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【頭の悪いマスコミが戦争への道を開く … 朝日新聞のようなモラルハザードを防ぐには】 池田信夫

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 池田信夫blog 2013年12月21日11:15
頭の悪いマスコミが戦争への道を開く
  朝日新聞の長谷部恭男氏に対するインタビューが話題になっている。いきなり「御用学者」と呼びかける無礼さにもあきれるが、中身はまるで頭の悪い学生に先生が教えているようだ。

――秘密保持は、今ある法律を使えば十分可能ではないですか。
 「これまでは、各役所がそれぞれ、首相に情報を上げていました。これでは到底、国は守れません。たとえばテロリストの活動や重大犯罪から国を守るためには各役所が情報を持ち寄り、連携して効果的な対策を打たなければならない。特定秘密法ができたことで、秘密は守られるからちゃんと情報を出しなさいと言えるようにはなります」
――しかしこの法律では、そもそも何が「特定秘密」に当たるかが全くわからず、秘密の範囲が際限なく広がる危険性があります。
 「今回の仕組みは、特別に保護すべき情報を金庫の中に厳重にしまって、権限のある人だけが見られるようにするというものです。なんでもかんでも金庫に入れてしまうと政府の仕事がやりにくくて仕方がない。常識的に考えて、秘密の範囲が際限なく広がることはありません」

 この高橋純子という記者の質問は矛盾している。「今ある法律を使えば十分」というのは、秘密保護法が国家公務員法と機能的に同じだといいたいのだろうが、他方で「秘密保護法は際限なく拡大解釈される」という。これを合わせると、こういうことになる:

 現在の国家公務員法でもマスコミを逮捕できる。今は「秘密」の定義がないので際限なく拡大解釈でき、民間人も「共謀・教唆」で逮捕できる。

  長谷部氏もいうように、拡大解釈のできない法律なんかない。それを制限するために裁判所があるのだ。現在の「特別管理秘密」には法的基準がなく、課長の決裁で適当に決めているが、今回の法律では特定秘密の定義を厳格にしたので、裁判所の判断も制限的になる。特定秘密の範囲は、今より狭まるのだ。
 こういう記事を読むと、マスコミが社会のエリートだった時代も終わったんだなと思う。私の受験したころは朝日の入社試験はペーパーテストで、競争率は150倍ぐらいだったが、今は普通の会社と横並びの面接だ。就職偏差値でも、かつて朝日は人気ベスト10の常連だったが、今は100位にも入らない。明らかに定年まで会社が存在しないからだ。
 官僚やマスコミの人気が落ちるのは健全なことだが、危険でもある。科挙のような儒教型メリトクラシーでは、法律ではなく「賢人」が国家を統治するので、試験で選ばれたエリートが権力をもつ。日本の社会も儒教型で、法律の建て前とは無関係に、官僚>マスコミ>政治家の順に偏差値が高く、信頼されていた。
 こうした事実上の階層秩序は変わっていないので、それをになう官僚やマスコミが馬鹿になると、意思決定が混乱する。特にマスコミに、高橋記者のような国語能力もない落第生が入ってくるのは危険だ。マスコミはまだ力をもっているので、1930年代のように大合唱すれば戦争をやらせることもできる。それが歴史の教訓である。
 長谷部氏もいうように、秘密保護法は「国を守るための法律」だが、戦後ずっと平和ボケの教師に教わってきた世代は、国家とか戦争という言葉にリアリティがない。それは幸福なことなのだが、これから否応なくそれを意識せざるをえなくなるだろう。アゴラ読書塾では、そういう変化に個人がどう備えるかを考えたい。
 ◎上記事の著作権は[池田信夫blog]に帰属します
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 池田信夫blog 2013年12月21日16:18
戦争というテールリスク
  さっきの記事(↑)のおまけ。朝日新聞のような一国平和主義はモラルハザードの一種で、タレブのいうスティグリッツ症候群である。スティグリッツは論文でGSE(政府系住宅金融機関)を賞賛したが、それが金融危機を起こしたとき何も責任を取らなかった。
 朝日新聞は秘密保護法が戦争につながるというが、その因果関係は何も語らない。軍事機密を守ったら、なぜ戦争になるのだろうか。彼らの主張するように安倍政権が戦争の準備をしているとしても、先制攻撃はできない。今の憲法には宣戦布告の規定がないからだ。しかし憲法は自衛権を否定していないというのが政府の見解だから、反撃はできる。
 つまり現行憲法で想定されるのは、昔の軍部のような侵略ではなく中国の挑発であり、これは次の図(略=来栖)のようなテールリスクだ。軍備に手を抜いていると、日常的には少しもうかるが、戦争になったら破滅する。
 金融危機も財政破綻も大震災も原発事故も同じで、これを管理するには「金融工学」のような期待値と分散によるリスク管理は役に立たない。朝日新聞の「戦争は起こらないのだから戦争に備えるな」というキャンペーンは「原発事故は起こらないのだから避難体制を考える必要はない」といった電力会社と同じ安全神話である。
 マスコミは口先だけで商売しているので、スティグリッツと同じく平時はテールリスクを無視してもうけ、有事のときは「政府が悪い」と言って逃げることができる。戦争を実行した東條英機は死刑になったが、それをあおった朝日新聞の緒方竹虎は公職追放だけですんだ(のちに解除されて自由党総裁)。
 これはラジャンの指摘したように、CDSトレーダーが過剰なリスクを取ってもうけ、破綻したらクビになるだけですむのと同じペイオフの非対称性が原因だから、朝日新聞が過剰なテールリスクを取るのは合理的なのだ。
 こういう問題に一般的な解決法はないが、タレブが提案するのはバフェットのいう"skin in the game"である。これは日常的なリターンとテールリスクを連動させる制度設計で、たとえば金融危機が起こったら金融商品のトレーダーが巨大な債務を負うようにすれば、報酬体系は対称になる。
 朝日新聞のようなモラルハザードを防ぐには、戦争が起こったらマスコミが戦費を1割負担するという制度をつくってはどうだろうか。そうすれば彼らもまじめに戦争のリスクを考えるだろう。実際に武力衝突が起こったら朝日新聞社は倒産するだろうが、もともと倒産は時間の問題だから大した問題ではない。
 ◎上記事の著作権は[池田信夫blog]に帰属します 
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「日本を戦争に巻き込むのは誰か」 原則・論理なく、感情的な世論に迎合する商業主義の朝日新聞 池田信夫 013-12-08 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉  
 池田信夫blog 2013年12月08日10:10
日本を戦争に巻き込むのは誰か
 朝日新聞によれば「学者の会」の3181人が「与党の政治姿勢は、思想の自由と報道の自由を奪って戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせます」という声明(前と同じ)を出したそうだが、これは電子集計なので、署名した人が本当に学者かどうかはわからない。

