【世界を斬る】米国が「安倍首相を応援」する背景と中国に迎合したオバマ氏への批判
zakzak 2014.11.26
「安倍晋三首相が今度の選挙に勝ち、財政を立て直して積極的な経済政策を展開すれば、日本経済がよくなるだけでなく、米国と世界の経済も救われる」
財政政策を研究しているハドソン研究所の学者はこう明言した。彼の口調には、安倍政権と日本経済に対する信頼がうかがえた。
米中間選挙の上院と知事選で“ビジネスの党”共和党を勝たせるために積極的に動き、成功した全米商工会議所のトム・ドナヒュー会長もこう言っている。
「今度の選挙では、安倍首相に勝ってもらいたい。彼ならTPPを強力に推し進めてくれると期待できる」
ここ数日、米国の有力紙も奇妙なほど安倍首相寄りの記事を掲載し続けている。
「アベノミクスが失敗したわけではない」「日銀の円安政策はうまくいっている」といった内容だ。この背景には、停滞が続くヨーロッパと中国の経済に対する失望と懸念がある。
ヨーロッパ経済はあらゆるデータからみて、今年はマイナス成長に落ち込むという予想が出ている。だが、欧州中央銀行のマリオ・ドラギ総裁は積極的な政策をとろうとしていない。米国からすれば、頼みの綱ドイツも緊縮財政を続けるだけで、国内消費を増やすための努力をしていない。
中国経済については先頃、米国の有力な民間調査機関のカンファレンスボードが驚くほど悲観的な予測を発表した。
「中国経済の今後5年間の平均成長率は5パーセント台に下がり、2020年からの5年間は平均3・9パーセントになる」
カンファレンスボードほどひどい数字は挙げていないが、IMFや世界銀行も中国経済の悪化を予測している。
米経済界の指導者らは、中間選挙で惨敗したオバマ大統領が、経済低下の一途をたどる中国の習近平主席に迎合して、わけの分からない取り決めを行ったことを苦々しく思っている。そうしたオバマ氏に対する批判が、前向きの姿勢で動いている安倍首相への好意的な発言と期待になっているのだろう。
私は長い間、ワシントンで日米関係を取材してきたが、これまでの米側の日本についての考え方は、「危機に直面しても積極的には動かない。アメリカの圧力がなければ日本は変わらない」というものだった。
90年代のバブル崩壊後の膨大な債務処理にあたっても、日本の政治家が当事者としての責任をとらず、まったく動こうとしなかったことに対して厳しい批判が起きた。
米経済界やワシントンの人々は、そうした従来の日本のイメージを破り、アベノミクスや円安といった積極的な政策をとり続けている安倍首相に好意的な目を向けている。ヨーロッパや中国が、停滞する経済状況に手をこまねいていることが、安倍首相の行動を目立たせているとも言えるだろう。
■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。
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米国 安倍首相を「今度の選挙に勝てば…」と応援する背景 / 中国に迎合したオバマ氏への批判 日高義樹
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