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『朝鮮日報』記事〜閣僚らの靖国参拝/極右改憲/村山談話、継承はせず/日本を率いる右派政治家たち

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靖国:閣僚らの参拝、日本メディアも批判
朝鮮日報 2013年04月24日09時29分
  日本の閣僚や国会議員たちが靖国神社を参拝したことについて、日本でも批判の声が上がっている。
 朝日新聞は23日「靖国問題 なぜ火種をまくのか」と題する社説で「近隣諸国との関係改善が必要なときに、安倍政権はいったい何をしているのか」「閣僚の言動を含め、自制を求めたい」と閣僚・議員らの靖国参拝を批判した。
 社説は「日本外交にとって、今最も優先すべき課題の一つは核・ミサイル問題で挑発を強める北朝鮮に日中韓が結束して当たることだろう。靖国問題でことを荒立てるのは方向が逆ではないか」「これによって関係改善が遠のくようなことになれば、国益を損なうだけだ」と指摘した。
 同紙はさらに「植民地支配と侵略へのおわびと反省を表明した村山談話について『(安倍内閣として)そのまま継承しているわけではない』と述べた。(最近の)高い支持率で緊張感が薄れているのではないか」と書いた。
 毎日新聞も同日の社説で「内閣の『ナンバー2』である麻生副総理ら閣僚が靖国神社に参拝したことは、北朝鮮問題での中韓との連携を難しくし、結局は日本の国益を損ないかねない」「今回の安倍首相による供え物の奉納と、麻生副総理の参拝が、夏(7月)の参院選対策や、在任中の首相参拝への布石だとしたら、受け入れられるものではない」と批判した。
 毎日新聞は、日本国内でも靖国問題について、A級戦犯の分祀(ぶんし)論や無宗教の国立追悼施設の建設案といった世論があると指摘した上で「靖国参拝をどう考え、今後、どう解決していくつもりか。国民への説明をあいまいにしたまま、既成事実を積み重ねるようなやり方は許されない」と主張した。
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「極右改憲」に向けひた走る安倍政権
朝鮮日報 2013年04月24日09時29分
 日本政府が露骨に極右民族主義路線へと踏み出している。全体的な右傾化だ。過去最多の国会議員がA級戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社を参拝し、安倍晋三首相は戦争犯罪に対する歴代政権の謝罪、さらには「侵略した」という事実までも否定しようとしている。7月の参院選で自民党が勝利すれば、右傾化路線はさらに強まる見通しだ。
■戦犯自体を否定する安倍首相
 麻生太郎副総理兼財務相をはじめ、安倍内閣の閣僚3人が21日、靖国神社を参拝したのに続き、23日には韓国、中国政府の反発をあざ笑うかのように、過去最大規模となる衆参両院の国会議員168人も参拝した。
 毎日新聞によると、安倍首相は終戦記念日の8月15日には参拝を見送るとみられるが、10月の秋の例大祭には靖国神社を参拝する見通しとされる。
 安倍首相は2007年に首相を辞任後、数回にわたり「首相在任中に靖国神社を参拝できなかったことが痛恨の極みだ」と語っている。
 今回国会議員が大挙して靖国神社を集団参拝したことも、安倍首相のそうした認識が影響を与えたものだ。靖国神社はA級戦犯を合祀した場所であり、韓国と中国にとっては、日本帝国主義による侵略の象徴だ。
 安倍首相は普段「東京裁判は勝者による裁判だ」として、戦犯そのものを否定してきた。安倍首相が誇りにしている母方の祖父、岸信介元首相も戦犯容疑者だった。
 安倍首相は昨年12月の総選挙で▲過去の植民地支配を謝罪した村山談話の見直し▲戦争を禁止した平和憲法の改正▲独島(日本名・竹島)に対する領有権主張の強化▲自虐史観教育の撤廃?などを公約に掲げて圧勝した。
■高い支持率がバック
 安倍首相は政権発足初期、韓中が反発する歴史認識問題や論議の的となる憲法改正問題には言及せず、経済政策に力を入れた。金融緩和を通じた円安政策が効果を挙げ、支持率は最近76%(日本経済新聞調査)まで上昇し、これまで自制していた「理念的なカード」を本格的に切り始めた。
 23日の国会答弁では、日本の植民地侵略そのものを否定する発言までした。日本軍に強制的に動員された従軍慰安婦の存在を認めた河野談話を見直す可能性にも言及し始めた。政権発足後しばらくは自制していた極右的な発言のレベルも徐々に高まっている。
