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「解散の大義なし」は、危険思想 税は民主主義の基本中の基本 高橋洋一

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「解散の大義なし」は危険思想 税は民主主義の基本中の基本
 zakzak 2014.11.19 連載:「日本」の解き方  
 衆議院解散について、一部の野党やメディアなどから「大義がない」という批判が上がっている。消費税の再増税延期は解散の大義にならないとでもいうのだろうか。まったくばかげている論調だ。
 解散風が強まった際、野党は選挙準備が整っていなかった。民主党の衆院議員候補予定者は現職を含めて130人程度と、前回選挙から約2年が経過しても全295小選挙区の半分も埋まっていない状況だった。
 野党にとっては、この機会に選挙協力といきたいところだろうが、自民党が「増税ノー」と出てくると、本来なら野党は「増税イエス連合」となるところだが、これで選挙に勝てるはずもない。かといって「増税ノー」では自民党との差別化ができない。だから、選挙をしたくないということで、「大義なし」と言っているのだろう。
 マスコミの方はちょっと重症だ。前回の総選挙で消費増税10%まで国民から信任されたと思っている国会議員が過半以上いるとみられ、彼らは消費増税を止める法案に賛成しない。しかし、安倍晋三首相は、それは国民の民意ではないと思っている。そこで、解散して衆院議員をすべて解職すれば、新たに当選した議員は民意を反映することになる。「解散に大義がない」というマスコミは、民意をくみ取ろうとすることを否定することになる。
 この考え方はかなり危険だ。直接民意を聞かずとも、間接的に今の国会議員に聞けばいいのかというと、それは違う。
 2009年に民主党へ政権交代したとき、公約に消費増税はなかった。しかし、財務省は不慣れな民主党議員を巧みに籠絡して、消費増税法を成立させた。財務省は間接民主主義のもろさを知り尽くし、それをうまく利用したのだ。
 はっきり言おう。解散するなといえば消費増税で決まりだが、解散は消費増税の是非を国民に委ねている。どっちがフェアかといえば、もちろん後者だ。解散しても増税先送りが決まりというわけではない。増税したい人は、正々堂々と増税を訴えればいいのだ。
 マスコミが国民の声を聴こうとすることに大義がないというのはどうかしている。そうやって騒ぐ間に、消費増税延期法案の書き方など、増税先送りの方法について官邸内でバトル中である。当然財務省は1年半後に有無を言わせずに消費増税という時限爆弾を仕組んでいる。そしてマスコミはまたもや財務省の援護射撃を行っている。
 民意を問う絶好のチャンスにもかかわらず、「選挙でカネがかかる」など、つまらないイチャモンまでつけているが、これまでの総選挙は平均2年9カ月で行われてきている。民主主義というのはそういうものだ。
 解散に大義がないという人は、国民の信を問わないで増税できるチャンスと考えているのかもしれないが、それこそ国民への背信行為だ。増税のちょうちん持ちのマスコミは、国民からそっぽを向かれるだろう。
 「代表なくして課税なし」というが、税は民主主義の基本である。その基本中の基本を国民不在で決めていいはずはない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
 ◎上記事の著作権は[zakzak]に帰属します
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