特定秘密保護法反対論の不可解 マスコミの「知る権利」主張もブレまくり
zakzak 2013.12.15 連載:「日本」の解き方
特定秘密保護法が成立したが、その後の記者会見で安倍晋三首相は「国会審議のやり方を反省している」と言っていた。たしかにもっと時間があればよかったが、筆者は、一部マスコミの騒ぎ方を見て、その本質が問われていると感じた。
マスコミが特定秘密保護法に反対した理由は、(1)政府・行政機関にとって不都合な情報を恣意(しい)的に特定秘密に指定できる(2)厳罰化で、公務員らの情報公開に対する姿勢を過度に萎縮させる可能性がある(3)処罰の対象となる「著しく不当な方法(による秘密取得)」の範囲が不明確で、政府や行政機関の運用次第で、憲法が保障する取材・報道の自由が制約されかねない−の3点だ。
しかし、これらは反対の理由になっていない。いずれも特定秘密保護法が、情報公開法や公務員法の一部法であることを理解していない誤りだ。まず(1)について、特定秘密は情報公開法の公開除外や公務員の守秘義務の部分集合だ。情報公開法の公開部分や公務員の守秘義務範囲外は従来と同じなので、国民の知る権利は侵害されない。
(2)について、厳罰化されているのは特定秘密だけで、それ以外の一般の秘密の部分は変わらない。秘密以外は情報公開法の公開対象だが、その部分は変わりないから、情報公開には何ら支障が出ない。
(3)についても、今より悪くならない。特定秘密を含む一般の秘密では、それを漏洩(ろうえい)した公務員は罰せられるが、非公務員も教唆などの場合は罰せられる。
国家公務員法111条では「…に掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はその幇助(ほうじょ)をした者は、それぞれ各本条の刑に処する」とされている。どこにも「不当な」という言葉はないが、裁判判例として確立しているので、今回の新規立法に取り入れられた。
つまり、「不当」というが、これまでの特定秘密以外の秘密にもありえるので、特定秘密保護法によって拡大解釈の可能性が広がるわけでない。しかも、解釈は裁判所の問題であるので、特定秘密保護法がなくても、「不当」の拡大解釈はありえる。
このように、マスコミの意見はロジカルでない。さらにいうと、マスコミのいう「知る権利」が相手によってぶれているように、筆者には思える。その代表例が2010年の尖閣動画問題だ。マスコミで反対論を唱えている多くの人が、当時、動画流出は問題という立場だった。
しかし、ビデオをサーバーにおいて多くの職員が見られるようにした管理方法からいって、秘密情報ではなかったことは、すでに安倍政権で菅義偉官房長官も認めている。情報管理の問題はあったものの、いち早く公開して、日本の正当性を周知させ、中国への国際的なプレッシャーに利用すべきだった。
今の反対論を主張するマスコミの中には、流出させた人物に問題があると言った人も少なくないが、その人たちは、相手が中国であれば公開すべきものを秘匿し、米国であれば秘密を公開すべきだと主張するのでは、支離滅裂である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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