 右傾化は7月の参院選を見据えた戦略的な側面もある。小泉純一郎元首相は周辺国の非難を顧みず、靖国神社参拝などを通じ、極右層の支持を集め、長期政権を実現した。
■参院選で北東アジアの対立激化も
 安倍首相は23日の国会答弁で「7月の参院選で憲法改正を焦点化する」と宣言した。その柱は戦争と軍隊の保有を禁止した憲法9条だ。安倍首相を中心とする右翼勢力は、憲法9条を改正し、「戦争ができる日本」をつくろうとしている。右翼勢力は1990年代初めから日本を「普通の国」にすると主張してきた。
 中国との尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる領土紛争、北朝鮮の核・ミサイルによる挑発も憲法改正論に拍車を掛けている。北朝鮮が日本も核攻撃の対象になり得ると脅迫し、日本の政界では「敵の基地を先制攻撃できる長距離巡航ミサイルの開発と配備が必要だ」との主張が公然と飛び出している。安倍首相は敵の基地に対する攻撃権は現行法の枠内でも容認されると主張した。
 安倍首相が7月の参院選で圧勝すれば、日本の政界は憲法改正に踏み出す可能性がある。既に衆議院では改憲派が3分の2の議席を掌握している。東日本巨大地震、中国との対立などで、極右民族主義の台頭をコントロールできる政治勢力は姿を消した状態だ。野党の民主党の支持率が急落している上、党内にも改憲支持派が生まれている。
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安倍首相「「村山談話、そのまま継承はせず」
朝鮮日報 2013年04月24日09時03分
  安倍晋三首相が22日、日本のアジア侵略を謝罪した「村山談話」について「安倍内閣として、そのまま継承しているわけではない」と発言し、衝撃が広がっている。安倍首相は参院予算委員会で「戦後50年には村山談話、戦後60年には小泉談話が出たわけで、戦後70年(2015年)を迎えた段階で、安倍政権としての、未来志向的な新しい談話を発表することも考えたい」という趣旨の発言を行った。村山談話はアジア全体を対象していることから、安倍首相の今回の発言は、韓国や中国だけでなく、アジア全体に大きな波紋を広げるものとみられる。
 村山談話とは、1995年に当時の村山富市首相が、戦後50周年に合わせて「(日本は)植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」と表明したことを指す。これは、従軍慰安婦に対する日本政府の関与を認めた河野談話と並び、日本政府が歴史問題で最も積極的な謝罪を行ったものだ。
 ソウル大学のパク・チョルヒ教授は「村山談話はアジア全体と関連を有するもので、これを修正するということは『歴史の反省に根ざした戦後の発展』の重要な軸を壊すこと」と語った。韓国政府の関係者は「安倍首相が準備している『新談話』では、日本政府の責任があいまいに処理される可能性が高い」と語った。
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安倍首相と麻生副総理、日本を率いる右派政治家たち
朝鮮日報 2013年04月24日09時02分
   安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務大臣は、ゆがんだ歴史観を持つ極右寄りの政治家だ。2人とも祖父が首相を経験しており、政治の名門一家出身。
 安倍首相は2006年から07年にかけて首相を務めたときも、日本軍に強制動員された従軍慰安婦の存在を否定した。また、愛国心教育の強化という名目で教育基本法を改正し、歴史教科書の歪曲(わいきょく)を制度化した。安倍首相の母方の祖父は、太平洋戦争後に戦犯容疑者となった岸信介元首相だ。
 麻生副総理は「創氏改名は朝鮮人の希望によって行われた」と発言したことがある。また、08年9月から1年にわたって首相を務めた。麻生副総理の曽祖父、麻生太吉氏は戦前、韓国人1万人余りを強制徴用したといわれる麻生炭鉱の創業者だ。また、母方の祖父は吉田茂元首相、義理の父親は鈴木善幸元首相。さらに妹は、今上天皇のいとこに当たる寛仁親王の夫人だ。
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戦争責任を否定する安倍首相の挑発
朝鮮日報 2013年04月24日09時01分
