【書評】『韓国の大量虐殺事件を告発する ベトナム戦争「参戦韓国軍」の真実』
SankeiBiz 2014.7.5 12:00
*狂気の犯罪、処罰なおざり
1975年まで戦われたベトナム戦争に、韓国はアメリカの要請を受けて多くの兵士を送り込んだ。参戦した韓国軍は猛虎師団、白馬師団などの名が与えられ、勇猛をうたわれた。しかし、同時に多くの非戦闘員を虐殺したのも韓国軍であった。
本書はベトナム戦争における「参戦韓国軍」の大量虐殺を告発したものである。
著者は兄弟で俊明氏はシンクタンクの代表、正敏氏は大学の名誉教授である。決して若くない2人は昨年秋と今年2月の2回に分けてベトナム各地の慰霊碑を精力的に取材、生き残った人々に直接話を聞く方法で、事件の実態を調べ上げていく。
1966年2月26日に行われたビンディン省テイソン県ティビン社(村)の事件では1時間に380人が虐殺されたという。彼らのやり方は、食べ物を与えるといって住民を集め、機関銃などで一斉射撃をするというものだ。ビンアンの慰霊碑には虐殺のようすが壁画として残されており、そこには老人、子供、若い女性が韓国兵に銃を突きつけられ、炎の中で焼かれている姿が描かれている。
著者は慰霊碑のある全国18カ所を取材し、約5千人の虐殺被害者の実名を確認したが、ベトナム全土で1万人から3万人の被害者がいたと推計している。しかし、一部には被害者は30万人にのぼるという説もある。
1966年に500人の住民を虐殺したソンミ事件を起こしたアメリカは軍事法廷を開き、曲がりなりにも責任者を処罰したが、韓国では誰一人として処罰されていない。2001年には当時の金大中大統領がベトナムを訪れ、謝罪し、補償を約束したが、賠償はほとんど行われていない。
現在のベトナムにはライダイハンと呼ばれる韓国兵とベトナム人女性の間に生まれた人が約2千人いる。彼らの多くはベトナムで差別を受けているといわれるが、彼らへの補償も全くない。全斗煥、盧泰愚の両元大統領はかつて猛虎師団、白馬師団の指揮官だった。著者は彼らこそ、真っ先に裁かれるべきだと、怒りをこめて訴えている。(北岡俊明+北岡正敏著/展転社・本体1600円+税)
評・大野敏明(編集委員)
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『韓国の大量虐殺事件を告発する ベトナム戦争「参戦韓国軍」の真実』 北岡俊明+北岡正敏著 展転社
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