「河野洋平と朝日新聞を国会に喚問しろ!」山際澄夫 WiLL 2013年7月号
p198〜
お詫びと反省繰り返す
安倍晋三首相の支持者を自任する人ほど、後味の悪い顛末だったのではないか。
閣僚の?國参拝に端を発した歴史認識問題で、安倍政権が事実上、「河野談話」「村山談話」の継承を打ち出してしまったからである。
しかも、閣僚の?國参拝について「やめればおしまい」、また、村山談話について「(侵略という言葉は)しっくりきていない」とテレビ出演で敢然と発言した高市早苗氏(自民党政調会長)を、首相官邸と自民党幹部があわてて抑え込む醜態まで演じた。石破幹事長にいたっては、「思いつきで物を言うべきではない。国益を損なう」と言い放った。
だが、第1次安倍政権の閣僚でたった一人、8月15日に?國参拝を実行した政治家がこれだけ重大な問題を思いつきで発言することなどあり得ない。
先の大戦は、日本にとっては「自存自衛の戦い」である。そのことは、東京裁判で日本を裁いて帰国したマッカーサーの米議会での証言にもある。侵略戦争にしても定義は諸説ある。それを中国や韓国がいまだに「侵略」と言い続けるのは日本の国論が分裂しているからで、国益を損なっているのは中国や韓国の手先となって日本を攻撃する朝日新聞を筆頭とする日本の大手メディアや、かつて中国メディアに?國参拝をしないことを自慢げに明かした石破氏ら、自虐史観を無邪気に信奉する政治家のほうだろう。
p199〜
安倍首相は昨年5月に行われた産経新聞のインタビューで、〈かつて自民党は歴代政府の政府答弁や法解釈などをずっと引きずってきた。政権復帰したら、そんなしがらみを捨てて再スタートできる。もう村山談話や河野談話に縛られることはない〉と述べている。
本来なら、高市氏の発言は安倍首相への強力な援護射撃になるところだった。だが、すでに火消を図ることで首相も一致していたということなのか、誰も高市氏に続く者はなく、高市氏だけが浮き上がってしまったのである。
首相はなお、終戦70年となる平成27年に、新しい歴史談話となる「安倍談話」を出すという。首相の決意は疑わないが、こんなことで本当に両談話の撤回などできるのだろうかという疑問が湧いてくる。
“豹変”した首相
麻生太郎副総理ら4閣僚が靖国神社の春の例大祭に参拝し、中国、韓国が日本非難の声をあげたとき、首相の国会での発言は自民党総裁選、総選挙で「日本を取り戻す」と訴えた真骨頂を見る思いだった。
参院予算委員会で質問されて、こう語ったのだ。
「国のため、尊い命を落とした英霊に尊崇の念を示すのはあたりまえだ。わが閣僚はどんな脅しにも屈しない。その自由は確保している」
「英霊の冥福を祈ることへの批判に痛痒を感じず、批判されて『それはおかしい』と思わないほうがおかしい」
「韓国では盧武鉉政権時代に(?國参拝批判が)顕著になった。なぜ急に態度が変わったか。中国もA級戦犯が合祀されたときに、時の首相の参拝に抗議していなかった。ある日突然、抗議したわけだ」
p200〜
「私たちの歴史や伝統のうえに立って、私たちの誇りを守っていくことも私の仕事だ」(4月24日)
日本の国を守るために亡くなった兵士の慰霊で、中国や韓国の内政干渉は認めないという断固たる意思表示である。
「植民地支配と侵略」を認め、「痛切な反省」と「心からのお詫び」を表明した村山談話についてもこう述べている。
「安倍内閣として(村山談話を)そのまま継承しているわけではない」(4月22日)
「侵略の定義は定まっていない。国と国との関係で、どちらから見るかで違う」(4月23日)
だが、すぐに矛を収めた。(略)
そして、5月15日の参院予算委員会で首相は「(先の大戦で)日本が侵略しなかったと言ったことは1度もない」と述べるとともに、中国や韓国に対して「大きな被害、苦しみを与えたことに痛惜の念を持っている」などとして、村山談話を「過去の政権の姿勢を全体として受け継いでいく」と述べた。
この「全体として」に、村山談話がいう「植民地支配と侵略」の文言が入っているのかは言及していないが、ここまで述べれば入っていないとは言いづらいだろう。
首相は豹変したのである。
