産経ニュース 2014.11.21 17:11更新
【衆院選】安倍首相「民主党は烏合の衆だ」「全員この場に帰ってくる」解散後の総会発言全文
安倍晋三首相(自民党総裁)は21日、国会で開かれた党両院議員総会で、アベノミクスへの批判を強める民主党について「政策を横に置いて数だけを増やそうとしている烏合(うごう)の衆だ」と批判した。安倍首相の発言の全文は次の通り。
皆さん、いよいよ戦いがスタートいたします。税制は議会制民主主義の基盤であります。その税制に重大な変更を行う以上、国民に信を問う、これは民主主義の王道であります。
われわれは野党時代、そのことを民主党政権にずっと突き付けてきたのであります。われわれの主張は一貫しております。そして、この総選挙は私たちが皆さんとともに進めてきた、この経済政策をしっかりと前に進めていくべきかどうか、この政策が間違っているのか正しいのか、果たして本当にほかに道があるのか、そのことを選挙戦を通じて、しっかりと訴えていこうじゃありませんか。
総選挙はまさに政策を競い合う場であります。しかし、民主党は残念ながら政策を横に置いて数だけ増やそうとしている。これでは、まるで烏合の衆であります。かつての混乱を繰り返してはなりません。皆さんが一人でも多く当選することは私たちの成長戦略を、改革を前に進めていくことにつながります。皆さんが一人でも多く当選することは、景気を回復し国民生活を豊かにする道を進んでいくことにつながるんです。
皆さん、この戦いを全員で勝ち抜いて、この場に戻って、そして日本を世界の真ん中で輝く国にしていく、その責任を果たしていこうではありませんか。私は皆さん全員がこの場に帰って来る、全員が当選するための、その先頭に立っていくことをお誓い申し上げます。皆さんとも勝ち抜きましょう。
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産経ニュース 2014.11.21 19:39更新
【首相記者会見詳報(1)】「この解散は『アベノミクス解散』だ」
安倍晋三首相は21日、官邸で記者会見し、衆院解散に関し「この解散はアベノミクス解散だ。アベノミクスを進めるか、それとも止めてしまうか、それを問う選挙だ」と述べた。会見の詳報は以下の通り。
「本日、衆議院を解散いたしました。この解散は『アベノミクス解散』であります。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります。連日、野党は『アベノミクスは失敗した』と批判ばかりを繰り返しています。私は今回の選挙戦を通じて、私たちの経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢はあるのか、国民の皆さまにうかがいたいと思います」
「2年前を思い出していただきたいと思います。リーマン・ショックから4年もたち、世界経済は立ち直ろうとしていたにもかかわらず、日本だけはデフレに苦しみ、3四半期連続のマイナス成長となっていました。行き過ぎた円高は多くの企業を海外へと追いやり、空洞化が進みました。私の地元、山口県でも若者たちを500人以上雇用していた大きな工場が行き過ぎた円高のために、工場を閉めざるを得なくなりました。どんなに頑張っても、どんなに汗を流しても、どんなに良いアイデアを出しても、行き過ぎた円高のために競争に勝てない。そして多くの、多くの雇用が失われていたのです。失業者は増え、下請け企業は仕事が無くなり、『連鎖倒産』という言葉が日本中を覆っていました」
「当時、私は、野党の党首でありましたが、どこへ行っても『安倍さん、この景気を何とかしてくれよ』といわれたことを今でも忘れません。その日本全体を覆っていた強い機運が私たちの政権交代へとつながりました。強い経済を取り戻せ。これこそが総選挙で示された国民の皆さまの声であると信じ、3本の矢の政策を打ち続け、経済最優先で政権運営にあたってきました」
「その結果、雇用は100万人以上増え、高校生の就職内定率は10%アップしました。9月末の時点ですでに、半分以上の学生が内定をもらっている。15年ぶりの出来事です。今年の春は、過去15年間で最高の賃上げが実現しました。企業がしっかりと収益を上げれば、雇用を増やし、賃金を上げることができる。その好循環を回していく。これがアベノミクスなのです」
「アベノミクスの成功を確かなものとするために、私は消費税10%への引き上げを18カ月延期する決断をいたしました。消費税引き上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要です。しかし、子育て世代の皆さんを応援する、その決意は揺らぎません。子ども子育て支援新制度は、来年4月から予定通り実施します。2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童をなくしていきます。さらに小1の壁を突き破り、学童保育についても、待機児童ゼロを実現していく。そのスケジュールは全く変わりません」
「女性の輝く社会を実現する。この安倍内閣が掲げた旗は、これからも高く掲げて参ります。この臨時国会では女性の活躍推進法案は、残念ながら野党の協力が得られず、廃案となってしまいました。しかし私は必ずや実現させます。来年の通常国会では確実に法律を成立させる。その決意です」
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2014.11.21 19:41更新
