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小泉元首相「原発即ゼロ」発言の波紋〜なぜ「今 決断すべき」なのか!? 日経BPnet

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小泉元首相「原発即ゼロ」発言の波紋〜なぜ「今決断すべき」なのか!?
 日経BPnet 2013年11月14日
 小泉純一郎元首相の「原発即ゼロ」発言が波紋を呼んでいる。11月12日午後、日本記者クラブで1時間半に渡ってスピーチした小泉元首相は、原発の停止時期を問われて、「即ゼロ」と即答した。
 これまで自民党の石破茂幹事長が、先般からの小泉元首相の「原発ゼロ」発言について、「小泉さんも原発を将来的に停止するといっているだけで、今すぐ止めろとは言っていない。その意味では、小泉さんも自民党の考えも同じだ」と答えていたが、それを根こそぎひっくり返した形だ。
 今回の記者会見の極めつけは、「安倍総理として、いかに国民から与えられた権力を望ましいあるべき姿に向かって使うか。こんな運のいい総理いないですよ。使うと思えば、使えるんですよ。総理が決断すればね、今の原発ゼロ反対論者も黙っちゃいますよ。自民党の中で」と総理の絶対的権限を強調し、安倍首相に決断を迫った点だろう。
 さらに具体的な道筋として、「石破幹事長が音頭をとって、これからのエネルギー政策、原発含めてね、議論しようというふうに党内ですれば、賛否両論出ますよ。そして、賛否両論、これを総理にあげていけばいいんですよ」「安倍さんが判断しやすいような環境をつくっていけばいい」と、党内派閥とは一線を画す石破幹事長が音頭をとって進めるべきと促した。
 その一方で小泉元首相が、政治の表舞台から姿を消していた細川護煕元首相との連携を図っていることも明らかになった。アベノミクスの実行が正念場となる安倍政権に、これまで楽観的ともいえた原発問題への対応を即座に判断すべきという決断を突きつけた格好だ。
*なぜ今、小泉元首相は「原発ゼロ」発言を繰り返すのか
 ではなぜ今、小泉元首相はこうした原発ゼロ発言を繰り返すのか。それには、政治的な思惑とは別に、いまだ明確な方向性を示せない日本のエネルギー政策に対する危機感があるのは確かだ。
 経済産業省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長も務めた経験のある東京工業大学特命教授の柏木孝夫氏は、今、日本のエネルギー基本計画の議論が大詰めを迎えているという。
 エネルギー基本計画の策定に向けて議論する、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の第7回会合が、10月16日に開催された。この回の議題は、「今後の原子力政策について」で、原子力事故への備えの充実や高レベル放射性廃棄物の問題解決への取組みなど7つの課題について議論が行われた。
 柏木氏は、「原発ゼロを目指すのであれば、新たな人材は集まりにくく、育ちにくい。世界最高レベルの技術を継承できなくなってしまう」という。ゆえに「新たなエネルギー基本計画は、安定供給および成長戦略の観点から、あらゆる政策を盛り込む方向に進みそうである」という。
  ⇒ 大詰めを迎えるエネルギー基本計画の議論 安定供給には原子力も天然ガスも海洋も総動員
 福島第1原発事故を踏まえて改正した原子炉等規制法は、原則として40年以上の運転を認めていない。しかし会合では、なし崩し的に原発の新増設や寿命延長を認めるべきという声が相次いだ。政治が主導権を握らないまま、官僚や原発関連企業の思惑が先行して、日本のエネルギー政策の方向が決められようとしているのだ。
 なぜ今、小泉元首相がこうした議論をあえて展開するのか、という問いへの答えは、そのあたりにもありそうだ。
*崩れ去った安全神話の上でなぜ議論するのか
 経済産業省が進めているエネルギー基本計画の原発の安全性議論については、やはり危惧を抱かないわけにはいかない。ジャーナリストの松浦晋也氏は、旧原子力安全・保安院のページ公開されている地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ議事録から、驚くべき議論があったことを紹介している。