この“豹変”について首相は、「ここで議論すれば外交、政治問題に発展する。行政府の長として歴史認識に踏み込むことは抑制すべきと考える。歴史家に任せるべきだ」と述べているが、外交問題、政治問題にする覚悟も持たずに、はたして日本の名誉が回復できるのだろうかという声が出てきても不思議ではあるまい。
米国の安倍叩き
「慰安婦」が軍によって強制されたことを認めて「反省とお詫び」を表明した河野談話についても、菅官房長官が「河野談話は、その見直しを含めて検討という考えを述べたことはない」(5月7日)と述べている。米国のシーファー前駐日大使が、「河野官房長官談話を見直せば、日本のアジアでの国益を大きく損なう」と述べたことにコメントしたものだ。
p201〜
それにしても首相が恐れる外交、政治問題とは何なのであろうか。なぜ首相は反撃の狼煙をあげながらすぐに矛を収めたのだろうか。
それを理解するカギは、米国による安倍叩きだろう。
4月に入って、米紙が?國参拝などについて〈日本の不必要なナショナリズム〉(ニューヨークタイムズ)、〈歴史を直視できない安倍首相〉(ワシントンポスト)、〈安倍氏の恥ずべき発言によって日本は友人を持てなくなる〉(ウォールストリートジャーナル)、などと批判を重ねた。それに加えて、米議会調査局のレポート(5月1日)でも、安倍首相を「強固なナショナリストとして知られている」と名指しし、首相の歴史認識やそれに関連する発言は「東アジアの国際関係を混乱させ、米国の国益を損なう可能性があるとの懸念を生じさせてきた」とする報告書をまとめた。
こんなレポートが米議会から発せられるとは暗澹たる思いだが、日米同盟を外交、防衛の基軸と位置付ける安倍政権にとって、これほど不気味なことはあるまい。それでなくても中国、北朝鮮が牙を剥くなかで、日米韓の連携がいまほど重要な時はないからである。
ことに日本国内で反米感情が高まるのだけは、避けなくてはならない。
これこそ、首相が歴史認識問題で歴代内閣と同じ位置、つまり引き続き歴史で中国や韓国に反省とお詫びを続ける情けない立ち位置まで戻った理由だろう。
日米関係悪化を喜ぶ中韓
実は安倍首相は、第1次安倍政権でも日米関係を理由に、「慰安婦」問題で後退を余儀なくされている。
p202〜
安倍氏ほど「慰安婦」問題に熱心に取り組んだ首相はいない。「慰安婦」問題は、首相にとっては原点ともいうべき問題だからだ。総ての教科書に「従軍慰安婦」が掲載されるのに危機感を覚えて、中川昭一氏らと「日本の前途と歴史教育を考える会」をつくって河野談話否定に取り組んできたのである。
第1次安倍政権では、「いわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする答弁書も閣議決定した。
そんな首相にとって最大の誤算が、当時のブッシュ米大統領との日米首脳会談で「慰安婦」問題で謝罪をする羽目に追い込まれたことだった。
安倍氏は、日米首脳会議では実際には「慰安婦」問題は論議されず、その後の共同記者会見でブッシュ大統領に「安倍首相の謝罪を受け入れる」と一方的に語られたものだと証言しているが、共同会見を見ると首相は「慰安婦の方々が非常に困難な状況で辛酸をなめられたことに対し、人間として首相として心から同情し、申し訳ない思いだ。20世紀は人権侵害の時代だった。21世紀を人権侵害のない素晴らしい世紀にするため、日本が貢献したいと大統領に話した」と述べている。
首相としては一般的な人権問題を語ったつもりかもしれないが、否定しなかった以上、第3者からみれば謝罪したも同然だろう。これが結果的に、その後の「慰安婦」を「20世紀最大の人身売買」とする米議会でのマイク・ホンダ決議を許すことに繋がったといえなくもない。
この決議によって米国では、「20万人もの女性が強制連行されて性奴隷にされた」というのが「慰安婦」に対する米メディアでの一般的な認識になってしまったのだから、悔やんでも悔やみきれない。
いま、韓国系米国人によって米国内に「慰安婦」碑が相次いで建設されていることも、この決議と無縁ではない。決議には、日本が「慰安婦」問題で公式謝罪することが盛り込まれているが、「慰安婦」碑の建立は日本が謝罪していないことを理由にしているのである。(略)
