特養待ち増加 あらゆる受け皿つくれ
中日新聞【社説】2014年4月7日
特別養護老人ホーム(特養)への入居を待つ高齢者が五十二万人を超えた。四年前の前回調査から約十万人増えた。進む高齢化に整備が追いつかない。幅広く受け皿を増やすべきだ。
特養は常時介護が必要で在宅での生活が難しい人向けの施設だ。二十四時間介護を受けられる上、費用も高額ではないため入居を希望する人は多い。
全国に七千八百施設ある。定員も前回調査の二〇〇九年から七万五千人増えたが、待機者は増え続けている。うち入所の必要性が高い要介護4と5の人で、在宅で入居を待っている人は八万六千人いる。
待機者は東京都で四万三千人、岐阜県が一万七千人、静岡県が一万四千人、愛知県が一万一千人、石川県は三千八百人いる。
特養は整備費を補助する行政の財政を圧迫している。都市部では土地の確保も難しく、整備が進まない理由にもなっている。
政府の規制改革会議は、施設増に向け主に社会福祉法人しか特養を運営できない規制を緩め株式会社の参入を議論している。厚生労働省は介護の最後のよりどころである特養の運営は公益性の高い社会福祉法人が適当と考えている。
だが、在宅や通所サービスには株式会社やNPOが参入している。参入拡大を探る価値はある。
遠隔地の施設に入る「移住介護」も本人の意向を尊重しながら検討する必要がある。認知症グループホームや介護老人保健施設など特養以外の施設の整備も要る。
本人が望む介護が受けられなかったり、家族が介護に疲弊する現状こそ問題である。施設をどう増やすかに知恵を絞ってほしい。
高齢化に施設整備だけでは限界がある。厚労省は在宅での介護・医療サービスを充実させる考えだ。自宅を「ついのすみか」にしたいとのニーズは高い。最大の受け皿は在宅介護である。この分野に人材を集め、住宅拡充などと合わせサービスの充実を図るべきだ。
特養にも在宅の高齢者を一時的に短期間受け入れるショートステイがある。すぐに利用できたり長期間滞在できたりすれば在宅で生活を支えられる。在宅生活での安心感が広がれば特養のニーズも減るだろう。
社会保障の財源は四月から引き上げられた消費税だけではない。政府は予算を組み替えてでも財源を確保すべき喫緊の課題である。
さまざまな方策を駆使して介護・医療の体制を整えるべきだ。
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◇ 特別養護老人ホームへの入所希望者 52万人余 / 施設に入れず自宅で暮らしている高齢者 約8万6千人 2014-03-25 | 死と隣合わせ/life/高齢者
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特別養護老人ホームへの入居待ち増加 特養への入居を待つ高齢者が五十二万人を超えた
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