【首相記者会見詳報(2)】「29年4月から確実に消費税を引き上げる」
「『消費税の引き上げ延期は、野党がみんな同意している。だから選挙の争点ではない』といった声があります。しかし、それは違います。野党の人たちは、ではいつから10%へ引き上げるのでしょうか。その時期を明確にしているという話を私は聞いたことがありません。そこは極めて大切な点であります」
「財政を立てなおし、世界に誇るべき社会保障制度を次世代へと引き渡していく責任が私たちにはあります。私たち自民党、公明党、連立与党はその責任をしっかり果たして参ります。そのために平成29年4月から確実に消費税を引き上げることといたします。今回のような景気判断による延期を可能とする景気判断条項は削除いたします。本当にあと3年で景気が良くなるのか。それをやり抜くのが私たちの使命であり、私たちの経済政策であります」
「今週、経団連の会長が『経済界は来年も賃金を上げて、経済の好循環に貢献していきたい』と宣言してくれました。さらには再来年、その翌年と賃金を上げていく。アベノミクスを続けることができれば、必ずや実現できると確信しています。『良い話は大企業ばかりで、アベノミクスの風なんて中小企業には届いていない』という方がたくさんいらっしゃることも私は承知しています。円安によってガソリンや原材料が上がって困っている。これについては、今度の経済対策でしっかり対応してまいります」
「アベノミクスが始まっていき過ぎた円高が是正されました。そうした中で空洞化の時代が終わり、仕事がいよいよ国内へと戻ってまいりました。日産自動車は、アメリカの工場に移そうとしていたエンジン生産を福島県のいわき市で行うことを決めました。600人近い雇用が守られたんです。キヤノンは、この2年間の変化を見て、国内生産比率を半分の5割まで戻すことを決めました。アジアに出ていってしまったプリンターなどの生産を茨城や滋賀で行うそうです。海外へ逃げていった投資が国内で動き始めたのです」
「大企業が国内で投資をすれば、部品や材料をつくる中小企業の仕事が生まれます。足下では、企業の倒産件数は民主党政権時代から2割も減りました。倒産が少ないのは24年ぶりのことです。もし、行き過ぎたあの円高に逆戻りしてしまうようなことがあれば、また空洞化、根こそぎ仕事がなくなってしまいます。仕事がある。それが皆さん一番大切なのです」
「この臨時国会では、地方創生のための基本法案が成立し、大きな一歩を踏み出すことができました。中山間地や離島を始め、地方にお住まいの皆さんが伝統あるふるさとを守り、美しい日本を支えています。まだまだ厳しい地方経済へと景気回復の温かい風を送り届けてこそ、アベノミクスは完成する、私はそう考えています。地方の皆さんの生活を豊かにしていく、これを必ずやりぬいてまいります。都市と地方の格差が拡大し、大企業ばかりが恩恵を被っている。そうした声があることも私は十分承知しています。それでは、日本の企業がしっかりと収益を上げるよりも前に皆さんの懐から温まるような、手品のような経済対策が果たしてあるんでしょうか。また、バラマキを復活させるのでしょうか。その給付を行うにもその原資は税金です」
「企業が収益を増やさず、そして給料も上がらなければ、どうやって税収を確保していくのでしょうか。それこそが2年前までの風景じゃありませんか。私たちは違います。私たちは景気を回復させて、企業が収益を上げる状況をつくり、そしてそれが皆さんの懐へと回っていく。この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで、景気回復を実感できる。この道しかないんです。景気回復、この道しかありません。そのことをこの選挙戦を通じて、皆さんにしっかりと訴え続けていきたいと考えています。そして、国民の皆様の信頼と協力を得て、賛否両論、抵抗も大きいその成長戦略をしっかりと前に進め、国民生活を豊かにしていく、その決意であります。私からは以上であります」
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2014.11.21 19:45更新
【首相記者会見詳報(3)】「全員の当選を目指す」
【質疑応答】
--解散の大義についてうかがう。野党側は「アベノミクス失敗隠しの大義なき解散だ」と対決姿勢を強めているわけですが、今回の衆院の解散に国民の理解は得られていると考えるか。また、先に首相が示した「与党で過半数」という勝敗ラインに与党側からは「絶対安定多数」の266議席や少なくとも「安定多数」の249議席を目指すべきという声がでている
「この、アベノミクス隠しではないかと、それは間違っています。今申し上げましたように、この解散はアベノミクス解散だ。このように申し上げておりますし、われわれはこの政策が正しいのか、間違っているのか、他に選択肢があるか、堂々とまさに国民の皆様に問うているわけであります。そして何と言っても先程申し上げましたように、この選挙、消費税引き上げを18カ月延期をしました。それを自民党は政権公約に書いていなかったではないか、という批判がありました。だからこそ、私たちは選挙を行うのです」
「民主主義の原点は税制であります。税制に重大な変更を行った以上、選挙をしなければならないと考えています。そしてこの選挙戦を通じて、私たちの経済政策についてしっかりと訴え、そしてこの選挙の大義についても国民の皆様のご理解をいただいていきたい。選挙によって、皆さんの声をうかがい、力を得て、はじめて私たちの困難な難しい改革を遂行することができると思っています」
