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“平和に寄与する”武器輸出認める新原則決定

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アングル:武器輸出の新原則で海外進出後押し、競争力欠く日本製
 REUTERS 2014年 04月 1日 12:58 JST
[東京 1日 ロイター] -政府が1日に決めた武器輸出の新原則には、国内メーカーの海外進出を後押しするという狙いがある。国際的な共同開発への参加を促し、装備品の輸出を増やして自衛隊の調達コストを引き下げようとしている。
  しかし、日本の防衛産業は世界的に競争力が低いとされ、政府の思惑通りに輸出が進まない可能性を指摘する声もある。
  <輸送機C2への期待>
  川崎重工業が手掛ける潜水艦用エンジンは、ディーゼルながら燃焼に空気を必要としない。頻繁に浮上せずに済むため、敵から身を隠す必要のある潜水艦には貴重な技術だ。これに目をつけたのが、潜水艦の新造を計画するオーストラリア。日本の政府筋によると、防衛省関係者が同国を昨年訪れた際、採用に意欲をみせたという。
  武器の輸出基準を見直す日本に対し、関心を寄せているのはオーストラリアだけではない。新明和工業の救難飛行艇をインドに輸出する案件は正式に話が進んでいる。「引き合いは非常に増えている」と、防衛省関係者は話す。
  これまで日本の防衛企業の納入先は、ほぼ防衛省に限られていた。メーカーの売上高に占める武器関連の割合は小さく、最大手の三菱重工業でも1割に満たない。そのためコストが割高で、自衛隊の調達費を圧迫する一因になっていた。
  新たなルールの下で、市場が世界に広がれば「輸出が増えて生産コストが下がる。企業にもいい話だし、防衛省にとっても調達コストの削減につながる」と、前出の同省関係者は言う。
  日本は向こう5年間の防衛費を24兆6700億円と計画しているものの、実際には調達改革などで23兆9700億円に圧縮する方針だ。輸出拡大によるコスト低減をその手段の1つと考えており、川崎重工が開発中の輸送機C2などは「候補になるだろう」と、同関係者は期待する。
  <共同開発で先端技術にアクセス>
  しかし、関心は高くても、実際に商談が実るかどうかはわからない。米国のボーイングやロッキード・マーチン、英BAEシステムズなど世界のライバルに比べて事業規模が小さいため、「価格やコスト面で競争力があるのか」と、大和証券の田井宏介アナリストは指摘する。
  さらに一部を除き、日本製の武器は技術的な評価もそれほど高くない。防衛省関係者が期待するC2は今年1月、試験中に貨物扉が脱落する不具合が発生。過去にもトラブルが発生し、当初計画から開発がすでに3年遅れている。
  防衛装備品の輸出政策に詳しい拓殖大学の佐藤丙午教授は「日本の防衛産業のように閉ざされた市場で生きていると、技術開発が明らかに遅れる」と話す。そのうえで新たな輸出原則について「日本企業にとってはどんどん輸出が増えるというよりは、国際的な共同開発や生産に参画して、最先端の技術にアクセスできるようになるメリットが大きい」と指摘する。
  最近の武器は高度化とともに開発コストがふくらみ、次期戦闘機F35のように数カ国で共同開発するのが、主流になりつつある。産業側も輸出より、共同開発への期待が大きく、経団連防衛生産委員会の続橋聡事務局長は「米国やそれ以外とも技術交流が進み、鎖国状態から脱することができる」と語る。
  オーストラリアが関心を寄せた川崎重工の潜水艦用エンジンは、その後本格的な協議には発展していない。同国のアボット首相がまもなく来日するが、安倍晋三首相との首脳会談でも議題に上らない見通しだ。関係者によると、オーストラリア海軍はスウェーデンの技術にも興味を示しているようだという。
  (久保信博 編集:田巻一彦)
 ◎上記事の著作権は[REUTERS]に帰属します 
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“平和に寄与する”武器輸出認める新原則決定 しかし中国の“日本=軍国化”批判を助長と海外報道
 NewSphere 更新日:2014年4月1日
 政府は1日、武器輸出を事実上禁止してきた「武器輸出三原則」に代わる、新たな「防衛装備移転三原則」を決定した。新原則では、救助、輸送、地雷除去などの“平和利用”であれば、巡視艇や地雷探知機などの装備輸出や、防衛機器の共同開発への参加などが可能だ。
 海外・日本両メディアとも、この動きを安倍政権の政策の目玉の一つとして注目している。