 津波の危険性は震災の1年8カ月前に指摘されていたにも関わらず、東京電力の根拠のない安全神話によって、その指摘が無視され、結果として福島第一原発の事故が、必然的に引き起こされた様が、克明に描かれている。
  ⇒ 原子力発電を考える(最終回)福島第一原子力発電所事故が起きた理由
 このレポートを読めば、日本ではまだ安全性をコントロールするノウハウが確立されていないことがよく分かる。それなのに、安倍首相は、原発輸出にやっきになっている。
  ⇒ 三菱重工、国際共同体がトルコ政府と原発プロジェクトの契約に関して大枠合意
 日本の原発プロジェクトへの不信感、原発輸出への違和感を多くの国民が感じている。小泉元首相は、こうした極めて当たり前の国民感情を巧みにすくい上げたわけだ。
*ノウハウ積む脱原発先進国ドイツ
 いまだ方向性のはっきりしない日本に対し、明確に原発ゼロを打ち出しているドイツは課題を抱えながらも着実に前に進んでいる。
 ドイツ政府は2009年1月より、固定価格買い取り制度(FIT:Feed in Tariff)を改正して、再エネ発電を直接電力取引市場(Direct Marketing)で販売できるようにした。再エネ発電は、FITにより、20年間固定の有利な価格で送配電事業者に引き取ってもらえるが、直接市場に販売することも選択できるようになった。
 しかし、通常はFITよりも市場価格の方が低いので、市場販売はあまり選択されなかったため、2012年1月には、「マーケット・プレミアム」が導入。これによって直接の市場取引を選びやすくなったという。
  ⇒ 「100%再エネ地域」を実現する方策 ドイツのスマートグリッド「E-Energy」(3)
 どのような投資が最適かの判断は、容易ではない。電力取引市場、地域の電力や熱の需要、地域の天候予想など多くの変動要因が絡むため、そのノウハウが鍵を握るわけだ。ドイツは、スマートグリッド実証実験「E-Energy」でこうしたノウハウを積んでいるのだ。
*正しい政策は国民が支持する
 もっとも「脱原発」の先を行くドイツでもいくつかの課題に直面している。中でもやり玉に挙がっているのが再生可能エネルギーのコスト問題だ。
 10月11日には、欧州の大手電力10社のCEO(最高経営責任者)がずらりと顔を揃えて会見を開き、「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)は廃止すべき」と訴えた。FITによる負担増が経営を圧迫しているというわけだ。
 これは日本でも再生エネルギー議論をする際にバッシングされるポイントの一つだ。
  ⇒ 世界で広がる「再エネバッシング」の裏側 日本は先行ドイツを見習うべきか
 だが、欧州の電力会社がこぞってFIT廃止を求めているからといって、制度そのものが失敗かと言えば、そうではないという。電力会社に代わって、再エネを手かげる事業者たちで、FITの追い風に乗って電力市場での存在感を高めつつあるからだ。2005年のドイツの電力市場は、大手電力4社が約80%のシェアを占めていたが、2011年にはこれが約70%にまで下落したという。
 電力会社がFITへの反発を強める半面、多くの国民は再エネ導入を推進することに理解を示している。ドイツの消費者団体VZBVが今年実施した調査では、82%のドイツ人が再エネに舵を斬ったエネルギー政策は正しいと答えている。
 日本でも小泉元首相の「原発ゼロ発言」に対して、6割の国民が支持しているという世論調査も出ている。政府が大きな方針を打ち出せば、民意がそれを支持するという構図はドイツも日本も変わりがない。
*やめること」を決めることはトップにしかできない最大の決断
 小泉元首相の「原発即ゼロ」発言のきっかけは、8月にフィンランドの核廃棄物の最終処分場「オンカロ」を視察して衝撃を受けたことだ。
  ⇒ ようやく動きだした原発「汚染水対策」、これで五輪誘致をアピールできるのか?
