改憲で軍備増強への道筋をつける安倍首相
WSJ Japan Real Time 2013年 4月 24日 17:52 JST.【東京】
安倍晋三首相は、称賛を受けている当初の焦点であった経済政策から、一段と論議を呼ぶ議題へと軸足を移しつつある。つまり、近隣諸国をいら立たせている戦時中の負の遺産問題に立ち返り、日本の軍事力強化に道を開くことにもつながりかねないことだ。
安倍首相は最近、66年前に施行された平和憲法の改正という自らの目標に立ち戻ることを明言しだしている。
さらに、内閣閣僚3人を含む大勢の与党・自民党代表団が靖国神社に参拝し、首相も靖国神社に供物を奉納した。
23日には東シナ海の尖閣諸島周辺海域で緊張がぐっと高まるなか、首相は参院予算委員会で、日本が実効支配する領域の防衛のために軍事力行使も辞さない意向を示した。
首相は「領海に入り上陸するという、いかなる試みにも断固たる対処をすると当局に指示している」と述べ、「上陸となれば強制排除するのは当然だ」と述べた。
靖国参拝や領有権問題がこのところニュースで大きく取り上げられているものの、国内で最も著しい変化をもたらす可能性があるのは安倍首相の憲法改正に向けた取り組みだ。
安倍首相は先週の読売新聞とのインタビューで、「制定から60年以上が経過し、中身が時代に合わなくなっている」と話し、「私たち自身の手で新憲法をつくる精神こそ時代を切り開いていく」と続けた。
現在の憲法は1946年に米国の占領軍が起草したもので、安倍首相の意向が実現すれば、戦後憲法の初の改正となる。
海外での反感を招く可能性にもかかわらず、安倍首相はこうした改正を推し進める見込みが大きい、と政治アナリストたちは話す。憲法改正には衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成が必要で、さらに国民投票で過半数の賛成が必要と定められている。
自民党は昨年12月の衆院選での大勝を受け、衆院では連立与党のパートナーを合わせると既に必要議席を確保している。世論調査では、安倍首相が7月に行われる参院選でも同じような大差で勝利する可能性が示されている。
自民党幹部たちは、憲法改正が選挙戦での中心的なテーマになる可能性を示唆してきた。中国や北朝鮮との間で軍事的緊張が高まっていることから、国民は防衛力強化を受け入れやすくなっているとみられている。
憲法改正に対する反対を回避するための戦略として、安倍首相は内容よりもプロセスに重点を置きたがっている。憲法の平和主義的な文言を弱める試みによって、中国や韓国だけでなく国内のリベラル派議員からも批判が噴出することは十分認識しているため、首相は最近、まずは憲法改正に向けて垣根を低くしたい意向を示し始めている。これ自体、憲法改正が必要となるが。
具体的には、首相は憲法改正の発議要件を緩和するために憲法96条を改正したいと話している。首相は発議要件を両院の3分の2以上の賛成から過半数に引き下げることを提案している。
首相は21日、地方の補欠選挙の応援演説で、「(反対する)国会議員が3分の1をちょっと超えれば、国民が(憲法に)指一本触れられなくなるのはおかしい」と話した。
憲法96条の改正に向けた動きはここ数週間のうちに急に勢いがついてきたもので、政治評論家たちも意外感をもって受け止めている。憲法をめぐる安倍首相の焦点は以前は、戦争の放棄と戦力の不保持を定める憲法9条に向けられていた。
憲法96条をまず改正すれば、憲法9条の将来的な改正に道を開く上で反対が弱まる公算が大きい。憲法9条の維持を支持する人々は、同憲法によって、地域の安定と繁栄に貢献するという平和国家・日本の立場が保たれてきたと確信している。
中国日報は先月後半の社説で、「第二次世界大戦中の日本の武力侵略について日本政府が謝罪を拒否していることを考慮すると、日本国憲法の改正は世界の他の諸国にとって懸念要因だ」と述べた。
韓国の朝鮮日報は最近の記事で、日本の安倍晋三首相などが北朝鮮の核実験を、平和憲法を改正し、国民を再武装化に駆り立てる口実して利用しようとしていると主張した。
