【今週の焦点】首相、国連総会出席 常任理事国入りへ支持狙う
産経ニュース 2014.9.22 08:05
安倍晋三首相は22日、国連総会出席のため米ニューヨークへ出発する。今回の外遊は、国連安全保障理事会改革と日本の安保理常任理事国入りへの機運を盛り上げることが最大の狙いだ。25日の一般討論演説で来年の国連創設70年に向けて安保理改革の必要性を訴え、多国間会合や個別の首脳会談を通じて改革への支持を呼びかける。首相がここまで展開してきた「地球儀を俯瞰する外交」の成果が問われる舞台になるといえる。
首相は21日、NHK国際放送の番組収録で、国連総会の一般討論演説について「日本がこれから進めようとしている『積極的平和主義』を世界に発信していきたい」と述べた。また、国連創設70年に関連し、「加盟国がものすごく増え、世界のありようも大きく変わった。21世紀にふさわしい国連の形に変えていくべきだ」と語った。
日本は、同じく常任理事国入りを目指すドイツ、インド、ブラジルとの4カ国グループ「G4」の枠組みで連携して改革を促し、来年秋の国連総会で「具体的な進展」を得ることを目標としている。
G4は2005年、米英仏露中5カ国が占める常任理事国を11カ国、10カ国の非常任理事国を14カ国にそれぞれ広げる改革案を総会に提出したが、反対運動にもさらされ、頓挫した苦い経験がある。
安保理の改編には加盟国の3分の2以上の賛成が必要で、「大票田」となるアフリカや中南米、太平洋島嶼(とうしょ)国の動向がカギを握る。首相は24日にアフリカ各国首脳、25日には太平洋島嶼国首脳と会談する。岸田文雄外相は25日にG4外相会合に出席し、改革の支持拡大に向けた戦略を協議する。
「女性の活躍」も、もう一つの柱をなす。
首相は、9月に都内で開かれた「女性国際シンポジウム(女性版ダボス会議)」で、世界各地から来た女性指導者らを前に女性の活用をアピールした。24日には次期米大統領選の民主党最有力候補とされるヒラリー・クリントン前国務長官と対談、女性活用をめぐり意見交換する見通しだ。
国連総会では、イラクやシリアで勢力を拡大させるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」やウクライナ情勢、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱といった課題が主要議題になる。首相は一般討論演説で積極的な支援に言及し、岸田氏は25日の先進7カ国(G7)外相会合で各国と協議する。
岸田氏には別の「使命」もある。11月に北京で開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせた日中、日韓の首脳会談実現に向けた地ならしだ。中国の王毅外相や韓国の尹(ユン)炳世(ビョンセ)外相との会談を探っている。
岸田氏は21日、ニューヨーク出発に先立って成田空港で記者団に対し、日中、日韓の外相会談について「最終的な確定はぎりぎりになる。この機会を捉え、精力的な活動をしたい」と語った。岸田氏はまた、ケリー米国務長官やロシアのラブロフ外相らとの会談も調整している。(峯匡孝)
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