後藤さんに渡航中止要請=昨年9月から3回―政府
時事通信 2月3日(火)2時32分配信
政府が過激組織「イスラム国」によって殺害されたとみられる後藤健二さんに対し、昨年9~10月に3回にわたってシリアへの渡航を見合わせるよう直接要請していたことが2日分かった。関係者によると、外務省職員が昨年9月下旬と同10月上旬に電話で、同月中旬には面会して渡航中止を求めたが、翻意させるには至らなかったという。
外務省は2011年4月にシリア全土に「退避勧告」を発出している。後藤さんの渡航計画を把握した同省は昨年9月26日に渡航中止を要請。10月3日に後藤さんの入国を知って即時退避を求めた。帰国後の同月14日には職員が面会して再び渡航しないよう注意喚起した。だが、11月1日に後藤さんの家族から、連絡が取れなくなったと通報があった。
後藤さんは昨年10月末にシリア北部で行方不明になり、先月20日に殺害予告の動画がインターネット上に公開されたのに続き、1日には殺害されたとみられる映像が公開された。先に殺害されたとみられる湯川遥菜さんの入国については、外務省は事前に把握していなかった。
事件を受けて安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、「内外の日本人の安全確保に万全を期したい」と改めて強調。自民党が2日開いた対策本部では、退避勧告に強制力を持たせるべきだとの意見が出た。しかし、憲法22条が保障する「居住、移転の自由」との兼ね合いで、渡航を禁止するのは困難なのが実情だ。
最終更新:2月3日(火)2時34分
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「安倍首相のせいで日本人がテロの標的に」 ジャーナリストの指摘に疑問、反論が噴出
J-CASTニュース 2015/2/ 2 19:55
「日本の悪夢が始まる」とイスラム国がビデオ声明を出したことを受けて、中東支援を表明した安倍晋三首相の責任論が、再び持ち上がっている。責任を問う声には疑問も相次いでおり、論議になっている。
ジャーナリスト後藤健二さんの殺害を示した2015年2月1日のビデオで、イスラム国は、後藤さんを殺すだけでなく、「場所を問わずに日本人を殺りくする」と宣言した。
■「NYに住む友人たちがみんな怒りまくっている」
これに対し、日本政府も、あらゆるテロの可能性に備えて警戒を強化するなどの考えを示した。しかし、イスラム国の声明に戸惑う向きもあるようで、ツイッターなどでは、安倍首相の対応が不適切だったとして不満をぶつける声も一部で出ている。
米ニューヨーク在住のジャーナリストの北丸雄二さんは、ツイッターで「NYに住む友人たちがみんな怒りまくっている」と明かした。電話をした友人らから、次のような声を聞いたというのだ。
「海外で働いている私たちをどうして危険にさらすような演説をしたんだ」
「私たちは平和を貫く日本人だったのに、安倍のせいで狙われる対象になった」
フォトジャーナリストの豊田直巳さんも、ツイッターで、NHKの取材に答えたと報告したうえで、安倍首相の対応を批判した。「交渉を失敗した安倍政権による敵愾心の煽動が怖い」といい、取材に対し、「彼を殺すことを真剣に止めようとしなかった日本政府に対しても、何をしてきたんだという失望と絶望と憤りを感じます」と話したとした。ただ、NHKサイトのニュースでは、この部分はすべて反映されておらず、代わりに「日本政府はどう交渉していたのかという気持ちです」という表現になっていた。
報道によると、元外務官僚や野党政治家からも、安倍首相の責任を問う同様な声が出ている。安倍首相が後藤さん殺害声明を受けて、「テロリストたちを絶対に許さない」「その罪を償わさせる」と強気なコメントをしたことも、疑問視されていた。
■「政権批判を繰り広げることはイスラム国の思うつぼ」
首相官邸前でも、イスラム国のビデオ声明後にデモがあり、安倍首相への批判が行われた。
ツイッターなどの情報によると、デモでは、「湯川さん、後藤さんを殺したのはテロリスト。しかし、それに手を貸したのは安倍だ」「安倍首相の愚かな行為が国民を危険にさらしている!」といったプラカードが掲げられた。中には、「湯川さん 後藤さんのいのちを返せ」といったものまであり、安倍首相は日本人を危険にさらした責任を取って辞任すべきだなどとする主張が相次いだ。
ロイター通信の報道などによると、安倍首相の対応については、一部の中東専門家らの間で、いくつか疑問点が出ているという。米英と距離を取るトルコではなく、なぜ米英寄りでイスラム国と敵対的なヨルダンに現地対策本部を作ったのか、ということなどだ。また、これまでに挙げられていることとしては、イスラム国から身代金要求があることを知りながら、安倍首相が中東支援をイスラエルで表明したことへの疑問がある。
とはいえ、ネット上では、安倍首相批判については疑問を呈する向きが多い。「テロリストに同調しやがって」「日本人だったら無条件で命の危機から免除されるとでも?」「辞任なんてしたら、もろテロリストの勝利になるじゃん」といった声だ。
ニューヨーク在住のライターの安田佐和子さんも、自らの情報サイト「My Big Apple NY」で、「テロ組織の意図は、その存在を広く知らしめ恐怖を煽り、己の目的を果たすこと」だとして、政権批判を繰り広げることはまさにイスラム国の思うつぼ、と指摘していた。また、日本の中東問題専門家にも、こうした見方が多数を占めるようだ。
ちなみに、報道によると、在京アラブ外交団代表のシアム在京パレスチナ常駐総代表は、安倍首相の支援表明について「まったく挑発したとは思わない」と擁護し、イスラム国のテロは安倍首相のせいではないと強調していた。
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後藤健二さんに渡航中止要請=昨年9月から3回―政府 / 政権批判を繰り広げることはイスラム国の思うつぼ
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