今回、中国、韓国は戦線をどんどん拡大させた。特に韓国は朴槿恵統領が米国でのオバマ大統領との首脳会談で「日本は正しい歴史認識を持たなければならない」と日本非難に踏み切った。
p203〜
中国は首脳会談を拒否している。それだけならまだよかったのだが、米国で再び日本叩きの動きが広がりつつある。日米関係がおかしくなって喜ぶのは中国、北朝鮮、韓国であろう。それだけは避けたいというのが首相の本音だろう。
朝日新聞の「戦後精神」
米メディアは第2次安倍政権誕生前から、日本の政治動向を「右傾化」、安倍氏を「偏狭なナショナリスト」などと報じてきた。それに加えて歴史問題で中国、韓国の側に立つかのように安倍氏を罵ったのである。
一体全体、なぜ米メディアはこぞってステレオタイプな安倍政権批判をするのか。理由は簡単である。内政干渉を手招きして恥じぬ日本のメディア、とりわけ朝日新聞を読んでいるからである。
朝日新聞は、独立国としての日本の誇りを奪った「戦後精神」を代表している。東京裁判史観にどっぷりつかり、憲法9条に象徴される無責任な平和主義を唱え続けている。
今回も主役は朝日新聞だった。
閣僚の?國参拝で韓国外相が来日を中止すると、それみたことかとばかりに〈安倍政権はいったい何をしているのか。両国の反発は当然予想された。これによって関係改善が遠のけば国益を損なうだけだ〉〈首相は閣僚の参拝について、それぞれの判断に任せたという。自身が参拝しなければ乗り切れると思っていたとすれば、甘過ぎると言わざるをえない〉(4月23日)と居丈高に批判した。
さらに国会議員168人が集団参拝すると、〈日本はいったい、何を考えているのか。この国の為政者全体の国際感覚が疑われても仕方がない〉(4月24日)という。
4月28日の「主権回復の日」に際しても、〈忘れてならない視点がある。日本が侵略戦争や植民地支配の過ちを犯したという歴史である〉(4月29日)。
何があっても日本は侵略国家、?國はその象徴というのが、朝日新聞の変わらぬ姿勢だ。
日本を断罪する一方で朴 槿惠大統領が米韓首脳会談で日本批判をすると、〈本来、隣国同士で話し合うべき問題がこうした形でとりあげられるのは残念だが、それほど日本への不信感が強いということだろう〉と理解を示し、〈安倍政権の歴史認識を疑問視する声が米国内で急速に広がっている。このままでは、日本の国際的な孤立さえ招きかねない〉(5月10日)と嬉しそうに書いていた。
p204〜
中国、韓国と反日で唱和するのがお家芸の朝日新聞だが、第1次安倍政権以来、新しい地平を拓いたのが米メディアとの連携である。第2次世界大戦は日本とドイツの侵略戦争に対抗したものと無反省に信じ込んでいる米国のメディアなどは、歴史問題では安易に朝日新聞に騙されてしまう。安倍首相は天敵ともいえるこんな新聞に、再び足をすくわれたのである。
残された “反撃の道”
ひとまず、歴史問題で軌道修正を余儀なくされた安倍首相だが、反撃する道は残されている。ひとつは政治決戦といわれる参院選で、河野談話と「慰安婦」問題に関する調査委員会を国会に立ち上げることを自民党の公約として戦うことだ。
調査委員会には、「(従軍慰安婦は)朝鮮人女性を女子挺身隊名で強制連行した」と報じた朝日新聞の記者、編集責任者、証拠もないのに河野談話を発出した河野洋平氏、さらには慰安婦裁判に携わった福島瑞穂氏らを参考人として招致して、徹底的に真偽を究明するのである。米国や韓国などに調査チームを派遣し、世界の軍隊と性の歴史を調べ上げればよい。
憲法改正も大事だが、「日本を取り戻す」というなら歴史問題は1丁目1番地ではないか。憲法改正は、独立国としての誇りを取り戻すために行うものであって、いまのような自虐史観のままでは改正しても、仏作って魂入れず、といった事態になりかねない。
昨年、米国で韓国系や中国系米国人に取材したとき、「慰安婦の強制連行は日本政府も河野談話などで認めているではないか」と言われたことが忘れられない。国論が分裂している状態では、他国に乗じられてしまう。歴史問題は日本が国内で決着をつけない限り、解決しないことなのである。
p205〜
橋下「慰安婦」発言の波紋
政治家やメディアが、どこまで日本の汚名を晴らすことを真剣に考えているのか疑問を感じさせたのが、日本維新の会の橋下徹代表の「慰安婦」発言に対するメディアや政党の態度である。
