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“イスラム国” 知られざる統治の実態

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 国際報道2014 NHK [BS1]月曜~金曜 午後10時00分~10時50分
 2014年10月29日(水)  “イスラム国” 知られざる統治の実態
 シリアとイラクで勢力を広げる過激派組織“イスラム国”。NHKは、その首都とされるシリア北部の町、 ラッカの映像と関係者の証言を独自に得た。市民に厳しい戒律を強制し、従わなければ残虐な刑罰を科す恐怖による支配の実態が明らかになる一方で、“イスラム国”がさまざまな省庁や閣僚を設置し、国家としての統治機構を整えようとしている実態も浮かび上がってきた。現在、力を入れているのは、水道や電気などのインフラ整備。戦闘員だけでなく、こうした技術者にも多くの外国人が参加し、“イスラム国”の“国づくり”を進めていると見られている。新たな映像と証 言で、“イスラム国”の統治の実態に迫る。 出演:小林雄(カイロ支局記者)
佐野
 「シリアとイラクで勢力を広げる過激派組織『イスラム国』。 NHKは、その首都とされるラッカの映像を独自に入手しました。」
有馬
 「知られざる『イスラム国』の支配の実態が明らかになってきました。」
*「イスラム国」 知られざる支配の実態
 「イスラム国」との激しい戦闘が続くシリア北部のクルド人地区。クルド人武装勢力が奪った「イスラム国」戦闘員の持ち物からは、多数の薬物や注射器が見つかったと言います。
 常軌を逸した戦闘を続ける「イスラム国」。その本拠地ではどのような統治が行われているのか。
 今回、私たちは「イスラム国」が首都に定めるシリア北部の都市ラッカの映像を入手しました。
 中心部の広場でまず目につくのは、「イスラム国」の黒い旗です。大通りでは、通行する車の検問にあたる戦闘員の姿が確認できます。洋服や雑貨などを売る商店は、営業を続けていました。
 通りには全身を真っ黒な布で覆った女性の姿が目立ちます。シャリーアと呼ばれるイスラム法を、厳しく強制していることが伺えます。
*市街地を走る黒塗りの車。
 車体には「宗教警察」の文字が。市民生活に目を光らせる独自の治安組織が存在しているのです。反抗する者には、容赦なく弾圧を加えます。残虐さを見せれば見せるほど、戦闘員としての評価が上がると言われていて、路上での処刑や遺体をさらす行為が横行しています。
 『イスラム国』から逃げた男性
 「タバコを吸うとムチで打たれ、逆らえば殺される。毎朝、誰かの首が広場に掲げられている。処刑された人の持ち物はイスラム国の物。子どもが残っていても追い払われる。」
 残虐な刑罰と厳しい監視による統治の一方で、「国」としての機能を整えようとする動きも見せています。
 取材を進める中で接触した男性です。
 「イスラム国」の通信部門に所属していたと言います。男性は、「イスラム国」が国家としての統治機構を作り始めていると証言しました。
 「防衛省や保健省、電気省などを設け閣僚を置き、統治機構を整えている。戦闘員もいれば事務職員もいて、まさに国家だ。」中枢部には多くの外国人が抜てきされています。高い技術や知識を要求される地位に就くと言います。
 元『イスラム国』メンバー
「外国人の方が信用されている。わざわざカリフ(最高指導者)に忠誠を誓いに来たからだ。私の住んでいた地域の知事も外国人で、月100万円の給料を得ていた。まだ22歳の若者なのに。」
 ラッカからトルコに出稼ぎに来た農家の男性です。
 「イスラム国」は水や電気・通信などのインフラの整備を重点的に進めていると言います。「市役所の建物をイスラム事業機構と名づけ、上下水道や電力、通信を管理している。アサド時代と同じように、光熱費を払っているが、料金は前より格段に安い。(今は)水は十分にある。電力・通信も整っている。」
 アサド政権時代より暮らしやすくなったという男性。
 イスラム国の支配をむしろ歓迎するようになった住民も少なくないと言います。
 ラッカに住んでいる男性
 「アサド政権では、何も与えられていなかった。権利が保障されていなかった。『イスラム国』はイスラム法に反しなければ、権利を保障してくれる。『イスラム国』は今までの政権の中で一番良い。」
 ラッカの広場で頻繁に開かれている、「イスラム国」の思想を宣伝する集会。 「イスラム国よ、永遠なれ!」
 多くの市民が戦闘員の呼びかけに歓声や拍手で応えています。「イスラム国」は今、シリアとイラクの地に深く根を下ろし始めています。
*『イスラム国』 進められる“国”づくり
有馬
 「スタジオには、トルコ国境で『イスラム国』の取材にあたっていた小林記者です。まず、このVTR、どのぐらい実態に迫ってるというふうに考えてるんですか?」
小林記者
