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こいつだけは許せん「元特捜部長」/「自殺する恐れがある」と嘘までついて小沢一郎氏元秘書を逮捕の疑惑

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こいつだけは許せん「元特捜部長」
月刊FACTA 7月9日(火)11時51分配信
「自殺する恐れがある」と嘘までついて、小沢氏の2人の元秘書を無理やり逮捕した疑惑。
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 東京地検特捜部が立件した西松建設事件と陸山会事件は、総理大臣へあと一歩のところまで来ていた小沢一郎氏の政治力を見事に失墜させた。裁判はヤマを越え、特捜部検事による捜査報告書の捏造問題も、検察審査会の議決は強制起訴につながらない「不起訴不当」だった。検察幹部は胸をなで下ろしているかと思いきや、両事件をめぐって新たな疑惑が浮上し、戦々恐々としているという。
 検察関係者によると、新たに浮上しているのは2009年3月に西松建設事件で逮捕した小沢氏秘書(当時)の大久保隆規氏と、翌10年1月に陸山会事件で逮捕した衆院議員(同)石川知裕氏の2人について、特捜部が捜査報告書などで「自殺の恐れがある」と虚偽の指摘をし、上層部に逮捕やむなしと決断させたという疑惑だ。
 ■虚偽の捜査報告で逮捕令状
 まず石川氏については、元検事の前田恒彦氏が4月下旬、フェイスブックで暴露した。
 前田氏は大阪地検特捜部時代の郵便不正事件の捜査で、証拠のフロッピーディスクを改竄したとして、証拠隠滅の罪に問われ、実刑が確定して服役を終えた。陸山会事件では、大阪から東京の特捜部へ応援派遣され、大久保氏を取り調べた。
 フェイスブックの書き込みによると、石川氏の担当検事は主任検事の指示で、石川氏から逮捕前に事情を聴いた際の供述内容や態度、言動などに関する捜査報告書を作成した。「自殺の恐れ」をうかがわせる言動があったと記載したが、実際にはなかった。捜査報告書は石川氏の逮捕状を請求する際、証拠として裁判所に提出した。この話は石川氏の担当検事から前田氏が直接聞いたという。
 捜査報告書は、取り調べなどで話した人が内容を確認して署名する供述調書とは異なり、捜査機関の判断で作成し、そこに登場する人物には内容の確認を求めない。
 「裁判官は捜査報告書で逮捕状や捜索令状を出す。検察や警察は嘘をつかないという前提で、信用してくださいの世界。裁判で内容がデタラメと判明しても、状況が変わったことにするし、裁判官もそう思って納得する」と大手紙の事件記者。
 前田氏はフェイスブックで、石川氏という衆院議員の逮捕に向け、虚偽の捜査報告書は「これを容易にさせることを狙ったものだ」「(石川氏の担当検事は)組織の中で『無理な仕事』を任され、様々な重圧を感じる中、『ダークサイド』に堕ちてしまった」と書いている。
 石川氏の担当検事は田代政弘氏。小沢氏不起訴という検察の処分に対して検察審査会が「起訴相当」と議決し、特捜部が再捜査した際、田代氏は保釈中の石川氏を任意で取り調べた。石川氏は陸山会の政治資金収支報告書への虚偽記入を小沢氏に報告、了承を得たとする逮捕段階の供述に異を唱えたが、田代氏が取り調べでの一問一答を記載した捜査報告書では、石川氏が納得ずくで報告、了承を供述し、その内容は変えないことになっていた。この捜査報告書は検察審査会に送られた。小沢氏起訴の議決へと導いた疑いがある。
 石川氏が取り調べの様子を録音していたことから、捜査報告書の捏造が発覚し、田代氏は減給処分を受け、依願退職した。
 「捜査報告書の作成は小沢氏起訴に執念を燃やす当時特捜部長の佐久間達哉氏や主任検事が指示していた。田代氏は逮捕段階の供述と記憶が混同し、捏造の故意はなかったとされ、起訴を免れた。大阪に続き、東京の特捜部も身内を起訴したら幹部の引責辞任が相次ぎ、検察組織は瀕死の状態になっていただろう」と検察関係者は振り返る。
 ■ポストが空くまで居座る?
 そんな状況からようやくほとぼりも冷めたころ、前田氏がフェイスブックに書き込んだ。検察関係者は「幹部やOBの中には、そういえば、大久保氏を逮捕したときも、佐久間氏たちは『自殺の恐れがある』と上層部に主張していたことを思い出した人がいた」と明かす。
 検察関係者によれば、特捜部は西松建設からダミーの政治団体を通じて政治献金を受け取った政治家のうち、まず当時長野県知事の村井仁氏の立件を目指し、側近を任意で調べたが、自殺してしまった。そこで佐久間氏らは「大久保氏も危ない」と自殺の恐れを主張し、容疑の一部が時効になることもあり、上層部は逮捕を認めた。
 大久保氏の周辺関係者は「自殺なんて考えてもいなかった。西松側の献金は名義はともかく収支報告書に記載しており、他にも献金を受けた政治家が多く、まさか逮捕されるとは思ってもいなかった」という。
 検察OBは「09年は秋までに総選挙があり、しかも政権交代して小沢氏が総理になる可能性が大きかった。それなのに大久保氏の逮捕に踏み切ったので驚いた。自殺の恐れの話を聞くと合点がいった」と話す。それは特捜部の捜査過程で自殺した人が余りに多いからだ。
 田中角栄元首相の秘書(ロッキード事件)、日商岩井常務(ダグラス・グラマン事件)、竹下登元首相の秘書(リクルート事件)、第一勧業銀行の元会長、大蔵省金融取引管理官、新井将敬衆院議員(以上、四大証券・第一勧銀利益供与事件)、日本長期信用銀行の元副頭取(不正融資事件)、東急建設東北支店長(福島県官製談合)……。自殺者は枚挙にいとまがない。
 「自殺で捜査が行き詰まることがあり、被疑者や参考人を追い込まないことが重要だ。しかし佐久間氏のような思い上がった検事は、自殺者が出ると『(捜査の)筋がいいぞ』と奮起する。幹部は新たな捏造が国会で追及されないか、ハラハラしているだろう」と検察OB。
 元大手紙記者は「かつては死体を乗り越えてでも巨悪を摘発するという検察に期待する有権者はいたが、今は少ない。陸山会事件の時も政権交代の邪魔をしないでほしいという声があった。検察とそれに連なる大手メディアは独善的な仕事をやめるべきだ」と指摘する。
 佐久間氏は、特捜部長経験者としては極めて珍しい、国連アジア極東犯罪防止研修所長のポストに就いて間もなく2年。検察関係者は「もはや法務省や最高検で出世の見込みはないが、収入の多い都心の公証人ポストが空くまで居座るだろう」とみている。
 *上記事の著作権は[Yahooニュース]に帰属します 
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