軍事介入めぐり緊迫/シリア、米英の準備加速
47NEWS 2013/08/28 14:40
シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、国連が現地調査に乗り出した。しかし、チームの車列が銃撃されるなど作業は難航。アサド政権が使用したと主張する米英両国は、実のある調査結果が得られなくても「2週間以内」(英紙インディペンデント)にも限定的な武力行使に踏み切る構えで準備を加速させている。内戦下のシリア情勢は緊迫の度を増してきた。
▽作業難航
「化学兵器が使用された証拠を調査団が手に入れてくれると確信している」。国連報道官は26日の記者会見で自信を見せた。
調査団は同日、化学兵器攻撃があったとされる現場周辺で犠牲者や生存者から血液、髪の毛などを採取。医師や生存者らの聞き取りも行った。
だが、チームの車列が何者かに銃撃される事件も発生。 調査団の現場入りを妨害する狙いとみられる。シリアのムアレム外相は27日、反体制派が安全確保に合意しなかったため、2回目の国連調査が28日に延期されたと明らかにした。
▽介入根拠
「オバマ大統領はシリア攻撃を正当化できる報告書を作成し、公表するよう命じた」。米CBSテレビは26日、特ダネとして報道。国連の調査結果とは別に、介入準備が進んでいることをうかがわせた。
米海軍は巡航ミサイル「トマホーク」を搭載するミサイル駆逐艦3隻を地中海に投入していたが、最近になって4隻に増強。空母ハリー・トルーマンも紅海に展開しており、シリアは攻撃圏内にあるとみられる。
ヨルダンには今年に入り、米軍のF16戦闘機が十数機配備されているほか、米要員約千人が駐留。シリア国境に近いトルコ南部アダナには、イラク戦争での出撃拠点ともなったインジルリク空軍基地がある。
関係筋によると、米軍と共に行動するとみられている英国はここ数カ月、巡航ミサイルを搭載する原子力潜水艦を少なくとも1隻、地中海に展開させているという。
▽苦い経験
ただ米国には、ブッシュ前政権が武力行使を容認する国連決議なしに「有志国連合」でイラク戦争を始め、自国の信頼を傷つけた苦い経験がある。オバマ氏は介入を正当化する法的根拠を示し、国際的な枠組みでの行動を重視したい考えだ。
報告書作成はそうした取り組みの一環だが、化学兵器使用を否定するアサド政権寄りのロシアは介入に反対。オバマ氏は米テレビで「長期的な国益も戦略的に考えなければならない」と苦しい胸の内を吐露した。
ロシアは化学兵器使用に関し「証拠が示されていない」と主張。英米がこれを突き崩せず、再び安保理決議を伴わない介入に踏み出せば「ブッシュ政権と同じ」との批判を招く恐れもある。
ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は27日、国連を迂回(うかい)しようとする米英の姿勢を批判。シリアへの軍事介入は「破滅的な結果」を招くと警告した。(カイロ、ワシントン、モスクワ共同=久下和宏、上西川原淳、小熊宏尚)
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