 「再稼働すると、また核のごみが増えていくわけですよ。再稼働させるといったって、最終処分場見つからないんでしょ。だったら、すぐゼロにした方がいいと思いますよ」というのが小泉元首相の主張だ。
 日本が国を挙げて進めてきた高速増殖炉のプロジェクトもとん挫したままだ。物理学者で技術評論家の桜井淳氏は、日本の原子力開発プロジェクトがなぜ失敗したのかを検証している。「核のゴミ」に対する解はないのだ。
  ⇒ 原子力プロジェクトはなぜ失敗したのか---その原因と教訓(上)
 では、この「原発」にどう決着をつけるのか。
 原発とは直接関係のないマネジメントに関する発言だが、星野リゾート社長の星野佳路氏のこの言葉は含蓄深い。星野氏は、「現場には『やめること』は決められない」という。「顧客満足度や収益などの指標は、やめることによってすぐにメリットが出てこないから、現場はやめるという発想を簡単には正当化できない」からだ。
 だから「『やめること』を決めることが、僕の最後の仕事」と星野氏は言い切る。
  ⇒ 「やめること」を決めることが、僕の最後の仕事 星野佳路・星野リゾート社長
 安倍首相にトップの決断を迫った小泉元首相の言葉も、これに通じるものがあるのではないだろうか。
 ◎上記事の著作権は[日経BPnet]に帰属します
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原発保有国の語られざる本音 / 多くの国は本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり2011-05-10 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
  知らないのは日本人だけ? 世界の原発保有国の語られざる本音
  JB PRESS 2011.05.10(Tue)川島博之〈東京大学大学院農学生命科学研究科准教授〉
 4月の最終週に、ドバイ経由でエチオピアに出張した。出張ではホテルのロビーなどで外国人と何気ない会話を交わすことも多いのだが、今回出会った人々は、私が日本人と分かると、異口同音に「FUKUSHIMA」について聞いてきた。世界の人々が原発事故に関心を寄せているのだ。福島は広島、長崎と共に、広く世界に知られた地名になってしまった。
 日本はこれからも原子力発電を続けるべきであろうか。それとも、原発は取り止めるべきなのだろうか。
 報道各社による直近の世論調査では、賛否はほぼ拮抗している。多くの人が、地震が多い日本で原子力発電を行うことはリスクが伴うが、便利な生活を送るためには仕方がないと考えているのだろう。
 現在は、原発から漏れている放射性物質の封じ込めや津波で破壊された町の復興に関心が集まっているが、一段落つけば、これから原発とどう付き合うか、真剣に議論しなければならなくなる。
 その議論を行う前に、世界の原発事情についてよく知っておくべきだ。フランスが原発大国であることを知っている人は多いと思うが、その他の国の事情については、よく知られていないと思う。
 筆者の専門はシステム分析だが、システム分析ではデータを揃えて広い視野から先入観を持たずに現実を直視することが第一歩となる。そこで本稿ではIEA(国際エネルギー機関)のデータを基に、世界の原発事情について考えてみたい。そこからは原発の意外な一面が見えてくる。
*原発を所有する国の意外な顔ぶれ
 原発は最先端の科学技術を利用したものであるから、先進国にあると思っている人が多いと思う。しかし、調べて見るとどうもそうとは言い切れない。
 現在、31カ国が原発を所有している。原発による発電量が最も多い国は米国であり、その発電量は石油換算(TOE)で年に2億1800万トンにもなる(2008年)。
 それにフランスの1億1500万トン、日本の6730万トン、ロシアの4280万トン、韓国の3930万トン、ドイツの3870万トン、カナダの2450万トンが続く。日本は世界第3位だが、韓国も第5位につけており、ドイツを上回っている。
 その他を見ると、意外にも旧共産圏に多い。チェルノブイリを抱えるウクライナは今でも原発保有国だ。石油換算で2340万トンもの発電を行っている。その他でも、チェコが694万トン、スロバキアが440万トン、ブルガリが413万トン、ハンガリーが388万トン、ルーマニアが293万トン、リトアニアが262万トン、スロベニアが164万トン、アルメニアが64万トンとなっている。