  日本の安倍晋三首相は23日、参議院での答弁で日本による侵略の事実そのものを否定した。これは日本の保守系政治家の間では一般的な考え方だ。しかし首相がこのような発言をしたことについて、韓国政府や韓日関係の専門家は非常に衝撃的な出来事として受け止めている。一言で「暴走」と認識しているわけだ。
 複数の専門家は「侵略戦争の性格を否定すれば、日本は戦犯国という評価から抜け出すことができ、自然に『軍隊の保有』と『戦争ができる国』に突き進むだろう」「安倍首相の発言は日本の戦略的次元から出ているのではないか」との見方を示した。
■侵略戦争の否定は安倍首相の念願
 安倍首相はこの日、参議院予算委員会での答弁で「侵略についての定義は学界でも、国際的にも定まっていないと思う。国家と国家の関係で、どの観点から捉えるかによって違ってくるものだ」と述べた。
 1995年に村山富市首相(当時)が日本による過去の植民地支配や侵略を謝罪した「村山談話」には「遠くない過去の一時期」「国策を誤り」「植民地支配と侵略によって」の三つの文言が含まれているが、これについて自民党の丸山和也議員が「(これらの文言は)あいまいなまま『すみません』と言う事なかれ主義。歴史的価値はない」と指摘した。これに対して安倍首相は「丸山委員が質問された点は、あいまいな点と言ってよい。この談話について、そういう問題が指摘されているのは事実ではないか」と同意した。
 村山談話が発表されてから、日本の歴代の政府はこれを継承するとの立場を守ってきた。しかし安倍首相はこの談話を継承しないだけでなく、一歩踏み込んで「帝国主義日本の侵略は侵略ではなかった」というところまで主張したいようだ。
 94年に永野茂門法相(当時)はメディアとのインタビューで「太平洋戦争を侵略戦争とするのは間違っている」と発言したことがある。直後に羽田孜首相(当時)は永野氏から辞表を受け取り、金泳三(キム・ヨンサム)大統領に電話をかけて謝罪した。ところが19年後、今度は首相が同じような発言を行ったというわけだ。
 安倍首相は議員になってから一貫して今の立場を守り続けている。93年に細川護熙首相(当時)が「侵略戦争であり、間違った戦争」と発言したときも、安倍首相は「あの戦争は日本だけの責任ではない」と反論した。安倍首相は官房長官を務めていた2006年、自民党総裁選への出馬を宣言した直後、今回と同じような趣旨で「戦争の定義は政府の仕事ではなく歴史家の判断に委ねるべきだ」と発言した。
 ところが同年、首相に就任すると「村山談話の継承」という日本政府の公式の立場をそのまま維持した。ただし、当時も東京裁判でのA級戦犯たちに対しては「戦争犯罪人ではない」との主張は譲らなかった。
 安倍首相は昨年、2回目の首相の座に挑戦する際には「村山談話の破棄」を堂々と主張していた。昨年8月には産経新聞とのインタビューで「(93年に日本による従軍慰安婦動員の責任を認めた)河野洋平氏(当時は内閣官房長官)の談話や村山談話など、全ての談話を見直す必要がある」「(政権を握れば)新しい政府見解を発表したい」と発言していた。
■日本国民の敗北意識が根底に
 世宗研究所日本研究センターの陳昌洙(チン・チャンス)所長は「日本の首相が侵略を否定するのは非常に深刻な状況だ。過去数十年間、日本では首相がこのような発言をしたことはない。一言で、日本の隅々に広まる敗北意識の反作用によって極右の声が非常に大きくなり、これが政治家を通じて表面化している」との見方を示した。
 ソウル大学のパク・チョルヒ教授は「日本は自分たちの全体的な自尊心を回復するため、反省はおろか歴史的事実を歪曲(わいきょく)する方向に進みだしているが、これは本当に驚くべきことだ。事実そのものをねじ曲げているため、状況は非常に深刻だと思う」「浮上する中国に対抗するには、韓国など周辺国と連合しても足りないのに、むしろ韓国を足蹴(あしげ)にしている。『しっかりしろ』と言いたい」と述べた。
 外交安保研究院の尹徳敏(ユン・ドクミン)教授は「村山談話は韓日関係の基礎だ。安倍首相は今も70?80%という高い支持率を維持しているため、非常に攻撃的な動きを示しているようだが、韓国政府は国交断絶まではいかなくとも、単なる抗議以上の(強い)行動を示す必要があるだろう」と主張した。
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安倍首相、日帝侵略事実も否定
中央日報 2013年04月24日08時49分