国内の批判家たちは憲法96条の改正は、憲法の全面的な書き換えにつながりかねないものだと指摘している。また、一部では、憲法96条の改正は単に憲法9条の改正にとどまらず、日本の将来に一段と大きな影響をもたらすことになるだろうとみる人々もいる。自民党は昨年12月に新憲法の草案を公表し、保守派議員が支持する複数の条項を列挙した。なかには、天皇を現行憲法のもとでの単なる「象徴」ではなく「国の元首」と呼ぶことや、自衛隊を軍隊と改名することなどが含まれる。
慶応大学法学部で憲法を専門とする小林節教授は「世界の普通の国では、憲法は権力者が簡単に改訂できないようになっている」と述べ、「(96条の改訂は)国民と権力者の位置関係がまったく逆転してしまう。改憲論以前のタブーだ」と話した。
米国では憲法改正には通常、上下両院の3分の2の賛成と全米50州のうちの4分の3の議会での批准が必要。ドイツと韓国でも憲法改正には議員の3分の2の支持が必要で、韓国ではそれに伴う国民投票も条件となる。米国憲法は1787年の施行以来、27回にわたり改正が行われている。ドイツと韓国では戦後の憲法はそれぞれ59回と9回にわたり改正されている。
安倍首相は現代の日本の政治家のなかでも最も国粋主義の1人とみられ、憲法改正の必要性について長らく議論してきた。現行憲法は米占領軍によって押し付けられたものであることから日本に「独立国家としての条件」を与えていないと主張している。
安倍首相は首相としての1期目にその土台を築き始め、国民投票の手続きを詳しく説明する法律を2007年に通過させた。これは憲法改正に必要な措置だが、それ時までは詳細について明確にされていなかった。安倍首相は今回、首相に返り咲き、この仕事の完遂に意欲を示している。
オーストラリア国立大学のリッキー・カーステン教授(日本政治思想史)は「安倍首相はいら立ち、急いでいる。予想外に自身の仕事を成し遂げる2度目のチャンスを手にした人なのだから」と述べた。
中国との領有権問題をめぐる緊張や北朝鮮の軍事的脅威が、安倍首相に新たな機会を与える形となっており、軍事力増強議論が活発化している。一方、安倍首相の景気刺激策はこれまでのところ意図した結果を生んでおり、長期にわたり低迷してきた日本の株価が急伸するとともに、首相の支持率も60‐75%の範囲に急上昇している。
それでも、有権者は憲法改正の必要性については見方がまちまちのようだ。NHKが今月上旬に実施した世論調査によると、憲法96条の改正を支持するとの回答は28%に対し、反対は24%だった。また、朝日新聞が実施した調査で、首相の政策のうち支持するものについての質問では、経済政策との回答が50%、外交と国家安全保障との回答は14%で、憲法改正との回答は6%にとどまった。
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米国メディアも、日本の右傾化や靖国参拝を一斉に非難=韓国
サーチナ 2013/04/26(金) 10:59
米紙ニューヨークタイムズ(NYT)やウォールストリート・ジャーナル(WSJ)、外交専門誌フォーリンポリシー(FP)など米国のメディアが24日までに、安倍晋三政権の最近の行動や日本の右傾化について批判したと、複数の韓国メディアが報じた。
韓国メディアは、「ニューヨークタイムズ・WSJなど米国メディアが、日本の右傾化を非難」、「NYTが日本の集団参拝は無謀な行動」、「混乱を生みだす日本、世界のメディアが一斉に右傾化批判」などの見出しで伝えた。
NYTは24日、「日本の不必要な軍国主義」と題した社説で、日本の政治家や閣僚が靖国神社に集団参拝した事実を取り上げ、「北朝鮮の核問題の解決のために日中韓の協力が切実な時期に、日本が中国と韓国の敵意に火をつけるのは無謀」と指摘したと紹介。
また同紙は「安倍首相と彼の同調者らは、20世紀の日本の帝国主義・軍国主義に苦しんだ韓国と中国にとって靖国神社参拝は、非常に微妙な問題であり、両国がどのような反応を見せるか予想できただろう」として、安倍政権の意図を疑った。さらに、「安倍政権は、(周辺国との)歴史的な傷に触れるのではなく、長期不況にさらされた経済の回復など、日本の将来に焦点を当てるべき」だと忠告した。