橋下代表の主張はざっくりいうと、「世界各国の軍にも慰安婦制度があった。それなのに日本だけが非難されているのはおかしい。そうなっているのは女性が強制連行されたと誤解されているからである」−−というものだろう。
橋下氏はかつて、河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺」はなかったとの発言を批判するなど、お世辞にもしっかりした歴史観をお持ちだとは思えないが、今回の「慰安婦」発言に関する限り、非難されるべきことはない。
むしろすべてのメディア、すべての政党が「女性の人権への侵害」という観点から批判する姿こそ、異常である。福島瑞穂、辻元清美、蓮舫らの各女性議員が記者会見を開いて、「戦争のために女性を利用することを肯定」「なぜ女性が性の道具にならなくてはいけないのか」と金切声をあげたのも笑止である。
彼女らは、この「女性の人権」という一般論こそ、アメリカや韓国が、戦後の日本やベトナムで自分たちのやったことを無視して日本を非難する論拠にしていることをよく知っているのだ。特に、慰安婦問題を焚きつけてきた福島、辻元両氏は、日本人総がかりで吊し上げたいほどだ。
恥を知らなくてはならないのは商行為だった「慰安婦」を強制連行、性奴隷とウソをついて日本を叩く勢力である。
「従軍慰安婦」は強制連行されたと報じ、強制連行がないことがはっきりすると、〈強制があったかないかは問題ではない。女性の人権の問題だ〉などと開き直るいい加減な新聞が喜ぶような日本にするわけにはいかない。
安倍首相は、「日本を取り戻す」との国民との約束を果たすべきである。
<筆者プロフィール>
やまぎわ すみお
1950年山口県下関市生まれ。産経新聞で首相官邸キャップ、外務省キャップ、ニューヨーク支局長などを経て退社。著書に『これでも朝日新聞を読みますか?』『それでも中国と付きあいますか?』(ワック出版)などがある。
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◆ 書評『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著 安倍叩きは「朝日の社是」 2012-12-27 | 読書
【書評】『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著経新聞2012.9.9 07:53 評・阿比留瑠比(政治部)
■安倍叩きは「朝日の社是」
メディアと政治家との関係に関心がある人に、ぜひ読んでもらいたい。戦後体制からの脱却と公務員制度改革、教育改革、憲法改正への道筋作り…。文芸批評、音楽批評を専門とする著者が畑違いの政治分野で丹念に追跡し、拾い集めた安倍政権の足跡、実績と、スキャンダル暴露と印象操作に終始した朝日新聞の報道のあり方をたどると、あまりの乖離(かいり)に愕然(がくぜん)とするだろう。
「安倍の葬式はうちで出す」。本書では、この安倍内閣当時の朝日幹部のグロテスクな言葉が繰り返し引用される。政治評論家の三宅久之は著者に、朝日の若宮啓文論説主幹(現主筆)とのこんなやりとりを明かしたという。
三宅「朝日は安倍というといたずらに叩(たた)くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものなのか」
若宮「できません」
三宅「何故(なぜ)だ」
若宮「社是だからです」
特定の政治家を叩き、おとしめることが社是である新聞社とはどんな存在だろうか。それは、むしろ政治的意図をあらわにしたプロパガンダ機関というべきだが、社論を決定する地位にある人物がこう述べたというから驚く。
メディアが権力者を批判するのは当然だが、著者が指摘する「明白なウソ」「虚偽のストーリー」による安倍叩きに正当性はあるのか。本書は、安倍内閣で首相補佐官を務めた世耕弘成が大学生に語った述懐を取り上げる。
「今でもよく思うんだよね。安倍内閣とは一体何だったのだろうって。あの叩かれ方は何だったのだろう」