    

 他方、朝日新聞のアンケートによると、上のように「日本の安全が脅かされている」と感じて「法案に賛成」の人は4959人で、法案に反対の1236人の4倍だ。これは2ちゃんねるなどでおもしろがって投票した人が多いためと思われるが、少なくとも朝日新聞ばかり読んでいる老人とは違う意見の人がネットには多いことを示している。またBLOGOSでは、私の「強行採決は民主主義の機能する第一歩」という記事が、きのうの「最も支持された記事」だった。
 条文を普通に読む限り、秘密保護法が「戦争へと突き進む」原因になるとは思われない。今後、尖閣で軍事衝突が起こったとき、もっとも懸念されるのは軍事機密が守られることではなく、マスコミが大きな声で報復を叫ぶことだ。それを煽動するおそれがもっとも強いのは、朝日新聞である。2010年11月6日の朝日社説は、尖閣諸島の衝突事件のビデオが流出した事件についてこう書いている。

“ 流出したビデオを単なる捜査資料と考えるのは誤りだ。その取り扱いは、日中外交や内政の行方を左右しかねない高度に政治的な案件である。それが政府の意に反し、誰でも容易に視聴できる形でネットに流れたことには、驚くほかない。[…]仮に非公開の方針に批判的な捜査機関の何者かが流出させたのだとしたら、政府や国会の意思に反する行為であり、許されない。 ”

