在韓記者「韓国は、日本を意識することによって元気が出る」
NEWSポストセブン2013.05.15 16:00
黒田勝弘氏は1941年生まれの産経新聞ソウル駐在特別記者。著者に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。黒田氏が韓国国内の動きについてレポートする。
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韓国メディアが珍しく「SAPIO」を絶賛している。本誌はこれまで「日本極右勢力の代弁誌」などと言われ、もっぱら日本叩きの材料に使われてきたが、ここにきて「SAPIOの指摘に謙虚に耳を傾けよう」というのだ。
話題になっているのが本誌4月号の特集「中国と韓国『没落の宴』」。韓国の最有力紙『朝鮮日報』(4月17日付の朴正勳コラム)が「日本国粋主義者たちが突くわれわれの急所」と題し「気分は悪いが彼らの嘲笑を読んでハッと目覚めた」と詳しく紹介している。
筆者は東京特派員出身。「S誌は日本内の戦闘的国粋主義者たちのホンネを代弁してきた。われわれに感情的非難を浴びせてきた彼らが“韓国没落”を叫んだからといって目新しくはないけれど、彼らが主張する韓日再逆転の論理は痛い。われわれが漠然とそうだろうと思って来た急所を鋭く突いている」というのだ。
論評のきっかけは北朝鮮問題。周知のように東アジア情勢はまたまた北朝鮮の“核脅迫”や“戦争脅迫”で大騒ぎとなった。お陰で韓国の国際信用度は揺らいでいる。
1993年の核拡散防止条約(NPT)脱退表明に始まった北朝鮮の核問題はすでに20年になるが、韓国は何の手も打てず「北朝鮮リスク」が続いてきた。今回もそれを痛感させられた。「北朝鮮リスク」は韓国の安定・発展の弱点になっている。朝鮮日報では、この点をSAPIOが韓国没落論の根拠の1つに挙げているとした後、対日自慢のタネだった経済についても危機を語っている。
今や3%にも届かない経済成長率、家計負債や就職難、貧富格差、福祉需要拡大……。そして技術不足、財閥偏重経済、急速な高齢化……。SAPIOの指摘通り、あらゆる難題が迫ってきている。
これらを踏まえて同紙は「2000年代に入り日本との国力格差は急速に狭まり、ついに悲願の日本追い越しが視野に入ってきたように思えたが、最近の状況はその期待が錯覚だったことを示している」と反省している。
彼らは日本の反撃のきっかけは安倍政権の登場だと認識している。「安倍政権のリーダーシップは国家の活力を回復させる求心点の役割を果たしている。リーダーシップというのはこのように1つの国家の雰囲気を一挙に変えてしまう」ものだという。
そのうえで「これまでは韓国自慢の強力なリーダーシップを日本がうらやましがっていた」といい、その結果、国家エネルギーを結集させ短期間に日本に追いついたのだが、それも「今や反対になった」と嘆いている。
同紙によれば韓国は深刻なリーダーシップの危機に陥っているという。朴槿恵新大統領は政権人事において、多くの候補者が不正腐敗経歴など“身体検査”で“落馬”するなどリーダーシップ発揮に問題が出ており、派閥争いやイデオロギー対立も相変わらずで国が乱れているというのだ。
韓国メディアにこれほどへり下られるといささか気味が悪い。しかもつい最近まで“極右”とか“軍国主義復活”などといって罵倒していた安倍政権まで誉めていただくとは。
「日本は嫌い」だが「日本はお手本」というのがこれまでの韓国における世論調査の大勢だった。今回も狙いは日本をネタに「だから韓国しっかりしろ!」というわけであり、日本を持ち出すことによって自らを批判し叱咤激励するというのは相変わらずだ。
私は昔から「韓国にとって日本は“元気の素”」と称してきた。韓国は依然、日本を意識することによって元気が出るようだ。
日韓関係は昨年夏の“韓国大統領竹島上陸事件”という韓国による外交的挑発の後、冷たい関係が続いている。だから関係改善にはまず韓国側から何らかのあいさつがなければならないのが順序だが、韓国外交は甘え(?)のせいかこれがよくわかっていない。