  安倍晋三日本首相は23日、植民地支配と侵略を謝罪した1995年の「村山談話」と関連し、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかにおいて違う」と述べた。
 この日午前の参議院予算委員会で、丸山和也自民党議員が「村山談話の『遠くない過去の一時期』『国策を誤り』『植民地支配と侵略によって』という表記に見られるように、あいまいなまま『すみません』 という事なかれ主義。歴史的価値はない」と指摘すると、安倍首相はこのように答えた。また「そのような観点でも、談話(村山談話)において、こういう問題(あいまいで歴史的価値がない)が指摘されているのは事実」と語った。
 「村山談話を安倍内閣としてそのまま継承することはできない」という前日(22日)の発言に続き、村山談話否定の強度をさらに高めたと解釈される。村山談話を自虐史観だと批判し、侵略という表現を正面から否定する日本国内の右翼勢力の主張とも軌を一にする。
 安倍首相は歴史認識に関し、「政治の場で論じると直ちに外交問題に波及する」とし「外交問題になった時、私たちはそれは(相手国家の主張)違うと知りながらも口をつぐんでタブー視してきたのが事実」と主張した。
 一方、この日、日本の超党派議員からなる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の168人は、靖国春季例大祭を迎えて靖国を参拝した。例年の参拝国会議員数は30−80人ほどで、昨年は81人だった。安倍政権の発足で日本政界の保守化傾向がそのまま反映されたと分析される。
 朝日新聞は23日、「1987年以降、最も多い議員が靖国を参拝した」と報じた。この日の参拝には高市早苗自民党政調会長、山口俊一財務副大臣、佐藤正久防衛省政務官、衛藤晟一首相補佐官らが参加した。
 20、21日に靖国を参拝した現閣僚は韓国と中国の批判世論に正面から反発した。麻生太郎副総理兼財務相はこの日、「毎年2、3回伺っている。いまさら言われるような話ではない」とし「海外で反応が出ているというが、外交に影響が出ることはあまりない」と反論した。

書評『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著 安倍叩きは「朝日の社是」 2012-12-27 | 読書 
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タイ、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、インド、ベトナム、マレーシア〜首相の靖国参拝に異論はない 2013-04-21 | 政治
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「日本首脳の靖国参拝」中国にとっては大きな駒の1つ。譲歩すれば、その後に別の対日要求が出てくる 2011-08-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 国際激流と日本 
挑発的?米国人学者が提言 「首相はもっと頻繁に靖国を参拝せよ」
JBpress2011.08.23(火)古森義久
 いわゆる靖国問題が日本国内の政治論議にまた浮上した。民主党の次期代表、つまり次期首相候補に名乗りを上げた野田佳彦財務相が、首相や閣僚が終戦記念日に靖国神社に参拝し、戦死者の霊を弔うことにはなんの支障もないとする見解を表明したからだった。
 この見解は、これまでの民主党政権の靖国参拝への態度からはまったく遊離している。菅政権でも、首相はじめ閣僚たちは誰一人として8月15日に靖国神社に参拝しなかったからだ。この点は、野田氏自身に対する「では自分がなぜ参拝しないのか」という疑問にもつながる。
 野田氏は8月15日の記者会見で、「首相の靖国神社参拝は問題なし」という見解を強調した。野田氏は民主党が野党だった2005年、「靖国にはA級戦犯が合祀されているから日本の首相は参拝してはならないという論理は破綻している」と主張し、結果として時の小泉純一郎首相の参拝を擁護した。
 野田氏は当時「サンフランシスコ講和条約や4回にわたる国会決議ですべての戦犯の名誉は法的に回復された」と述べたのだった。
 今回の会見で野田氏はこの自分の主張について問われて、今もその見解を変えていないと答え、自分が首相になった場合の靖国参拝の可能性も否定はしなかった。ただし野田氏のこの言明はすぐに韓国政府からの批判的な論評を招いた。