WSJは24日付の記事で、安倍政権の最近の歩みは平和憲法改正と軍事力強化に焦点を当てていると分析。意図的に韓国と中国との葛藤を高め、憲法改正の世論を拡散させる理由にしているという解釈した。
FPは、インターネット版の記事で、「この時点で、安倍内閣の靖国参拝は好ましくない行動。米国の世論は、(第2次世界大戦のA級戦犯が合祀されている)靖国神社の意味を知らずに沈黙しているが、もし分かれば、日米同盟は完全に破綻するだろう」と警告した。また「オバマ大統領が安倍首相に『私の在任中はこれ以上靖国神社を参拝させない』と安倍首相に強く警告すべき」と強調したと伝えた。(編集担当:李信恵・山口幸治)
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◆ 米国メディア、日本の右傾化を批判/韓国と在米韓国系市民の巧みな影響受ける『ニューヨーク・タイムズ』 2013-04-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 憲法改正で「日本」を取り戻せ 誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を 『Voice』4月号 2013-03-24 | 読書
『Voice』4月号2013/3/9(毎月1回10日発行)
憲法改正で「強い日本」を取り戻せ いまこそ誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を開けるときだ
対談「渡部昇一(わたなべしょういち・上智大学名誉教授)×百田尚樹(ひゃくたなおき・作家)」
〈抜粋〉
■在日コリアンの影響下に置かれていた民主党政権
p44〜
百田尚樹 民主党は与党になってから2年以上、代表選で在日コリアンを含むサポーター(党友)にも投票権がありました(2012年より日本国籍を有する者に限定)。つまり日本の首相を選ぶに際して、外国人の票が影響力をもっているということです。こんなおかしなことはありません。
渡部昇一 それは明確な憲法違反ですね。さかのぼっていえば、民主党と在日コリアンの関係が密接であるのは、戦後の55年体制で最大野党であった社会党出身者も少なくない。社会党を支えたのがまさに在日コリアンなのです。たとえば1951年に日本がサンフランシスコ条約に署名し、国際社会に復帰した時には、強硬に反対したが社会党でした。占領下の日本は在日外国人にさまざまな特権を与えており、彼らにとって非常に居心地がよかったからです。闇市で食糧を調達するときも、日本人はすぐ摘発されるのに、彼らは警察に取り締まられることはなかったほどですから。
これは作家の吉屋信子が書いていることですが、戦後間もなく菊池寛と一緒に京都に向かう汽車の中で、菊池が「今度の選挙で社会党は金がなくて大変だろうな」と口走ったところ、たちまち屈強な在日コリアンの男たちに囲まれ、因縁をつけられたそうです。彼らの本質がわかるエピソードです。
百田 日の丸や君が代に反対する文化人は少なくありませんが、そのなかには在日コリアンがいるともいわれています。厄介なのは、彼らが「自分たちは在日である」ということを標榜せず、日本人のふりをして意見を述べているということ。本来、外国人に日の丸や君が代について意見をいわれる筋合いはないですね。
渡部 日本人風のいわゆる「通名」を名乗っているコリアンの人に「元の名前は?」と聞くと、「名誉棄損で訴えるぞ」と怒りだすそうです。祖国にプライドをもっているにもかかわらず、なぜ本来の名前を聞かれるとそうした反応を示すのか。その意味でも非常に屈折しているといわざるをえません。
p45〜
■サイレントマジョリティの声を聞けるか
百田 同じように、戦後長らく左翼的な勢力が跋扈しているのが、新聞やテレビなどメディアの世界、そして教育界です。(略)
まずメディアについていえば、第1次安倍内閣は『朝日新聞』をはじめとする新聞やテレビに過剰なまでにバッシングされ、短い期間で残した実績が国民に十分に伝わらないまま、退陣に追い込まれてしまいましたね。