【平和利用目的の装備品やライセンス生産品の輸出が可能に】
  「武器輸出三原則」は、1967年、佐藤内閣が当時の「仮想敵国」であった共産圏への武器輸出を禁じ、76年の三木内閣で事実上全面的な輸出禁止に拡大した政策を基本とする。法律で明文化されたものではなく、その後も時々の情勢変化に応じ、計21件の例外を設けつつ、案件ごとに是非を論議しながら運用されてきた。
 今回は、38年ぶりの抜本的な見直しとなる。NHKの報道によると、礒崎陽輔首相補佐官は、「増築部分がかなり増えて家の形がだいぶおかしくなってきた。それを整理・合理化して建て替えさせてもらいたい」と、先日の公明党の会合で趣旨を説明したという。
 新原則では、これまで例外化措置で認めてきた案件が正式に「輸出可能なケース」となる。さらに、「国連や化学兵器禁止機関への装備品輸出」、「米国のライセンスを受けて生産した国産部品の対米輸出」、「相手国への貢献度が相当程度小さい部品・技術の輸出」などが新たに可能になる。また、目的外使用と第三国への移転については、輸出相手国へ日本の事前同意を義務付けるとしている。
 逆に輸出を禁じるのは、(1)日本が締結した条約等に基づく義務に違反する場合、(2)国連安全保障理事会の決議に基づく義務に違反する場合、(3)紛争当事国への移転となる場合、の3つに当てはまるケースだ。
【海外報道は「防衛産業の強化が主な狙い」】
  ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「自国の防衛産業により大きな役割を与えようという安倍首相の政策」と、政府発表を伝えた。ただし、新原則は、あくまで「平和と国際協力に積極的に寄与する」ために一部の武器輸出を認めるものであり、「単なるビジネス目的での輸出は行われない」とも併せて報じている。
 ロイターも、安倍政権の狙いは「同盟国との結びつきと国内の防衛産業の強化」だと報じる。まず、これまでの「武器輸出三原則」は、「三菱重工、川崎重工、IHIのような防衛企業を事実上海外市場から閉め出していた」と解説。新原則下でもそれが劇的に変わることはないものの、船のディーゼルエンジンなど国際的競争力の高い日本製部品については「ライバル国の製品と並び立つかも知れない」と予想する。
 また、この動きは、「日本は軍国主義に向かっている」という中国の日本批判を助長するともロイターは論じている。
【ODAの軍事目的使用も 朝日は「中国への対抗策」と報じる】
  朝日新聞は1日付で、安倍政権が途上国援助(ODA)でも、軍事目的使用を禁じた規定の見直しに入ったと報じた。
 1992年に定められたODA大綱は、ODAによる物資を支援国の軍に提供したり、ODAで建設した道路や空港を軍が使うことを原則的に禁じてきた。人材育成の分野でも、軍人はODAの対象としていない。2006年にはODAでインドネシアに巡視艇を提供したが、これには海賊対策という名目がつけられた。
 朝日は、「ODAの軍事利用が認められれば、南シナ海で中国との領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムでODAを使って港や空港を整備し、両国などの軍が使用できるようになる。中国を牽制する狙いもあるとみられる」と、根底に中国への対抗策があることを強調する。報道によれば、安倍政権は年内の閣議決定を目指しているという。
 ◎上記事の著作権は[NewSphere]に帰属します 
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[田母神俊雄 ‏@toshio_tamogami] 

 田母神俊雄 ‏@toshio_tamogami  · 3時間 
我が国も武器に関する考え方の発想の転換が必要です。我が国では、未だ武器は戦争をするためのものという考えです。しかし実は武器は戦争をしないためのものなのです。より高性能の武器を持つことは戦争に巻き込まれる事を防止します。軍は強いことがいいのです。プロレスラーに殴りかかる者はいない。

 田母神俊雄 ‏@toshio_tamogami  · 4時間 
戦闘機などを外国に輸出する時はソフトウェアなどで自国で使うものよりは2,3ランク能力が低いものを輸出します。万が一戦った時に負けないためです。世界最高性能のものを持とうとすれば国産でなければ出来ません。武器輸出をしなければ世界一の戦闘機は出来ません。技術世界一は大きな抑止力です。

 田母神俊雄 ‏@toshio_tamogami  · 4時間 