*靖国参拝問題に不干渉を通してきた米国政府
 日本の首相は自国の戦死者への弔意を表するために靖国神社に参拝してはならないのか。
 この問いに対する鳩山政権や菅政権の答えは明らかに「不参拝」だった。そして、その理由は中国や韓国からの激しい反対だったと言えよう。外国の反応が主要因なのである。しかも中韓両国の場合、日本の首相の靖国参拝に反対をぶつけるのは政府なのだ。中国政府と韓国政府なのである。
 しかし他の外国の政府はそんな反応はまったく見せていない。同じアジアでも日本軍の戦闘行動の舞台となったタイ、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、インド、ベトナム、マレーシアなど、どの国も日本の首相に「靖国参拝をするな」とは述べていない。
 台湾の李登輝元総統などは日本の首相は靖国を参拝するのが当然だと主張し、自分自身が日本軍人として戦死した実兄の追悼に靖国神社に詣でている。
 では、米国はどうか。靖国神社には米軍との戦闘で亡くなった日本軍将兵の霊が最も多く祀られている。だから、もし日本側が外国の反応を首相の靖国参拝の是非論で最大要因と見なすならば、米国の対応は最重要となる。
 米国の政府は、日本の政治指導者の靖国参拝には一切、不干渉を通してきた。特に奨励もしないが、決して反対もしない。そもそも外国の内部での自国の戦死者の追悼というのは、その国の独自の慣行であり、外国があれこれ指示すべきことではない、という認識が基本だと言えよう。
*靖国参拝は日本人自身が決めるべき内面的な課題
 米国の民間の識者の反応となると、さらに奥行きが深く、意外でさえある。日本をよく知り、日米戦争の歴史をも熟知するような学者たちが、日本の首相の靖国参拝を奨励するのである。しかも、中国のような外国が日本の首相の参拝の是非に介入することを非難するのだ。
 その顕著な実例はジョージタウン大学の東アジア言語文化学部長だったケビン・ドーク教授の意見である。日本の民主主義やナショナリズムの研究を専門とする同教授は、「日本の首相が靖国神社に参拝するのは当然」と述べるのだ。
 小泉政権当時の、日本の首相の靖国参拝を中国が非難することに対して同教授は「日本の首相よ、靖国参拝をもっと頻繁に」と激励したのだった。
 ドーク教授の日本の新聞への寄稿には以下のような記述があった。
 「靖国参拝は日本国民にとっては祖国を守るために戦没した先人への心情にかかわる微妙な問題であり、あくまで日本国民自身が決める内面的な課題である。特に戦死者の霊をどうねぎらうかは日本の国民や指導者があくまで独自に決めることであり、他国が干渉すべき案件ではない。他者の尊厳への敬意の表明は民主主義社会での個人の権利や市民の自由である。そこには政治的な外交的な意味はない」
 「挑発的と思われるかもしれないが、日本の首相が年に1度よりも頻繁に、たとえば毎月でも靖国を参拝することをまじめに提案したい。そうすれば首相は反対者の多くが主張するように戦争や軍国主義を礼賛するために参拝するのではなく、生や死に対する精神、信仰の適切な応じ方を真に敬虔に 模索するために参拝していることを明示できる。
 その明示の最善の方法は信仰にもっと積極的になることであり、そのために儀式上どのような祈念の形態をとるかは首相自身の権利として選べばよい」
 「一国の政府が他国の指導者の戦死者追悼の方法に外部から無理やりに政治や外交の意味を押しつけ、その追悼の中止を要求することは人間の心を排除し、民主主義の基本を脅かすことになりかねない。個人の精神の保ち方や信仰のあり方が脅かされるからだ」
 ドーク教授は以上のような見解を今も変えていないと明言する。そして、さらに次のようなことを述べるのだった。
 「中国政府が小泉首相の靖国神社参拝を、軍国主義や戦争の美化と結びつけて非難することはあまりにも皮肉な倒錯である。今、中国が異様なほど大規模な軍拡を進めていることは全世界が知っている。その軍国主義の中国が日本の首相の神社参拝をとらえて、軍国主義だと非難するのだ。
 また、中国が靖国を攻撃する背景には政治や外交の武器にするという目的以外に、信仰や宗教を脅威とみて、反発するという現実がある。中国政府は現に国内のカトリック教徒を弾圧し、逮捕までして、バチカンを無視し、自分たちに都合のよい人物たちを勝手に司教に任命している」
 米国の識者の間にこんな意見があることをわれわれ日本側としては少なくとも認識はしておくべきだろう。
*中国の狙いは日本の指導層の「調教」?