 旧共産圏以外では、中国が1780万トン、台湾が1060万トン、インドが383万トン、ブラジルが364万トン、南アフリカが339万トン、メキシコが256万トン、アルゼンチンが191万トン、パキスタンが42万トンである。
 その他では、環境問題に関心が深いとされるスウェーデンが意外にも1670万トンと原発大国になっている。また、スペインが1540万トン、イギリスが1370万トン、ベルギーが1190万トン、スイスが725万トン、フィンランドが598万トン、オランダが109万トンとなっている。
 原発を保有している国はここに示したものが全てであり、先進国でもオーストリア、オーストラリア、デンマーク、アイルランド、イタリア、ノルウェー、ニュージーランド、ポルトガルは原発を所有していない。
 ここまで見てくると、一概に原発は先進国の持ち物と言うことができないことが分かろう。
*多くの国は本音で核兵器を持ちたがっている
 東欧諸国は旧共産圏時代に建設し、今でもそれを保有している。しかし、台湾やインド、ブラジル、南アフリカ、パキスタンになぜ原発があるのだろうか。韓国の発電量がなぜドイツよりも多いのであろうか。また、G7の一員でありながら、なぜイタリアには原発がないのか。
 原発の有無は、その国の科学技術力や経済力だけでは決められない。
 ある国が原発を所有する理由を明確に知ることは難しい。その国の人に聞いても、明確な答えは返ってこないと思う。しかし、原発を持っている国名を列記すると、その理由がおぼろげながら見えてくる。原発は国家の安全保障政策に関係している。
 原子力による発電は原子力の平和利用であるが、ウランを燃焼させることにより生じるプルトニウムは原子爆弾の原料になる。また、原発を製造しそれを維持する技術は、原爆を製造する技術につながる。原発を持っている国は、何かの際に短時間で原爆を作ることができるのである。
 北朝鮮が原爆の所有にこだわり、それを手にした結果、米国に対して強い立場で交渉できる。この事実は広く知られている。そのために、イランも原爆を欲しがっている。
 米国が主導する世界では、世界の警察官である国連の常任理事国以外は核兵器を所有してはいけないことになっている。それ以外の国が原爆を持つことは、警察官以外が拳銃を持つようなものであり、厳しく制限されている。
 しかし、各国の利害が複雑にぶつかり合う世界では、金正日が米国に強気に出ることができるように、核兵器を持っていることは外交上で有利に働くと考えられている。
 多くの国は、本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり、原発保有国のリストと発電量を見ていると、その思いの強さが伝わってくる。
*フランスが原発大国でイギリスの原発が小規模な理由
 日本では、フランスが原発大国であることはよく報じられるが、その理由が語られることはない。フランスが原発に舵を切ったのは、地球環境問題がやかましく言われるようになった1990年代以前のことである。フランスはCO2を排出しない発電方法として原発を選んだわけではないのである。
 それには、西側にいながら米国と一線を画したいと考えるドゴール以来の外交方針が関連していると考えるべきであろう。同様の思いは、国防に関心が深いスウェーデンやスイスにも共通する。また、フィンランドは常にソ連の脅威にさらされてきた。
 そう考えると、西側の中でもイギリスの原発発電量がスウェーデンよりも少なく、フランスの約1割に過ぎないことがよく理解できよう。イギリスの外交方針が米国と大きく異なることは多くない。原子力の力を誇示して、ことさらに米国と一線を画す必要はないのである。
 韓国に原発が多いことも理解できる。米国が作り出す安全保障体制の中で原爆を持つことは許されないが、北朝鮮が持っている以上、何かの際に原爆を作りたいと考えている。
 その思いは台湾も同じである。旧共産圏に属する小国が、多少のリスクに目をつぶって原発を保持し続ける理由もそこにある。東西の谷間に埋もれるなかで、少しでもその存在感を誇示したいと思っているのだ。
*「絶対安全」とは言えない原発の所有を国民にどう説明するか
 このような力の外交の一助として原発を位置づけるという考え方は、多くの国で国民にそれなりの理解を得ているようだ。だから、フランスや韓国や台湾、ましてパキスタンで反原発のデモが繰り返されることはない。