渡部 ベストセラーになった『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)で小川栄太郎さんが書いているのですが、昨年11月に亡くなった政治評論家の三宅久之さんは、かつて朝日新聞社の主筆だった若宮啓文氏に「どうして『朝日』はそこまで安倍さんを叩くんだ?」と尋ねたところ、「社是だからだ」といわれたそうです。
百田 ただ、いまでは「安倍たたき」をするか否か、メディアも少し慎重になっているようにもみえます。リベラルな論調を出すことで読者が減るのではないか、と懸念しているのでしょう。
渡部 1月にはアメリカの『ニューヨーク・タイムズ』紙が安倍さんを「右翼の民族主義者だ」と強く批判しました。『ニューヨーク・タイムズ』の東京支局は、朝日新聞社と同じビルにあります。これは邪推かもしれませんが、『朝日新聞』の記者が、自分たちの発言力が落ちていることに危機感を抱き、『ニューヨーク・タイムズ』の記者をけしかけて、社論を書かせたと解釈することもできます。
百田 ここ数年でインターネットが発達し、とくに若い世代を中心に「マスコミの情報が必ずしも正しいわけではない」という意識が芽生え始めたのも大きいですね。
p46〜
渡部 2012年から現在にかけては、脱原発運動の旗振り役になり、いかにも国民全体が「脱原発」の意見をもっているかのような記事を掲載した。しかし先の総選挙では、「日本未来の党」をはじめとする、脱原発政党は軒並み議席を減らしています。マスコミのいうことと、「サイレントマジョリティ」の意見は違うということが露呈しました。
百田 60年安保のときと状況はよく似ています。当時も日本全国が「安保反対」のような気運でしたが、自然成立とほぼ同時に岸内閣が倒れ、その数か月後に行われた総選挙で自民党が圧勝した。メディアの声はあくまでも「大きい声」にすぎず、それが大多数の声を代表しているとは限らないということです。
(略)
百田 岸信介はいみじくも、安保デモを前に「私には国民の声なき声が聞こえる」と発言しました。それは正しかったんです。いくら国会を群集が取り囲んでも、私の両親のような大多数の庶民は、そのような問題に何ら関わりはありませんから。サイレントマジョリティの声を聞くというのは、政治家の大きな資質の1つだと思います。
p47〜
■教科書には「事実」を記述すべき
渡部 第1次安倍内閣の果たした政策のうち、とくに私が評価しているのは、教育基本法の改正です。道徳や倫理観に関する基本的な教育方針を変えたことで、ようやく日本人が日本人であることに誇りをもてる教育ができるようになりました。
百田 日教組の教職員は子どもたちに、「日本は侵略戦争を行い、アジアの人々を傷つけた」「日本人であることを恥ずべきだ」ということを教えてきましたからね。そのような誤った知識を死ぬまで持ち続ける日本人も多い。広島県のある高校は修学旅行で韓国に行き、生徒たちに戦時中の行為について現地の人に謝罪をさせたとも聞きます。世界中を見渡しても、そのような教育をしている国はどこにもありません。
渡部 「日本が侵略戦争を行った」というのは、東京裁判の検察側プロパガンダの後継者です。しかし東京裁判以外に、日本を正式に批判した公文書は存在しません。マッカーサーもアメリカ上院の公聴会で、「日本が行ったのは自衛戦争だった」と証言している。東京裁判史観をいまだに尊重していることが、いかに意味のないものかがわかります。(略)
百田 「侵略戦争」といっても、日本人は東南アジアの人々と戦争をしたわけではない。フィリピンを占領したアメリカや、ベトナムを占領したフランス、そしてマレーシアを占領したイギリス軍と戦ったわけです。日本の行為を「侵略」と批判するなら、それ以前に侵略していた欧米諸国も批判されてしかるべきでしょう。
p48〜
渡部 私の娘はジュネーブの日本人学校で教えているのですが、日本から来た子どもたちが「日本人は悪いことをした」と洗脳されているのを解くのが大変だ、といっていました。「日本はほんとうは立派な国なのだ」と教えると、ほんとうに誰もが喜ぶそうです。
百田 だからこそ政府にいま求められるのは、日本人の歴史観を正しいものに変えるため、ロビー活動、啓蒙活動を行っていくことですね。