 米国学界で中国研究の泰斗ともされるペンシルベニア大学名誉教授のアーサー・ウォルドロン氏の見解も興味深い。同氏は2人の叔父を第2次大戦中、日本軍との戦闘で亡くし、子どものころから日本の戦時中の軍事行動には強い反発を覚えていたという。だが、近年、靖国神社を訪れてみたというのだ。
 小泉政権当時に私がワシントンでインタビューしたウォルドロン教授は次のような趣旨の見解を述べていた。
 「数多くの日本の家族も同じような悲劇を体験したことだろうと思った。それに私は小泉首相の『平和を祈るために靖国を参拝する』という言葉を信じた。戦後の日本は民主主義と非軍国主義を実践した国であり、米国と共通の価値観を持つ同盟国でもある。その日本には日本なりの方法で自国の戦没者を追悼する権利があるとも思った」
 「靖国神社では改めて日本側の戦没者も米側同様に自国のために戦って死んだ、ごく普通の人たちだったのだと実感した。そして、なによりも米国と日本はすでにとっくに和解していることを痛感した。
 靖国では私は境内に咲いたサクラの花ビラをプラスチックの容器に入れて飾った『靖国の桜』という飾りを1つ買って持ち帰り、亡き叔父の遺影の隣においた。日米両国の死者の霊を悼んだのだ。これが私にとってのヤスクニ受け入れだった」
 さらにウォルドロン氏は中国研究者として以下のような考察をも強調したのだった。
 「私はさらに中国研究者として、またいつも客観性を求める学者として中国がなぜ日本の政治指導者の靖国参拝を非難するかを考察すると、その意図があまりに明白に見えてしまう。中国共産党にとっては真の狙いは、日本の指導者に靖国参拝を止めさせることよりも、日本の指導層全体を叱責し、調教することなのだ。自国の要求を日本に受け入れさせることが長期の戦略目標なのだ。
 靖国はその大きな将棋のなかの駒の1つにすぎず、日本がそこで譲歩すれば、その後に別の対日要求が出てくる。その最終目標は中国が日本に対し覇権的な地歩を固めることなのだ」
 野田氏の発言でまた国際的な脚光や論議を呼びかねない「靖国問題」には米国にこうした意見があることも明記しておくべきである。*強調(背景着色等)は来栖
<筆者プロフィール>
古森 義久 Yoshihisa Komori
 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員。1963年慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。75年サイゴン支局長。76年ワシントン特派員。81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年毎日新聞を退社して産経新聞に入社。ロンドン支 局長、ワシントン支局長、中国総局長などを経て、2001年から現職。2005年より杏林大学客員教授を兼務。『外交崩壊』『北京報道七00日』『アメリカが日本を捨てるとき』など著書多数。
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「日本の国内法においてA級戦犯は戦争犯罪人ではない」という認識は、日本政府の公式見解である2011-08-18 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
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安倍首相「私の主張が極右的なら、世界の国々も全て極右国家になる。『安倍談話』15年発表目指す」 2013-03-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
 「15年の新談話発表目指す」安倍首相、韓国誌に
 2013.3.18 13:38 [安倍首相]
 安倍晋三首相は17日発売の韓国月刊誌「月刊朝鮮」のインタビューで、1995年の村山富市首相談話を踏まえた歴史認識に関する新談話について「戦後70年になれば70年目の談話を出さなければならない」と述べ、2015年の発表を目指す考えを明らかにした。