 しかし、日本、ドイツ、イタリアではそのような考え方は国民のコンセンサスとはなり難い。言うまでもなく、この3国は第2次世界大戦の敗戦国であり、多くの国民は力による外交を毛嫌いしている。そのために、原発の所持を安全保障の観点から国民に説明することが難しくなっている。
 この3国では原発所持の理由を、経済性や絶対安全であるとする観点から説明することになる。しかし、それだけでは、使用済み燃料の最終処理に多額の費用を要し、また、福島の事故で明らかになったように、絶対安全とは言えない原発の所有を国民に説明することはできない。
 イタリアはチェルノブイリ原発事故の後に国民投票を行い、原発を廃止した。また、ドイツも緑の党などが強く反対するために、福島の事故を受けて、原発の保有が大きな岐路に立たされている。
 ここに述べたことを文書などで裏付けることは難しい。しかし、原発の保有国リストや発電量を見ていると、自然な形で、ここに述べたようなことが見えてくる。世界から見れば、日本の原子力政策も潜在核保有力の誇示に見えていることであろう。
 これまで、日本における原発に関する議論は、意識的かどうかは分からないが、本稿に述べた視点を無視してきた。
 しかし、原発の経済性と安全性の議論だけでは、なぜ、原発を持たなければならないのかを十分に議論することはできない。福島の事故を受けて、今後のエネルギー政策を考える際には、ぜひ、タブーを取り除いて議論すべきであろう。
 戦後66年が経過しようとしている。少子高齢化も進行している。そろそろ、老成した議論を始めてもよいのではないであろうか。 *強調(太字・着色)は来栖
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◇ 軽率で無責任な小泉氏の「原発即ゼロ」発言 非核保有国の中で再処理を認められているのは、日本だけ 2013-11-14 | 政治/原発 
 【主張】小泉会見 「原発即ゼロ」は無責任だ
 産経ニュース2013.11.14 03:15 [主張]
 国のエネルギー政策の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、あまりにも軽率で無責任な発言にすぎないか。
 小泉純一郎元首相が行った記者会見での主張である。国内の原発について「すぐゼロにした方がよい」と述べた。
 論拠は、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物を地中深く埋める最終処分場が決まっていないことにあるようだ。「10年以上かけて1つも見つけられない」と批判した。
 この問題を小泉氏が考えることになった契機は今夏、フィンランドの最終処分場を見学したことにあるという。岩盤を深度400メートルまで掘った地下施設だ。日本も同様の地層処分を計画しているが、火山や地震が多い日本列島での実現性に疑問を持ったらしい。
 国内での最終処分は、法律に基づいて平成12年に設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)が担当している。第1次小泉内閣発足とほぼ横並びの誕生だ。
 今になって最終処分場の立地難を、その小泉氏が問題提起をするのは不可思議でならない。
 最終処分場の候補地選びは反対運動もあって遅れ気味だ。以前に内閣府が行った世論調査では、回答者の8割が処分地決定の必要性を認めたが、自分の市町村や近隣への設置となると同じく8割が反対した。それほど機微な要素がある。安易な批判は遅滞を招く。
 会見では核燃料サイクルの中止も提案したが、これもまずい。非核保有国の中で再処理を認められているのは、日本だけであるという事実を忘れてはなるまい。原子力を他のエネルギーと同列に扱うことは、日米関係や国際情勢とも齟齬(そご)を来す。
 小泉氏の言説に従って原発即時ゼロの道を歩めば一挙に廃炉のコストが膨らみ、再生可能エネルギー開発に回す余力も消える。その奇抜な提案は「ハーメルンの笛吹き男」に通じる危うさがある。
 氏は科学的知見に基づいて物を言っているのか。
 エネルギー資源の最貧国に等しい日本が台頭するアジアに伍(ご)して経済発展を続けるには、安定供給を可能にする原子力の利用が不可欠であることは自明だろう。
