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国内向けすぎた「ナチス発言」報道 【新聞に喝!】星野俊也

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【新聞に喝!】国内向けすぎた「ナチス発言」報道 大阪大学大学院国際公共政策研究科長・星野俊也
産経新聞2013.8.25 10:39
 麻生太郎副総理兼財務相の「ナチス発言」は、改憲問題は喧噪の中で議論すべきでないという趣旨とは裏腹に、騒ぎはかえって急拡大した。憲法の改正を論じる文脈で、民主憲法を死文化させ独裁を断行したヒトラーの例を引いたのは、やはり軽率のそしりは免れえないだろう。
 日本は島国だ。そしてあらかた日本語で事足りる国内環境に安住していると、外界との温度差は広がるばかりである。米国や中国や韓国でも国内向けの議論が横行するが、多くの場合、エリートたちは国益感覚を(時には過度に)研ぎ澄ましている。
 日本の政治家も政府の要人であればなおのこと、発言が国内だけでなく世界にも報じられることはいつも気に留めておくべきだ。
 しかしながら今回の件で、日本の一部メディアの暴走も目立っていた。ここぞとばかりに国内目線で政権批判を重ねるが、その取材姿勢や報道内容が海外に波及し、日本のイメージや国益にどう影響するのか、そろそろ真剣に考えてもよいのではないだろうか。
 月刊「正論」9月号の阿比留瑠比(あびる・るい)氏による「亡国の『失言』バッシング狂騒曲」は興味深い考察だ。メディアの多くは左派・リベラル系の政治家の失言には甘いが、保守系のそれには厳しいという戦後日本の言論空間の「いびつさ」を論じている。
 中国、韓国にも、問題をお定まりの「歴史認識」論にすり替えるいびつさがある。
 注目されたのは米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」の反応だ。同団体の声明は、最も冷静で奥が深く、目先の批判よりも大切なものを見通していた。
 まずは、麻生氏の不可解な発言を受け、「即刻その真意の明確化を求める」とした。初めに非難ありきではない。日本政府の中枢にある人物の不用意な発言に不快感は隠していないが、日本の新聞が「麻生氏の発言を批判」と解釈した部分は原文ではニュアンスが違う。「(ナチスの暴挙を)よもや麻生氏が忘れたわけではあるまい」と修辞疑問形で婉曲(えんきょく)に述べていた。
 一方で「ナチス政権から学べる教訓は、権力の座にあるものがしてはいけないことだけだ」と断じ、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)のような非人道的犯罪が二度と起きないように啓蒙し、諭すという団体の使命に根差す立場をあくまでも貫いていた。
 朝日、毎日、日経などは麻生氏批判のスパイスとしてか、個別に同団体幹部の意見を求めていた。ジェノサイド(大量虐殺)撲滅のグローバルな取り組みと、国内消費のコメント要求とのあまりの落差に当惑されたことだろう。
 【プロフィル】星野俊也
 ほしの・としや 昭和34年、群馬県出身。東京大大学院修了、国際公共政策博士。元国連日本政府代表部公使参事官。
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メディアは「左派・リベラル」政治家の失言には優しく忘れっぽい一方、保守系政治家のそれは苛烈に追及する 2013-08-10 | メディア/ジャーナリズム/インターネット 
 【月刊正論】亡国の「失言」バッシング狂騒曲
 産経新聞2013.8.7 03:00
 そして保守政治は何も言えなくなる…(産経新聞政治部編集委員・阿比留瑠比 月刊正論9月号)
 政治家の武器は何といっても「言葉」である。政治家は言葉を駆使して国民に自らの政策や政治信条を訴え、理解と支持を広げなくてはならない。したがって、地位や影響力のある政治家が、自らの発言に十分気を配る必要があるのは言うまでもない。
 まして、インターネットがこれだけ普及した現在、政治家の一挙手一投足は注目・監視され、また記録されている。
 ついうっかりと口にした不注意な言葉は、たちまちメディアで大々的に取り上げられ、独り歩きを始める。そうなると、いくら本人が真意を説明して誤解だと主張しても、もう耳を貸してはもらえない。
 国民は、政治家の金銭問題や下半身スキャンダルより、むしろ「失言」に厳しい。メディアにとっても、調査が面倒で取り上げ方が難しい前者より、後者を報じる方が楽だ。
 問題の複雑な背景や事情を考慮することなく、「誰々がこんな発言をした」とただ垂れ流せばいいのだから、ほとんど頭を使う必要もない。それでいて反響は大きいものだから、味をしめてしまうのである。
 自身もメディアの片隅に身を置く筆者が言うのは勝手すぎるかもしれないが、残念ながら今後も「言葉狩り」はなくなりそうにない。政治家にはそのことを常に頭に置き、なるべく「言わずもがな」のことは述べずにメッセージを発してほしいと思う。 