 インタビューは2日に行われた。首相は竹島の領有権問題に関して「日本が武力を行使することはあり得ない」と述べ、法にのっとり冷静に対応するべきだとの立場を強調した。旧日本軍の慰安婦問題は「専門家や歴史家に任せるべきだ」との認識をあらためて示した。
 集団的自衛権の行使容認などに韓国で懸念が出ていることをめぐっては「韓国を含む大多数の国家が採っている安全保障体制に近づこうとしているだけだ」と指摘。「私の主張が極右的なら、世界の国々も全て極右国家になる」と述べた。(共同)
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「安倍談話」15年発表…首相が韓国誌に語る
2013年3月18日14時04分 読売新聞【ソウル=中川孝之】
 安倍首相は18日発売の韓国誌「月刊朝鮮」とのインタビューで、歴史認識に関する「安倍首相談話」について、「戦後70年目の談話を出すべきだ」と述べ、2015年の談話発表を目指す考えを示した。
 インタビューは2日に首相官邸で行われた。
 安倍首相はまた、いわゆる従軍慰安婦問題に関する1993年の「河野談話」見直しに関連し、「今後どう対応するかについて、専門家や歴史家に意見を聞く。外交、政治問題にすることは全く考えていない」と改めて主張した。
 自身が集団的自衛権の行使容認などを巡り、韓国で「極右」と警戒されている点について、「韓国を含む大多数の国家が採用している安全保障体制と同じようにするものだ。私の主張が『極右』なら、世界のどの国家も極右国家となる」と強調した。
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“極右”安倍首相を評価し始めた韓国 有力紙も編集方針変更 2013-03-23 | 国際/中国/アジア 
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右傾化のレッテル、不法占拠…韓国こそ「正しい歴史認識」を
【政論】産経新聞2013/03/18 10:39更新
 日韓外務当局による「日韓記者交流」で11日から16日まで、朴槿恵(パク・クネ)大統領の新政権が発足したばかりのソウルを訪れ、政府当局者、韓国人記者、さらには一般の高校生までが、日本の「右傾化」への懸念を口にすることに驚いた。この言葉は日本を「過去」のイメージでとらえるための便利な道具なのかもしれない。
 「日本は右傾化しているのではないか?」
 「軍備増強や歴史認識での日本の強硬姿勢への心配が広がっている」
 外交通商省を担当する韓国メディアの記者らは12日、日本人記者団との意見交換会でこう指摘した。視察した高校でも、男子生徒が「日本人は極右の傾向を持っている」と口にした。
*右傾化のレッテル
 安倍晋三首相が11年ぶりに防衛関係費を増額し、旧日本軍による慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」の見直しに意欲をみせたことを一緒くたにして「右傾化」のレッテルを貼れば、韓国人には居心地がいいのだろう。
 ただ、防衛関係費の増額は、核・ミサイルの開発を進める北朝鮮や、沖縄県・尖閣諸島で領海侵入を繰り返す中国を念頭に置いたものであり、韓国に向けられたものではない。日韓両国が米国と緊密な連携を図る上でプラスになるはずだ。
 尹炳世(ユンビョンセ)外交通商相は15日、日本人記者団に「歴史問題について日本側のリーダーたちが正しい認識を持ち、行動で示してほしい」と答え、慰安婦問題での前向きな対応を促した。
 しかし、島根県・竹島に関する質問には答えず、それどころか、外交通商省当局者が「質問はなかったことにしてほしい」と求め、記者団と押し問答になった。国内で「弱腰」と報じられることを懸念したのだろう。
*「未来志向」の一歩
 竹島問題に関し、尹氏は閣僚候補として2月28日に行った国会の人事聴聞会で「日本帝国主義の侵略過程で起きた歴史問題」と位置付け、「日本が、紛争地域化しようという戦略がさらに強化されている」との見解を示している。
 日本が閣議決定によって竹島領有の意思を再確認したのは、1910(明治43)年の日韓併合に先立つ1905年のことであり、1950年代から韓国が不法占拠を続けている。竹島問題で韓国側が「正しい歴史認識」を持つことが、「未来志向の関係を構築していく」(朴大統領)ための第一歩になるはずだ。(加納宏幸)
