に発表した「東シナ海平和イニシアチブ」を中国側が無視したことや中国がベトナムなど周辺国と領土紛争を展開したことなどが理由だ。
 2009年以降中断されたままの日台漁業協議の焦点は尖閣周辺海域の扱いである。操業の線引きなどで折り合いをつけるには相互の信頼が欠かせない。
 台湾には日本統治時代に教育を受けた世代だけでなく、若者にも親日派が少なくない。台湾からの日本への訪問者は昨年156万人と震災の一昨年より42万人増えた。日本から台湾は14万人増の143万人である。
 被災地支援が育んだ絆が一層強まり、日台の懸案解決につながることを期待したい。
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「台湾代表を指名献花に」震災追悼式典で政府が表明 2013-03-06 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 「台湾代表を指名献花に」震災追悼式典で政府が表明
 産経新聞2013.3.6 13:45
 加藤勝信官房副長官は6日午前の記者会見で、11日に都内で開催される政府主催の東日本大震災追悼式で、各国代表が献花する際に国名を読み上げる「指名献花」に台湾を加える方針を明らかにした。昨年の民主党政権下の式典では指名がなく、当時の野田佳彦首相が国会答弁で陳謝した経緯がある。
 加藤氏は「昨年の式典で台湾の方々の気持ちを傷つけるようなことがあったとすれば政府としてまったく本意ではない。今年はぜひ指名献花をお願いしたい」と述べた。
【東日本大震災2年】中国が追悼式ボイコット 台湾の「指名献花」に反発 2013-03-12 | 国際/中国/アジア
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