戦闘機などはシステムが複雑でこれを造った国が継続的な技術支援をしなければ動きません。我が国は米国製の戦闘機を使っているので米国の技術支援を必要としています。裏を返せば米国は我が国に対し、口に出しては言わないが、言うことを聞かなければ止めるぞと言う無言の圧力をかけ続けているのです。

 田母神俊雄 ‏@toshio_tamogami  · 4時間(2014/4/2 朝) 
政府が武器輸出三原則を見直した事をマスコミが否定的に報道しています。武器輸出をしないことがいいことだと思っているのです。武器輸出と平和国家とは何の関係もありません。武器輸出はいいことです。日本の武器を使っている国に対し外交交渉で有利な立場に立てます。国家の自立に武器輸出は必要です
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 『自立する国家へ!』田母神俊雄×天木直人 2013-04-29 |  
 (抜粋)
第二部
p101〜
■「専守防衛」は自主防衛とはいえない
 日本人に反省と謝罪を促した日本国憲法のもう1つの弱点は、「軍を持たない」と宣言したことにあった。これによって日本は、自衛隊という外国から見れば紛れもない軍ができた後も、その言い訳のように自衛隊は武器の使用を極度に制限された。原則的に、相手から攻撃されるまでは武器を使用できないことになったのである。p102〜
 しかも、そうした歪んだ自衛隊の形を、戦後の左翼教育によって日本の一定数の世論が良しとしていたこと、それから、長く続いた自民党政権時代でも、常に野党第1党の座にあった社会党などが自衛隊を違憲と断定していたこともあって、自衛隊をまともな形に正すことはできなかったのである。
 その間の1970年代には、当時の中曽根防衛庁長官が防衛白書の中で「専守防衛」といったあたりからこの言葉が一人歩きを始める。そして、日本が攻撃のための武器を持つことさえいけないことであるかのような風潮さえ生まれた。
 そして、アメリカはそうした風潮に乗って「攻撃はアメリカに任せておけ」とばかりに日本にもっぱら防御システムを莫大な金で買わせるようになり、攻撃面はすっかりアメリカ依存になってしまったのである。
 評論家などの中にも、「それでいいではないか」という人がいるが、それは軍事力とは何かを知らないもの言いである。
 軍事力というものは、攻撃と防御がバランスよくセットになってはじめて軍事力なのである。外国から見たら防御一辺倒の軍事力など怖さはない。いくら最新鋭の防御システム(ペトリオット・ミサイルなど)を備えていようとも、「あの国は守りは強いが攻めは弱い」と認識したら、その国に怖さを感じるだろうか。
p102〜
 軍事的な怖さがないということは、抑止力が働かないということに等しい。つまりは危険性が増すわけだ。そういう意味で、「実際に戦ったら恐い」とどれほど相手に思わせることができるかが、その国の軍事力であり、安全保障力であるといえるのである。
p104〜
■自主防衛への道に日米共同開発が立ちはだかった
 戦前の日本は世界が驚くようなゼロファイター=零戦や多くの戦艦をつくった国であったから、戦後になっても武器・兵器を自前で製造する技術は保持していた。しかし戦後はGHQの統制下に置かれ、軍事力を保有することはできず、当然、武器を自前で開発、製造することは禁じられた。
p105〜
  しかし朝鮮戦争の勃発によりアメリカは日本の再軍備の必要性に迫られ、我が国は警察予備隊の発足により再軍備を始めることになった。そのとき武器の多くをアメリカから買わされることになった。
  しかし当時は我国の政治家も官僚も一人前の独立国になることを目指していたから、日本は武器を自前で開発、製造しなければならないと考えていたのである。(略)
 しかし、1980年代半ばの中曽根総理の時代になって、国産化への道が突如として塞がれる。私が航空幕僚監部の防衛課にいた時代である。
 その頃、F1で培った日本の技術はかなりのレベルに達しており、F1の後継機としてF2の開発も国産体制でやろうとしていた。エンジンだけアメリカから買ってきて機体は日本でつくるという、F1同様の体制である。(p106〜)こうした日本の体制に対し、アメリカは横槍を入れてきたのだ。
  「F2は日米共同開発でやろうじゃないか」
  アメリカは日本政府に申し入れ、これを受け入れ、鶴の一声を発したのがロン・ヤス関係といわれ、アメリカべったりだった当時の中曽根総理であった。続く竹下総理がこれを引き継ぎ、1988年、日米共同開発が決まったのである。