 ただし、安倍晋三政権も原発を含めた日本のエネルギー比率をまだ定めていない。小泉発言に惑わされることなく、全原発の早期再稼働を即決してもらいたい。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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中韓が狙う「使用済み燃料再処理技術=核兵器に転換可能なプルトニウム抽出」〜日本しか認められていない 2013-04-08 | 政治/原発  
 中韓が狙う日本の原発技術 国内低迷、ノウハウ流出懸念
 産経新聞2013.4.8 08:23
 原発の増設を目指す韓国と中国が、日本の原子力技術や研究者に触手を伸ばしている。東京電力福島第1原発事故の影響で、日本国内の原子力産業は低迷しており、海外へ活路を見いだしたい日本側の事情とも合致する。しかし、世界レベルの技術が海外へ流出することに懸念の声も出ている。(原子力取材班)
 大阪府東大阪市の近畿大で3月末に開かれた日本原子力学会では、日本の企業や研究機関に加え、韓国で原発運営を手がける公営企業「韓国水力原子力」が初めてPRブースを設けた。電力の送配電を担う韓国電力公社が全株式を持つ国策会社だ。
 「日本の技術者が海外で働くことは新しい見識を得ることにもつながり、素晴らしいことだ」。行き交う研究者や学生らに流暢(りゅうちょう)な英語で次々と声をかけていた同企業の趙賢済(チョウ・ヒョン・ジェ)主任研究員はこう話した。
 学会関係者によると、海外の企業がブースを設けるのは、50年以上の学会の歴史の中で初めて。会場での物品販売が禁止されている以外は特に出展の条件はなく、会場での求人活動も可能だという。
 韓国では昨年2月に古里(コリ)原発で全電源が失われる事故が起きたばかり。福島の事故後、日本は安全技術を高めており、趙氏は「日本の技術は大変優秀だ」と認める。
 「韓国が喉から手が出るほど欲しい」(学会関係者)といわれるのが、使用済み燃料の再処理技術。核兵器に転換も可能なプルトニウムを取り出すこともできるため、非核兵器国では日本しか認められていない。韓国は米国との間で2014年にも改定される原子力協定でこの技術を導入し、独自の燃料を確保したい考えだ。
 中国も日本の技術獲得に攻勢をかける。
 海外への技術者派遣などを事業とする「国際原子力発電技術移転機構」(東京都港区)の関係者によると、東日本大震災以降、中国からの引き合いが相次いでいる。同機構には日立製作所や東芝のOBなど原発関連の技術者らを中心に、海外勤務を希望する登録者が約300人に上るという。
 5月には中国の核関連協会からの要請で、日本の技術者ら約20人が中国の原発事情を調べるために派遣される。浙江省では核関連技術を集積させた工業地区を建設する計画があり、日本企業の誘致も進む。
 急速な中国の原発増設には危うさが伴い、いったん事故が起きれば日本にも影響が及ぶことから、安全技術の移転に関しては歓迎する声もある。
 調査団長でエネルギー総合工学研究所の松井一秋研究理事は「中国の原発市場にはビジネスチャンスがある。ただ、技術だけ奪われる危うさもあり、いいとこ取りがないように慎重に進めなければならない」と話している。
            ◇
 ■韓国・中国の原発 韓国は23基の原発が稼働中で、国内の総発電量の約3割を占める。2030年までにさらに約20基増やし、発電比率を6割に引き上げる方針も。中国では16基が稼働し、29基が建設中。20年までに約50基増やす計画がある。中国は使用済み燃料の再処理を独自に行う考えで、フランスの会社と共同で再処理工場を建設する案も浮上している。
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韓国が羨む「使用済み核燃料の再処理特権」 六ヶ所の稼働を急げ 金子熊夫 2013-07-08 | 政治/原発 
  韓国が羨む「再処理特権」 六ヶ所の稼働を急げ
  WEDGE Infinity2013年07月08日(Mon) 金子熊夫(外交評論家・エネルギー戦略研究会会長)
 韓国が米国との原子力協定の改定交渉でフラストレーションを溜めている。使用済み核燃料の再処理を行う権限を米国が与えないからだ。日本は36年前、米国と激突しながら辛うじて説得に成功し、再処理の特権を勝ち取った。だからこそ韓国は不公平感を抱いている。しかし現在、肝心の六ヶ所再処理工場の前途に深い霧が立ち込めている。
  日本で3.11以後止まっている原子力発電所の再稼働問題が大きな焦点となっている折、お隣の韓国では、懸案の韓米原子力協定改定交渉が重大な局面を迎えている。
 *韓国の恨み 日本だけなぜ優遇?