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「右傾化」批判の誤り/安全保障への無関心や不関与という極左から、真ん中へ向かおうとしているだけです 2012-12-19 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 【あめりかノート】「右傾化」批判の誤り ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
 産経新聞2012.12.18 03:08 ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
 「安倍政権誕生となると、北京の論客たちはあらゆる機会をとらえて『日本はいまや右傾化する危険な国家だ』と非難し続けるでしょう。しかし『右傾化』というのが防衛費を増し、米国とのより有効な防衛協力の障害となる集団的自衛権禁止のような旧態の規制を排することを意味するのなら、私たちは大賛成です」
 ブッシュ前政権の国家安全保障会議でアジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏が淡々と語った。日本の衆院選の5日ほど前、ワシントンの大手研究機関、ヘリテージ財団が開いた日韓両国の選挙を評価する討論会だった。日本については自民党の勝利が確実ということで安倍政権の再登場が前提となっていた。
 CIAでの長年の朝鮮半島アナリストを経て、現在は同財団の北東アジア専門の上級研究員であるブルース・クリングナー氏も、「右傾」の虚構を指摘するのだった。
 「日本が右に動くとすれば、長年の徹底した消極平和主義、安全保障への無関心や不関与という極端な左の立場を離れ、真ん中へ向かおうとしているだけです。中国の攻撃的な行動への日本の毅然(きぜん)とした対応は米側としてなんの心配もありません」
 確かに「右傾」というのはいかがわしい用語である。正確な定義は不明なまま、軍国主義や民族主義、独裁志向をにじませる情緒的なレッテル言葉だともいえよう。そもそも右とか左とは政治イデオロギーでの右翼や左翼を指し、共産主義や社会主義が左の、反共や保守独裁が右の極とされてきた。
 日本や米国の一部、そして中国からいま自民党の安倍晋三総裁にぶつけられる「右傾」という言葉は、まず国の防衛の強化や軍事力の効用の認知に対してだといえよう。だがちょっと待て、である。現在の世界で軍事力増強に持てる資源の最大限を注ぐ国は中国、そして北朝鮮だからだ。この両国とも共産主義を掲げる最左翼の独裁国家である。だから軍事増強は実は「左傾化」だろう。
 まして日本がいかに防衛努力を強めても核兵器や長距離ミサイルを多数、配備する中国とは次元が異なる。この点、グリーン氏はフィリピン外相が最近、中国の軍拡への抑止として日本が消極平和主義憲法を捨てて、「再軍備」を進めてほしいと言明したことを指摘して語った。
 「日本がアジア全体への軍事的脅威になるという中国の主張は他のアジア諸国では誰も信じないでしょう。東南アジア諸国はむしろ日本の軍事力増強を望んでいます」
 同氏は米国側にも言葉を向ける。
「私はオバマ政権2期目の対日政策担当者が新しくなり、韓国の一部の声などに影響され、安倍政権に対し『右傾』への警告などを送ることを恐れています。それは大きなミスとなります。まず日本の対米信頼を崩します」
 グリーン氏は前の安倍政権時代の米側の動きをも論評した。
 「米側ではいわゆる慰安婦問題を機に左派のエリートやニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズが安倍氏を『危険な右翼』としてたたきました。安倍氏の政府間レベルでの戦略的な貢献を認識せずに、でした。その『安倍たたき』は日本側で同氏をとにかく憎む朝日新聞の手法を一部、輸入した形でした。今後はその繰り返しは避けたいです」
 不当なレッテルに惑わされず、安倍政権の真価を日米同盟強化に資するべきだという主張だろう。(ワシントン駐在編集特別委員)
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