サムスン四半期決算9年ぶり減収
NHK NEWS WEB 7月31日 17時55分
韓国の大手電機メーカー「サムスン電子」は、ことし4月から6月までの四半期の決算を発表し、主力のスマートフォンの販売が伸び悩んだことなどから9年ぶりとなる減収になりました。
サムスン電子が31日発表したことし4月から6月までの四半期の決算によりますと、売上高は52兆3500億ウォン(日本円でおよそ5兆2500億円)で、去年の同じ時期と比べて8.9%減少しました。
また、営業利益は24.6%減少して7兆2000億ウォン(日本円でおよそ7200億円)となりました。
これで営業利益は3期連続の減少で、売上高が減少したのは、2005年以来9年ぶりです。
これについて、サムスンは、主力のスマートフォンやタブレット端末を巡り中国市場などで中国メーカーの低価格の機種に人気が集まり、販売が伸び悩んだのに加え、通貨ウォンの値上がりの影響を受けたとしています。
サムスンでは今後、スマートフォンの新しい機種を投入するなどして販売の拡大を目指すものの、世界の市場で価格競争が厳しさを増していて、利益率を上げられるかどうかは不透明だとしています。
サムスンとしては、成長の勢いにかげりが見え始めるなか、スマートフォンに依存する収益構造の改革が課題となっています。
また、経営トップであるイ・ゴニ会長がことし5月に心筋梗塞で倒れ、現在も入院していて、急成長を導いてきた強いリーダーの不在が不安要素の1つとなっています。
*シェア低下の背景
サムスン電子の主力製品であるスマートフォンの世界シェアは、最近になって急落しています。
アメリカの調査会社「IDC」によりますと、ことし4月から6月までの四半期の世界シェアは、サムスンのライバル、アップルが11.9%で、前の年の同じ時期より1.1ポイントの低下だったのに対し、サムスンは25.2%で、7.1ポイントの大幅な低下となりました。
一方、新興国を中心に低価格商品の販売が好調な中国メーカーは軒並みシェアを伸ばし、ファーウェイは2.6ポイント上昇して6.9%、レノボも0.7ポイント上昇して5.4%となりました。
サムスンのシェアが急激に低下した背景には、こうした中国メーカーの躍進があります。
ことし秋にはアップルが画面のサイズを大きくした新型スマートフォンを投入するという観測も浮上し、サムスンの主力製品であるスマートフォンを取り巻く環境がさらに厳しさを増すことも予想されます。
*危機感強めるサムスン
成長の勢いにかげりが見え始めたことに、サムスン電子は危機感を強めています。
先週末には、サムスンの工場や研究所が集まるソウル郊外のスウォン市の施設に各部署の幹部らが急きょ集まり、業績の変化にどう対処していくのか対策を検討するワークショップを開きました。
また、サムスンでは、毎週のように各事業部の役員らおよそ50人が集まり、経済や金融の専門家を招待して講義を受けていますが、ことしに入ってからは危機をいかに克服するかをテーマにした内容が増えているということです。
減収が明らかになった直後のことし2月、サムスンの役員らを前に講義を行ったトングク大学のヨ・ジュンサン教授によりますと、サムスン側からは「逆転の発想」をテーマに講義を行ってほしいと要請があったということです。
ヨ教授は、新しい技術や製品を生み出すためには20年先を見通してこれまでと全く異なる発想で取り組むべきだという内容の講義を行ったとしています。
出席した役員らはみな真剣な表情でメモを取りながら講義を聞いていたということで、ヨ教授は「みな、とても集中し、サムスンの危機感を表すような緊張した雰囲気だった」と話していました。
*日本企業への影響は限定的
サムスン電子のことし4月から6月までの四半期の決算が9年ぶりに減収減益となったことについて、サムスンに部品を供給するなど取り引き関係にある日本のメーカー各社は、中国メーカーとの取り引きを増やしていることもあって、影響は限定的とみています。
このうち、サムスンに通信装置などの部品を供給している村田製作所は、サムスンの減収減益で一定の影響はあるとしながらも、中国のスマートフォンのメーカーとの取り引きが伸びていることもあって、今のところ、業績への影響は限定的としています。
村田製作所の竹村善人取締役は「ここ数年、中国の携帯電話メーカーとタイアップしながら、一緒にビジネスを進めてきたことで、サムスンの落ち込みをカバーするだけでなく、業績を伸ばしてくれた」と述べています。
また、サムスンにスマートフォン向けの電子部品を供給しているTDKも、中国メーカーとの取り引きを増やすなど取引先を分散したことで、影響は限定的だとしています。
TDKの桃塚高和執行役員は「最近は特定の顧客に依存することがないようにしている。中国のスマートフォンのメーカーも業績が伸びているので、ほかでカバーできる対応をとっている」と述べています。
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サムスン タブレット直販開始へ
NHK NEWS WEB 7月31日 17時08分
韓国の「サムスン電子」は、携帯電話会社を通じて国内で販売していたタブレット端末を、新たに自社の専門店で販売すると発表しました。
サムスン電子が国内市場に投入する新型のタブレット端末は、画面の大きさが8・4インチと10・5インチの2種類で、液晶より薄くて軽い有機ELパネルを使用しているのが特徴です。
サムスンは、これまでタブレット端末を携帯電話会社を通じて通信契約とセットで販売していましたが、新型の端末は大手の家電量販店などに設置している専門店で来月1日から販売します。
この端末は、携帯電話会社の通信契約がなくても無線でインターネットを使えるWiFiが利用可能で、月々の通信料金を抑えたい利用者のニーズを狙っています。
サムスン電子ジャパンの石井圭介専務は「専門店で新製品を実際に手にとって理解してもらい、売り上げ拡大につなげたい」と話していました。
民間の調査会社「IDC」によりますと、サムスンの日本市場のシェアは6%余りと苦戦が続いていて、会社では専門店を増やしたり、商品ラインナップを増やしたりすることで、巻き返しを図りたい考えです。
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「サムスン電子」四半期決算9年ぶり減収
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