産経ニュース 2014.11.21 12:22更新
【遠隔操作ウイルス事件】「まれに見る卑劣で悪質かつ重大な犯罪」片山被告に懲役10年求刑
4人が誤認逮捕された遠隔操作ウイルス事件で、威力業務妨害やハイジャック防止法違反などの罪に問われたIT関連会社元社員、片山祐輔被告(32)の論告求刑公判が21日、東京地裁(大野勝則裁判長)で開かれた。検察側は「誤認逮捕を招くなど、サイバー犯罪史上、まれに見る卑劣で悪質かつ重大な犯罪」として懲役10年を求刑した。
無罪主張、保釈からの再勾留、無罪主張撤回と異例の展開をたどった公判は、27日の弁護側最終弁論で結審し、年明けに判決が言い渡される見込み。
検察側は論告で「犯人に仕立て上げられた者に苦痛を与えるなど、無実の第三者の人生をもてあそんだ」と指摘。「捜査機関へのゆがんだ優越感を満たすために犯行を繰り返した」と批判した。また、一連の犯罪予告による関係者への損害も大きかったとした。さらに、片山被告の精神科への通院歴については「何らかの障害を有していたとしても、それは人格の偏りで、被告にとって有利となる事情ではない」と述べた。
捜査の問題点については「なりすましがあり得ることを考慮に入れた、慎重な捜査が必要で反省すべき点があった」と認めつつ、「被告の刑事責任とは別論で、罪を軽減する理由にならない」とした。
片山被告は今年2月の初公判で「事実無根」と主張し、3月には保釈された。その後、5月に送信された「真犯人」メールが自作自演だったことが判明。片山被告は一転して起訴内容を全面的に認めた。
片山被告は、匿名化ソフトで発信元を隠し、ウイルスに感染させた他人のパソコンを遠隔操作。平成24年8月に東京都内の幼稚園にと無差別襲撃の予告メールを送信したなどとして、計10事件で起訴された。
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産経ニュース 2014.11.21 20:08更新
【遠隔操作ウイルス事件】「権威への反感」が動機? 語り始めるも明確な説明なし
無罪主張を続ける中、警察による執念の捜査に降参した片山祐輔被告。無罪主張撤回後の法廷では「権威的なものに反感を持っていた」と、少しずつ動機を語り始める一方で、誤認逮捕に関して警察への責任転嫁とも取れる発言を続けた。
過去に別の事件で実刑判決を受けた片山被告。「服役中に刑務官にひどい扱いをされ、自分が壊れてしまった」と述べ、この経験が権威全般への怒りを醸成させたとした。
ただ、権威への反感が、なぜ警察をおとしめる方向に向かったのかについて、明確な説明はない。誤認逮捕が続いたことを「これからの展開にワクワクしていた」と振り返り、「警察が高い技術を持っていればもっと違う結果になっていた」とも語った。誤認逮捕の責任を警察の捜査に転嫁したとも取れる発言は「(片山被告は)自分の責任について理解できていない部分がある」と弁護団をあきれさせた。
片山被告は夏以降、拘置所で臨床心理士との面談が認められた。弁護側は当初、「動機を語り始めた」として、臨床心理士の分析を情状証拠として提出予定だったが、結果的に「問診結果に事実誤認がある」などと提出を見送った。
主任弁護人の佐藤博史弁護士が「コミュニケーション能力が高く、自分の真意とは関係なく相手が喜ぶことを口にする」と評する片山被告。淡々とした法廷での姿から、本心を打ち明けたのかは、うかがい知ることができなかった。
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