  アメリカの意図は、日本に自前の武器・兵器をつくらせないことが一点、そしてもう一点は、日本の軍事技術をいただくことであった。
  当時の日本の技術力はかなり高いレベルにあった。
p107〜
■アメリカの戦略は「日本を自立させない」こと
 湾岸戦争(1991年)のときに話題となったのが、レーダーに掛からない性能を持つという「ステルス戦闘機」であったのを覚えている人は多いだろう。
p108〜
  実はあれにも日本の技術が使われていた。宇部興産がつくったチラノ繊維という合成繊維で、レーダーに映らないというステルス性能はこれがないと確保できない。日本はこんな優秀な技術も持っていたのだが、日米共同開発によって日本の優れた技術はアメリカに根こそぎもっていかれる、という事態が続くことになったのである。
p109〜
■ソフト支配が対米依存度を高める
 その後、次第に世界はデジタル化し、武器・兵器に最先端のコンピューターシステムが導入されると、この日米共同開発は日本にとって余計に厄介な仕組みになっていく。つまり、戦闘機でもミサイルシステムでもすべてがソフトウェアによって動くわけだから、どのような工作でもできてしまうわけだ。
 たとえば、莫大な金額を払って買ったミサイルであっても、それが5年後にきちんと作動するかどうか実はわからない。
 アフガン戦争のとき、トマホークを装備していたイギリスの潜水艦が、撃とうとしたら撃てなかったという話がある。トマホークはGPSを使ったシステムでターゲットまで正確に誘導する巡航ミサイルだが、コンピューターが発射指令を出してもトマホークが反応しなかったという。システムソフトのバージョンが変わってしまっていたのだ。イギリスの陸軍少将に直に聞いた話だから間違いない。
 それが意図的であったかどうかはともかく、ソフトが支配する世界では、そういうことは簡単に仕組むことができる。(p110〜)アメリカから買った武器・兵器は、アメリカの継続的支援がなければ使い続けることはできないのである。
 つまり、アメリカの兵器を日本にどんどん買わせれば、アメリカの日本への支配力はどんどん強くなる。日本から見れば、対米依存がどんどん高まるわけである。
 アメリカがイージス艦やミサイル防衛システムを売り込み、日本政府が莫大な予算をつけてそれを購入するというのがこのところの流れだが、これは武器が増えたことで、かえって対米依存を高めてしまうという、バカなことをくり返しているのである。そして、こうしたことを推し進めるためにアメリカと日本政府がやっていること、それが北朝鮮の脅威をことさら強調することなのだ。
 「北朝鮮がまたミサイルを撃ちそうだから、日本は最新の防衛システムで防衛力を強化しておいたほうがいい」
 こんな親切心を振りかざしながらアメリカは売り込んでくる。(略)
p111〜
  ただし、だからといって、私は特別にアメリカが汚いとは思わない。自国の国益のために友好国と交渉するのも国際常識であり、どの国でもやっていることだからだ。本当は、日本の政治家や官僚がそうしたアメリカの意図を認識しながら、日本の国益のためにうまく立ち回るべきで、それができていないことのほうが問題なのである。
  ところが歴代政府の多くは、アメリカに追随することが政権の延命につながるということを優先し、ほとんどまともな交渉をしてこなかった。アメリカと対等になることを目指したり、アメリカに頼らない道を探ろうとした政治家はいたが、彼らは皆、志半ばで挫折した。アメリカによる情報戦(場合によっては日本のマスコミも加担した情報戦)によって追い落とされたと思われるケースがほとんどで、日本の親米派が陰で足を引っ張ったと思われるようなケースもあった。
  ともかく、対米自立への道を考える時、アメリカは基本的にそれを阻止しようという戦略をもって、先手先手で動いてくるのが戦後の歴史。その象徴といえるのが日米安全保障条約であり、非核三原則なのである。
p116〜
■核武装論者が受け入れた「非核三原則」
  最近では私のように公然と日本の核武装を提言する人も増え、「きちんと議論しよう」という人も増えたが、ひと昔前までは、核武装論をタブー化するような風潮があったものである。
  それは日本が被爆国であったからではなく、「非核三原則」なるものが存在していたことが大きい。
  「広島・長崎が被爆し、多くの犠牲者を出したから、戦後の日本人は核アレルギーが強くなった」という人がいるが、それは違う。戦後になって東西冷戦が始まり、米ソの核戦争が過熱し、中国も核実験に成功する流れの中で、1960年代前半頃までの日本国民には核武装を支持する声はかなりあった。