また、本書は実証的なアプローチも欠かさない。それによると朝日は、安倍内閣の松岡利勝農水相の政治資金問題の関連記事は125件も掲載した半面、民主党の小沢一郎代表の政治資金問題は14件のみ。安倍が推進した教育基本法改正に関して反対運動の記事70件を掲載したが、賛成派の動きは3件だけだという。
反安倍勢力に封印されたあの時代を、正確な記憶として取り戻す−。本書はそのために書かれ、安倍復活の「約束の日」への切望を表明して締めくくられている。(幻冬舎・1575円)
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◆ 憲法改正で「日本」を取り戻せ 誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を 『Voice』4月号 2013-03-24 | 読書
『Voice』4月号2013/3/9(毎月1回10日発行)
憲法改正で「強い日本」を取り戻せ いまこそ誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を開けるときだ
対談「渡部昇一(わたなべしょういち・上智大学名誉教授)×百田尚樹(ひゃくたなおき・作家)」
〈抜粋〉
■在日コリアンの影響下に置かれていた民主党政権
p44〜
百田尚樹 民主党は与党になってから2年以上、代表選で在日コリアンを含むサポーター(党友)にも投票権がありました(2012年より日本国籍を有する者に限定)。つまり日本の首相を選ぶに際して、外国人の票が影響力をもっているということです。こんなおかしなことはありません。
渡部昇一 それは明確な憲法違反ですね。さかのぼっていえば、民主党と在日コリアンの関係が密接であるのは、戦後の55年体制で最大野党であった社会党出身者も少なくない。社会党を支えたのがまさに在日コリアンなのです。たとえば1951年に日本がサンフランシスコ条約に署名し、国際社会に復帰した時には、強硬に反対したが社会党でした。占領下の日本は在日外国人にさまざまな特権を与えており、彼らにとって非常に居心地がよかったからです。闇市で食糧を調達するときも、日本人はすぐ摘発されるのに、彼らは警察に取り締まられることはなかったほどですから。
これは作家の吉屋信子が書いていることですが、戦後間もなく菊池寛と一緒に京都に向かう汽車の中で、菊池が「今度の選挙で社会党は金がなくて大変だろうな」と口走ったところ、たちまち屈強な在日コリアンの男たちに囲まれ、因縁をつけられたそうです。彼らの本質がわかるエピソードです。
百田 日の丸や君が代に反対する文化人は少なくありませんが、そのなかには在日コリアンがいるともいわれています。厄介なのは、彼らが「自分たちは在日である」ということを標榜せず、日本人のふりをして意見を述べているということ。本来、外国人に日の丸や君が代について意見をいわれる筋合いはないですね。
渡部 日本人風のいわゆる「通名」を名乗っているコリアンの人に「元の名前は?」と聞くと、「名誉棄損で訴えるぞ」と怒りだすそうです。祖国にプライドをもっているにもかかわらず、なぜ本来の名前を聞かれるとそうした反応を示すのか。その意味でも非常に屈折しているといわざるをえません。
p45〜
■サイレントマジョリティの声を聞けるか
百田 同じように、戦後長らく左翼的な勢力が跋扈しているのが、新聞やテレビなどメディアの世界、そして教育界です。(略)
まずメディアについていえば、第1次安倍内閣は『朝日新聞』をはじめとする新聞やテレビに過剰なまでにバッシングされ、短い期間で残した実績が国民に十分に伝わらないまま、退陣に追い込まれてしまいましたね。
渡部 ベストセラーになった『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)で小川栄太郎さんが書いているのですが、昨年11月に亡くなった政治評論家の三宅久之さんは、かつて朝日新聞社の主筆だった若宮啓文氏に「どうして『朝日』はそこまで安倍さんを叩くんだ?」と尋ねたところ、「社是だからだ」といわれたそうです。
百田 ただ、いまでは「安倍たたき」をするか否か、メディアも少し慎重になっているようにもみえます。リベラルな論調を出すことで読者が減るのではないか、と懸念しているのでしょう。