 ここまでを前置きとし、これを前提に本題に入りたい。結論から述べれば、メディアの多くは「左派・リベラル」の政治家の失言には優しく忘れっぽい一方、「保守系」の政治家のそれはとことん追及する傾向がある。
 これは甚だ不公平であるが不思議でも何でもない。戦後ずっとメディアの主流が「左派・リベラル」で占められてきたのだから、むしろ当然のことである。
 そして、ずっとそんな偏向した「言論空間」の中に閉じ込められてきた国民の側にも、なんとなくリベラル系の失言を容認してしまう癖がついている気がする。
 最近でこそ、この偏りはほんの少しだけ是正されてきた。ただ、それでもやはり、大きな方向性は変わらない。
*リベラル派の場合…
 リベラル派で親中・親韓の政治家である鳩山由紀夫元首相は6月、北京市内で開かれたフォーラムでこんな発言をした。
「(日本が降伏に当たって受諾した)ポツダム宣言の中で日本が守ることを約束したカイロ宣言は『盗んだものは返さなければならない』としており、中国側が(返還されるべき領土の中に尖閣諸島が)入ると考えるのも当然だ」

 元首相ともあろう者が、日本の領土・領海を狙う中国の侵略意図に同調したまさに超弩級の失言、いや暴言である。
 そもそも条約でもないカイロ宣言は「法的効果を持ち得ない」(外務省)というのが我が国の立場であり、鳩山氏の主張は全く筋が通らず、中国を利するだけだ。
「外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する」
 刑法81条「外患誘致」はこう定めている。その初の適用例が鳩山氏となってもおかしくないぐらいの無責任発言だったが、メディアの扱いは小さなものだった。
 あるいは百歩譲ってメディアにとっては、この万人が認める不世出の愚か者の言葉を大きく取り上げないことこそが良識の発露だったのかもしれない。
 だが、当時はまだ民主党籍のあった鳩山氏に対する民主党執行部の対応も生ぬるかった。海江田万里代表は記者団にこう述べた。
「民主党の主張とは大きく異なる。首相を経験した立場もある。その立場をよくわきまえた発言をお願いしたい」
 また、細野豪志幹事長は談話を発表して「看過できない」「無責任な発言」などと批判し、「今後こうした国益を損なう発言がないよう厳重に申し入れる」と述べたが、2人とも鳩山氏の処分には一切言及しなかった。
 さらにメディアの側にも、こうした微温的な民主党の対応を厳しく指摘する姿勢はみられなかった。本来は「党籍剥奪」ぐらい求めてしかるべきだったろう。
 リベラル派で親中・親北朝鮮の政治家である野中広務元官房長官が、尖閣諸島をめぐって「領有権問題棚上げの日中合意があった」と発言した際も同様だ。これも国益に反した「妄言」と言えよう。
 野中氏によると、昭和47年9月の日中国交正常化から間もないころ、箱根で開かれた自民党田中派の研修会で、田中角栄首相(当時)がそう講演したそうである。

 だが、不特定多数の人が聞いた講演の中身が、今まで外部に一切出なかったという時点で不自然であり、眉唾ものだ。
 当時、「棚上げ合意」などなかったことは日中交渉や首脳会談に立ち会った外務省幹部らが証言しており、野中氏の発言は中国側の言い分を代弁したものにすぎない。
 この野中氏の発言を唯一の根拠にして、鳩山氏はその後、「棚上げ合意は歴史的事実だ」と言い出すに至る。親中派が中国に操られ、協力して日本の国益を損壊しているようにしか見えないが、やはりメディアは野中氏に優しかった。野中氏を積極的にテレビ番組に招き、言いたい放題語らせるテレビ局もあった。
*保守系の場合…
 それでは、保守系の政治家の「失言」はどう扱われるだろうか。自民党の高市早苗政調会長が6月に党兵庫県連の会合で、東電福島第1原発事故に関して次のように述べた際のことを思い起こしてほしい。
「事故を起こした福島第1原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況ではない」
 この発言に対し、与野党とメディアから一斉に批判が集中した。続きは月刊正論9月号でお読みください
 *上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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◇ 「麻生発言」=朝日新聞はこのように事柄を歪曲し、日本を国際社会の笑い物にしていくのか 櫻井よしこ 2013-08-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
 【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】朝日が日本を国際社会の笑い物に…歪曲された麻生発言
 産経新聞2013.8.5 17:26
 なるほど、朝日新聞はこのようにして事柄を歪曲(わいきょく)していくのか。麻生太郎副総理発言を朝日新聞が報じる手口を眼前にしての、これが私自身の率直な感想である。
 8月1日と2日、朝日の紙面は麻生発言で「熱狂」した。日によって1面の「天声人語」、社会面、社説を動員し、まさに全社あげてといってよい形で発言を批判した。