昔から「日韓関係は韓国が困ると良くなる」といわれてきた。韓国は今、北朝鮮にひどく脅かされて困っている。さらに経済でもこれから困りそうだ。とすると今後、日韓関係は良くなるということになるが……。
※SAPIO2013年6月号
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韓国“安倍たたき”に大忙し!単細胞、愚民政策…小国意識こそ時代錯誤
zakzak 2013.05.04【緯度経度】
韓国の朝7時のテレビニュースが冒頭から「日本が軍国主義復活の歩みを早めております!」と興奮気味に声を高めていた(4月30日のKBS)。画面には日本での政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」で安倍晋三首相ら出席者が「天皇陛下万歳」の声を上げた場面と、安倍首相が迷彩服にヘルメット姿で戦車に乗って手を振っている写真が出ていた。
「軍服姿の安倍首相」というが、自衛隊関連のイベントの際、背広の上に迷彩のジャンパーを羽織ったものだ。日本のネットに紹介された写真で「軍国主義」というにはいささかしまりのない姿だった。
韓国のメディアはこのところ「国会議員多数が靖国神社参拝」「安倍首相が侵略否定発言」「改憲へ拍車」といって日本非難と“安倍たたき”に大忙しだ。「このままでは日本、アジア、世界は大変なことになる!」とひどく心配してくれている。
メディアで見る限り韓国のこのところの対外気流は「反日」と「親中」と「韓国主導権」だろうか。
とくに来週の朴槿恵大統領初訪米を前に、韓国外交の方向性として従来の「韓米日」に代わる「韓米中」協力体制が語られ、北朝鮮と日本に対する「同時圧力」とか「日本はずし」を書き立てている(4月29日付、東亜日報)。
5月3日付の中央日報は「北東アジアには今、日本軍国主義の亡霊が徘徊(はいかい)している」と断じ、安倍首相に対しては「自閉症」「道徳的品性の不在」「単細胞」「愚民政策」…とののしりに近い。「国際問題担当大記者」という肩書の著名な金永煕氏の長文のコラムだが、結びにはこう書かれている。
「われわれ市民社会は全世界の市民団体と連帯し、アジアの平和を攪乱(かくらん)する安倍の時代錯誤的な野望を世界に知らしめるとともに、安倍の浅薄な国粋主義的扇動にまだ染まっていない多くの日本国民にも直接訴えなければならない」
これが一流紙の一流コラムニストの論評である。日本批判−反日だと何を言ってもいいという感じだ。
「韓米中・三角体制」論の東亜日報は「安保での韓米日協力と韓中日の地域経済協力が日本の歴史歪曲(わいきょく)・挑発や中・日領土紛争などで揺らぐなか、韓米中3国協力が韓国外交の“期待株”として浮かび上がっている」とし、「韓米中3国協力の成功は韓国が“韓国主導外交”をいかに発揮できるかにかかっている」と檄(げき)を飛ばしている。
これに応えているのが朝鮮日報3日付の「東アジア国際関係の主人公はわれわれだ」と題する学者(尹平重・韓神大教授)のコラム。新羅や高句麗、百済、倭(日本)、唐(中国)などこの地域の古代史から近代史まで説き起こし、最後は「韓国は今や経済大国で民主先進国だ。東アジアで弱者にとどまっている理由はない。時代錯誤的な小国意識は永遠に廃棄すべきだ」と意気盛んだ。
同感である。だから日本で誰かが靖国神社に参拝しようが、憲法改正をしようが、歴史認識を異にしようが、韓国がまた日本に侵略・支配されるなどということはもはやない。心配や警戒こそ時代錯誤なのだ。
訪米する朴槿恵大統領に米国は「韓国の対中外交力は日米との確固とした協力体制が背景にあってこそですよ」とやんわりクギを刺すだろう。“安倍憎し”の反日ムードの中で聞く耳があるかどうか。(ソウル・黒田勝弘)
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韓国メディアが珍しく『SAPIO』を絶賛「韓国は日本を意識することによって元気が出る」 ソウル・黒田勝弘
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