渡部 1月にはアメリカの『ニューヨーク・タイムズ』紙が安倍さんを「右翼の民族主義者だ」と強く批判しました。『ニューヨーク・タイムズ』の東京支局は、朝日新聞社と同じビルにあります。これは邪推かもしれませんが、『朝日新聞』の記者が、自分たちの発言力が落ちていることに危機感を抱き、『ニューヨーク・タイムズ』の記者をけしかけて、社論を書かせたと解釈することもできます。
百田 ここ数年でインターネットが発達し、とくに若い世代を中心に「マスコミの情報が必ずしも正しいわけではない」という意識が芽生え始めたのも大きいですね。
p46〜
渡部 2012年から現在にかけては、脱原発運動の旗振り役になり、いかにも国民全体が「脱原発」の意見をもっているかのような記事を掲載した。しかし先の総選挙では、「日本未来の党」をはじめとする、脱原発政党は軒並み議席を減らしています。マスコミのいうことと、「サイレントマジョリティ」の意見は違うということが露呈しました。
百田 60年安保のときと状況はよく似ています。当時も日本全国が「安保反対」のような気運でしたが、自然成立とほぼ同時に岸内閣が倒れ、その数か月後に行われた総選挙で自民党が圧勝した。メディアの声はあくまでも「大きい声」にすぎず、それが大多数の声を代表しているとは限らないということです。
(略)
百田 岸信介はいみじくも、安保デモを前に「私には国民の声なき声が聞こえる」と発言しました。それは正しかったんです。いくら国会を群集が取り囲んでも、私の両親のような大多数の庶民は、そのような問題に何ら関わりはありませんから。サイレントマジョリティの声を聞くというのは、政治家の大きな資質の1つだと思います。
p47〜
■教科書には「事実」を記述すべき
渡部 第1次安倍内閣の果たした政策のうち、とくに私が評価しているのは、教育基本法の改正です。道徳や倫理観に関する基本的な教育方針を変えたことで、ようやく日本人が日本人であることに誇りをもてる教育ができるようになりました。
百田 日教組の教職員は子どもたちに、「日本は侵略戦争を行い、アジアの人々を傷つけた」「日本人であることを恥ずべきだ」ということを教えてきましたからね。そのような誤った知識を死ぬまで持ち続ける日本人も多い。広島県のある高校は修学旅行で韓国に行き、生徒たちに戦時中の行為について現地の人に謝罪をさせたとも聞きます。世界中を見渡しても、そのような教育をしている国はどこにもありません。
渡部 「日本が侵略戦争を行った」というのは、東京裁判の検察側プロパガンダの後継者です。しかし東京裁判以外に、日本を正式に批判した公文書は存在しません。マッカーサーもアメリカ上院の公聴会で、「日本が行ったのは自衛戦争だった」と証言している。東京裁判史観をいまだに尊重していることが、いかに意味のないものかがわかります。(略)
百田 「侵略戦争」といっても、日本人は東南アジアの人々と戦争をしたわけではない。フィリピンを占領したアメリカや、ベトナムを占領したフランス、そしてマレーシアを占領したイギリス軍と戦ったわけです。日本の行為を「侵略」と批判するなら、それ以前に侵略していた欧米諸国も批判されてしかるべきでしょう。
p48〜
渡部 私の娘はジュネーブの日本人学校で教えているのですが、日本から来た子どもたちが「日本人は悪いことをした」と洗脳されているのを解くのが大変だ、といっていました。「日本はほんとうは立派な国なのだ」と教えると、ほんとうに誰もが喜ぶそうです。
百田 だからこそ政府にいま求められるのは、日本人の歴史観を正しいものに変えるため、ロビー活動、啓蒙活動を行っていくことですね。
渡部 安倍さんは首相就任以前より、教科書問題に関心を抱き、大手出版社の社長に「こんなことを書いていたのか」と迫ったり、教育学者の藤岡信勝氏らが設立した「新しい歴史教科書をつくる会」で講演を行っていたと聞きます。安倍さんの改革によって、いまの教育界にさらなる風穴があくことを期待しましょう。
■日本の軍備がアジアの平和に繋がる
p49〜
