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最高裁「死刑は生命を奪い去る究極の刑罰 過去の判例踏まえた議論を」=裁判員裁判の死刑判決 認めず

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裁判員の死刑判決破棄2件、無期確定へ 最高裁が支持
 朝日新聞デジタル 2015年2月4日20時08分
 裁判員裁判による死刑判決を破棄し、無期懲役とした2件の高裁判決について、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、高裁の判断を支持する結論を出した。「市民感覚」を反映するために導入された裁判員制度で導かれた量刑判断を、プロの裁判官だけの高裁が覆すことに議論があったが、最高裁は「死刑は究極の刑罰で、裁判結果は何人にも公平であるべきだ」と指摘。死刑については、過去の先例から逸脱した判決は裁判員裁判の結論でも認められないとした。
 3日付の決定で、検察と被告双方の上告を退けた。裁判員裁判の死刑判決を覆した高裁判決が確定するのは初めて。2件とも無期懲役判決が確定する。
 2件は、東京都内のマンションで2009年、男性(当時74)を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた伊能和夫被告(64)と、千葉県松戸市で同年、女子大生(当時21)を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた竪山辰美被告(53)の裁判。いずれも東京高裁が一審の死刑判決を破棄した。
 最高裁はまず、死刑を適用する前提として、慎重さと公平性の観点から「過去の裁判例の集積を検討して得られた共通認識を議論の出発点とすべきだ」と指摘。「これは裁判官のみで構成する裁判でも裁判員が参加する裁判でも変わらない」と強調した。
 さらに、死刑を選択する際に考慮すべき要素として、犯行の動機や計画性、殺害方法、被害者数や前科など具体的な項目を挙げ、「死刑が真にやむを得ないと認められるかどうかについて議論を深める必要がある」とした。
 そのうえで2件を検討。伊能被告については、一審は妻と子の2人を殺害した前科を重視して死刑判決を導いたが、「前科と起訴事件は関連が薄く、前科を過度に重視した一審判決は量刑が甚だ不当だ」とした。
 竪山被告については、殺害事件に計画性がないと指摘。さらに、この事件の前後に複数の強盗強姦(ごうかん)事件などを起こしていたことを一審が死刑判断の根拠の一つにしたが、「これらの事件は人の命を奪おうとした犯行ではない」とし、死刑選択の理由にならないとした。(西山貴章)
 ◎上記事の著作権は[朝日新聞]に帰属します
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裁判員裁判の死刑判決 認めず
 NHK NEWS WEB 2月4日 18時09分
 東京と千葉で起きた強盗殺人事件を巡り、裁判員裁判の死刑判決が妥当かどうかが争われた2つの裁判で、最高裁判所は死刑を選択するには過去の裁判例を踏まえて判断しなければならないとする決定を出しました。
 決定は裁判員裁判においても死刑の判断に慎重さと公平性を求めたもので、いずれも2審の無期懲役が確定することになりました。
 最高裁判所で審理されていたのは6年前に東京・港区と千葉県松戸市で起きた2つの強盗殺人事件の裁判で、いずれも1審の裁判員裁判は死刑、2審は無期懲役と判断が分かれていました。
 最高裁判所第2小法廷の千葉勝美裁判長は決定で、「死刑は被告の生命を永遠に奪い去る究極の刑罰で、慎重さと公平性を確保しなければならない。そのためには、これまで積み重ねられてきた過去の裁判例で、犯行の性質や計画性などといった判断要素がどのように考慮されてきたのかを踏まえた議論が不可欠だ。これは裁判官のみの裁判でも裁判員裁判でも変わるものではない」と述べました。
 そのうえで、1審の死刑判決は過去の裁判例と判断が異なるのに具体的で説得力のある根拠が示されていないと指摘しました。
 この決定により、いずれも2審の無期懲役が確定することになりました。
 過去の裁判例を踏まえるよう強く求めた今回の決定は、裁判員裁判であっても死刑の適用には慎重さと公平性を保つ必要があることを示したもので、今後の裁判に大きな影響を与えるとみられます。
■最高検「主張認められず残念」
 2つの裁判で死刑判決を求めていた最高検察庁の三浦守公判部長は「いずれの事件も1審で裁判員も加わって慎重に検討されたうえで死刑が言い渡された。その判断が適切なものだという検察の主張が認められず残念だが、最高裁判所の判断なので真摯に受け止めたい。決定の指摘も踏まえ、今後とも裁判員裁判において適切な刑が実現されるよう努めてまいりたい」というコメントを出しました。
■東京・港区の強盗殺人事件
 平成21年に東京・港区のマンションで当時74歳の男性が包丁で刺されて殺害された事件では無職の伊能和夫被告(64)が強盗殺人などの罪に問われました。
被告にはかつて妻と娘の2人を殺害した前科があり、1審と2審はこの前科をどう考慮するかで判断が分かれました。
 1審の裁判員裁判は、「強盗の目的を遂げるため、抵抗できない被害者を一撃で殺害するなど冷酷非情な犯行だ。妻と娘の2人を殺害し20年間服役した前科がありながら、出所後わずか半年で強盗殺人事件を起こしたことを刑を決めるうえで特に重視すべきだ」と指摘して死刑を言い渡しました。
 これに対して2審は、「過去に前科を重視して死刑が選択された事件は、無期懲役の仮釈放中に同じような犯行を起こしたケースなどだ。今回の強盗殺人と口論から妻を殺害した末、娘と無理心中しようとした被告の前科は関連性が薄い」と指摘して、1審の死刑を取り消し、無期懲役を言い渡しました。
■千葉県松戸市の女子大生殺害事件
 平成21年に千葉県松戸市のマンションで、大学4年生の女性(当時21)が殺害され、部屋が放火された事件で無職の竪山辰美被告(53)が強盗殺人などの罪に問われました。
1審と2審は殺害の計画性が認められない一方で、この事件の前後に別の強盗傷害事件などを繰り返していたことをどう考慮するかで判断が分かれました。
 1審の裁判員裁判は「殺害された被害者は1人で計画性は認められないが、被告は短期間のうちに悪質な強盗傷害事件を立て続けに起こしている。どの事件も被害者の生命に危害が及ぶおそれがあったことを考慮すると死刑を回避する決定的な事情にはならない」と判断し死刑を言い渡しました。
 これに対して2審は、「過去の裁判例では被害者が1人の強盗殺人事件で計画性がない場合は死刑が選択されない傾向がある。女子大学生の事件以外は人の生命を奪おうという事件ではなく死刑を選択することが本当にやむを得ないとまでは言えない」と指摘して1審の死刑を取り消し、無期懲役を言い渡していました。

 ◎上記事の著作権は[NHK NEWS WEB]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
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千葉大生強殺 竪山辰美被告 2審は無期 裁判員の「死刑」破棄2例目/(1例目=南青山強殺 伊能和夫被告) 2013-10-08 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴 
裁判員裁判の死刑判決破棄 3例目 〈長野3人強殺・死体遺棄事件〉池田薫被告 東京高裁 村瀬均裁判長 2014-02-28 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴  
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裁判員裁判の死刑破棄2件 / 裁判員法=「国民の常識を裁判に反映させる」とは書いていない 2013-10-22 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴 
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