閣議決定、首相「今後50年、日本は安全だ」 改憲射程「やっと、ここまで来た」
産経ニュース 2014.7.2 10:23
首相官邸前の交差点で1日、集団的自衛権の行使容認に反対する団体が安倍晋三首相の退陣を求めシュプレヒコールを上げ続けた。
「安倍は辞めろ、安倍は辞めろ…」
昭和35年、祖父の岸信介首相(当時)が日米安全保障条約を改定した際も、規模こそ異なるが、デモ隊が反対の気勢を上げていた。
安倍首相は反対抗議の最中に記者会見し、行使の意義を強調した。
「安保改定当時は戦争に巻き込まれるという批判がずいぶんあった。しかし、強化された日米同盟は、抑止力として、長年にわたり日本とこの地域の平和に大きく貢献してきた」
米政府高官から「日本を守るために警戒する米艦が襲われても自衛艦が守らずに、日本への信頼感と日本を守る意思が続くか、真剣に考えてもらいたい」と伝えられたことも紹介した。周辺には「いま集団的自衛権をやっておけば日本は今後50年安全だ」と語った。
中国が軍事力を増強する中、日米関係を強固で、少しでも対等な関係にしておきたいとの思いもある。自衛隊と米軍の役割を定める「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」再改定を年末に控え、国内法の整備を急ぎたい。
昨年中の決着を目指し、昨年8月、行使容認に抵抗する内閣法制局に、行使容認論者の小松一郎駐仏大使(当時)を長官として送り込んだ。だが、公明党に配慮し、決着は半年先送り。小松氏は結末を見届けることなく、この世を去った。
「安全保障法制整備に関する与党協議会」が開始したのは5月20日。公明党は具体的事例から議論することを求めるなど「遅延戦術」で抵抗した。首相は「いつまで協議をやっても仕方がない」といらだつこともあった。
1日、閣議決定の前に官邸に招いた公明党の山口那津男代表に万感の思いを伝えた。
「自民党と公明党は、長年の風雪に耐え、意見の異なる課題でも国家、国民のため大きな結果を残してきた。与党とともに法整備をしていきたい」
記者会見を終えて執務室に戻ると「やっと、ここまで来た」とつぶやいた。
集団的自衛権の行使容認に向け、安倍晋三首相を支え続けたのは、「安全保障法制整備に関する与党協議会」で座長を務めた自民党の高村正彦副総裁だ。
「与党協議会は解散しない。暫時休憩だ」
高村氏は1日の与党協議でこう宣言し、残された集団安全保障措置などの課題について協議を継続する道筋を残した。
弁護士である高村氏は、昭和34年の砂川事件の最高裁判決や47年の自衛権に関する政府見解を引き出して、公明党との交渉に臨んだ。パートナーとなった公明党の北側一雄副代表も弁護士。高村氏は法律論で自民党と公明党との隙間を埋めていった。また、首相の集団的自衛権への強い意志は連立維持にこだわる公明党を軟化させ、当初は堂々と「反対」と表明していた山口那津男代表も最後は折れた。
もっとも、集団的自衛権の行使容認は限定的な範囲にとどまった。高村氏は与党協議を「暫時休憩」と宣言し、記者団には「憲法9条2項がある限り、これ以上のことをやるには憲法改正が必要だ」と述べた。
現行憲法では限界があることは、首相も十分承知している。多国籍軍などの集団安全保障措置での武力行使の参加も今回は早々に自ら封印した。
本来目指すべきは憲法改正だ。しかし、戦力不保持と国の交戦権否認を明記した憲法9条の改正を公明党が絶対に受け入れるはずがなく、他の改憲政党を足しても、参院では国会発議に必要な3分の2以上の勢力に及ばない。憲法解釈変更は次善策でしかない。
首相は当面、閣議決定を受けて関連法の整備を急ぐ。その上で、祖父の岸信介元首相も届かなかった自民党の党是、憲法改正を射程に入れる。
閣議決定に至る過程で「蚊帳の外」だった野党は1日、民主党などが街頭に飛び出し、反対を訴えた。だが、野党内でも集団的自衛権の行使容認への賛否はバラバラ。民主党の海江田万里代表が主導した街頭演説に応じたのも4党だけだった。各党は14、15両日に予定される閉会中審査で閣議決定に関する質疑を行うが、巨大与党を前に早くも足並みの乱れを露呈した。
「国民の命を危うくする安倍首相の暴挙だ!」
海江田氏は1日夕、東京・有楽町の街頭演説でこう声を張り、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定への反対を訴えた。
民主党は当初、全野党そろい踏みを画策した。だが、行使を容認するみんなの党は拒否した。行使容認反対の共産党さえ「民主党の立場が明白でない」と参加せず、野党結集をもくろんだ民主党の求心力の欠如が浮き彫りとなった。
日本維新の会の分党後に橋下徹大阪市長らと新党をつくる松野頼久国会議員団代表は「政府の説明不足は明らかだ」と批判。海江田氏らとの街頭演説にも参加し、「閣議決定は乱暴だ」と訴えた。「橋下新党」と合流する結いの党の江田憲司代表も「与党だけの密室の協議で決めるのは言語道断だ」と同調した。
ただ、松野氏は行使容認の見解維持を強調、江田氏は「行使不要論」を展開し、両者のズレは合流を前になお解消されていない。
維新分党後に新党「次世代の党」を結成する平沼赳夫暫定代表は「政府と同じ考えなので法整備でも国会で協力する」と明言した。
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