 「これまで『イスラム国』の映像というと、処刑をしたりとかショッキングな映像が多かったと思うんですけれども、市民のこうした日常生活、『イスラム国』の統治の地域での日常生活が見られる映像というのは珍しいと思います。これはかなり現在の『イスラム国』の統治の実態を示している映像なんだと私は考えています。」
有馬
 「取材していて、やっぱり脅威っていうのは肌身に感じるものはありますよね?」
小林記者
 「そうですね。これまで『イスラム国』の統治の実態というのは、我々も何度もさまざまな取材を通してお伝えしようとしてきたんですけれども、今回、この『イスラム国』の元メンバーの証言を通して、『イスラム国』が各地に省庁を設けたり、インフラの整備を進めたりと、本格的な国づくりを行っているということが分かり、正直私たちもここまで進んでいるのかと驚く部分もありました。また、市民の中には、不正や腐敗がまん延していたアサド政権の時代よりも、残酷で厳しくはあるものの、秩序は維持してくれるという点で『イスラム国』の方がましだという市民も多くいました。 長引く内戦や混乱に疲弊した市民の間で『イスラム国』の統治を受け入れる心情が表れていると実感しました。」
有馬
 「国づくりが進んでるっていうこともさることながら、支持されてるっていう点が大きいことですよね。」
小林記者
 「そういう声をかなり現場で取材してると多く聞きました。」
*『イスラム国』 取材の難しさ
有馬
 「ただ、先週、FBIが“ジャーナリストは気をつけろ”と、『イスラム国』の取材には気をつけろってことなんですが、相当、国境地帯でも神経を使うんじゃないですか?」
小林記者
 「『イスラム国』はこれまでにも外国人、特にジャーナリストを誘拐し、身代金を要求したり、見せしめに殺害するといった事件が相次いでいました。なので『イスラム国』の関係者と接触する際には、細心の注意が必要でした。今回、『イスラム国』の元メンバーに接触するにあたっては、まず信頼できる仲介者を見つけるということが重要でした。この仲介者を通して、会う前にこの元メンバーがどのような人物なのか、また、どのようにしてなぜ『イスラム国』から抜け出したのかという情報を集め、話に矛盾点がないかなどを事前によく検討した上で、会うかどうか決めるという手法をとりました。また、会うと決めた場合でも、念には念を入れるかたちで、インタビューを行う際にはこちらから相手側の場所に出向くのではなくて、こちらで安全が確保できる場所を指定し、そして相手方に出向いてもらうという配慮をしました。」
*『イスラム国』 有効な対策は
佐野
 「『イスラム国』の支配は広がっていますけれども、これをストップする手立てっていうのはあるんでしょうか?」
小林記者
 「時間がたてばたつほど『イスラム国』、支配を深めていくと思います。なので根絶やせん滅というのは、どんどん困難になっていくと思います。軍事的な手段だけでなく、さまざまな対策が求められているところなんですが、私が今回の取材の中で、特に重要だと感じたのが資金源の遮断ということです。と言いますのも『イスラム国』、戦闘員だけでなく、統治機関の構築やインフラの整備にあたっても有能な人材を豊富な資金力を使って集めているという実態が、この取材を通して分かってきました。」
有馬
 「外国人に月100万円の給料ということですよね。」
佐野
 「相当な額ですよね。」
小林記者
 「そういう額を支払って引き付けている。思想だけでなく、そういうお金の面でも引き付けているという実態があると思います。なので、これを断つことができれば、『イスラム国』全体を弱体化させることができるのではないかと思います。こうした資金を断つ取り組みというのは各国でかなり本格化に始まっていて、例えばトルコでは、主要な資金源となっていると言われるガソリンの密輸を根絶するために、国境地帯に張り巡らされているパイプラインがあるんですけれども、それを取り除く取り組みが進められていたりとか、湾岸諸国では『イスラム国』の思想に共鳴する大富豪が寄付金のようなかたちで資金を送っていると言われているんですが、これに対する取り締まりもかなり厳しくなっていて、専門家の間では、湾岸諸国からの資金の提供というのは、一時期に比べるとかなり減っているというふうに言われています。」
有馬
 「それなりに、その資金源を断つという対策については進んでいると考えていいんですか?」
小林記者
 「緒についたばかりですけれども、これからこういう取り組みを地道に長く続けていくことが必要になると思います。」
有馬
 「日本として、国際社会としてできることはこのほかにありますか?」
小林記者
 「資金源を断つ、外国人戦闘員を入れない取り組みをする、こうした地道な取り組み、できることから気長にやっていく。戦いは、長期化をすることは避けられないと思います。」
 ◎上記事の著作権は[国際報道2014]に帰属します
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