  この交渉の最大の争点は、韓国が、米国産の核燃料を原子炉で燃やした後の、いわゆる使用済み核燃料を再処理し、その結果抽出されたプルトニウムを利用する「権利」を米国から勝ち取ることができるかどうかである。この問題について、日本人の多くは無関心のようだ。
  李明博前政権以来数年越しの必死の交渉にもかかわらず、韓国は、対米説得に失敗した。結局、協定が満了する来年3月以降、2年間暫定的に現行協定を延長し、その間交渉を継続することとなった。5月半ば訪米した朴槿惠大統領はオバマ大統領に直談判したが不発に終わった。
  北朝鮮との対決の最前線で日夜頑張っている韓国の苦しい立場を米国は理解してくれないという不満や、同じ米国の同盟国である日本には再処理を認めておきながらあまりにも不公平だという恨み、やっかみが韓国国内に渦巻いている。再処理ができないとなると、原発輸出競争で不利になるという焦りもある。
  米仏日露に続く世界第5位の原発大国である韓国では、現在23基が稼働中だが、再処理ができなければ使用済み核燃料のサイト内貯蔵能力が限界に達し、このままでは早晩原発閉鎖も避けられない状況だ(と韓国側は説明している)。
  この説明で米国が納得しないのも無理はない。使用済み核燃料貯蔵施設が飽和するのは2016年だが、韓国が主張している乾式再処理の商用化には数十年を要するからだ。
  朴槿惠の父、朴正煕は1970年代、秘密裏に核武装を目指し、米国から警戒された。「米国は韓国の非核化の意志を疑っている」と韓国・中央日報紙は分析している。
 一般の読者のために少々説明を加えると、現行の韓米原子力協定は、旧・日米原子力協定と同タイプで、米国産の核物質(ウラン燃料)の再処理、濃縮、第3国移転は米国の事前承認がなければできないという明文の条項がある。
  日本は、77年春、カーター政権が発表した新核不拡散政策の適用第1号として、当時ほぼ完成していた茨城県東海村再処理施設の運転に「待った」をかけられた。
  果たせるかな、日米は文字通り激突した。日本は、福田赳夫首相と宇野宗佑科学技術庁長官兼原子力委員長(ともに当時)の下で挙国一致、正攻法で「再処理とプルトニウム利用は、資源小国日本のエネルギー安全保障上必要不可欠。日本は被爆国として非核に徹しており、再処理を行っても核武装や核拡散の心配は無用」と強硬に主張し続け、ついに米国から条件付きの承認を勝ち取った。
  交渉はその後も延々と続き、ようやく88年に「長期包括的事前承認」方式による新協定の締結に成功し、現在に至っているわけである。厳しい交渉が多かった戦後外交のなかで、日本側が完全に勝利した数少ない事例の一つと言ってよい。
  都合10年に及ぶ日米交渉を振り返ると、筆者が外務省の初代原子力課長として直接交渉に関与した前半は、カーター民主党政権の厳格な核不拡散政策に苦労させられたが、後半はレーガン共和党政権の原子力推進政策に助けられたという面もあった。
  その後、世界の核と原子力をめぐる状況は大きく変化している。近年とくに北朝鮮、イラン問題の悪影響は甚大だ。就任以来「核なき世界」(09年のプラハ演説)を標榜するオバマ政権は、核拡散防止のためには再処理と20%以上の濃縮を禁止したいというカーター政権以来伝統の政策を堅持している。
  今後原子力発電を導入する新興国に対しては、08年に米国がアラブ首長国連邦(UAE)と締結した原子力協定(再処理、濃縮の放棄を明記)をゴールド・スタンダードとしたい方針のようだ。つまり、カーター政権時代に再処理権を獲得した欧州原子力共同体加盟国と日本、それに、4年前に米国との粘り強い交渉で奇跡的にそれを獲得したインドだけを例外として、他のすべての国には新たに再処理権を認めないという方針を頑なに堅持しているのである。
 *韓国問題は対岸の火事に非ず
  翻って日本はどうなのか、どうなるのか。
 現行日米原子力協定で再処理の「包括的事前承認」は確保されているものの、本格稼働が大幅に遅れている青森県六ヶ所村の再処理工場が、協定有効期限の2018年以後どうなるかは、まったく不透明である。
  六ヶ所再処理工場は度々の不具合による計画の遅れで、長年足踏みしてきたが、ようやく今年10月に操業開始可能というところまできた。5月にはガラス固化体製造試験も終了、国の使用前検査を受ける準備が整った。ところが、原子力規制委員会が5月半ばに突然、新規制基準の策定が間に合わないとの理由で「待った」をかけた。