「そして、当選ライン。選挙の勝ち負けは政権選択、衆議院は政権選択です。どちらの党が過半数を取るのか、それは自民党、公明党、与党で共通の政策を訴えていきます。当然、どちらの勢力を選ぶのか、それが分岐点になると思います。小泉総理もあの郵政解散。『自民党、公明党で過半数をとったら私はこの政策を続けていく、とれなければ退陣する』。そうおっしゃいました。私は野党時代、自民党の衆議院は議席119人しかありませんでした。それを倍増以上して政権をとる。それが私の約束だ。90人どころか100人以上私が増やさなければ私の責任は果たせない。こう申し上げております。これはもちろん、選挙戦、私は自民党のリーダーです。300議席近い議席を私たちは持っている。私は当然、全員の当選を目指してまいります」
--選挙の争点についてうかがう。首相は消費税増税先送りの判断とアベノミクス継続の是非を問う考えを示された。一方、特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認、年明けに見込まれる原発再稼働については国民の意見が真っ二つに割れている。総理はこうした問題についても公約に書き込むだけでなく積極的に争点として位置づけるか。また、平成29年4月の再増税については、どんな状況であっても必ず増税するか
「まずはじめに、私たちは昨年の参院選挙、そしてまた一昨年の総選挙においても、情報保全、しっかりその仕組みを法整備をしていくとした。また、集団的自衛権の行使についても、原発エネルギーについても国民の皆さんにお約束してまいりました。しっかりと打ち出して選挙戦を戦ってきました。それが私たち自由民主党の選挙に対する、そして政治に対する基本的な姿勢であります」
「当然この選挙においても、そうしたすべてにおいて国民の皆さまに訴えていきたいと、このように思っております。そして平成29年4月から10%に引き上げていく。今回三党合意の中における、成立した法律によって景気判断条項がありました。その景気判断条項の上において今回景気判断を行い18カ月延期しました。来年私たちが国会に出す法律において、この景気判断条項を削除します。当然今回のような景気判断による再延期は行わない、これは明確であります」
2014.11.21 20:13更新
【首相記者会見詳報(4)=完】「社会保障充実へできる限り努力」
--個人消費の盛り上がりが欠けている。企業に対しては法人税減税を進めているが、個人消費の刺激策として所得税減税を考えているか。仮に考えていなければどのような形で個人部門の支出を増やすのか
「今般の経済対策においては地域の消費の喚起など、景気の脆弱(ぜいじゃく)な部分にしっかりと的を絞ってスピード感をもって対応する必要があると考えております。そのため、こうした観点から交付金を創設をして、自治体の創意工夫を生かして後押ししていきたい、個人の消費を後押ししていきたいと思います。特に地方をしっかりと光を当てていきたいと思います」
「所得税でありますが、所得税の減税については、もともと、所得税の負担のない方々に対しては当然これは効きません。われわれはむしろ低所得の方々に的を絞っていく、ということが大切だろうとこのように考えています」
--鹿児島県の川内(せんだい)原発は早ければ来年に再稼働といわれている。集団的自衛権を含む安全保障法整備は春以降、整備に入る。そうしたことについて具体的にどのような考えを持っているか
「従来申し上げている通り、原発の再稼働については規制委員会が安全と判断したものについては、地域の皆さま、元の皆さまのご理解を得て再稼働していきます。これはもう従来ご説明をしている通りであります。その考え方の下に実行していこうと思っております」
「安全保障に関する法整備については、今年の7月1日の閣議決定にのっとって、切れ目のないシームレスな国民の命を守り国民の生活を守るための法整備、これを行っていきたいと思います。これは広範な法改正になりますが、全体をまとめて実施していく必要があると、その方が国民の皆さんにとっても分かりやすいだろうと思います。現在その法整備を進めているところでありますが、来年の通常国会に提出したいと考えています」
--消費税率の引き上げを延期したことで来年度の予算で約1・5兆円の税収減が予想される。総理は子育て支援などは行っていくと述べたが、税収減が予想される中財源が厳しくなる。社会保障政策にどうめりはりをつけるか
「消費税率を引き上げないということになりますと、給付と負担のバランスから、社会保障というのは給付するためには負担も必要であります。その関係からいっても、すべて行うのはそれは難しいと思います。しかし大切な社会保障の充実であります。これからずっと私たちは上げないといっているわけではなくて、18カ月分だと。18カ月分をどれぐらい確保できるか、できる限り充実に向けて努力をしてきたいと思います」
「しかしその中において、子育てをしている方々を支援をしていく、これはしっかりとやっていく考えであります。先ほど申し上げましたように2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿はちゃんと作っていく、このことははっきりとお約束をしたいと思います」
◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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