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舞鶴 高1女子〈小杉美穂さん〉殺害事件 [衝撃事件の核心 west 2012]「犯人」と言われた母親無念 逆転無罪 

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【衝撃事件の核心】「犯人」と言われた母親無念 “逆転無罪”舞鶴女子高生殺害事件の「理不尽」
 産経ニュース 2012.12.15 18:00[衝撃事件の核心 west 2012] 

     

 舞鶴で女子高生の遺体が発見された朝来川周辺を調べる捜査員ら=平成20年5月8日、京都府舞鶴市(本社ヘリから)
 「ありがとうございます」「悔しくて納得できない」。2つの涙が法廷で交錯した。京都府舞鶴市の高1女子殺害事件で殺人などの罪に問われ、1審京都地裁が無期懲役を宣告していた中勝美さん(64)に対し、大阪高裁は12日、逆転無罪を言い渡した。捜査段階から一貫して「でたらめだ」と無罪を主張していた中さんは両手で顔を覆って涙をこぼし、有罪を信じていた遺族は泣き崩れた。高裁判決は、1審が認めた検察側の間接証拠をことごとく否定し「捜査機関の誘導の可能性」とまで指摘した。有罪を信じて疑わなかった京都府警の幹部が「被告を社会に出すことがあってはならない」と“警告”する中、遺族感情からも検察側は上告を検討。だが、間接証拠だけで有罪を導く立証のハードルは高い。
*「母親が犯人」と発言したことも
 「無罪か!」
 その瞬間、法廷はどよめきに包まれ、報道陣は慌ただしく出口に殺到した。
 12日午前10時35分過ぎ、大阪高裁1001号法廷に、グレーのジャンパーとスエット姿の中さんが入廷した。証言台の前に立つと、川合(かわあい)昌幸裁判長がゆっくりと口を開く。
 「1審判決を破棄する」
 数秒の間があり、裁判長は「被告人は無罪」と続けた。
 法廷の喧噪をよそに、中さんは主文を聞くと裁判長に一礼。肩を震わせながら「ありがとうございました」と話した。
 中さんは平成20年5月7日未明に舞鶴市内の雑木林で、帰宅途中に出会った府立高校1年、小杉美穂さん=当時(15)=にわいせつな行為をし、顔などを多数回殴って殺害したとして、殺人などの罪に問われた。1審は検察側の主張をほぼ認容し無期懲役を宣告。無罪主張の弁護側、死刑求刑だった検察側の双方が控訴し、大阪高裁で審理が続いていた。
 「警察には真犯人が(別に)いると言った」
 「被害者の遺体は見たこともない」
 1審で有罪が言い渡されると大声で何度も「裁判長、私は無罪です」と叫んでいた中さん。控訴審でも再び、激しく検察側に反論していた。
 証拠関係についても、
 「はっきり分からないので嘘をついた。私の間違い」「警察がしつこくて、暴言も吐かれたから、適当に勝手なことを言った」
 と捜査機関に迎合したことを明かした。無罪を主張するあまり、控訴審第5回公判では突然、書面を手にしながら、検察官の隣に小杉さんの母親(42)が座っている中で、
 「母親が犯人」
 と発言して裁判長に「着席して! それ以上発言しないように」と諭されたことさえあった。
*捜査に疑問呈す高裁判決
 事件は当初から波乱の展開だった。
 京都府警は20年11月に別の窃盗容疑で中さんを逮捕し、起訴。直後に殺人容疑などで中さんの自宅の家宅捜索に踏み切ろうとしたが、弁護人が準抗告していったん延期となり、弁護人立ち会いのもと、6日間にわたって捜索が行われた。
 そして、最大の波乱は高裁の逆転無罪だ。
 めぼしい新証拠が提示されなかった控訴審。焦点は、原審が有罪の根拠とした検察側の間接証拠を高裁がどう判断するか。結論は、1審のそれと対極をなすものだった。
 まずは、「中さんとよく似た男が自転車を押し、若い女性と歩いていた」とする目撃証言だ。1審は別の証言や防犯ビデオから信用性を認めていた。しかし、高裁は「視認状況は必ずしも良かったとはいえない」と指摘。こう続けた。
 「取り調べで中さんの写真を単独で見て、記憶が変容した可能性も否定できない」
 目撃者が警察官から中さんの写真を見せてもらったことが影響し、「事件直後の証言は中さんと特徴が大きく異なっていた」のに「時間の経過に伴い、中さんと一致しないものが消え」、その結果「最終的には中さんの特徴とほぼ整合する内容にまで変遷した」というのだ。
 もう一つの間接証拠、中さんの供述にも高裁は疑問を差し挟んだ。
 供述は、小杉さんの下着や遺留品の化粧ポーチについてのもの。1審は「これらの特徴を知る機会は犯人のほかにほとんど考えられない」とした。
 しかし高裁は、下着やポーチは特段の特徴があるわけではなく「当てずっぽうで言い当てても、それほど不自然ではない」と指摘。警察官の取り調べメモによると「当初は特徴にそぐわない供述やあいまいな供述だった」が、「長時間の取り調べの中で、時間の経過とともに具体的になっていった」とし、こう述べた。
 「捜査官の側で、問答を繰り返す中、遺留品の特徴に合致する供述が出るまで供述を求め続け、それが影響を与えた可能性は否定できない」
 高裁は、検察側が立証の柱とした間接証拠2つについて、いずれも捜査内容に疑義を呈する形で信用性を否定。「中さんを犯人とするには合理的な疑いがある」と結論づけた。
*「このままでは終われない」
 法廷で涙を流す中さん。しかし、遺族には受け止めきれない現実だった。
 検察官の隣で傍聴していた小杉さんの母親は「無罪」との判決主文が告げられた瞬間、信じられないという様子で、かっと目を見開き、その後、泣き崩れた。あまりのショックに、一時は関係者に付き添われて退廷するほどだった。
 母親は控訴審で意見陳述を行い、「1審でも別に真犯人がいると言ったが、自分が罪を逃れるためとしか思えない。どこまで私や遺族を苦しめるのか。まったく反省せず、他人に罪を着せる被告が生きていることが許せない」と涙を流して怒りをあらわにしていた。
 約15分後に法廷に戻ったが、やりきれない思いはとどまらなかった。閉廷後、弁護士を通じて出されたコメントには、こう書かれていた。
 「とても受け入れられない内容で悔しくて納得できない。このままで終わることはできない。絶対に上告していただき、真実が明らかになることを祈り続けます」
 関係者に与えた衝撃も大きかった。
 判決を受け、舞鶴市の地元関係者らは「ニュースを聞いて驚いた。無罪が信じられず、なんともコメントしようがない」「1日も早く今回の事件の真相を明らかにしてほしい」などと話した。
 京都府警の幹部は「状況証拠しかないが有罪だと確信している。被告を社会に出すことがあってはならない」と語気を強める一方、ある検察幹部は「1審の認定を前提に、量刑がどうなるか注目していた。まさか事実認定から覆されるとは…」と言葉少なだった。
 大阪高検は上告の検討に入った。しかし、上告理由は、控訴審判決が判例に違反しているなどの要件が必要。中さんは判決後、「検察はこれ以上の無理をすることなく、無罪を確定させてほしいと願っています」とコメントした。遺族感情を考慮すると上告は必至の状況だが、検察側には判決内容を十分に精査して対応を取ることが求められる。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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舞鶴 高1女子〈小杉美穂さん〉殺害事件 中勝美被告 無罪確定へ 目撃証言の信用性否定 最高裁 2014-07-10 | 社会 
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