渡部 安倍さんは首相就任以前より、教科書問題に関心を抱き、大手出版社の社長に「こんなことを書いていたのか」と迫ったり、教育学者の藤岡信勝氏らが設立した「新しい歴史教科書をつくる会」で講演を行っていたと聞きます。安倍さんの改革によって、いまの教育界にさらなる風穴があくことを期待しましょう。
■日本の軍備がアジアの平和に繋がる
p49〜
百田 日本の人口1億人に対して、自衛隊の隊員数は25万人です。海外と比較をすると、スイス軍は人口780万人に対して、軍隊は21万人もいます。しかも現役を退いたら、60歳ぐらいまでは予備役として登録される。一家に1丁自動小銃が配布されており、日常は普通の仕事をしていても、事が起きれば戦場に赴く。歴史的には「永世中立国」として200年以上戦争をしていないわけですが、軍隊をもつことは、戦争に対するもっとも有効な抑止力であり、平和の維持にはそれだけの労力がかかることを理解しているわけです。
渡部 なかでも核兵器はもっとも有効な抑止力ですね。もし原子爆弾が開発されていなかったら、第3次世界大戦が起きていても不思議ではなかった。歴史上、2000年以上にわたって戦争が絶えなかったヨーロッパで、現在60年以上戦争が起きていないのは、1955年に西ドイツ(当時)がNATOに加盟し、アメリカとともに核兵器を発射できる資格を得たからです。そのため冷戦下で対立していたソ連も、西側諸国には手出しできなかった。逆にいま、もっとも戦争の危険性が高いのはアジアですが、日本が核兵器を保有していないことが大きいでしょうね。p50〜
■日本国憲法は「占領基本法」にすぎない
百田 だからこそ安倍政権では、もっとも大きな政策課題として憲法改正に取り組み、軍隊創設への道筋をつくっていかねばなりません。世界の約200か国のうち、軍隊をもっていない国は、モナコやバチカン市国、ツバルといった小国をはじめとする27か国しかない。日本のような経済大国がそれに当てはまるのは異常なことです。
渡部 同感です。安倍さんは第1次内閣で防衛庁を防衛省に昇格させ、内閣に安全保障の責任者が不在という歪な状態を解消させることに成功しました。第2次内閣では、さらにもう一歩踏み込んだ取り組みに期待したいですね。
百田 世間では、「憲法は神聖で侵さざるべきものである。改正するなんてもってのほかだ」という、「憲法改正アレルギー」のような意識が蔓延しているようにも感じます。しかし世界中のどの国も、憲法改正はごく普通に行っている。アメリカは18回、フランスは24回、ドイツは58回、メキシコに至っては408回も改正しており、世界最多の回数といわれています。(略)
p51〜
渡部 日本国憲法は「アメリカの占領が続く」という前提のもとに作られた、いわゆる「占領基本法」と呼ぶべきものなんです。もし1950年に朝鮮戦争が起きなければ、アメリカは50年ぐらい日本の占領を続けるつもりだったのですから。そのため日本国憲法の前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。日本人の安全と生存を諸外国に委ねるなんてとんでもない話であり、このような代物がほんとうの「憲法」であるといえるはずがない。
百田 アメリカも大東亜戦争で痛い目に遭っていますから、もう二度と日本が立ち向かえないようにした、ということですね。9条で「交戦権の放棄」を押し付けたのもそうです。いまの日本には自衛隊がありますが、9条を厳密に解釈すると、相手に銃を向けられて引き金に指がかかってもいても抵抗できない。向こうが撃ってくれば初めて反撃できますが、それも最低限のものに限られ、たとえば一発撃たれて十発撃ち返したら、過剰防衛として処罰される。こんな馬鹿なことはないでしょう。
p52〜
百田 ドイツも同じく、占領されているときに連合国軍に憲法を押し付けられましたね。でもドイツ人はそれを「憲法」とみなしておらず「ボン基本法(ドイツ連邦共和国基本法)」と呼んでいます。占領が解けてから50回以上も条文を改正し、自分たちの憲法をつくっていったのです。 *強調(太字・着色)は来栖
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