 この映像は「特定管理秘密」に指定されていなかったにもかかわらず、朝日新聞は機密を漏洩した者(当時は不明)の処罰を求めている。それは当時の菅政権がこれを激しく非難したからだ。このビデオは彼らの政治決着の誤りを暴露し、民主党政権の(すでに落ちていた)支持率はさらに落ちた。民主党を支持する朝日新聞は、ビデオを隠蔽したかったのだろう。
 要するに、朝日新聞には一貫した原則も論理もないのだ。一貫しているのは、世の中の感情的な世論に迎合しようという商業主義である。このように部数を増やすために戦争をあおった新聞が、日本を戦争に導いたのだ。彼らが次の戦争の火付け役になるおそれが強い。占領軍が(ドイツのように)新聞社を解体しなかったのは、大きな間違いだった。
 ◎上記事の著作権は[池田信夫blog]に帰属します
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【単刀直言】安倍晋三首相 特定秘密保護を語る 2013-12-07 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
  (抜粋)
*戦争と結びつける癖
 メディアや野党が戦争と結びつけるのは、昭和35年の日米安全保障条約改定時もそうだったし、平成4年の国連平和維持活動(PKO)法案審議のときもそうで、いつもなんですね。
 第1次安倍政権で防衛庁を「省」に昇格させたときもでしたが、心配するような変化が起こったのかと言いたい。例えばPKO法案のとき、菅直人元首相は発言席にしがみついて国会衛視に排除された。肉体的に抵抗を試みたのだけれど、彼は首相時代に自衛隊のPKO派遣を容認している。
 22年の中国漁船衝突事件で衝突映像を流した元海上保安官、一色正春氏について当時の毎日新聞は「国家公務員が政権の方針と国会の判断に公然と異を唱えた『倒閣運動』」と激しく非難し、朝日新聞は「政府や国会の意思に反することであり、許されない」と書いている。現在の姿勢とのダブルスタンダード(二重基準)には唖然とします。
*菅政権の致命的ミス
 問題は、誰がどのようなルールで秘密を決めるかであり、衝突映像はそもそも秘密にすべきものではなかった。日本の国益のためにはむしろ、国際社会に示さなければならなかった。(菅政権は)全く誤った、致命的な判断ミスをした。
 秘密に指定したのは菅首相なのか仙谷由人官房長官(当時)なのか分からない。ジャーナリズムはむしろ、そういう点を追及すべきだと思います。今後は、秘密を指定する基準が決まるから、こうしたことはもう起こらなくなります。
 どこかは言えませんが、ある国の情報機関のトップは、NSCができて秘密保護の法律ができることによって、日本への情報提供はよりスムーズにいくとはっきり言っていましたね。(夕刊フジ 矢野将史、杉本康士)
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します  *リンクは来栖
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朝日新聞は国家権力に反対しているふりをして裏では国家と手を組んでいる 全メディアが大合唱し国民を騙す 2013-12-16 | メディア/ジャーナリズム/インターネット 

        

 池田信夫blog 2013年12月15日14:18
朝日新聞の言論統制と電波利権
 『言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』佐藤卓己著 (中公新書) 
 秘密保護法が成立してからも、朝日新聞は「治安維持法によって朝日新聞もNHKラジオも国策の宣伝マシンになり果てた」と嘘をついている。朝日新聞に治安維持法が適用されたことはない。彼らは自発的に競って戦争をあおったからだ。
 本書は、内閣情報局の情報官として検閲に権力をふるって恐れられた陸軍の鈴木庫三少佐の日記から、当時の言論統制の具体的な状況を明らかにしたものだ。彼の担当は雑誌だったので、朝日新聞社が出てくる部分は出版に関するものだが、「戦争グラビア雑誌」になっていた『朝日グラフ』は、鈴木に執筆依頼を繰り返して彼を辟易させた。
 朝日の編集者は配給制だった用紙の獲得のため、軍関係者を毎晩のように接待した。宴会ぎらいの鈴木に対しては「紙の戦争」に勝つため、彼の著書を出版するという「名案」が出された。そして『世界再建と国防国家』という鈴木の著書を朝日新聞社が出版し、盛大な出版祝賀会を開いたのだ。
 こういう朝日のやり方をみて連想するのは、テレビ朝日をつくったときの経緯だ。JBpressにも書いたように、朝日は教育局だったNETを乗っ取って「テレビ朝日」と改称し、田中角栄に株式交換させて大阪の朝日放送を系列化した。その後は系列局を増やすために「波取り記者」を郵政省に常駐させ、電波利権を獲得する激しいロビー活動を続けた。
 このとき朝日には、田中に対して賄賂を贈る有力な方法があった。田中の(政界でも有名だった)金銭スキャンダルを書かないことだ。社会部長が、政治がらみの記事には目を光らせた。のちに立花隆氏が書くまで、新聞社はまったく田中の「金脈」を報じなかった。それは田中が首相就任直後に軽井沢の別荘に番記者を集めて、電波利権にからめて「つまらんネタを追いかけるのはやめろ」と恫喝したからだ。
 このように言論統制は「軍が治安維持法で新聞を弾圧した」のではなく、今の記者クラブのような癒着の中で、メディアの側から進んで協力する形で行なわれたのだ。だから危険なのは秘密保護法ではなく、彼らが紙面を私物化して法案反対の大キャンペーンを続けたことだ。
 そういうキャンペーンにだまされて「秘密保護法はナチスの全権委任法と同じだ」などという声明を発表する「学者」が3000人以上もいることも脅威だ。全メディアが大合唱すれば、国民をだますことは可能だ。朝日新聞は国家権力に反対しているような顔をして、裏では国家と手を組んでいる――それが言論統制の歴史から読者の学ぶべき教訓である。
 ◎上記事の著作権は[池田信夫blog]に帰属します 
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「60年安保」夢見た秘密保護反対 否定派の横綱は朝日と毎日 佐瀬昌盛 2013-12-12 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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『そして、メディアは日本を戦争に導いた』半藤 一利著/殆んどの新聞が自発的に軍国主義に走った 池田信夫 2013-10-25 | メディア/ジャーナリズム/インターネット
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