  新基準施行は早くて12月とみられる。しかも原発再稼働の審査でマンパワーを取られている規制委が、再処理工場の審査をどんなスピード感で進めるのかわからない。規制委は工場が立地する下北半島の断層も調査する意向を示している。
  そうなると気になるのは、米国政府の反応である。自国内での民生用核燃料の再処理を原則的に止めている米国は、基本的には、日本が原子力技術、とりわけ再処理を軸とする核燃料サイクルの技術を磨き上げ、それを厳正に管理していくことを期待している。核不拡散に「甘い」中国やロシアの原発が世界に輸出され、核技術が不安定に拡散するのを防ぐ意味でも、日米が連携して世界の原子力を牽引することで、核管理の秩序を保っていくべきだという考え方である。だからこそ、3.11事故後、民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策に米国は懸念を示したのだ。
  しかし、日本が六ヶ所工場の稼働にこのままてこずれば、どうなるかわからない。米議会には強烈な核不拡散論者(イコール再処理反対論者)もいるのだ。
  再処理の特権は、協定上の既得権だと思って安閑としていてはいけない。「権利の不行使は権利の放棄」とみなされる。一旦放棄したら二度と回復できないだろう。六ヶ所工場の稼働は、外交の歴史的経緯とエネルギー安全保障という縦軸、横軸を持って、俯瞰的視点から検討されなければならないテーマである。
  とりわけ六ヶ所工場の事業者である日本原燃は覚悟を持って一層奮励努力してもらいたい。まさに背水の陣で臨むべきで、今度また失敗したら後がないと肝に銘ずるべきだ。
 WEDGE2013年7月号より
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核兵器に転用可能なプルトニウム/日米再処理交渉1977年/「核武装 疑念晴れず」×「エネルギー源 期待」 2012-01-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉   
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小泉氏の背後に見え隠れする石油メジャーとアメリカ 【安倍叩き】田中角栄氏、小沢一郎氏を潰したように 2013-11-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
 〈来栖の独白2013/11/13 Wed. 〉
 一体どうなっているんだろう、と(小泉、細川元首相の動きに)不審を募らせていたが、少し分かりかけてきた。やはり、石油メジャーによるプロパガンダだ。そこへ、安倍潰しを社是とする朝日新聞など、メディアが活気づいたのだろう。安倍潰しに、「脱原発」は、好材料、申し分ない戦略だ。
 ただ日本の石油メジャーだけでは、力不足。アメリカも、糸を引いているだろう。「日中友好」の田中角栄氏をロッキード事件で潰し、「日米中 正三角形」の小沢一郎氏を陸山会事件で潰したように。安倍晋三氏は昨年12月「日本を取り戻す」と云った。何から取り戻すのか。アメリカから、だと私は思う。憲法改正を悲願とする安倍さんだ。属国憲法を廃し、戦勝・占領国アメリカから日本の真の独立を取り戻す。そういう総理を、アメリカが潰しに掛かっている。親米の小泉氏をのせるのは、いとも容易かった。国民はこの珍現象を「小泉劇場」などとエンタメにせず、しっかりと深層に目を凝らさなければならない。そうしなければ、この国は再び失われてしまう。
 アメリカはシェールガス・オイル産出によって、エネルギー輸出国となる。日本が原発をやめてエネルギーに窮し、中東からも買えない、という最悪の事態を想定してみると、分かりやすい。原発をやめた日本の生殺与奪を握るのはアメリカである。68年前、アメリカから石油を止められ(禁輸)、日本は戦争に負けた。
 正に、原発の経済性と安全性の議論だけでは、なぜ、原発を持たなければならないのかを十分に議論することはできない。
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「原発ゼロ、総理の決断次第」〈小泉元首相の会見全文〉 
 ◎上記事の著作権は[朝日新聞デジタル]に帰属します 
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