「最強官庁」財務省の敗北と逆襲 政治家に「パワー」見せつけるか
連載:「日本」の解き方 zakzak 2014.11.26
とうとう消費増税がスキップされることになった。最強官庁の財務省が負けたのだ。
5年前に民主党政権が誕生した際、政権運営に不慣れなことにつけ込んだ財務省は、東日本大震災での復興増税を実施し、消費増税の「時限爆弾」設置にも成功した。
東日本大震災のような100年に1度クラスの危機の場合、本来なら「100年物国債」を発行して負担を平準化するべきだが、復興増税は経済政策のセオリーを無視したものだった。
消費増税も民主党が公約していなかったもので、「代表なくして課税なし」の民主主義の基本から逸脱したものだ。
復興増税はまんまと実現し、消費増税の時限爆弾も1発目(4月の8%への増税)まではうまくいったが、2発目は直前で止められた。今、消費増税爆弾が破裂したら、日本経済が沈没しかねない状況だった。
今回の消費増税でも、財務省のブロパガンダはひどいものだった。マスコミ、学者やエコノミストを多数動員した。
当初の主張は「消費増税しても景気は悪くならない」というものだった。財務省OBの筆者としては信じられない話だ。1989年の消費税創設時には物品税廃止、97年の消費増税時には先行所得税減税と、増税の悪影響をなくそうという努力は少なくともあった。それでも97年の景気後退のきっかけになった。もしこのような簡単な分析も行っていなかったとしたら、とても経済運営を任せることはできない。
復興増税に味をしめ、安倍政権が、1次政権ほどにこわもてではないことに財務省は慢心したのだろう。消費増税しても景気後退はないと、ウソを言って強行突破を図った。
消費増税の悪影響が顕在化しても、「天候のせい」などと学者やエコノミストなどは言い張り、マスコミも報道した。まるで財務省の「ポチ軍団」の揃い踏みだ。
その後は、消費税は社会保障と「ヒモ付き」だといい、増税しないと予算を削るという恫喝(どうかつ)にも出た。
財務省が最強官庁と呼ばれるのは、予算の歳出権と徴税権を持っているからだ。後者は財務省の「最強手」なので、最初に予算という手を打った。並みの人なら、予算を絡められると、増税賛成に転じる。ヒモ付きのヒモが、実は伸び縮みする「ゴムヒモ」であることも知らないからだ。
今の状況は80年当時に似ている。当時はグリーンカード(少額貯蓄等利用者カード)制度導入で予想外の経済混乱があり、金丸信氏が制度を凍結、廃止した。その後、金丸氏は脱税で摘発され政治家生命を絶たれた。
もちろん、言い逃れのできない脱税を行った金丸氏に弁解の余地はない。ただ、当時大蔵省でペイペイの役人だった筆者にとっては、よくできた話という印象だった。当時の政治家に大蔵省のパワーを見せつけた感じだっただろう。
建前として、民主主義のもとでは、選挙で選ばれた政治家が官僚の上に立つ。ただ財務省だけは別格だ。筆者は「それを知っているお前は、なぜ財務省から離れたのか」と先輩によく言われたものだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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