百田 日本の人口1億人に対して、自衛隊の隊員数は25万人です。海外と比較をすると、スイス軍は人口780万人に対して、軍隊は21万人もいます。しかも現役を退いたら、60歳ぐらいまでは予備役として登録される。一家に1丁自動小銃が配布されており、日常は普通の仕事をしていても、事が起きれば戦場に赴く。歴史的には「永世中立国」として200年以上戦争をしていないわけですが、軍隊をもつことは、戦争に対するもっとも有効な抑止力であり、平和の維持にはそれだけの労力がかかることを理解しているわけです。
渡部 なかでも核兵器はもっとも有効な抑止力ですね。もし原子爆弾が開発されていなかったら、第3次世界大戦が起きていても不思議ではなかった。歴史上、2000年以上にわたって戦争が絶えなかったヨーロッパで、現在60年以上戦争が起きていないのは、1955年に西ドイツ(当時)がNATOに加盟し、アメリカとともに核兵器を発射できる資格を得たからです。そのため冷戦下で対立していたソ連も、西側諸国には手出しできなかった。逆にいま、もっとも戦争の危険性が高いのはアジアですが、日本が核兵器を保有していないことが大きいでしょうね。p50〜
■日本国憲法は「占領基本法」にすぎない
百田 だからこそ安倍政権では、もっとも大きな政策課題として憲法改正に取り組み、軍隊創設への道筋をつくっていかねばなりません。世界の約200か国のうち、軍隊をもっていない国は、モナコやバチカン市国、ツバルといった小国をはじめとする27か国しかない。日本のような経済大国がそれに当てはまるのは異常なことです。
渡部 同感です。安倍さんは第1次内閣で防衛庁を防衛省に昇格させ、内閣に安全保障の責任者が不在という歪な状態を解消させることに成功しました。第2次内閣では、さらにもう一歩踏み込んだ取り組みに期待したいですね。
百田 世間では、「憲法は神聖で侵さざるべきものである。改正するなんてもってのほかだ」という、「憲法改正アレルギー」のような意識が蔓延しているようにも感じます。しかし世界中のどの国も、憲法改正はごく普通に行っている。アメリカは18回、フランスは24回、ドイツは58回、メキシコに至っては408回も改正しており、世界最多の回数といわれています。(略)
p51〜
渡部 日本国憲法は「アメリカの占領が続く」という前提のもとに作られた、いわゆる「占領基本法」と呼ぶべきものなんです。もし1950年に朝鮮戦争が起きなければ、アメリカは50年ぐらい日本の占領を続けるつもりだったのですから。そのため日本国憲法の前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。日本人の安全と生存を諸外国に委ねるなんてとんでもない話であり、このような代物がほんとうの「憲法」であるといえるはずがない。
百田 アメリカも大東亜戦争で痛い目に遭っていますから、もう二度と日本が立ち向かえないようにした、ということですね。9条で「交戦権の放棄」を押し付けたのもそうです。いまの日本には自衛隊がありますが、9条を厳密に解釈すると、相手に銃を向けられて引き金に指がかかってもいても抵抗できない。向こうが撃ってくれば初めて反撃できますが、それも最低限のものに限られ、たとえば一発撃たれて十発撃ち返したら、過剰防衛として処罰される。こんな馬鹿なことはないでしょう。
p52〜
百田 ドイツも同じく、占領されているときに連合国軍に憲法を押し付けられましたね。でもドイツ人はそれを「憲法」とみなしておらず「ボン基本法(ドイツ連邦共和国基本法)」と呼んでいます。占領が解けてから50回以上も条文を改正し、自分たちの憲法をつくっていったのです。*強調(太字・着色)は来栖
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◆ 讀賣新聞が、「従軍慰安婦問題の発端は朝日新聞による誤報(女子挺身隊を“慰安婦狩り”)」と明記 2013-05-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◆ 「従軍慰安婦」を「創作」し 日韓関係を破壊した朝日新聞には、事実関係を検証して説明する責任がある 2012-08-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
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