  そんな中、1964年に総理となった佐藤栄作氏は元々、核武装論者であったが、総理になる直前に中国の核実験成功を聞いてその思いをなお強くし、アメリカに「日本も核武装をさせてほしい」と打診したといわれる。
p117〜
  しかし、アメリカはこれに強く抵抗した。結局、佐藤総理は、日本が核武装をしない代わりに「日本がアメリカの核抑止力を必要とする時、アメリカはそれを提供する」ことを約束したことで核武装論を引っ込めた。
  1967年の国会答弁の中で初めて「非核三原則」を口にした佐藤総理は、72年には「核の脅威に対してはアメリカの核抑止力に依存する」として、沖縄を含めた非核三原則を閣議決定してしまったのである。
  核武装論がタブー視されるようになったのはそれ以降のことだ。佐藤総理が非核三原則を口にした当時の日本の世論に、これを良しとする声はさほどなかったが、それ以降の日本では次第に、核武装論を口にする者は危険人物の扱いをされるようになっていった。
  つまり、核武装論者であった佐藤総理自身が、日本の核武装論を封じてしまったようなものだ。
p118〜
  日本では、「専守防衛で核武装もしない平和憲法がある平和主義の日本だから世界で価値を認められている」といった根拠のない論調がいまだにあるが、それはまるで違う。むしろ逆で、核武装国になれば嫌でも存在感が増すのである。
  核兵器を持っている核武装国こそが、戦後の国際世界を牛耳ってきた。「核武装国になれば国際社会での発言力と安全度が増す」ことは、国際社会では常識中の常識である。だからこそ世界の多くの国が、あわよくば核武装国になれないものかと狙っているのだ。
  国連の常任理事国であるアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国。核武装国でない国は1つもない。他にインド、パキスタン、そしてイスラエル、北朝鮮も核武装国だが、彼らがなぜ核武装国を目指したのかは、逆を考えてみればわかる。つまり、彼らが核武装国でなかったらどうなっていたかと。
p119〜
  どの国も核武装をすることで抑止力を手に入れ、国を潰されないようにしたまでのこと。いま核武装に突き進んでいるイランにしても事情は同じだ。決して気が狂ったわけでも何でもなく、自国の安全のためにもっとも合理的で効果的な方法をとっただけのことである。
  日本では、「核を持たないから平和でいられる」という論調がいまだに幅を利かせているが、世界の常識は180度違う。「核武装すれば国はより安全になる」というのが国際常識なのである。
  なぜなら、核兵器は決して使われることのない兵器で、同じ兵器でも通常兵器とは存在意義が違うものだからだ。(略)
 なぜなら、核戦争には勝者はいないからである。一発の核ミサイルは耐えることのできない被害を及ぼす。
p120〜
  お互いに甚大な被害を覚悟しなければならないから、核武装国同士はお互いに手出しができなくなる。つまり核による抑止力は、パワーバランス(数の均衡)をさほど必要としないのである。核兵器出現以降、核武装国同士の戦争は一度も起きていない。
  核兵器は2度と使われることはない。しかし核兵器を持つか持たないかでは大違い。国際政治を動かしているのは核武装国なのである。このことをよくわかっているからこそ、非核武装国は何とか核武装国になれないものかと考え、逆に、既に核武装国になっている国々は、自分たちの価値を下げないために、これ以上、核武装国を増やしたくないと考えるのである。
p140〜
  核兵器を所有する大国は、話し合いの末の多数決を拒否するカードを持ち、自国が不利と見るや、すぐさまこのカードを切る。オバマ大統領も本気で核兵器を廃絶させるのなら、アメリカが音頭を取って「せーの」で核廃絶を決議すればいいのだが、そんなことを本気で考えてもいないし、重要な話し合いになればなるほど、どこかの国が国が拒否権カードを切るのがわかっているから、議題にも上らないのが現実だ。
p141〜
  ただ、第2次大戦、そして冷戦以後の国際社会がそれまでと変わったのは、腕力の強い者が腕力にものを言わせる、すなわち戦争を仕掛けるのではなく(そういうことも時には起こるが)、大声でものを言い、発言力で相手をねじ伏せるようになったことだろう。それは国連が機能した結果というより、核抑止の効果といえる面が大きい。
 もっとも、ただ大声を出しただけでは、誰も聞いてはくれない。世界の国々の耳を傾かせ、従わせるのに必要なものこそが腕力、すなわち軍事力で、そのために大国は核武装をしているのである。
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