 討論会の主催者兼司会者として現場に居合わせた私の実感からすれば、後述するように朝日の報道は麻生発言の意味を物の見事に反転させたと言わざるを得ない。
 7月29日、私が理事長を務める国家基本問題研究所(国基研)は「日本再建への道」と題した月例研究会を主催した。衆議院、都議会、参議院の三大選挙で圧勝、完勝した安倍自民党は、如何(いか)にして日本周辺で急速に高まる危機を乗り越え、日本再建を成し得るかを問う討論会だった。
 日本再建は憲法改正なしにはあり得ない。従って主題は当然、憲法改正だった。
 月例研究会に麻生副総理の出席を得たことで改正に向けた活発な議論を期待したのは、大勝した自民党は党是である憲法改正を着実に進めるだろうと考えたからだ。
 が、蓋を開けてみれば氏と私及び国基研の間には少なからぬ考え方の開きがあると感じた。憲法改正を主張してきた私たちに、氏は「自分は左翼」と語り、セミナー開始前から微妙な牽制(けんせい)球を投げた。
 セミナーでも氏は「最近は左翼じゃないかと言われる」と述べ、改正論議の熱狂を戒めた。私はそれを、改正を急ぐべしという国基研と自分は同じではないという氏のメッセージだと、受けとめた。
 「憲法改正なんていう話は熱狂の中に決めてもらっては困ります。ワァワァ騒いでその中で決まったなんていう話は最も危ない」「しつこいようだが(憲法改正を)ウワァーとなった中で、狂騒の中で、狂乱の中で、騒々しい中で決めてほしくない」という具合に、氏は同趣旨の主張を5度、繰り返した。
 事実を見れば熱狂しているのは護憲派である。改憲派は自民党を筆頭に熱狂どころか、冷めている。むしろ長年冷めすぎてきたのが自民党だ。いまこそ、自民党は燃えなければならないのだ。
 にも拘(かか)わらず麻生氏は尚(なお)、熱狂を戒めた。その中でヒトラーとワイマール憲法に関し、「あの手口、学んだらどうかね」という不適切な表現を口にした。「ワイマール憲法がナチス憲法に変わった」と氏はいうが、その事実はない。有り体に言って一連の発言は、結局、「ワイマール体制の崩壊に至った過程からその失敗を学べ」という反語的意味だと私は受けとめた。
 憲法改正に後ろ向きの印象を与えた麻生発言だったが、朝日新聞はまったく別の意味を持つものとして報じた。
          ◇
 たとえば1日の「天声人語」子は、麻生発言を「素直に聞けば、粛々と民主主義を破壊したナチスのやり方を見習え、ということになってしまう」と書いた。前後の発言を合わせて全体を「素直に聞」けば、麻生氏が「粛々と民主主義を破壊」する手法に習おうとしているなどの解釈が如何(いか)にして可能なのか、不思議である。天声人語子の想像力の逞(たくま)しさに私は舌を巻く。
 朝日の記事の水準の高さには定評があったはずだ。現場にいた記者が麻生発言の真意を読みとれないはずはないと思っていた私は、朝日を買いかぶっていた。
 朝日は前後の発言を省き、全体の文意に目をつぶり、失言部分だけを取り出して、麻生氏だけでなく日本を国際社会の笑い物にしようとした。そこには公器の意識はないのであろう。朝日は新たな歴史問題を作り上げ、憲法改正の動きにも水を差し続けるだろう。そんな疑惑を抱くのは、同紙が他にも事実歪曲(わいきょく)報道の事例を指摘されているからだ。
 典型は「読売新聞」が今年5月14、15日付で朝日の誤報が慰安婦問題を政治問題化させたと報じた件だ。読売の朝日批判としては珍しいが、同件について朝日は説明していない。
 古い話だが、歴史問題にこだわるなら、昭和20年8月の朝日の報道も検証が必要だ。終戦5日前に日本の敗戦を示唆する政府声明が発表され、朝日新聞の編集局長らは当時こうした情報を掴(つか)んでいた。新聞の使命としていち早く、日本敗戦の可能性を国民に知らせなければならない。だが、朝日新聞は反対に8月14日、戦争遂行と戦意高揚を強調する社説を掲げた。これこそ、国民への犯罪的報道ではないか。朝日の歴史認識を問うべきこの事例は『朝日新聞の戦争責任』(安田将三、石橋孝太郎著、太田出版)に詳しく、一読を勧めたい。
 これらのことをもって反省なき朝日と言われても弁明は難しい。その朝日が再び麻生発言で歴史問題を作り出し、国益を害するのは、到底許されない。
 それはともかく、自民党はまたもや朝日、中国、韓国などの批判の前で立ちすくむのか。中国の脅威、韓国、北朝鮮の反日、米国の内向き志向という周辺情勢を見れば、現行憲法改正の急務は自明の理だ。それなのに「冷静な議論」を強調するのは、麻生氏を含む多くの自民党議員は憲法改正に消極的ということか。日本が直面する危機に目をつぶり、結党の志を横に措(お)き、憲法改正の歩みを緩めるのだろうか。であれば、護憲の道を歩む朝日の思う壺(つぼ)ではないか。自民党はそれでよいのか。私の関心は、専ら、この点にある。
 *上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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